賃貸借契約を解除する時の4つの知識

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
賃貸借契約を解除する時の4つの知識

賃貸借契約の解除は、貸主に申出ることによって手続きを行うことができます。契約期間の満了や転勤などによる引っ越しなど、契約解除を行う機会は度々あると思います。

今回は、賃貸借契約の解除の申出から退去までの流れやトラブル事例などをご紹介します。

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賃貸借契約の解除における事前知識

賃貸借契約の解除における事前知識

賃貸借契約を終了させるには、期間満了による終了と期間途中の解除があります。本稿では賃貸借契約を帰還途中で解除する場合を念頭にお話します。

入居者は約定解除が認められることが通常

賃貸借契約の期間途中解除は原則として認められていませんが、契約で解除権を定めることは可能です。そして、通常の建物賃貸借契約には入居者による解除権について定めがあります。そのため、契約を解除したい入居者は契約の定めに従った解除権行使が必要です。一般的には1〜2ヶ月前の通知又は1~2ヶ月分の賃料支払を条件に解除を認めるケースが多いと思われますので、まずは契約書の内容を確認しましょう。

オーナー(貸主)からの解除は正当事由が必要

他方、オーナー(貸主)から入居者に対して一方的な解除権行使はできません。たとえ契約書にオーナー側からの契約解除権を定めていたとしても、悪質な家賃滞納や無断転借などの契約違反があった等の正当な理由がない限り、オーナー側からの一方的な解除は認められません。

第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

引用元:借地借家法 

賃貸借契約の解除の流れ

入居者が賃貸借契約を解除して退去するまでの流れは、以下のようになっています。なお、物件のオーナーによっては、鍵の返却が郵送などの場合がありますので詳細などは各物件のオーナーに確認するようにしてください。

  • 契約条件に従い「契約解除の申入れ」をする
  • 物件の現状確認・鍵の返却を行う
  • 原状回復費用の確認をする
  • 貸主から敷金などの預かり金が返還される

契約条件に従い「契約解除の申入れ」をする

入居者による契約解除はあくまで契約上認められた特別な権利です。したがって、解除の申入れは契約に従って行う必要があります。

物件の現状確認・鍵の返却を行う

退去日には、オーナーが物件の現状確認を行います。現状確認の際は、可能なかぎりオーナー立会いのもと行うようにしましょう。

退去時の現状確認は、原状回復費用の請求や敷金返還に関わってきます。現状確認をオーナー立会いのもと行うことで、不要な原状回復費用を請求されるなどのトラブルを防ぐことができるのです。現状確認を行った後は、鍵を返却します。

原状回復費用の確認をする

現状確認の後に原状回復費用の確認を行います。原状回復の原則は、日常生活で発生し得る汚れやキズ(破損)はオーナー負担によって修繕を行い、その他に修繕が必要になった場合は入居者が負担するというものです。

但し、契約内容によっては通用使用の汚れや破損も入居者負担となる場合もあります。事前に契約内容をもう一度確認しておくと良いでしょう。また、送られてきた費用請求の内容に疑問がある場合は、早い段階でオーナーに連絡を取るようにしましょう。

オーナー(貸主)から敷金などの預かり金が返還される

契約解除から1〜2ヶ月後、オーナーか敷金などの預かり金が返還されます。敷金は、原状回復費用などを差し引いた額が返還されます。

敷金は基本的に返還されることが多いですが、契約内容や物件の使用状態によっては敷金が返還されないばかりか、原状回復費用を追加請求されることもあります。返還された敷金などの金額は必ず確認するようにしてください。

賃貸借契約を更新したい場合

賃貸借契約を更新したい場合も、基本的には契約条件に従い行う必要があります。一般的には、期間満了前1~2ヶ月前までに反対の意思を表示しなければ契約が自動更新されるようになっています。もっとも、通常のオーナー・管理会社であれば然るべき時期に更新の有無について確認があると思います。もし確認がない場合は更新処理がどうなるのか、オーナー・管理会社に確認しましょう。

更新料を支払う|相場は家賃の1〜2ヶ月分

契約更新に更新料がかかる場合が多いと思われます。更新料の定めは契約書に記載されているはずですので、まずは契約内容を確認して下さい。更新料は自動更新の場合にも発生しますので、退去を希望する場合には自動更新されないよう然るべく対応しましょう。

再作成された契約書を確認する

賃貸借契約の更新の際に、更新後の契約書が作成されることが多いと思います。また、保証人への確認が必要になることもあります。必要書類や保証人の連絡有無などをあらかじめ確認しておくとスムーズに手続きすることができます。

賃貸借契約を解除する際に発生するトラブル

賃貸借契約を解除する際に発生するトラブル

賃貸借契約の解除では、途中解除による違約金や原状回復費用、敷金返還などのトラブルが発生することがあります。この項目では、実際に起きた裁判事例と弁護士に相談した方がいいトラブルに関してご紹介します。

途中解除による違約金が無効と認められた事例

<裁判事例>借主Yは、月額家賃23万5,000円、管理・共益費1万7,000円の物件の賃貸借契約を結んだ。その際、敷金として70万5,000円を支払った。該当物件は2年契約で、契約期間中に解除した場合は1ヶ月分の賃料、管理・共益費を違約金として支払うことになっていた。借主Yは、1年以内に契約を解除することになり、駐車場料金を含めた違約金30万4,500円を支払った。しかし、退去の際にトラブルが発生し、退去日が延びてしまった。貸主はこれに対し、さらに違約金を支払うよう借主Yに要求した。解除費用などの貸主は借主Yに対して、敷金から原状回復費用などの差し引き、クリーニング費用の請求等を行なった。このことから、借主Yは原状回復費用の償還、違約金の返還を求めた。
<判決内容>当該物件の賃貸借契約を解除するにあたって請求された違約金などの金額は、借主に一方的な負担を与えるものとして消費者契約法10条により無効であると判断された。また、原状回復費用についても、工事内容などからオーナーが負担すべきものを判断された。

参照元:文献番号 2010WLJPCA06118008

第十条  民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

引用元:消費者契約法

弁護士に相談した方がいい賃貸借契約での解除トラブル

賃貸借契約の解除では以下のようなトラブルが考えられます。

  • 高額な原状回復費用の請求
  • 敷金が返還されないなどのトラブル
  • 違法な違約金などの解約料の請求

これらの場合は、早い段階で弁護士などの専門家に相談しましょう。

まとめ

契約期間の満了や住み替え、転勤などによる引っ越しなど、賃貸借契約の解除を行う機会は度々あります。あらかじめ大まかな流れやなどを知っておくことで、スムーズに退去することができます。

 この記事で、賃貸借契約の解除に関する悩みが解決できれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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