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KL2020・OD・037
ケアハラとは、正式にはケアハラスメントといい、働きながら家族の介護を行う労働者に対して制度利用を妨害したり嫌がらせをしたりするハラスメントのことです。少子高齢化の進行と共働き世帯の増加により、働きながら介護を行う方の数は年々増えてきています。
今回は、これから増えていくケアハラの対処手順や今年10月1日から施行される介護休業に関する新たな制度についてご紹介します。
目次
冒頭でも述べましたが、ケアハラは、ケアハラスメントの略称で働きながら家族の介護を行う方への嫌がらせや制度利用を阻害することです。
この項目では、ケアハラの定義や原因となる社会の背景、ケアハラの事例をご紹介します。
ケアハラはマタハラと同じく育児介護休業法に違反する行為で、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
労働者が家族の介護を行うために残業をすることができなかったり、介護休業を取得しなければならなかったりすることを理由に、パートタイムへの降格や解雇・雇い止めなど人事評価を下げるケアハラです。
介護のために定時で帰宅したり休業を取得したりすることに対して「奥さんに頼めばいいじゃん」・「定時で帰れていいよな」と言ったり、介護休業を取得させないために不要な業務を押し付けたりするなどの嫌がらせを行うケアハラです。
ケアハラの原因は、65歳以上が全体人口の26.7%を上回る「超高齢社会」によって、要介護者が増加し40歳〜60歳世代の労働者が介護をしなければならないという状況になったことが原因とされています。
また、共働き世代が増えたことにより、旧来の「専業主婦の妻が介護する」ということが不可能になったことも要因のひとつです。
ケアハラなどの介護休業の制度利用を阻害するハラスメントは、育児介護休業法に違反する行為です。介護休業は法律で認められた労働者の権利であり、これを行使することは原則として労働者の自由です。正当な権利行使である介護休業を阻害するようなハラスメント行為は法令違反となります。
第十二条 事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。
平成29年1月1日に施行された育児介護休業法の新しい制度では、今まで要介護者1人につき1回しか利用することができなかった介護休業を最大3回まで分割して取得することが可能になるなどの変更がありました。
この項目では、法改正で大きく変わった4つの制度をご紹介します。
以前までは介護休業は最大93日、要介護者1人につき原則1回までしか取得することができませんでした。しかし、法改正後は、最大3回まで分割して取得することが可能になりました。
介護休業の取得は以前まで1日単位での取得でしたが、法改正後は半日単位での取得することができるようになります。なお半日とは、会社などで定められている所定労働時間の1/2の時間です。
これにより、午前中に通院の付き添いにいき、午後から出勤するということも可能になりました。
これまで、介護のための時短勤務は介護休業を含めて93日の範囲内で取得しなければなりませんでした。
法改正後は介護休業とは別に利用を開始することができ、利用開始から3年間で2回以上時短勤務を選択することができます。
事業主は、要介護状態にある対象家族の介護をする労働者に対して、対象家族1人につき、以下のうちいずれかの措置を選択して講じなければならないとされています。
- 所定労働時間の短縮措置
- フレックスタイム制度
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度
介護のために所定外労働(残業)を制限することが可能になりました。この制度は要介護者1人につき、介護が必要なくなるまでの期間利用することができます。
家族の介護は突然はじまり、終わりの見通しがつかないものです。介護に直面した際は、自分が利用できる制度を把握することが重要になります。
制度利用やハラスメントについてではありませんが、家族の介護に直面した際に必ず考えるべきことがあります。介護の基本はアウトソーシング(外部委託)と言われており、可能な限り介護ヘルパーの方や施設の力を借りて行うことが推奨されています。
家族が高齢・病気・怪我などの理由で、要介護状態となった場合はまず各市区町村で介護保険の手続きを行いましょう。
介護休業を取得する方は、場合によっては介護休業給付を受けることもできます。介護休業給付では、休業時に収入が減ってしまった場合、給付金が受け取れる場合があります。
支給額= 休業開始時の日給 × 67% (暫定支給額) ※休業期間中に労働賃金が支給される場合は支給額が変動します。 |
この項目では、ケアハラを会社にやめさせるための対処手順をご紹介します。
なお、ケアハラにあっている労働者の多くは管理職などの立場にある方が多く、社内に相談しにくいという方も多いと思います。
その場合は、あとの項目にある「ケアハラにあった際の相談先」でご紹介する相談先を利用するのもひとつです。
ケアハラなどのハラスメントは、証拠が重要になります。以下のような方法で記録をとることでケアハラの証拠を残すことができます。
ケアハラ発言などをICレコーダーやスマホの録音機能で音声データとして記録しておくのも有効です。
音声データは発言だけでなく、上司などからわざと大きな物音を立てられるなどの物理的な嫌がらせの証拠としても有効です。
ケアハラなどがメールやLINEで行われている場合は、画面をスクリーンショットなどで保存したり印刷したりして手元に置いておきましょう。
メールや音声データなどで記録を残すのが難しい場合は、ケアハラの内容や日時をノートに記録しておくことも有効です。
ノートで記録する場合は、ボールペンなどの消せない筆記具とページの差し替えができない大学ノートなどを使用すると偽造などの疑いがなくなるため、より確かな証拠として有効になります。
ケアハラは、育児介護休業法に違反する行為であり、会社にはケアハラの防止措置を講じる義務があります。そのため、ケアハラ問題は、会社が認識し対処をしたのかということが重要になります。
ケアハラにあっている場合は、まず社内の相談窓口や上司などにハラスメントにあっている事実を報告するようにしましょう。
社内の相談窓口に相談してもケアハラが治らない場合は、ハラスメント差止要求書を作成して会社に送付しましょう。書面の作成例は以下通りです。
ケアハラにあった際、どのように解決させればいいのか、自分があっているハラスメントに違法性はあるのかなど悩んだり困ったりすることがあると思います。
その際に、問題解決の方法や法的な妥当性判断などのアドバイスを受けられる相談先を知っておくと心強いですよね。この項目では、ケアハラの相談先をいくつかご紹介します。
ケアハラは会社が認識していたか、どのように対処したかという点が重要視されます。ケアハラにあった際は必ず社内の相談窓口や上司などに報告・相談するようにしてください。
ケアハラ問題に対してどう対処すればいいかわからないという場合は、厚生労働省が運営している労働条件相談ほっとラインの電話相談を利用するのもひとつです。
【労働条件相談ほっとライン】
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ケアハラは育児介護休業法に違反している可能性の高いハラスメントのため、労働基準監督署に申告することができます。労働基準監督署に相談する場合は、会社が所在している都道府県が管轄になります。
ケアハラで介護休業のみを理由に、降格・解雇・雇い止めなどの労働者にとって不利益な扱いを行うことは法令違反にあたります。
もしも、介護休業を取得したことをきっかけとして不利益な扱いを受けた場合は、弁護士に相談することで降格・解雇・雇い止めなどを撤回したり、発生した損害を会社に請求したりすることも可能です。
近年では、高齢化と晩婚化によってケアハラが親世代だけの問題ではなくなってきました。孫が祖父母の介護を行う老孫介護も徐々に広まっています。
老孫介護の場合、「介護は要介護者の子供がやるもの」という認識が強いため、「それ(介護)は君がやらなきゃいけないの?」と言われてしまい、ハラスメントが深刻化しやすいという特徴もあります。
ケアハラは、介護と仕事を両立させようと努力している方に対して行われる許しがたい行為です。ケアハラは育児介護休業法に違反する行為ですから、労働基準監督署などの公的機関でも解決のためのアドバイスを受けることができます。
この記事で、いつ終わるか分からない介護に日々追われている方のお手伝いができれば幸いです。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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