自己破産でも全ての借金帳消しは難しい|借金が消えるボーダーライン

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
自己破産でも全ての借金帳消しは難しい|借金が消えるボーダーライン

自己破産というのは、法的な債務整理(借金を減らす方法)の最終手段です。「貸金業者の取り立てで毎日苦しい」、「現在の収入ではとても返済ができそうにない」などの借金を返せる見込みのない人が自己破産をします。

しかし、自己破産をしても帳消しにできない借金も存在します

ここでは、自己破産を消える・帳消しにできない借金、自己破産に失敗する条件などをお伝えしますので参考にしていただければ幸いです。

自己破産でも全ての借金帳消しは難しい|借金が消えるボーダーライン

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自己破産をする理由

自己破産をする理由どうして自己破産をするのか、借金が膨らんでいく原因をケース別にまとめました。

パチンコなどのギャンブルでの借金

パチンコ・スロット・FX投資・株などのギャンブルや投資をやりたくて消費者金融などのからお金を借りて返せなくなったケースです。

負けを取り戻す・勝った時の高揚感が忘れられないなど、何かと理由をつけてギャンブルをやめられません。結果、借金が増え続け返済できない金額まで膨れ上がります。

生活費が足りずに消費者金融でお金を借りた

収入の低さから生計を立てるのが難しく、仕方なく消費者金融などからお金を借りてしまうケースです。毎月少しずつお金を借りて、気づけば収入では返済できない金額まで達しています。

自転車操業を繰り返した

自転車操業とは、借金を返すために別の貸金業者からお金を借りて延滞をしないように利息だけ払い続けること。何社からもお金を借りている多重債務者に多くみられます。

A社にお金を返すためにB社から借り入れをする。B社にお金を返すためC社から借り入れるなどを繰り返します。現状維持はできるけど、返済の見込みが立てられない自己破産をするしかありません。

会社が倒産した

会社が倒産をして莫大な借金を背負うケースです。会社の借金は個人と比べると大きな金額であるため自己破産をする人は少なくありません。

連帯保証人になっていた

自分が原因ではなく親・兄弟・子供・友人などの連帯保証人になっていて借金を背負うケースです。借金が思ったより大きな金額で支払えないため、連帯保証人は自己破産をすることになります。

自己破産をしてなくなる借金

裁判所に自己破産の申し立てをした時に、借金を帳消しにできるのは以下のケースです。

免責不許可事由に該当しないもの

免責不許可事由とは、借金を帳消しにできないこと。免責不許可事由に当てはまるものは以下です。

  • ギャンブルなどの借金
  • クレジットカードで買った商品を現金に換金した
  • 自己破産法をすることを前提にした借り入れ
  • 裁判所へ虚偽の発言をした
  • 収入や借金の金額を偽り、お金を借りた(破産申し立てから1年以内)など

つまり、免責不許可事由に当てはまらないなら、裁判所の免責決定により借金を帳消しできます。ただし、免責されない債権(租税等)もありますので、必ずしも全ての債務が消滅するわけではないので注意しましょう。

裁量免責をもらえたもの

裁量免責とは、裁判所の計らいで借金を帳消しにすること。裁量免責をもらえれば、

免責不許可事由の破産法で定められているギャンブルでつくった借金でさえも帳消しにできます。

第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

四 浪費又は()その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

(引用元:破産法第252条4)

自己破産をしても支払うべきもの 

自己破産ができても、お金を払うべきものはあります。

税金・公共料金

税金・公共料金は破産法上非免責債権とされていますので、自己破産をしても払う必要があります

(免責許可の決定の効力等)

第二百五十三条  免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

一  租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)

(引用元:破産法第253条1項)

養育費

養育費も破産法上、非免責債権とされているため自己破産しても払う必要があります。ただ自己破産をするぐらいなので経済的に苦しい状況です。生活するのも大変なら、養育費を支払う相手に減額や分割できるか相談してみましょう。

※ケースによっては養育費の一部の支払いを免除されることもあります。

不法行為に基づく損害賠償債務

破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権や故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償の支払いは破産法上非免責債権とされていますので、これも免責されません。

ただ、何が悪意や重大な過失についての基準は明確ではないため弁護士に相談をしましょう。

(免責許可の決定の効力等)

第二百五十三条

二  破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

(引用元:破産法第253条2項)

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自己破産をする前に知っておくべき知識

自己破産をするなら破産手続き・同時廃止の2つの手続きをする必要があります。

破産手続き

自己破産をする人の財産を換価処分し配当するための手続きのことです。破産手続きの時に財産価値のある・ないものを仕分けして債権者(お金をもらう権利のある人)にできる限り返済をします。

管財事件

管財事件とは、債権者に配当すべき財産がある場合にする手続きです。管財事件の場合だと裁判所から破産管財人(弁護士)が選ばれます。破産管財人は、財産の管理・処分・債権者に借金の額に応じて返済をするのが仕事です。

同時廃止

同時廃止とは、債権者に配当すべき財産がない時にする手続きです。

免責手続き

免責手続きとは、破産者が借金を帳消しにできるかどうかの許可をもらう手続きのこと。破産手続きが終わった後にする手続きです。

自己破産に失敗する条件5つ

自己破産に失敗する条件5つ免責手続きに失敗するケースを5つお伝えします。

①3年程度で借金を返済できる

借金を3年程度で返済できるなら自己破産よりも任意整理を検討してください。目安は、手取り-毎月に必要な生活費×3年が債務額を超えていないかどうかです。

【例】

毎月の手取り→20万円

毎月に必要な生活費→10万円

20万円-10万円=10万円×36ヵ月=360万円

この場合だと、借金が360万円を超えていないなら自己破産はできません。自己破産ができなくても借金を減らしたいな別の債務整理を検討しましょう。

②破産費用を用意できない

いくら借金を帳消しにしたくても破産手続きの費用を用意できないと自己破産できません。弁護士に依頼をした時の自己破産の費用相場は約30~70万円です。

破産手続き費用を用意するのが難しいなら、法テラスなどの無料相談できる機関を利用しましょう。法テラスはもちろん、法律事務所によっては分割払いにできるケースが多いからです。

③自己破産をして7年経っていない

2度目の自己破産は、1度目からの自己破産から7年経たないとできません。

(免責許可の決定の要件等)

第二百五十二条 

 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

十  次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。

(引用元:破産法第252条10項)

④財産を隠した場合

財産があるのにも関わらず破産管財人に隠していた場合には自己破産はできません。

第二百五十二条

一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。

(引用元:破産法第252条1)

⑤収入に見合っていない暮らしをする

自分の収入以上の浪費を繰り返した場合には、自己破産ができないと判断されるケースもあります。以下が過剰の浪費です。

  • スナック・バーに通う
  • ブランドものなどの高い買い物を繰り返す
  • 海外旅行に何度も行く

第二百五十二条

四 浪費又は()博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

(引用元:破産法第252条4)

※裁量免責を受けられる場合もあります。

自己破産をする時の弁護士の選ぶコツ

自己破産をするなら以下のことに気をつけて弁護士を選びましょう。

債務整理の得意な弁護士を選ぶ

自己破産をしたいなら債務整理を得意として弁護士に依頼をしましょう。弁護士にも得意としている分野があるからです。弁護士も得意な分野を依頼された方が手続きなどスピーディーに行えます。

債務整理を得意としている弁護士探し方はホームページを見てください。債務整理を得意としている法律事務所ならトップページで紹介や自己破産などのコンテンツが豊富です。

過去の実績を確認する

弁護士に依頼をするなら実績を確認しましょう。例えば、医者に行った時に新人とベテランなら後者の方がいいですよね。弁護士も同じで多くの経験をしている人物にお願いをした方が依頼から解決までスムーズにできます。

相性の良い弁護士に依頼をする

破産続きは3ヶ月~1年と期間は短くないので、依頼をするなら相性の良い弁護士に依頼をしましょう。というのも、相性の悪い弁護士に依頼をすると不安が残ります。自己破産をするだけでも大きな決断なのに、弁護士のことまで悩まされたくはないですよね。

相性の良い弁護士は無料相談を利用して、複数の法律事務所を訪れて見つけてください。

まとめ

自己破産をして全てゼロにできるのは借金だけです。それでは自己破産をしても払うべき借金以外のものについてのおさらいです。

【自己破産しても残るもの】

  • 税金
  • 慰謝料・養育費
  • 損害賠償請求

このいずれかに当てはまらないものは裁量免責で借金をゼロにできる可能性は高いです。ギャンブルなどで作った借金も裁量免責により帳消しにできる可能性はありますので、無理だと決めつけないで自己破産を検討してみてください。

自己破産ができるか不安がある人は弁護士に相談してみましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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