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KL2020・OD・037
職務質問(しょくむしつもん)とは、警察官が、犯罪を犯した、または、犯罪を犯そうとしていると判断した人を呼び止め、質問をすることをいいます。突然警察に声をかけられたら、驚いてしまいますよね。
職務質問は任意の協力で行われるものですが、実際のところ『任意だから』との理由でにべもなくこれを断ることは必ずしもよい結果とならない場合もあります。
では、どんな対応がふさわしいのでしょうか。この記事では、職務質問についてご説明します。
目次
職務質問とは、冒頭でご説明した通り、警察が『なんだか怪しいな』と判断した人に声をかけ、質問をすることです。
例えば、犯罪が起こったとき、目撃証言などがあれば犯人の服装や背格好に似た人物に声をかけたり、話を聞いたりすることも考えられるでしょう。
また、犯罪が起こっていない場合でも、犯罪抑止の目的で声をかけるケースもあります。こうした『職務質問』という行為は、警察官職務執行法第2条において定められています。
第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
引用元:警察官職務執行法第2条
職務質問を受けるかどうかは任意。仮にあなたが職務質問を受けたとしてもこれに応じる義務はありません。回答や対応を拒否する権利がある、ということです。
では、実際の職務質問の現場で回答や対応を一切拒否するということは本当にできるのでしょうか。
制度上は、職務質問を断ることが可能です。拒否して立ち去っても、逮捕される、罪に問われる、ということはありません。(警察官職務執行法 第2条の3)
警察官職務執行法第2条にも『強要されることはない』と明記されています。
したがって、職務質問を受けても対応や回答を強いられるということは一切なく、これを拒否するのは完全に自由です。
警察官職務執行法第2条 省略
2 省略
3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
引用元:警察官職務執行法第2条の3
ただ、実際の職務質問の現場では、警察官はできる限り説得、説明をして任意の協力を求めてくるのが通常です。
弁護士などの専門的知識が豊富な人物であればいざしらず、そのような知識のない一般市民が警察官からこのような説得・説明を受けた場合に、断固としてこれを拒否するということは、難しいのが現実。
また、職務質問を拒否すると、警察官はますます怪しんで、なんとかしてこれに応じるよう相当時間説得や説明を試みるかもしれません。
そうすると当然時間を取られますし、警察官との間でも煩雑なやり取りを強いられるかもしれません。
別にやましいことがないのであれば、さっさと質問に応じてしまった方が手っ取り早いということもあり得るでしょう。
最終的に職務質問を拒否したとしても、そもそもこれに応じる義務がないので特に不利益を受けることはありません。
しかし、上記の通り職務質問を拒否した場合、警察官から無用の詮索を受け、相当の時間説得や説明を受けたり、煩雑なやり取りを余儀なくされるということはあるかもしれません。
このような事実上の不利益はある程度やむを得ないといえます。
では、次に職務質問を受ける状況についてご説明しましょう。
職務質問を受けるケースはさまざまといえますが、以下のような場合が挙げられるでしょう。
このような相手には職務質問を行うことができます。
ここまで記載した通り、『怪しいと判断される人物』であった場合、声をかけられる可能性が高いといえるでしょう。
では、具体的な条件はどのようなものなのでしょうか。確かな基準ではありませんが、不審者と評価されることがあり得る場合を以下にまとめました。
例えば、真夏なのにコートを着ている、冬なのにはだしで夏のような装いをしている、といったちぐはぐな服装は目に留まりやすいでしょう。
実は、芸能人でも職務質問をされることがあります。
半ズボンを愛用していた男性が長ズボンに変えた途端に職務質問を受けなくなったという話もあるそう。このことからも季節感のある服装は1つの基準であることが見受けられます。
真冬なのに大量の汗をかいていると、薬物の使用や、犯罪を起こして逃走したため汗をかいていると思われることがあります。
しかし、ランニングなどで体を動かしていることも考えられますよね。
そういったときは、余計な疑いを深めるようなことはせず、身分を明かすなどして警察に協力しましょう。
警察官が話しかけた時に、対象者のろれつが回っていないと、薬物や危険ドラッグの使用を疑われる恐れがあります。
飲酒による可能性も考えられますが、そういった場合は警察官職務執行法第3条に規定された保護対象に該当するため、警察に保護される確率が高いといえるでしょう。
警察官職務執行法第三条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して左の各号の一に該当することが明らかであり、且つ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、とりあえず警察署、病院、精神病者収容施設、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
一 精神錯乱又はでい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者
引用元:警察官職務執行法第3条
近隣住民が寝静まった深夜に出歩いている際も職務質問を受けることがあります。
実際、警視庁が公開している『都内における性犯罪(強制性交等・強制わいせつ・痴漢)の発生状況(平成29年中)』の時間別発生状況では、強制わいせつは20時から数値が上がり始め、深夜の0時が最も高い数値になっていることが分かります。
職務質問では、どのようなことをされるのでしょうか。
警察から職務質問を受けると、身元確認を受けることもあります。これに応じる義務はありませんが、もし応じる場合は免許証などを所持していればそれを見せればこと足ります。
また、警察官から所持品を見せて欲しいと言われることも。
これに応じる義務もありませんので、自分で見せていいと思う範囲で所持品を提示すればこと足ります。
ただ、一定の場合、警察官は相手の同意を得ないまま所持品を検査することも許容されています。
なお、職務質問をしてきた警察官について「もし警察官のふりをした人だったらどうしよう…。」との不安がある場合、警察手帳の提示を求めれば、これに快諾してくれることがほとんどです。
【関連するQ&A】職務質問で公務執行妨害
第五条 職務の執行に当たり、警察官、皇宮護衛官又は交通巡視員であることを示す必要があるときは、証票及び記章を呈示しなければならない。
引用元:警察手帳規則第5条
呼び止められたその場で行われることもある職務質問。交通の妨害となる恐れがあるときなどは交番への同行を求められることがあります。
これは、警察官職務執行法第2条2項に以下のような条項が定められているからです。
ただ、これもあくまで任意同行を求めることができるとするものに過ぎませんので、これに従う義務はありませんし、拒否したから強制的に連行されるということもありません。
第二条 省略
2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
引用元:警察官職務執行法第2条
職務質問が行われるのには一体どのような理由があるのでしょうか。
もしも事件を起こそうとしている人を発見したとき、または犯罪を起こそうと考えている人がいたのであれば、警察官からの声掛けで犯罪の抑止になる可能性があるでしょう。
なかには高圧的な態度で接してくる警察官もいるでしょう。
もちろん、すべてがそういう人ということはありません。持ち物検査を行う際は、丁寧な言葉遣い・低姿勢で協力を仰ぐという警察官もいます。
薬物所持やほかの犯罪抑止に繋がることからも、職務質問の効果は大きいといえるでしょう。
職務質問から犯人逮捕に繋がるケースも考えられます。
犯人逮捕に繋がることが無くとも、犯罪への手掛かりとなる人物を逮捕し、組織犯罪壊滅への道筋となることがあります。
公園でスーツ姿の少女に声をかけ、職務質問を行ったところ詐欺グループの犯行に関わっていることが判明したとして、逮捕に至ったとのことです。
このように、職務質問から逮捕に至ることもあり得るのです。
上記2つで申し上げたように、職務質問は犯罪抑止や市民の生活・安全を守るために必要なものです。
もしも協力を求められたら素直に応じましょう。抵抗することで余計な疑いをかけられることも考えられますし、何より余計な時間が取られるのを回避できます。
職務質問についてご説明しました。どんな人であっても、普通に生活していても、職務質問と縁がないとは言い切れません。
「なにもしていないのに!」と気分を害する方もいるかもしれませんが、拒否をすることで余計な時間を要することもあります。もし協力を求められた場合は賢く対応したいですね。
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