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KL2020・OD・037
企業が求人を出す時や雇用契約を結ぶ際に労働条件について関係書類に記載すると思います。特に雇用契約を結ぶ際には雇用契約書といった書類が用いられる場合が多いです。そこに記載されている労働条件は法律に則って記載されています。
しかし、記載内容に不備があったり、最悪労働条件を明示する書類がない等といった場合もあります。そういった事が原因でトラブルに発展し、裁判沙汰になってしまうことがあるのも事実です。
そもそも労働条件の明示というのは企業の義務であり、これに違反すれば罰則があります。明示が義務となっている事項やその根拠、義務を怠った場合の罰則はどんなものかをご説明していきますので、しっかり確認して行きましょう。
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目次
雇用契約を締結する際に労働条件を明示するのは義務となっています。それは労働基準法で定められており、その明示の仕方も定められています。
労基法の15条第1項にはこう謳われています。
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
つまり、政令で定められた事項について必ず書面にて記載し明示しなさいということが定められています。この義務を怠った場合、労働者が即時に雇用契約を一方的に解除することができ、後述しますが企業にも罰則が定められています。
労基法では「厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」となっていますが、主な明示方法は書面を用いた明示方法になります。その書面とは「雇用契約書」「労働条件通知書」といったものがよく使われています。
小規模の企業(10人以下)を除いて、どの企業にも就業規則があります。「えっそんなもの聞いたことも見たこともないよ」という方、それは企業が法律を違反している事になります。労基法106条(法令等の周知義務)にて就業規則の周知義務というのが定められていて、周知義務をはたしていない就業規則は無効となる判例も出ています。
事件名:関西定温運輸事件(賃金等請求事件)
労働基準法所定の周知方法が採られていなくても直ちに就業規則の効力が否定されるものではないが、従業員に何らの周知の方法がとられていないときは、当該就業規則は効力を有しないとされた事例。 旧就業規則における五〇歳定年制については、従業員に何らの周知方法も採られていないため効力を有しておらず、新たに五十五歳定年制を定める就業規則については、労働条件を不利益に変更するもので、合理性についての主張・立証がないから効力を有しないとされた事例。 定年制がないと評価される場合において、五十五歳の時点で嘱託雇用契約に応じたことによって定年退職を承諾したとは判断できないとされた事例。
上記にも記載しましたが、労働条件を明示する際によく使われる書類が「雇用契約書」や「労働条件通知書」といったものです。そこに企業の就業規則に基づいた労働条件が記載されていると思いますが、最低限明示しないといけない事項も決まっています。
雇用契約の期間に定めがあるのか、あるならいつまでかを記載する事項です。正社員の場合は雇用期間に定めが無く、契約社員やパートタイマー等の雇用形態には期間の定めがある場合が多いです 。
実際に勤務する場所や従事する職種・業務内容について記載する項になります。
始業と終業の時間、休憩時間、休日の曜日や日数、休暇の有無や時期、シフト制なのかどうか。
給料の金額やその計算方法(時給・日給・月給)、支払時期(締め日含)、支払い方法について。
退職の申し出の方法(口頭か書面か)、その申し出の時期(例:退職を希望する日の30日前)、解雇になる場合がある事由について(懲戒事由)。
この点については最低限必ず明示しないといけませんし、その他就業規則にて定められている事項があればそのことに関しても記載するのが理想です。
雇用契約書を締結しなかった、労働条件通知書を渡さなかった、口頭でしか言われていないといったことで労働条件の明示をしなかった場合、企業には罰則が設けられており労基法第120条にて30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
就業規則の内容や存在を知らないといった話はよく耳にしますが、企業が就業規則の周知義務を果たしていない場合は、効力を有しないとされる恐れがある上、罰則も設けられています。罰則に関しては労働条件の明示を怠った場合と同じで30万円以下の罰金となります。
労働条件の明示の重要性についてお分かりいただけたかと思います。忘れていた、知らなかったでは済まされません。使用者(企業)と労働者がこれから一緒に頑張っていこうという時に、下手なトラブルは起こしたくないものです。
会社を経営していく上で法令遵守といったコンプライアンスへの意識も非常に大事になります。今一度自分のところは大丈夫か確認してみてください。口頭で伝えるだけになっていませんか。どこか抜けている記載事項がありませんか。
労働者側から指摘されトラブルに発展してからでは手遅れです。 企業の財産を保護し、こういった雇用関係のトラブルを回避する手助けしてくれる存在として顧問弁護士がいます。プロの法律家が法的な観点から経営のサポートをしてくれます。まだ顧問弁護士がいないのであれば、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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