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KL2020・OD・037
過労死で労災認定を受けるには、大前提として①死亡と業務の関連性が強いこと②症状を発症したことの2点を証明せねばなりません。では、具体的にどうやって上記の2点を証明すれば良いのでしょうか?
今回は、過労死で労災認定を勝ち取るための基礎知識をお伝えしたうえで、労災認定された事例や労災を請求するにあたって忘れてはいけないことなどをお伝えします。
インターネットで過労死の労災認定に関して調べる際は、厚生労働省が出している資料を参考にする機会が多いでしょう。ただ、内容が充実している分、量も多く、全体像の把握は難しいかもしれません。
ここでは、厚生労働省|脳・心疾患の労災認定、厚生労働省|精神障害の労災認定などを参考にしつつ、身近な人を過労死で亡くし、労災認定しようとしている方が基礎知識として知っておきたいことを4点お伝えします。
過労死とは、度重なる長時間労働や休日出勤等のために心身に異常をきたした結果、死亡することをいいます。
ここまでは文字通りですから既にお分かりかと思いますが、労災で過労死として認定されるには、
の2点を満たしていなければいけません。以下で詳しくご説明します。
過労死で労災認定をされるための条件の1つが、死亡と業務の関連性が強いと証明することです。ただ仕事が忙しかったから亡くなったと主張するだけではなんにもなりません。では、どうやって死因が業務にあると証明するのでしょうか?
厚生労働省によると、発症前1~6ヶ月の時間外労働が何時間だったのかによって死亡と過労の関連性が決まります。詳しくは次の表をご覧ください。
時間外労働 | 関連性 |
発症前1~6ヶ月の時間外労働が1ヵ月あたり45時間を超えない | 弱い |
発症前1~6ヶ月の時間外労働が1ヵ月あたり45時間以上 | 徐々に強まる |
発症前1ヶ月の時間外労働が1ヵ月あたり100時間もしくは発症前2~6ヶ月間の平均時間外労働が1ヵ月あたり80時間 | 強い |
参照元:厚生労働省|脳・心疾患の労災認定
関連記事:過労死ラインは80時間|長時間労働をしている方の相談先と対処法
労災認定をしてもらうための2つ目の条件は症状を発症していることです。厚生労働省では、過労死の死因としておおまかに脳・心疾患、精神障害の2つをあげています。
一点だけ注意なのですが、以下の死因に該当しなくても業務上の長時間労働等と関連性が強いと認められれば労災認定される可能性もありますので、諦めないようにしましょう。
それぞれ確認していきます。
仕事の時間が多すぎた場合に、死につながるような異常が出てくるのが脳と心臓で、脳の血管に異常が出る脳血管系疾患と心臓に異常が出る虚血性心疾患等があります。それぞれ具体的に確認していきましょう。
【脳血管系疾患】
参照元:厚生労働省|脳・心疾患の労災認定
【虚血性心疾患等】
参照元:厚生労働省|脳・心疾患の労災認定
仕事のストレスや休憩・睡眠不足が積み重なった結果、精神障害をきたすことがあります。過労の結果、鬱になり、自殺してしまった場合などもこちらに含まれます。認定の対象になる精神障害を確認していきましょう。
引用元:厚生労働省|精神障害の労災認定
ここでは、過労死で労災認定をされた事例をご紹介します。
食品スーパーいなげやに勤務する男性社員(42歳)が脳梗塞で死亡した事例です。労基署は発症前4ヶ月の時間外労働を一ヶ月平均75時間53分と推定し、労災認定がされました。
参照元:日本経済新聞|いなげや社員に労災認定 長時間労働で過労死
自殺した電通の女性社員(24歳)は一ヶ月の時間外労働が約105時間を超えており、過労の末に精神障害で自殺したとみられています。
被害者が自殺したのは2015年12月25日ですが、代理人弁護士は10月以降に業務が大幅に増えたと述べているため、短期間の著しい仕事量の増加が精神障害をもたらし自殺に繋がったと考えられます。
車両運転会社の男性(63)が心筋梗塞で亡くなった事例です。当初新宿労基署は労災が認められないと判断しましたが、被害者の遺族はNPOの協力で審査請求をし、東京労働保険審査官から労災認定を受けました。
なぜ一度目は労災認定がされなかったのでしょうか。待機時間を労働時間とみなすか否かが、最も大きな判断の差となったようです。
このケースのように、一度ダメでも証拠があれば最終的に労災認定される場合があるので、覚えておきましょう。
参照元:BuzzFeeDNEWS|月160時間の残業で過労死した運転手… 労災認定しなかった労基署をNPOが批判
最後に、労災を請求する際の注意点を5つお伝えします。
引用元:厚生労働省|脳・心臓疾患に係る労災請求・決定件数の推移
上の図は、労災請求と決定件数の推移(脳・心疾患)を表したものです。平成26年の場合は763件の申請がありましたが、そのうち277件しか支給決定がされていません。請求した人のうち36.3%にしか労災が支給されないということは覚えておきましょう。
最初の方でお伝えしたように、労災認定されるためには、
の2点を証明する必要があります。そのためには、あなたが有利になる証拠をできるだけ収集しておく必要があります。
過労死された方の私物のうち、証拠になりそうなものは捨てないようにしましょう。例えば、次のようなものが証拠として使えます。
過労死の労災請求の難点は、本人が死亡しているため証拠を集めるのが難しいところです。しかし、証拠が不十分では労災の認定が下りる可能性は低くなります。
証拠を残す確実性を高めたいのであれば、証拠保全されることをおすすめします。これは、会社が任意に資料を提出しない場合に、裁判所を通じて資料を提出させることになります。
大切なご家族が亡くなった後で悲しみも尽きませんし、葬儀などで忙しいかもしれませんが、時間が経つほど企業側に証拠隠蔽の時間を与えてしまいますので、できるだけ早く弁護士に証拠保全を依頼したいところです。
事例3のように、場合によっては一度労災が下りなくても後から認定されることもあります。また。今回お伝えした死因以外でも、過労との関連性が強いと判断されれば認定されるので、十分な証拠があるのなら諦めないようにしましょう。
労災と判断されると労働保険によって一時金や年金を受け取れますが、ご遺族の方は過労死の犠牲者を出した企業を果たして許せるでしょうか。
企業は安全配慮義務を怠り、業務上の理由で死者を出したわけですから、被害者は企業に対し損害賠償を請求することもできます。
平成26年は請求件数に対して36.3%にしか支給が決定されなかったことからもわかるように、請求をした人みんなが労災認定されるわけではありません。弁護士を選ぶ際は、労災に関して経験が豊富な弁護士を探すようにしましょう。
など、いくつか疑問や希望があることかと思います。初回無料相談をしている事務所もありますので、あなたの場合はどうなりそうなのか確かめることもできます。
関連記事:過労死問題を弁護士に相談する際の費用と弁護士の探し方をご紹介
労災認定をされるには、死亡と業務の関連性が強く、なおかつ症状を発症していることを証明せねばなりません。そのためには、亡くなった方が残した証拠を捨てずにとっておくことが大切です。
また、労災が認定されそうか判断が難しい場合は、すぐに諦めたり一人で悩んだりしないで、専門家に相談することで、労災を諦めずに済む場合があります。
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