離婚慰謝料と税金の関係|課税対象に「なるもの」と「ならないもの」

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
離婚慰謝料と税金の関係|課税対象に「なるもの」と「ならないもの」

離婚時の慰謝料は通常「お金」で支払うと思われがちですが、実はお金じゃなくても慰謝料として渡すことができます。例えば、土地や建物の不動産を慰謝料として渡すことも考えられるのです。

しかし、お金以外で慰謝料を支払ったことで夫婦双方に税金が発生する場合があるのをご存知でしょうか。知らなかったと後悔しないためにも、課税対象になる慰謝料とならない慰謝料について細かく紐解いていきたいと思います。

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離婚時に慰謝料として支払われた金銭は原則非課税

原則的に慰謝料として支払われた金銭に税金は発生しません。税金がかからない理由は、以下で掘り下げていきたいと思います。

損害賠償としての性質のため

そもそも慰謝料とは、精神的苦痛を与えた側が苦痛を受けた側に支払う損害賠償のことを表します。償う気持ちを表したものですので慰謝料には税金が発生しないとお考えください。

No.4414 離婚して財産をもらったとき

[平成28年4月1日現在法令等]

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。

引用元:国税庁

養育費も非課税になる

養育費は離婚時に養育が必要な子どものために支払われるものです。法律上、子どもの学業に必要な金品には税金がかからないと定められています。

(非課税所得)

第九条  次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十五  学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品

引用元:所得税法第9条

税金がかかる慰謝料もある

税金がかかる慰謝料もある

社会通念上相当の金額を超えた場合は税金がかかることも

社会通念上相当の金額には定められた金額がないため説明が難しいのですが、慰謝料の金額として常識をはるかに超えた場合は税金がかかる場合があります。

ただし、相当の金額ではない限り税金が発生することは考えにくいので、慰謝料の一般的な相場である100万円~300万円程度であれば心配する必要はないでしょう。

養育費の一括払いにも注意

養育費を一括払いで受けとる場合も、養育に必要な金額をはるかに上回っていると判断された場合は税金が発生する可能性がありますのでご注意ください。

離婚が贈与税や相続税を逃れる為なら発生する

贈与税や相続税を逃れるために偽装離婚を考えたと判断された場合は、税金の支払いを命じられます。とくに資産の多い家庭の場合は税務署が厳しく目を光らせていますので、税金逃れから離婚を考えているのであれば望ましいことではないでしょう。

離婚時に税金が発生するケース

上記のように、社会通念上多すぎるとされる金銭を受け取る場合以外は原則的に税金はかかりません。

しかし、金銭以外を慰謝料に充てた場合は税金が発生してしまう場合がありますので、以下ではどんなものが課税対象になるかみていきたいと思います。

不動産が慰謝料として贈与された場合

不動産が慰謝料として贈与された場合

支払う側にかかる税金

慰謝料として不動産を受け取った側に贈与税は発生しません。しかし贈与した側には譲渡所得税が発生します。譲渡所得税とは、不動産(土地や建物)を売った際に、手に入れた所得に対して発生する税金のことを表します。どうしても不動産を慰謝料として渡す場合は、譲渡所得税について知っておく必要があるでしょう。

計算方法

譲与所得税を知りたい場合は、こちらの計算式に当てはめて計算しましょう。

課税譲渡所得×譲渡所得税の税率=譲渡所得税

非課税譲渡所得の出し方

売却価格-(購入価格+購入時の経費+売却時の経費)=非課税譲渡

受け取る側にかかる税金

ここからは、慰謝料として不動産を受け取った側に発生する税金についてご説明します。

不動産取得税

慰謝料として不動産を受け取った場合でも、原則として不動産取得税が発生します。不動産取得税とは、不動産の所在する都道府県が課す道府県税です。不動産を受け取った際に、一度だけ納めるものになります。

計算方法

固定資産税評価額×4%=不動産取得税

登録免許税

不動産を受け取った際に登記の変更をしますが、その時に発生する税金のことをいいます。

計算方法

登録免許税額 = (課税標準)×(税率)

高価な宝石や時計などは課税対象になる場合がある

30万円を超える宝石や時計、美術品などは課税対象になる可能性があります。

離婚慰謝料はなるべく現金でもらおう

慰謝料を金銭として受け取る分には税金は発生しません。しかし、不動産やその他の物として受け取った場合は課税対象になってしまいますので出来る限り慰謝料は金銭で受け取るようにしましょう。

もし、金銭以外のものを慰謝料として受け取ることになりそうな場合は一度弁護士に相談することをお勧めします。

慰謝料に関する取り決めは必ず書面に残す

慰謝料に関する取り決めは必ず書面に残す

離婚協議書を作成

慰謝料に関する取り決めを行った場合は必ず離婚協議書を作成し、そちらに書き残しておきましょう。

離婚協議書を公正証書にする

離婚協議書の作成ができたらその協議書を公正証書にすることができますので、必ず公正証書の作成まで行いましょう。公正証書は、離婚協議書にかかれた内容が守られなかった場合、強制執行を行う力をもっています。

公正証書は、公証役場に行き、公証人という専門家に作成してもらうことで手に入れることができます。

不動産は受け取る側も渡す側も必ず確定申告をしよう

不動産の贈与が行われた時点で、夫婦の双方が確定申告をする必要があります。確定申告の際に控除を受けられる場合もありますので、事前に確認してください。

まとめ

金銭として受け取る慰謝料には税金がかかりませんが、不動産やその他の物として受け取る場合は税金が発生することがわかりましたね。

償いとして受け取った慰謝料に対し、余計なお金を支払うことは避けたいとお考えのことでしょう。やはり慰謝料は金銭で受け取ることが1番望ましいと思いますので、できるかぎり金銭で受け取れるように交渉してみましょう。

もし、相手が応じない場合は早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。ご自身だけでは対応しきれないことでも、弁護士によってあなたが損をしない方向へ導いてくれることでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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