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KL2020・OD・037
労働契約を締結する際によく用いられる書類に雇用契約書があります。
その雇用契約書にも企業によって様々な形式がありますが、そもそも書き方に関して自由なのでしょうか。結論から言うと法律で定められた事項が記載されていれば書式は自由です。
ここで注目してほしいのは書き方ではなく法律で定められた記載事項で、その記載事項にも絶対に記載しないといけない事項とそうでない事項があります。労働関係のトラブルは絶えず起こっており、雇用契約書があることによって防げるトラブルも多いことからその必要性は年々高まっています。
そんな大事な役割を担う書類ですから正しいものでないと意味がありません。ここでは正しい例を挙げながら作成時の注意点やその必要性について今一度確認していこうと思います。
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目次
ひとまず、実際の正しい雇用契約書はどういうものか見てみましょう。ここでは契約社員やパートタイマー等の雇用期間に定めがある雇用形態に用いる雇用契約書を例に挙げたいと思います。
この雇用契約書が法で定められた事項を満たし、定められた事項の他に記載しておいたほうが良い事も記載しており理想とも言える雇用契約書でしょう。
雇用契約書の必要性が年々高まっていると書きましたが、何故高まってきているのでしょうか。それは雇用契約関係のトラブルが後を絶たず、そういったトラブルへのリスク管理をする為や企業のコンプライアンスへの意識を高める為にといったことが挙げられます。
そもそも企業に雇用契約書を交わす義務は無く、労働条件を書面で明示する義務と労働契約内容をできる限り書面で確認すべき努力義務があるだけです。ですが、一方的に明示するのと内容を確認し納得した上で署名捺印をもらうのとでは内容への理解度が全く違いますよね。
「働いてもらう・働かせてもらう」といった関係を良好に保つには、一方的な方法ではなく企業にも労働者側へ働きかける対応が必要不可欠です。 そういった観点からも雇用契約書の必要性というのはとても高くなってきています。
雇用契約書の記載事項には絶対に記載しないといけない「絶対的明示事項」と、就業規則で定められているなら記載した方がいい「相対的明示事項」の2種類があります。最初に貼った雇用契約書の例を見ながら確認していきましょう。
労働基準法施行規則第5条第1項にて書面での明示が義務となっているのは以下の5点です。
上記の他にも就業規則に定めがあるなら記載しないといけないことも決まっています。
以上の事項に関して記載することになっています。
近年の雇用形態には正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート等と様々な形態がありますが、どの雇用形態にも試用期間を設けている場合があります。
実は試用期間は厳密に法律で定められた制度ではないことを知っている方は少ないのではないでしょうか。ここでは雇用契約書に試用期間について記載する場合の注意点について取り上げてみたいと思います。
試用期間に法的な決まりはありません。しかし、試用期間についての考え方は判例及び学説によりある程度確立されています。
まず、試用期間といっても雇用契約が成立していることに争いはなく、あくまで解約権が留保されているに過ぎないと考えられています。具体的には 試用期間中の勤務状況から社員として適さないと認められる場合、企業側は雇用契約解約できるということです。
社員としての適格性を採用段階(履歴書や面接)で見抜くことが困難な場合もあります。本当にこの人は適正があるのか、ということを判断する猶予期間を設けることが企業に認められていることになり、それが試用期間と考えられています。
雇用形態の主なものとして正社員がありますが、これも法律では正社員という呼び方はしません。法律では雇用期間に定めがない雇用契約の労働者のことを指し、世間一般的に正社員と呼びます。正社員はその企業に長く働くことになりますから転勤等もある場合があると思います。
雇用契約を締結する際に転勤に関する事も記載しておかないと、後に雇用契約書に書いてなかったから転勤はできない等とトラブルになるケースもあるので必ず転勤の有無は記載するようにしましょう(通常は就業規則に配転権限が定められているものと思われます。)。
正社員とは逆に、雇用契約に期間の定めがある雇用形態が一般的にパートやアルバイトと呼ばれます。給与に関しても正社員が月給制が多いのに対し、アルバイトやパートは時給である場合がほとんどです。この雇用形態の場合、雇用条件通知書に記載しないといけない事項が若干追加されています。
基本の形や記載事項は一緒ですが、パートタイマーについては、別途、 昇給の有無 賞与等の有無 退職金の有無 相談窓口の明示が義務となっています。
実際に雇用契約書を作成する際に注意しておきたい点について確認していきましょう。
記載が義務とそうでない事項があることについてはお分かりいただけたかと思いますが、その記載事項に漏れはないか今一度確認しましょう。
特に義務となっていない事項は就業規則に則って記載しないといけません。労働契約法第12条にて就業規則で定められている基準を下回る労働条件が無効になると定められていますので、必ず就業規則と同一の基準で記載しましょう。
パート等の雇用形態において記載しないといけない事項が追加されることは先述しましたが、その事項が抜けていることが多々あります。
雇用契約書をいつ交わすのかですが、一般的には入社前(内定時)か入社日に交わす事が多いです。 あくまで労働条件を理解し納得した上で労働することが前提になりますので、入社後に交わしても意味がありませんし労基法第15条で定められている労働条件の明示の義務を果たしていないことになってしまいます。 雇用契約書を締結する時期でその企業のコンプライアンスの意識や信用度が図れると言っても過言ではないでしょう。
正しい雇用契約書を作成し正しく使用するための1つの方法として顧問弁護士を活用する方法があります。もちろん自社で作成したりあるところからダウンロードするのも1つの方法ですが、中途半端の知識で使用するのは大きなリスクとなりえます。
プロの法律家である弁護士に雇用契約書をチェックしてもらうか、あるいは作成してもらうことで正しい雇用契約書として使用することができます。 弁護士と顧問契約をすると月々の顧問料がかかってしまいますが、その反面メリットも大きなものがあります。
できるものならいてほしい存在です。 企業のリスク管理としてご検討してみてはいかがでしょうか。
雇用契約書の書き方についてお分かりいただけたかと思います。 なんでも好きに書いて良いものではなく、記載するべき事項が法律でしっかり決まっています。最初に貼った例はあくまで1つの例です。必ずしも例のようでないといけないというものではありません。
あなたの会社に合った正しい雇用契約書を作成し、円満な雇用契約を結んでいただければと思います。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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