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KL2020・OD・037
アルコールハラスメントとは、相手の意に反して飲酒を強要する行為を言いますが、これによって命を落とす事件も発生しており、社会問題ともなっています。
アルコールハラスメントをする人はどういった人なのか、アルコールハラスメントを受けやすい人はどんな特徴をもっているのか。
さらに、アルコールハラスメントを受けた際にはどういった対応をしていくべきなのかなどについて、今回はこの記事で解説していきたいと思います。
目次
アルコールハラスメントは造語であって、明確な定義があるものではありません。一般的には、相手の意に反して飲酒を強要し、相手に肉体的・精神的苦痛を与える行為全般を指していると思われます。
アルコールハラスメントは、飲酒の機会が多い状況(会社や大学など)でまま見られるとされており、一昔前は対して深刻視されていませんでした。しかし、昨今、これによって死者も出てしまうなど、深刻な問題が起こるようになり、従前とは評価が変わってきているように思われます。
入学式を終えた大学生、新入社員を迎えた会社員など、新たな出会いの場での飲み会では、盛り上がりすぎたために死亡事故に繋がるなど、悲惨なニュースも話題になっていますね。
ここでは、会社で実際に起こった事例をもとに、その悲惨さをお伝えしていきます。
特に新入社員であれば、会社の飲み会を盛り上げるために上司からの一気飲みを強要されることも少なからずあるかと思います。
このような一気飲みは、相手がお酒に強いか弱いかは関係なく行われることが多く、その場の雰囲気やノリで一気飲みを求められますので普通は断りづらいものです。特に新人や新入社員は、立場上、上司や先輩から一気飲みを求められた場合、なかなか断ることができないはずです。
テーブルにビールがきた瞬間に一気飲みを強要され、それが店を出るまで続いてしまい、記憶を無くして電車にも乗り遅れ、持っていた物も全てどこかに置いてきたしまったという話もよく聞く話かもしれません。
このような場合、家族に迷惑をかけますし、場合によっては高価なものを紛失して多額の被害を受ける可能性も否定できません。
中には、このような経験をこなすことで成長するとか、人間関係を築くことができるという意見もあるかもしれません。それ自体全くの誤りとはいえないかもしれませんが、過剰な飲酒行為によって金銭的被害を受けたり、健康を害するということは、あまりに馬鹿馬鹿しいといえます。
冷静に考えれば、新人や新入社員だから当然一気飲みをしなければならないという決まりなどないことは明らかですし、楽しい飲み会で肉体的・精神的苦痛を与えるというのも本末転倒ですね。こういったことは、参加者一人ひとりの意識の問題かもしれません。
サークルでの飲み会でのアルコールハラスメントは、近年よく起こる事例だと思います。特定非営利活動法人アスクでは、大学生の間で起こるアルコールハラスメントについて多くの事例を掲載しています。
参照元:特定非営利活動法人アスク
サークルの合宿先でのコンパにおいて、その楽しさから長時間お酒を飲みすぎて意識不明に陥ったり、宿泊先のホテルから転落するなど、死亡事故も相次いでいます。
またはサークルの打ち上げ、歓迎会、学生同士の交流会など、大学生は様々なイベントでお酒を飲む機会が非常に多いです。そんな時に上級生等から遊び半分で飲酒を強要されたり、勢いに任せて飲みすぎてしまうことで、こうした事件は多々起こってきます。
成人したばかりということでお酒の楽しさを知り、仲間と飲みに行く機会が触れるのはとてもいいことだと思います。
ですが、それが楽しさを超えて死亡事故にまで繋がってしまうことは絶対に避けなくてはなりません。大学生だからという理由で許されることではないのです。
なお、ここで難しいのは大学生の飲み会では、飲酒者も特に拒否の姿勢を示すことなく過剰な飲酒をしてしまう可能性があるということです。これは相手の意に反する行為ではないため、アルコールハラスメントとは言い難いかもしれません。
しかし、危険性はアルコールハラスメントと変わらないため、相手が拒否していなくても明らかな過剰飲酒を敷いている場合は、これを制止したり、泥酔した後はしっかり面倒を見るなどの対策が必要でしょうね。
アルコールハラスメントは社会問題ともなっていますが、その原因としてどういうことが考えられるでしょうか。
ここでは、原因として考えられそうな3つのことを書いていきたいと思います。
では、アルコールハラスメントを受けてしまう人はなぜ拒否することができないのでしょう。
まず、真面目すぎる人や素直すぎる人は、上司に対して断ることに罪悪感があるケースもあるでしょう。また、そうでない人も、場の雰囲気を壊してしまうかもしれないと考えて、敢えて拒否の姿勢を示さないようにするということもあるはずです。
このような対応はある意味大切ではありますが、何事もバランスが大切です。
場の雰囲気を重視するあまり、無理をして体を壊してしまえば自分も傷つきますし、場の雰囲気も結局は壊れてしまいます。このような場合は、一線を超えそうであれば、明確に飲めない旨を伝えることが大事です。
これも上に書いたことと同様に、周囲の印象を気にしすぎてしまうということもあるでしょう。自分が他人にどう見られているかということはそれ自体大切なことです。
しかし、上記と同様、何事もバランスが大切であり、自分の健康を害してまでアルコールを摂取して評価を上げる必要はないということも認識すべきでしょう。
例えば、勧められるがままに酒を飲み続けると、「あいつは酒が飲めるやつだ」という印象がついてしまうかもしれません。そうすると、周囲はそれを前提に飲酒を勧めてくるかもしれません。そうなってしまうと、本当はあまり飲めない酒を周囲に気を使って飲み続けるという悪循環にも陥ってしまいます。
このような事態になってしまった場合、最終的に苦しむのは自分ですし、周囲との軋轢も広がってしまう可能性もありますので、一線を引くことは大切でしょう。
普段から、ムードメーカー的なポジションにいる人は、主席でもお酒を勧められる機会は多いと思われます。
この点、本人が進んでお酒を飲んでいるのであれば、これはアルコールハラスメントとは言い難いと思われます(上記大学生の事例でも記載しましたが、これは本人の自制の問題です。)。
これに対し、本人がお酒は飲めないのに、「飲みキャラ」というレッテルを貼られて飲酒を強要されているのであれば、これはアルコールハラスメントとなる可能性があります。このような場合、周囲に悪意がないことが多いため、難しい問題と思われます。
解決としては、本人が高いコミュニケーション能力を活かし、酒を飲めないことについて周囲の理解を得ることから始めるということがあり得ると思われます。
それでは次に、アルコールハラスメントを強要しがちな人の特徴について、その4つのパターンを紹介していきたいと思います。
比較的年配の方に多いと思いますが、「酒を飲めないやつはダメなやつ」や、「酒が飲めないやつは仕事ができない」など、お酒をたくさん飲めるということが、あたかもその人の能力だという考え方の人です。
もちろん、接待などでお酒を飲む場はあるかと思いますし、飲酒行為が円滑なコミュニケーションに資することがあるのも事実です。そのため、ある意味、酒が飲めるということは人間関係を構築しやすいということはいえるかもしれません。
しかし、人間関係構築のツールは飲酒だけではありません。また、アルコールは体質的にこれに強い人と弱い人がいることも事実です。
そのため、その人がアルコールに強く、これが成功体験となっていたとしても、必ずしも周囲がそうではないこともあり得るのです。したがって、これを他人に強要するのはおかしな行為です。
過去に自分もアルコールハラスメントを受けた人は、自分が上司の立場に立った時、それを自分よりも弱い人にさせたがる傾向があるということもあるようです。
このようなケースでは、自分がされてきたことは、相手にしてもよいと考えているのだと思います(もしかしたら、中には自分がされたことを相手にすることで鬱憤を晴らしたり、優越感を感じているのかもしれません。)。得るために、お酒を強要して楽しむのです。
しかし、自分がされて嫌なことは相手にしてはいけないのは常識です。このような人間とは、距離を置くことがベストですし、それが難しい場合は早めに周囲に相談するなどして、自己防衛を図ることが大切です。
上下関係に厳しい人というのもまた、アルコールハラスメントをする傾向があるかもしれません。例えば、上司や先輩の命令は絶対服従という考え方をもって「飲酒することを求めてくる」ということはあり得ると思います。
これは会社でも大学でもよくあると思いますが、年齢による上下関係を押し付け、それによって優劣を付けてくるようなケースですね。
ですが、年齢が上だからといってなんでも許されるわけではありませんし、決して偉いわけではありません。
もちろん、お酒を強要して良いわけがありません。年功序列の悪しき風習ですので、こうした風習に全て従う必要はないでしょう。
私生活がうまくいっていない場合、その苦しさをお酒によって晴らしたいという気持ちから、アルコールハラスメントに走ってしまうというケースもあるようです。
家庭内がうまくいっていなかったり、人間関係がうまくいっていなかったり、仕事でも失敗続きだったりし、八つ当たりのようにアルコールハラスメントに走ってしまうということがあるのかもしれません。
ですが、これではそれらの解決には向かいませんし、一時的な開放感を得るに過ぎません。憂さ晴らしをするためにお酒を飲んでいても何も始まりませんし、さらに悪循環に陥ってしまうことにもなりかねませんから、こうした人は今一度、お酒との付き合い方を改めるべきです。
お酒を強要することは、法律によって禁止されています。
すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。
引用元:衆議院
また、上記法令とは別に、アルコールハラスメントによって相手が具体的な被害を被った場合、強要罪や過失傷害罪、傷害致死罪や保護責任者遺棄罪といった犯罪が成立する可能性は全くないわけではありません。
強要罪 |
概要:脅迫や暴行による飲酒の強要 罰則:3年以下の懲役 |
過失傷害罪 |
概要:飲酒を強要し、アルコール中毒にさせた等 罰則:30万円以下の罰金又は科料 |
傷害致死罪 |
概要:飲酒を強要し、急性アルコール中毒等で死亡させた 罰則:3年以上の有期懲役 |
保護責任者遺棄罪 |
概要:泥酔者を放置した 罰則:3年以上5年以下の懲役 |
過度なアルコールハラスメントから逃れるために、どんな対策をとれば良いのでしょうか?ここでは3つのパターンについて解説していきます。
お酒を強要してくる人に対し、医者からの診断書や証言を提示するのはとても有効です。自分の意思だけではなく、医者からの診断があることによって、お酒を飲むことが命に危険をさらしたり、体を壊す原因になることを証明することができます。
アルコール摂取により過去に体に異常が出た方は無理せずに医者に行き、健康状態を害している旨の診断書を作成してもらうということは一つの方法と言えます。
しかし、飲み会に誘われるために診断書を作成・提出するのは極めて非常識な行為であるため、診断内容を周囲に説明して理解を得るということから始めるのが良いでしょう。
先ほども書いたように、過度なお酒の強要は法律で禁止されています。場合によってはアルコール中毒になったり、死に至る可能性もあります。
法律では
すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。
引用元:衆議院
と定められていますので、行き過ぎたアルコールハラスメントを受けている場合には、法的手段を取ることも考えられます。
しかし、これはあくまで最後の手段です。まずは周囲に対して自分が酒を飲めないことや健康を害していることを十分に説明し、理解を得ることから始めるべきでしょう。
具体的にはまずは信頼のおける上司や同僚、それでも解決ができない場合は弁護士に相談し、アルコールハラスメントの解決に向け、法的手段を取ることも検討していきましょう。
とはいえ、上司からの誘いを断り続けるのはそう簡単なことではありません。
会社に居づらくなるのではないかと考えてしまったり、周りの目を気にして強気な行動に出れないことも多々あるでしょう。
そういう場合には、嘘をついてでも断るべきです。
身内の不幸であったり、自らの体調不良であったり、普段はつかないような嘘でさえ、こういう状況においてはそれを使ってでも断るようにしていきましょう。無理をしてまで、上司にそうした気遣いをする必要はありません。
それでは最後に、アルコールハラスメントを受けた際の相談相手について、書いていきたいと思います。
もしも信頼できるのであれば、上司や同僚に相談するのも効果的でしょう。身近な存在であり、自分の気持をわかってくれる人に相談することによって、心はずっと軽くなるはずです。
気持ちを全て打ち明けることで、一緒に戦ってくれるようになるかもしれません。苦しいときは無理をせず、気心の知れた仲間に頼りましょう。
家族や友人に頼るのは、あまり気が進まないかもしれません。弱いところを見せたくなかったり、心配をかけたくないという思いもあるでしょう。
しかし、家族や友人という存在は、あなたのことを一番に心配している人たちです。あなたが苦しんでいるのを知らず、体を壊してから初めてその事実を知るようなことがあれば、その人たちはもっと苦しい思いをするはずです。
相談をすればあなたに真剣に寄り添ってくれるはずですから、勇気を出して気持ちを打ち明けましょう。
あまりにも酷いアルコールハラスメントに悩まされている場合、弁護士に相談するというのが解決に向けては最適な方法と言えるでしょう。過度な飲酒の強要は法律で禁止されていますし、弁護士に相談することによって適切なアドバイスをもらえるかもしれません。
今回は、アルコールハラスメントについての解説記事を書いてきました。お酒による事件は毎年起きていますし、時には命を落とす事例も報告されています。
アルコールハラスメントをする側の人は、自分の憂さ晴らしのためにやっているケースがほとんどであり、それは絶対に許されることではありません。
こうしたことを防ぐためにも、しっかりと意思をもって立ち向かうこと、また、時には逃げることも頭に入れておくことが非常に大切です。
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