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KL2020・OD・037
養育費の差し押さえはどのように行うのでしょうか。差し押さえの手続きは意外と簡単で、1人でも行うことができます。
必要な書類を用意して、裁判所に申立てを行い、命令が出されたら勤務先などに連絡して支払いを求めます。未払いの養育費があれば、差し押さえを申立てることが可能です。
また、養育費の場合は、1度の差し押さえで、将来分の養育費を継続して支払ってもらえるようになります。
この記事では、その方法をわかりやすく解説しますので、ご覧ください。
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ここでは、養育費を差し押さえる前に知っておきたいことを紹介します。
養育費を相手(支払う義務があることから債務者という)の給与や財産から差し押さえる手続きを『強制執行』と言います。
強制執行は、裁判所に申立て、これを認めてもらうことで、相手の財産を差し押さえることが可能となります。
具体的な手順はこちらです。
これが差し押さえの手続きです。
差し押さえの対象となるものはこちらです。
相手の勤務先などがわかっていれば給与を、相手の銀行や支店名がわかれば預貯金を差し押さえることができます。
養育費の差し押さえで、対象としたいのが給与です。
給与を差し押さえるメリットと給与以外の場合のデメリット |
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給与の場合 |
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預貯金の場合 |
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不動産の場合 |
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給与であれば、相手が退職・転職をしない限り、現金を継続的に支払ってもらうことができます。相手が会社員や公務員なら、給与の差し押さえは効果的です。
給与は、税金や通勤手当を除いた手取り額が差し押えられます。
手取りが33万円以下 |
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手取りが66万円以上 |
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ボーナス支給月の場合 |
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役員報酬 |
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差し押さえは、滞納に対して行われるものです。離婚時に作成した公正証書や、調停・裁判で決まった養育費の未払い分は当然、差し押さえられます。
養育費がほかの債権と違うのは、この未払い分だけでなく、子供が成人するまで月々継続して差し押さえることが可能な点です。
差し押さえの手続き自体は、裁判所に所定の書類を提出するだけで、実際の裁判などをすることなく終わります。手続きに関しては「差し押さえ方法と流れ」で後述します。
債権差押命令の申立てには1万円もかかりません。申立手数料が、収入印紙で4,000円と、書類を送達するための切手代が2,000~3,000円ほどです。
切手代は郵送先や書類の重さによって異なりますので、裁判所に確認しましょう。
【参考元】裁判所|Q&A
養育費が差し押さえられたからといって、相手が解雇されることはありません。しかし、会社によっては居づらさを感じるようになり、結果、退職してしまうことは考えられるかもしれません。
養育費を差し押さえるためには以下の3つが条件になります。
詳しく解説します。
差し押さえをするには、養育費が未払いであることが前提条件です。相手が養育費を未払いにしているなら、差押命令を申立てることができます。
また、申立て時点ではまだ発生していない将来分の養育費も、子供の成人まで差し押さられます。しかし、相手が未払いでもないのに、将来分の養育費を差し押さえることはできません。
差し押さえを申立てるには、債務名義と送達証明書が必要です。これらは、公正役場や家庭裁判所で付与・交付してもらうことができます。
債務名義とは |
養育費を請求する権利(債権)があることを証明しており、強制執行を許可している書面のこと |
送達証明書とは |
公正証書や調停調書などの謄本が相手に届いている証明書。公正役場または家庭裁判所で申請して交付してもらう |
債務名義は、離婚時に作成した公正証書に、強制執行できる旨を明記してある執行認諾文言付き公正証書のことです。
ほかにも次のものが挙げられます。
公正証書や調停調書などに執行する旨が明記されていない場合は、公正役場や家庭裁判所で執行文を付与してもらうことができます。
この執行文が入った債務名義を公正証書なら公正役場で、調書などは家庭裁判所で、送達申請をして送達証明書を交付してもらいます。
執行文付与・送達証明書の交付には手数料がかかります。
公正証書がない場合は、相手と話い、養育費の支払い金額などで合意した上で作成するか、養育費請求調停を申立てて、調停調書を作成してもらう必要があります。
裁判所に申立てを行ったからといって、裁判所が相手の財産を調べてくれるわけではないので、自身で把握する必要があります。
給与の差し押さえなら、勤務先の会社名と所在地、預貯金なら金融機関名と支店名を特定しておきましょう。
どうしてもわからない場合は、弁護士や探偵に依頼して調べるのも1つの方法です。弁護士であれば、弁護士照会という方法で、各機関に照会してもらうこともできます。
必要な書類を集めて申立てを行い、裁判所から通知がきたら、支払いを求めることができます。詳しく解説します。
より具体的な養育費差し押さえの流れを知りたい場合は、以下の記事で紹介しています。
養育費の差し押さえに関する具体的な流れと方法を知り、養育費回収のための具体的な道筋を立てましょう。
必要な書類を集めて、申立書を作成し、地方裁判所に債権差押命令の申立てを行います。
必要な書類
債務名義・送達証明書 |
前項参照 |
登記簿謄本 |
代表者事項証明書・資格証明書履歴事項全部証明書の両方 勤務先や銀行などの会社情報を証明する書類 ※法務局で取得 |
当事者の住民票・戸籍謄本など |
住民票を移動しているなら必要 |
これらを提出し、申立書を作成します。
申立書がどんなものなのか、こちらを参考にしていただければおわかりになると思います。
申立書の内容はこちらです。
表紙 |
申立ての趣旨 |
当事者目録 |
債権者・債務者・第三債務者の住所などの情報 |
請求債権目録 |
請求する詳細な金額や期間 |
差押債権目録 |
養育費の金額や期間、第三債務者のどういったものを差し押さえの対象とするのかなど |
申立書は債務名義と差し押さえるものによって異なりますので、申立書をダウンロードする際は、あなたの債務名義と請求内容に合わせたものを選びましょう。
【参考元】裁判所|はじめに(養育費)
上記の書類や申立書を用意したら、地方裁判所に申立てを行います。以下の流れで差し押さえを実行することができます。
引用元:裁判所|申立後の手続の流れ
あなたの申立てを受けた裁判所が、第三債務者に差押命令を出し、裁判所から通知が来ます。通知から1週間~10日後に、あなたから第三債務者に連絡し、支払いを求めます。
あなたが勤務先などと直接やり取りをして、口座を指定するなどして支払いを求めます。第三債務者から支払いを受けた後は、その都度、裁判所に取立届を提出します。
養育費全額の取り立てが終了した際には、取立完了届を提出しましょう。取立書の書式はこちらからダウンロードできます。
おおまかな流れは上記と変わりありません。通知から1週間後に、金融機関に問い合わせ、支払いを求めます。預貯金の差し押さえでは、以下に注意する必要があります。
ここでは、養育費の差し押さえを弁護士に依頼した場合のメリットと、弁護士費用の相場を解説します。
養育費の差し押さえを弁護士に依頼するメリットはこちらです。
相手が自営業で、収入があるかどうかわからないといった場合には、相談してみてもよいかもしれません。
養育費の差し押さえだけを依頼した場合の弁護士費用の相場は、だいたい10万円ほどといわれています。
ただし、各弁護士事務所によって料金は異なりますので、相談時や依頼前に必ず確認しましょう。
また、法テラスを利用することで、弁護士費用を抑えることができます。あなたの収入が一定以下である場合や、生活保護を受給している方であれば、法テラスの相談料は無料です。
養育費の差し押さえは弁護士に電話やメールで無料相談することで、実際に回収可能かどうかも含めて相談に乗ってもらうことが出来ます。
ここでは、養育費を差し押さえる際の注意点について解説します。
相手の住所や連絡先さえわからない場合でも、探す方法はあります。
戸籍の附票には、今までの住所が記されているので便利です。ただし相手が本籍を変更していると、変更前までしか記録されていないので注意が必要です。
差押命令に至ったのにもかかわらず、勤務先が支払いに応じてくれない場合は、会社に対して取立訴訟を提起することができます。
あまり厳しく取り立てると、相手が退職、または転職して消息不明になり、支払ってもらえなくなることもあり得ます。
養育費は自己破産しても免責されませんが、裁判所の一存で金融機関から取り上げるといったことはできません。
子供のためにも、連絡を取れる状態にしておくのが望ましいでしょう。
厚生労働省の『養育費の確保』によると、「養育費を支払っている者は、面会交流も実現している場合が多いと言える」と記されており、面会交流と養育費には相関関係があることがわかっています。
面会交流が行われていないことで、当事者意識が薄れ、「会えない子供のためになぜ支払わなければならないのか」と考える人も出てくるでしょう。
面会交流は子供の権利でもあります。お互いの関係を修復し、時にはこちらが少し譲歩して、面会交流をすることも重要です。
養育費は子供の権利ですので、ベストなのは、子供のための養育費の必要性を相手に痛感してもらい、納得した上で支払ってもらうことです。
そのためには、子供との面会交流を積極的に行い、可能な範囲内で、いくぶんかの減額に応じる姿勢も必要なのかもしれません。
また、養育費の回収で最も頼もしい存在になるのは法律のプロである弁護士です。養育費に詳しい弁護士なら、効果的な回収方法を考えてくれることも期待できるでしょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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