離婚協議書を公正証書にする方法|作成は弁護士に依頼しよう

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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離婚協議書を公正証書にする方法|作成は弁護士に依頼しよう

離婚時に離婚協議書を作成するべきという記述に対して、必ずと言っていいほど「公正証書にしましょう」という言葉が出てきます。ここでは、離婚協議書と公正証書の違いを解説しながら、離婚協議書を公正証書にする方法や作成ポイントを細かくご紹介したいと思います。

専門家に依頼して作成する方、ご自身での作成を考えている方など、様々な方々がこちらをご覧になるかと思いますが、どちらの場合でも、ここで離婚協議書と公正証書の基礎知識を押さえておくことは、今後のプラスになることでしょう。

これから離婚協議書を作成する方にとって、有意義な内容になれば幸いです。

◆不安な方は弁護士に依頼しましょう


離婚協議書は今後の人生を左右するといっても過言ではないほど大切な文書です。

トラブルを起こさないためにも、専門家へ作成を依頼することをおすすめします。

初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、お近くの地域から探してみてください。

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離婚協議書と公正証書の違い

離婚協議書と公正証書はどちらも離婚時に必要になる「契約書」であることに変わりないですが、決定的な違いは法的効力が発生するか?という点でしょう。

離婚協議書|取り決めを文書にまとめたもの

離婚協議書は離婚時に取り決めておくべき様々な事項を書き残しておくための私文書のことをいいます。契約書のようなものとお考えください。離婚協議書を作成する目的は、口約束による「言った言わない」のトラブルを避けるためと、仮にトラブルが発生し調停や訴訟を起こした場合、離婚協議書自体が重要な証拠として扱われるためといえるでしょう。

公正証書|協議内容に法的効力を持たせたもの

公正証書は、離婚協議書の内容に法的効力を持たせた公文書のことをいいます。離婚協議書はあくまで私文書になりますので、仮に協議書に書かれた約束(養育費の支払など)が破られた場合は、訴訟を起こして解決することになります。

一方、公正証書は公証人とよばれる専門家が作成した公文書のため、法的効力を持ち合わせています。仮に、相手が養育費の支払いを怠った場合は、公正証書を所持していることで、訴訟を起こすことなく、養育費を徴収するために給料や財産の差し押さえを行うことができるのです。

よって離婚協議書と公正証書の最大の違いは法的効力を持ち合わせているかどうかという点でしょう。

離婚協議書を公正証書にするメリットとデメリット

離婚協議書を公正証書にするメリットとデメリットをそれぞれ挙げてみました。

離婚協議書を公正証書にするメリット

  • 金銭の支払いが約束どおり行われなかった場合に裁判を起こさずに強制的に徴収することができる。
  • 相手に対して心理的プレッシャーを与えることができる
  • 自分自身にとっても公正証書の存在が安心に繋がる

 離婚協議書を公正証書にするデメリット

  • 作成費用がかかってしまう
  • 弁護士などに依頼した場合はプラスで費用が発生する
  • 離婚協議書と違って作成に時間がかかる

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公正証書にする前に離婚協議書を作成する時点で書くべき項目

公正証書にする前に離婚協議書を作成する時点で書くべき項目

公正証書を作成するには、一般的に離婚協議書の作成から始めます。離婚協議書で取り決めた内容を公正証書にしますので、離婚協議書の時点で大切なことを書き漏らさないようにする必要があります。以下は離婚協議書の作成例です。

作成例を見ながら、離婚協議書に書くべき項目を解説したいと思います。

 

離婚協議書

 
アシロ太郎(以下甲とする)とアシロ花子(以下乙とする)は、本日協議離婚をすることに合意し、その届出にあたり、下記のとおり契約を締結した。
第1条(契約の目的) 甲と乙はこの度、協議離婚をするにあたり、以下のように契約するものである。
第2条(親権者) 甲乙間に生まれた長男○○と長女○○の親権者および監護者は、乙と定める。
 乙は、長男○○と長女○○を成年に達するまで監護、養育するものとする。
第3条(養育費) 甲は乙に対して、長男○○と長女○○が各々成年に達する日の属する月まで、平成○○年○月○日より、毎月末日に限り、月々金○万円を支払うものとする。
2 前項の養育費は、長男○○と長女○○の進学等特別な事情が生じたとき、また、物価変動その他事情が生じたときには、甲乙協議の上、増減できるものとする。
第4条(面会交流) 甲は毎月1回長男○○と長女○○各々と面会交流することができ、その日時、場所、方法は長男○○と長女○○の福祉を害さないように甲乙が協議して決定する。
第5条(契約の内容) 甲は乙に対して、慰謝料として、金○○万円、財産分与として金○○万円、合計○○万円を支払う。
 前項の支払いは、平成○○年○月○日を期限とする。
第6条(連絡)甲及び乙は、互いの連絡先に関し、移転その他による変更があった場合は、丙丁の面接交渉に支障のないよう、速やかに他方に連絡することに合意する。
第7条(公正証書)甲及び乙は、本件離婚協議書と同趣旨の強制執行認諾文言付公正証書を作成することに合意した。
第8条(清算条項) 甲と乙は、本離婚協議書に定めるほか,何らの債権債務がないことを相互に確認する。

親権者

子どもがいる場合は親権者を決めましょう。親権者が決定していない場合、離婚届を提出しても受理されません。

養育費

子どもへの養育費の金額、支払方法、支払期間などを明確に書き残しましょう。

面会交流

面会交流権は、親権者ではない方の親に与えられる子どもと面会できる権利です。子どもに会う頻度や日時、その他面会に関して決めるべきことをこちらに残します。

慰謝料

慰謝料の支払いがある場合は、慰謝料の金額、支払方法、支払期限などをしっかりと記載しましょう。

財産分与

財産分与で分けあった財産の金額や物を書き残します。支払期限を設ける場合はその旨も忘れず書きましょう。

連絡

元夫婦のどちらかが携帯電話を変えたり、引越しに伴い連絡先が変更になる場合はすみやかに報告し合いますという約束をします。

子どもがいる場合や、金銭のやり取りが発生するのであれば、連絡先の変更を伝える「連絡」の項目は必ず入れるべきでしょう。

公正証書

作成した離婚協議書を公正証書にすることを認めさせるために書き残す項目です。後からやっぱり公正証書にしたくないと言われないためにも、こちらも必ず書き残すようにしてくださいね。

清算条項

清算条項とは、離婚成立後に離婚協議書に書かれた内容以外の金銭を後から要求しませんという約束を表すものです。後のトラブルを避けるためにも入れるべき項目といえるでしょう。

離婚協議書の書き方についてはこちらで詳しく解説していますので、一読することをおすすめします。参考:離婚協議書の書き方マニュアルと公正証書にするまでの流れ

離婚協議書は離婚届を提出する前に作成する

離婚協議書は離婚前、離婚後のどちらであっても作成することができます。いつでも作成できるものと認識していただいて構いませんが、まだ離婚協議書を提出していないのであれば離婚届の提出前に作成することをおすすめします。

「取り決めなんかどうでもいいからすぐに離婚したい!」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、離婚した後に何も決めていなかった…と後悔する方も多いようです。そうならないためにも、出来る限り離婚前にお金のことなどをしっかり話し合い、離婚協議書と公正証書の作成をするようにしましょう。

離婚協議書を公正証書にする方法

離婚協議書を公正証書にする方法

離婚協議書の用意ができたら、公正証書の作成を行います。離婚協議書の作成は自由にでき、決められた書式はありません。一般的に、インターネットや本に載っている作成例をお手本にして作成するか、弁護士や行政書士などの専門家に依頼して作成する場合がほとんどです。

一方、公正証書はにいる公証人のみが作成できるものです。弁護士に依頼した場合も、弁護士が公証人にお願いして作成することになりますので、離婚協議書をご自身で作った場合も、弁護士に依頼した場合も公証人による作成が必要になることを覚えておいてくださいね。

それでは、ここで離婚協議書を公正証書にする方法をご紹介したいと思います。

公証役場で作成してもらう

作成した離婚協議書を持って、公証役場に行きましょう。【公証役場一覧|日本公証人連合会】から、お近くの公証役場を調べることができます。

公正証書を作成しに行く際は以下のどれかを持参してください。

  1. 運転免許証・認印
  2. パスポート・認印
  3. 住民基本台帳カード・認印
  4. 印鑑証明書・実印

公正証書の作成費用

公正証書上で取り決められた慰謝料や養育費、財産分与の金額の合計によって手数料は変わります。

法律行為の目的価格 手数料
100万円まで 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 11,000円
1,000万円 17,000円
3,000万円 23,000円
5,000万円 29,000円

 公証人に出張してもらうことも可能

公証役場までいけない場合は、公証人に主張してもらうことが可能です。出張に必要な費用は、公証人の日当、交通費が別途でかかります。また、公正証書の作成手数料が1.5倍、公証人の日当は4時間まで10,000円、1日20,000円となっています。

代理人にお願いしても良い

もし公証役場にいけず、公証人の出張も頼めない場合は、代理人をたてることが可能です。ただし、夫婦のお互いが代理人をたてることはできませんので、例えば夫が役場にいけない場合は妻本人と夫の代理人の2人で役場に行くことが条件となっています。

その際は、上記で説明した持ち物に加えて委任状を用意してください。以下が委任状のサンプルです。インターネット上でダウンロードすることも可能ですので必要であれば探してみてください。

【私署証書認証委任状】

委 任 状

 
代理人 住所:
職業:
氏名:
生年月日:
私は、上記代理人に対し、私が別紙の文書に署名したことを自認している旨を公証人に対して陳述し、公証人の認証を受ける行為及びこれに関連する一切の権限を委任いたします。
平成   年   月   日
委任者
住所:
職業
氏名:                   印
生年月日:
 

参考:委任状サンプル|京橋公証役場

作成にかかる時間

公証役場にもよりますが、所要時間は30分程度くらいでしょう。また、公証人と行う打ち合わせがスムーズに進めば一度の打ち合わせで作成することができますが、場合によっては、2回以上公証役場に行かなければならない場合もあるようです。

離婚協議書・公正証書は弁護士に依頼するのがおすすめ

離婚協議書・公正証書は弁護士に依頼するのがおすすめ

離婚協議書は自分で作成することができますが今後の人生に影響するといっても過言ではないほど大切な文書になります。インターネットや本を使ってご自身で作成することは可能ですが、書き漏れがあった場合は取り返しの付かないことになりかねません。

今後、トラブルを起こさないためにも、離婚協議書・公正証書は弁護士に依頼することをおすすめします。詳しくは「離婚協議書を自分で作成しないほうがよい?」をお読みください。

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まとめ

離婚協議書と公正証書の最大の違いは法的効力があるかという点でしたね。離婚協議書を作成するのであれば、必ず公正証書にすべきです。

今後、あなたが離婚で損をしないためにも、慎重に考えていただければと思います。

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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