決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
- 保険料は1日あたり約96円
- 通算支払限度額1,000万円
- 追加保険料0円で家族も補償
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
フレックスタイム制とは、変形労働時間制の一種で出退勤時間を労働者の判断に委ねる労働時間制度です。 今回は、フレックスタイム制の特徴と残業代などについてご紹介します。
最近、多くの企業でフレックスタイム制が導入されています。
導入すると労働者は自身の判断で出退勤時間を選択することができるため、労働者にとってライフワークバランスが向上するなどのメリットがあります。
この項目では、フレックスタイム制の大まかな概要について説明します。
フレックスタイム制では、労働者が始業・終業の時刻を選ぶことができます。
会社側がコアタイムを設けない場合は始業・終業時刻は全面的に労働者に委ねられます。他方、会社側がコアタイムを設ける場合は労働者はコアタイムの時間内は就業を強制されますので、これより前に出勤し、これより後に退勤する必要があります。
以下、労働者の判断に委ねられた時間を『フレキシブルタイム』、労働者が就労を強いられる時間を『コアタイム』として説明します。
【引用元:東京労働局・労働基準監督署|フレックスタイム制の適正な導入のために】
フレキシブルタイムとは、労働者が出退勤を選択できる時間帯のことです。
例えば、フレキシブルタイムを午前9:00〜11:00、午後17:00〜19:00と設定した場合、その時間帯の中で自由に出退勤することができます。
コアタイムとは、従業員がそろって働く時間帯のことです。そのため、コアタイムの時間には必ず就業している状態でなければなりません。
コアタイムを設けることによって、従業員がそろって会議に出席したり社内の統率をとったりすることができます。
フレックスタイム制の下では、労働時間は月単位で集計されます。
月単位で集計された実労働時間が月毎の総労働時間(所定労働時間のようなもの)を上回る場合は残業代を支払う必要があります。
なお、下表はあくまで総労働時間の上限であるため、この範囲であれば総労働時間を1日の所定労働時間×月の所定労働日数とすることも可能です。
1ヶ月の暦日数 |
総労働時間(1日8時間として) |
28日 |
160.0時間まで |
29日 |
165.7時間まで |
30日 |
171.4時間まで |
31日 |
177.1時間まで |
満18歳未満の労働者に関しては、フレックスタイム制が適用されないとされています(労働基準法第60条)
フレックスタイム制には、個人が一定の裁量で労働を行うため効率的に働くことができるというメリットと、社内・社外のやりとりが希薄になるというデメリットがあります。
メリット・デメリットの両方を理解した上で活用していきたいですよね。この項目では、フレックスタイム制のメリット・デメリットについてもう少し掘り下げてご紹介します。
その日の予定に合わせて柔軟にスケジュールを組むことができるので、それぞれが効率的に働くことができます。
コアタイム設定にもよりますが、午前中は予定がなく、午後は営業先を巡る予定がある場合などは、それに合わせて出勤することができます。
朝の通勤ラッシュを避けたり、子供の保育園の送迎時間に合わせたりすることができ、ライフワークバランスを維持・向上することができます。
また、早朝は体調が優れないという方も遅く出勤することもできるため労働効率が上がることも期待されています。
社内・部内の方がそれぞれ自由に出退勤の時間を選択するため、社内でのコミュニケーションや社外での取引などで障害が出やすいという点でしょう。
社内でも顔を合わせている時間が短かったり、取引先から電話がかかってきた際に担当者がいなかったりということが発生することがあります。
寝坊しがちな人や、時間にルーズな人など、自分をきちんと律することができない人には向かない制度です。出退勤時間が自由なのが影響し、仕事ぶりまでルーズになってしまう可能性があります。
自分が仕事をしている時間に上司がいないなど、社内で顔を合わせる時間が少なくなると、自身の仕事ぶりが評価されにくくなるかもしれません。
フレックスタイム制度では始業・終業時刻は労働者の判断に委ねられますので、一定の範囲で会社は勤務を強制することができなくなります。
そのため、何かしら対応が必要な事案が生じた場合でも、労働者に対して何時まで会社に残るようにといった指示ができなくなります。
フレックスタイム制を導入するには、いくつかの要件が必要になります。この項目では、フレックスタイム制の導入にあたっての要件についてご紹介します。
導入する際には労働者と使用者(会社)との間で労使協定を結ばなければならないのです。労使協定で定めることは以下の通りです。
対象となる労働者の範囲 |
フレックスタイム制では、対象となる労働者を部署単位で指定することができます。 |
清算期間と起算日 |
『何月何日から何月何日までフレックスなのか』を明確に決める必要があります。 |
清算期間中の総労働時間 |
清算期間と法定労働時間(※1)を元に労働時間の上限を決めます。 |
基準となる労働時間 |
所定労働時間(※2)にあたる労働時間です。有給休暇などの計算時に必要になる数字です。 |
フレキシブルタイム・コアタイムの設定 |
フレキシブルタイム・コアタイムのそれぞれの時間範囲、また、休憩時間なども明確にしなければなりません。 また、コアタイムの定めは必須ではありません。 |
(※1)法定労働時間:労働基準法で定められている労働時間で『1日8時間、週40時間以下』に納めなければなりません。
(※2)所定労働時間:会社側が定めた労働時間。ただし、法定労働時間を上回ることはできません。
18歳未満の労働者にはフレックスタイム制などの変形労働制を適用することはできません。
第六十条 第三十二条の二から第三十二条の五まで、第三十六条及び第四十条の規定は、満十八才に満たない者については、これを適用しない。
引用元:労働基準法
そのため、フレックスタイム制の対象者は18歳以上の労働者であることが前提となります。
以下のような職種で、従業員が10人未満の事業場では『特例措置』によって週の労働時間を44時間まで延長することが可能になります。
業種 |
主な内容 |
商業 |
卸売・小売・不動産管理・出版などの商業 |
映画・演劇業 |
映画の映写・演劇などの興業 |
保険・衛生業 |
病院・診療所・保育園・老人ホームなどの社会福祉施設 |
接客・娯楽業 |
旅館・飲食店・理美容・遊園地などの接客娯楽 |
フレックスタイム制に限りませんが、変形労働時間制度を適用する場合、就業規則でこれを明記し、周知させなければ効力を生じません。
フレックスタイム制の下でも管理監督者でない限り、時間外労働や休日労働の割増賃金(残業代)は発生します。しかし、なかには制度の理解を誤り、残業代が支払われないこともあります。
この項目ではフレックスタイム制での残業代についてご紹介します。
【関連記事:管理職でも残業代は発生する|知らないと損する管理職の残業代の知識】
フレックスタイム制では、清算期間での総労働時間を超過した際に、残業代などの割増賃金が発生します。なお、総労働時間が足りなかった場合は、法定労働時間の枠内で翌月の総労働時間を加算すること(いわゆる繰り越し)が可能です。
フレックスタイム制はあくまでも変形労働制の一部であり、労働者が一定の範囲内で裁量が与えられているだけです。
そのため、清算期間中の総労働時間を超えた勤務が行われた場合には割増賃金が発生します。
残業代などの割増賃金が未払いになっている場合は、残業代請求を行うことが可能です。
【関連記事:未払い残業代を企業に請求して支払ってもらう5つの手順】
フレックスタイム制では、清算期間があるため残業代の計算方法が他の労働制度と異なることがあります。
フレックスタイム制では、清算期間での総労働時間で労働時間を調整するため、残業時間は以下のように計算します。
【フレックスタイム制での残業時間=(1ヶ月の実労働時間)― (清算期間の総労働時間)】
また、残業代は以下の式で計算することができます。
【残業代=残業時間 × 1時間あたりの労働賃金 ×割増率】
なお、割増率は以下の通りです。
労働時間 |
5:00〜22:00 |
深夜(22:00~翌5:00) |
|
所定内労働 |
割増なし |
1.25倍(原則) |
|
法内残業 |
1日8時間、週40時間以内 |
1倍 |
1.25倍 |
法外残業 |
1日8時間、週40時間超 |
1.25倍 |
1.5倍 |
1ヶ月に60時間超 |
1.5倍 |
1.75倍 |
|
(法定)休日労働 |
すべての時間 |
1.35倍 |
1.6倍 |
フレックスタイム制は、労働者に一定の裁量が与えられている制度ですが、その一方で労働者自身が制度をよく理解して自分の仕事をマネジメントする必要があります。
この記事で、フレックスタイム制についての疑問が解消されれば幸いです。
決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。
※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。