中絶の慰謝料相場|慰謝料が請求できるケースと相談先まとめ

弁護士法人ネクスパート法律事務所
監修記事
中絶の慰謝料相場|慰謝料が請求できるケースと相談先まとめ

厚生労働省の調査によると、平成27年だけでも年間176,388件の人口妊娠中絶手術が行われていることがわかります。多くの女性が人口妊娠中絶手術を受けていますが、その背景はさまざま。

自らの意思で手術を選択した人もいれば、不本意ながらに中絶手術を行った方もいるでしょう。

中絶の慰謝料相場|慰謝料が請求できるケースと相談先まとめ

参考:母体保護関係|厚生労働省

中絶に至るまでの経緯は違うとしても、手術による女性への精神的・身体的負担は男性には到底理解できないものです。そして、当人しかわからない深い悲しみ、苦しみがあるなかで女性に対して然るべき対応をとらない男性が存在することは許し難いことです。

状況によって変わってきますが、慰謝料を請求できた場合は100万円から数百万円ほどになると考えられるでしょう。なぜこのように金額に幅があるのかという点も詳しく解説しながら、過去の事例も交えて慰謝料が請求できるケースについてお伝えしたいと思います。

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相手の不誠実な対応によって、精神的苦痛を受けた場合は慰謝料が認められる可能性は高くなります。

相手に対して自分で慰謝料請求の交渉をするのが難しい場合は弁護士に相談しましょう。

また、中絶による慰謝料が認められるかどうかのポイントは3つあります。

・責任回避
・話し合いもなく中絶を強要
・中絶費用を払わない

このような状況にある方は、まず弁護士に相談することをおすすめします。

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中絶したときに慰謝料はもらえるのか

まずは、中絶したことで慰謝料を請求できるケースと難しいケースについて考えていきましょう。

慰謝料請求が難しいケース

中絶による負担は計り知れないものですが、どれだけ精神的苦痛を与えられたとしても、中絶のみを理由として慰謝料を請求することは難しいでしょう。中絶による慰謝料を請求するには、中絶に至るまでの相手の対応や状況によって大きく異なるということを理解することが重要です。

慰謝料が認められる可能性が高いケース

一方、どういった状況であれば慰謝料の請求が認められるのでしょうか。ここでは慰謝料が認められる可能性が極めて高いものをお伝えします。どのケースも中絶のみを理由に慰謝料が発生しているのではなく、中絶をしなければならない背景を考慮して慰謝料が認められています。

強姦

強姦などの性的犯罪による慰謝料は高額になることが多いようです。また、強姦の場合は強制性交等罪(旧 強姦罪)として罪に問われるでしょう。

(強姦)

第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

引用元:刑法第177条

嘘をついて性交渉に及んだ

避妊をしていると嘘をついて性交渉に及び、妊娠が発覚した場合には、嘘をついたこと自体が悪質であると判断されて慰謝料が認められる可能性が高いです。また場合によっては傷害罪や不法行為として訴えることも可能です。

突然の心変わりによる中絶

子作りを目的に性行為に及んでいたのに妊娠が発覚した瞬間、相手が心変わりをして中絶を求められたとします。

この場合、相手の男性が女性に対してどれだけ不誠実な態度をとったかによって変わってきますが、状況によっては慰謝料の請求も十分可能であると考えられるでしょう。

慰謝料が認められるかもしれない3つのポイント

慰謝料が認められるかどうかに大きく関係する3つのポイントをお伝えします。すべてに共通するのは、中絶による女性の苦痛を減らすための努力を怠っているという点です。

  • 責任回避
  • 話し合いもなく中絶を強要
  • 中絶費用の支払拒否

中絶手術をする以上、どのような理由があっても、女性の苦痛を軽減させるために男性側はあらゆる努力をしなければなりません。

しかし、そうした努力を怠り、不誠実な対応を続けることで慰謝料が認められる可能性も高くなることでしょう。

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勝手に中絶された場合は慰謝料請求できるか?

これまでは、男性に対する慰謝料請求について着目してきましたが、もし女性が男性への相談なしに勝手に中絶してしまった場合、女性への慰謝料請求は可能であるかを考えていきたいと思います。

正当な理由があれば難しい

夫婦ではない2人の場合は、なぜ中絶をしたのかという中絶の理由に着目されます。例えば、女性側の経済状況等に照らして子どもを育てるのが困難である等の正当な理由がある場合、無断で中絶したことについての慰謝料を請求することは難しいでしょう。

ただし、夫婦の場合は、母体保護法により本人だけでなく、配偶者の同意も必要です。

中絶同意書の偽造は罪に問われる

女性が同意書を偽造して勝手に手術を行った場合は、有印私文書偽造罪に問われることがあります。

中絶による慰謝料がみとめられた判例とその金額

中絶による慰謝料がみとめられた判例とその金額

実際に中絶による慰謝料が認められた裁判例を紹介したいと思います。

結婚相談所で知り合った2人が交際期間中に妊娠したケース

結婚相談所の紹介で知り合い、交際をしていた原告(女性)と被告(男性)。合意の上で性行為をするものの、その後結婚には至らず交際終了をしたため、被告の同意のもと中絶手術を受けました。

裁判の結果、被告に対して114万2,302円の慰謝料の支払いが命じられました。慰謝料が認められたポイントとして以下のことが考えられます。

  • 中絶が原因で原告は心身症の胃炎・不眠症・重篤な精神疾患を発病した
  • 被告は妊娠判明後に具体的な話し合いを避けた
  • 中絶手術から中絶した子の納骨をするまでの間、被告は何度も原告の連絡を無視した

参考:東京高等裁判所 平成21年10月15日(裁判時報2108号)

中絶をしたことが考慮され慰謝料がもらえた判例

慰謝料が認められた理由が中絶したことだけではないものの、中絶も考慮され慰謝料が認められた裁判例をお伝えします。

不当な婚約破棄

原告(女性)が被告(男性)に対して、不当な婚約破棄を理由に慰謝料を請求したところ300万円の慰謝料が認められました。

慰謝料が認められたポイント

  • 婚約破棄により中絶手術を受けざるを得なかったこと
  • 女性が妊娠を理由とする産休を取る旨を仕事関係の顧客にまで連絡していた
  • 婚約破棄の理由をはっきり伝えない
  • 交際した8年の間結婚を強く望んでいた

参考:東京地判 平成21年3月25日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい
【関連記事】婚約破棄による慰謝料の相場|慰謝料額が決まる10のポイント

暴力と不当な婚約破棄

原告(女性)が被告(男性)に対して不当な婚約破棄、暴力、中絶に対する慰謝料請求をおこなったところ、600万円の慰謝料が認められました。

慰謝料が認められたポイント

  • 婚約破棄により中絶手術を受けざるをえなかったこと
  • 男性は、DNA鑑定で自身の子であると証明されない限り中絶同意書すら作成しなかった
  • 双方の親族に結婚の意思を伝えていた

参考:東京地判 平成21年6月22日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい

中絶慰謝料の相場はどのくらいか?

先ほど紹介したように婚姻前の2人が中絶によって慰謝料が認められた場合、100万円から200万円が相場であると考えられます。しかし、婚約破棄や不貞行為などに中絶した事実が加わった場合は200万円~600万円になるでしょう。

また、強姦による相場は200万~1,000万円になるといわれています。いずれにせよ性的犯罪は重罪であることから慰謝料も高額になる傾向がみられます。当然、刑事罰を受ける可能性もあります。

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中絶慰謝料はもらえなくても費用が請求できることもある

中絶費用を払わないと言われた場合であっても、中絶費用を相手側に請求することが可能です。同意の上で性交渉に及んだのであれば、相手側も費用を負担することが当然の義務といえるでしょう。

中絶費用は折半が一般的

中絶費用の全額負担を望んだとしても必ず認められるとは限りません。お互いの同意があって性交渉に及んだ場合は一般的に折半になることが多いようです。ただし、中絶に至るまでの状況によって左右されることがあります。

悩んだ時は弁護士に相談しましょう

悩んだ時は弁護士に相談しましょう

中絶による慰謝料を請求したいと考えたときはできるかぎり弁護士に相談するようにしましょう。
1人だけで相手に挑むことは余計に精神的ストレスに繋がりかねませんので、以下で紹介する相談箇所を参考に弁護士に依頼することも検討してみてください。

弁護士の無料相談

現在ではたくさんの弁護士事務所で無料相談を設けています。はじめの相談は無料であるため、この時点でご自身が相談したいことや要望をできるかぎり簡潔にまとめて弁護士に相談するようにしましょう。

【関連記事】離婚で弁護士に無料相談(電話/メール)ができる4つの相談先

法テラス

法テラスでは一定の条件を満たしていれば、弁護士費用の立替を行ってくれます。後日、無理のない範囲で分割返済していく仕組みになっているので、現時点で弁護士費用がないという方でも弁護士に依頼ができます。また、相談内容に適した弁護士の紹介も行っていますので一度問い合わせてみてください。

参考:法テラス|相談できる窓口をさがす

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大切なことは中絶の事実に対してどう向き合っていくか

状況にもよりますが、相手の不誠実な対応により精神的苦痛を受けた場合は慰謝料が認められることがわかりましたね。尊い命を授かったにもかかわらず、自らの選択により新しい命を手放さなければならないことは大変辛いことだと思います。

相手を恨んだり、ご自身を責めたくなるお気持ちはわかりますが、過ぎてしまったことはもう仕方のないことです。

たくさん後悔をするよりも、この出来事とどう向き合っていくのか考えることが大切かと思います。慰謝料の請求ができる3年間の中で、ご自身の納得いく答えが見つかるようにゆっくり考えてくださいね。

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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