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KL2020・OD・037
遺言書を作成するとき、「自分1人では法的に効力のあるものを正しく作れないのではないか?」と不安になることがあります。
弁護士に依頼すると無効になるおそれもなく安心感がありますが、「弁護士費用がかかるのが心配」ではありませんか?
今回は、遺言書作成を弁護士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのか、他の士業・信託銀行などに依頼したときと比較した費用感、弁護士に遺言書作成を依頼するメリットをご紹介します。
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遺言書作成を弁護士に依頼すると、どのような費用がどれくらいかかるのか、みてみましょう。
まずは「相談料」が発生します。相談料とは、弁護士に遺言書の作成方法についてアドバイスを求める際にかかる費用です。
相場の金額は30分5,000円程度ですが、無料相談に対応している事務所もあります。
また相談料がかかるのは依頼前であり、遺言書の作成を依頼したら、その後に遺言書作成について相談しても相談料はかからなくなります。
遺言書作成費用は、遺言書を作成するときの「手数料」のような費用です。遺言書作成を依頼することが決まったときに、一括払いするのが通例です。
金額や費用計算方法は依頼する弁護士事務所によって異なり、一律で「〇〇万円」としている事務所と、遺産の評価額に応じて金額が変わる事務所があります。
金額が一律の事務所の場合、20万円~30万円程度になることが多いです。
遺産の評価額に応じて費用が増減する事務所の場合、最低20万円などとしつつ、遺産評価額が大きくなったり遺産内容が複雑になったりすると金額が上がっていきます。
遺言書を作成した後、遺言者が遺言書を自分で保管していると、紛失したり相続人に書き換えられたりするおそれがあります。そのようなトラブルを防ぐため、弁護士事務所で保管してもらえるサービスがあります。
その場合、保管費用がかかりますが、年間5,000~6,000円程度となるケースが多いようです。
執行費用とは、弁護士に「遺言執行」を依頼したときに発生する費用です。
遺言執行とは、預貯金の払い戻しや不動産の相続登記など、遺言に基づく具体的な相続処理を行うことです。
このような遺言執行を行う者を予め選任しておけば、誰が遺言執行を行うのかでもめることや遺言を執行する相続人の負担を回避できます。
なお、遺言によって子供の認知や相続人の廃除、取消を行う場合などには必ず遺言執行者の選任が必要です。
執行費用の金額は、遺言執行にかかる手間によって大きく異なります。遺産の種類や数量が少なく相続人も少人数で争いが予想されない単純なケースでは、30万円程度で就任してもらえるケースが多いようです。
これに対し、遺産の種類や数量が多かったり、相続関係が複雑でさまざまな業務が必要だったりする場合には、100万円以上になるケースも珍しくありません。
遺言執行者の費用は、依頼する法律事務所とケースごとの遺産内容や依頼内容によって大きく金額が異なるので、依頼前に弁護士にしっかり確認することが重要です。
遺言書の作成を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
弁護士は、日頃からさまざまな遺産相続についての相談を受けて、その都度ケースに応じたアドバイスを行ったり、必要に応じて遺言書作成や遺産分割などの手続きを行ったりと、相談者の抱える問題を解決しています。
そのため、相談者が何を求めているのか、どうすれば最適な解決につなげやすいか判断する能力を持っているのです。
弁護士に相談すると、相談者自身も気づいていない、本当の不安や意図を汲み取った適切なアドバイスをしてくれますし、相談者自身が遺言内容を決めていなくても、納得できる遺言内容を提示してくれます。
相続財産のなかには、非常に分けにくいものがあります。たとえば不動産や株式などがあると、評価額や分け方の点でどうするのが公平か迷ってしまう人が多いのです。
このようなときに弁護士に相談すると、適切に遺産の評価をした上で、どのような方法で相続人に分配すると公平で理解を得られやすいのか、アドバイスをもらえます。
遺言書を作成するときには、各相続人の「遺留分」に配慮すべきです。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限の相続分のことで、遺留分を侵害する遺言をしてしまうと、相続開始後に遺留分減殺請求が行われることがあり、こうなると遺留分の請求者と被請求者との間でトラブルになってしまう可能性があります。
弁護士が遺言書を作成する場合、当初から各相続人の遺留分を意識して遺産の分配方法を検討してもらうことが可能です。
各相続人の遺留分に配慮した遺言とすれば、後々のトラブルを回避できます。
また遺留分を侵害するケースであっても、遺言書に「遺留分減殺の方法(順番など)」を明らかにしておくことにより、遺留分トラブルを最小減にとどめることも可能です。
遺言書作成の際、「遺言執行者」を選任したいのであれば、弁護士に依頼するメリットがより大きくなります。
遺言執行者は、未成年者や成年被後見人でなければ基本的に誰でも就任することができますが、複雑な相続手続きを進める場合は、法律に詳しい弁護士が対応するとスムーズです。
また相続人のうち1名を選任すると、他の相続人が反感を抱いて争いになってしまうことが多々ありますが、弁護士を遺言執行者にすると、相続人が納得しやすいので紛争予防につながります。
弁護士は、日頃から遺産分割調停や審判などのトラブル事例の解決に取り組んでいます。そこで遺産相続の際、どのようなケースでどういった紛争が発生しやすいかを正確に把握し、起こり得る紛争を予測する能力に長けています。
弁護士が遺言書を作成するときには、ケースごとの親族関係や相続財産の内容を見て、事前に遺言書から問題の種になるような要素を取り除きます。これにより、“争続”を効果的に予防できます。
遺言書作成業務を行っているのは弁護士だけではありません。
司法書士や行政書士、信託銀行なども遺言書作成に取り組んでいます。
弁護士以外の他士業や他機関に遺言書作成を依頼すると、どのくらいの費用がかかるのか、確認してみましょう。
遺言書作成を司法書士に依頼する場合、弁護士と同様、事務所によって金額が異なります。
相場としては7万円~15万円程度となることが多いです。
ただし司法書士の場合、弁護士事務所とは異なり、遺産の評価額にかかわらず一律の料金を採用しているケースが多数です。
なお司法書士は不動産登記の専門家です。遺産の中に不動産が含まれている場合、将来相続人は司法書士に「相続登記」を依頼することになります。
そのことを踏まえて、遺言書作成時から信頼できる司法書士を選んで相談しておくのもよいでしょう。
行政書士の場合も、司法書士と同様に遺言書作成費用は7万円~15万円程度となることが多く、遺産の評価額とは無関係に一律料金にしている事務所が多いです。
ただし、行政書士には遺産分割に関する紛争に関わることが認められていませんので、紛争回避能力は弁護士より劣ってしまうことが予想されます。そのため、紛争予防に有効な遺言書を作成したいのであれば、あまりおすすめはできません。
信託銀行や信託会社でも、遺言書作成代行を行っています。
費用は非常に高額で、安いケースでも30万円、多くの場合は100万円以上、高いと200万円近くにもなります。
このように高額になるのは、信託銀行などが自社で遺言書を作成しているのではなく、社内や社外の専門家に作成を委託しているからです。
信託銀行などが実際に行っているのは専門家とのつなぎ役、コーディネーター役であり、調整費用としてまとめて代金を受け取っているイメージです。
そのため、信託銀行などに遺言書作成を依頼するよりも、直接弁護士や司法書士などの専門家に依頼した方が明らかに安くなりますし、おすすめです。
弁護士に遺言書作成を依頼すると、効果的に紛争を予防できますし、遺言執行者に就任してもらうことも可能で、遺留分にも配慮できます。
費用は司法書士や行政書士より多少高めにはなりますが、その分の価値はあるといえるでしょう。
これから遺言書を作成する場合には、一度相続問題に積極的に取り組んでいる弁護士事務所を探して、相談してみることをおすすめします。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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