離婚慰謝料の相場と離婚原因別でみる慰謝料の確認方法

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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離婚慰謝料の相場と離婚原因別でみる慰謝料の確認方法

離婚慰謝料の相場が気になるあなたへ

実際に慰謝料はいくらくらいになるのでしょうか。以下に、裁判で決定した慰謝料の金額を記載したのでまずはご覧ください。

夫の不倫による裁判例
請求者:妻
婚姻期間:20年~30年
離婚原因:夫の不倫
慰謝料認定額:300万円

参考:東京地判 平成17年5月30日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい

こちらは夫の不倫により、300万円の慰謝料を獲得した裁判例です。あくまで一例ですが、場合によっては多くの慰謝料を獲得することも可能です。ここでは、離婚原因別に慰謝料がどのくらいもらえるのかをみていきたいと思います。

また、少しでも多く慰謝料を獲得するために覚えておくべき知識もお伝えしますので、最後までしっかりお読みいただき慰謝料獲得への準備を行ってください。

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離婚慰謝料の相場はどのくらい?

慰謝料の相場は離婚原因によって異なります。また、精神的苦痛を与えられた度合いによっても変わりますが50万円~500万円の中で決定することが多いようです。

ただし、これは裁判に発展した場合の話です。裁判は起こさずに話し合いで解決にのぞむ場合は双方が納得した時点で金額は決定しますので慰謝料の金額に決まりはありません。

離婚慰謝料の計算方法

慰謝料を決める方法の一つとして、ある計算式に当てはめて計算した結果を参考にする場合があります。

どのくらい請求できるのか、確認してみましょう。※こちらでご紹介する計算方法はあくまでも一例として捉えてください。離婚慰謝料の算出はケースバイケースなことが多く、こちらの計算式は実務ではほとんど利用されません。

離婚慰謝料の2つの種類

離婚慰謝料とは、離婚自体慰謝料と離婚原因慰謝料を合わせたものになります。

離婚自体慰謝料と計算方法

離婚自体慰謝料は、離婚すること自体から得る精神的苦痛に対し支払われるものになります。

計算方法

基本慰謝料120万+相手の年収の3%×実質的婚姻年数(最高で20です)×有責度×調整係数=離婚自体慰謝料

※基本慰謝料は120万円となっています。実質的婚姻年数にはご自身の婚姻年数を当てはめてください。

有責度

有責度は、離婚の原因を作ったとみなされる度合いのことを表します。

有責度には0.2~1.0の幅があり、相手が完全に悪い場合は1.0になります。そのあとは度合いによって変化しますが夫婦のどちらにも非がある場合であれば有責度は0になります。

※有責度が0であれば計算しても離婚自体慰謝料は0円※

調整係数

調整係数は、離婚後の生活の経済状況を表したものです。0.7~1.3で決定します。

共働きの場合…0.7(収入に差がある場合は変動します)
専業主婦…1.3

※有責度も調整係数も、それぞれの夫婦の状況によって変わってきます。

離婚原因慰謝料と相場

つづいて、離婚原因慰謝料をみていきましょう。以下の原因からご自身に当てはまるものをお選びください。

  • 不倫・浮気…120万~240万
  • 暴力・精神的虐待…60万~120万
  • 悪意の遺棄…60万~240万
  • セックスレス…60万~100万
  • その他12万~120万

離婚慰謝料の計算例

実際に共働きのKさんを例に慰謝料を計算してみたいと思います。

  • Kさん(パート)
  • 婚姻期間…25年
  • 離婚原因…10年ほど続く夫のモラハラ
  • 夫の年収…700万

まずは、離婚自体慰謝料を計算します。

基本慰謝料120万+相手の年収の3%×実質的婚姻年数(最高で20)×有責度×調整係数=離婚自体慰謝料

【120万円+21(700×0.03)×20】×1.0×1.0=540

ここで離婚自体慰謝料645万円と基本慰謝料120万円を足します。
【540万円+120万円=660万円】

Kさんの場合、モラハラを受け続けKさんに悪いところは見当たらないと判断されたため、有責度は1.0です。パートで働いているので調整係数は1.0にしました。また、10年間続くモラハラは非常に悪質ですので、離婚原因慰謝料は120万円として計算しています。

よって慰謝料は660万円となりました。慰謝料としては少し高額なので、このまま裁判を起こした場合必ずしもこの値段が認められるわけではありませんが、少なくとも660万の請求をしても問題ないということがわかりますね。※ただ、下記で裁判例をご紹介しますが、離婚自体慰謝料が実務で考慮されることも少ないです。

参考:離婚慰謝料の計算方法と慰謝料の相場|適正額を算出する手順

離婚慰謝料の判例

離婚慰謝料の判例

それぞれ離婚原因は異なりますが、実際に離婚裁判で慰謝料が決定した事例を紹介します。

①その他の原因による慰謝料請求

請求者:妻
婚姻期間:20年~30年
離婚原因:その他
請求額:500万円
慰謝料認定額:100万円
慰謝料認定理由:夫の妻への思いやりのなさ

参考:東京地判 平成16年12月10日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい

②不貞行為による慰謝料請求

請求者:夫
婚姻期間:10年~20年
離婚原因:不貞行為
請求額:500万円
慰謝料認定額:120万円
慰謝料認定理由:除斥期間経過により妻からの財産分与請求不能に加え
不貞行為・離婚からの相当時間が経過しており
夫婦に子がいないことなど考慮した上で認定

参考:東京地判 平成22年1月27日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい

③暴力による慰謝料請求

請求者:妻
婚姻期間:20年~30年
離婚原因:暴力
請求額:1,000万円
慰謝料認定額:500万円
慰謝料認定理由:夫が妻へ日々身体的・精神的暴力を行ったせいで妻が現在も心身のバランスを崩しているため

参考:東京地判 平成22年3月11日|慰謝料算定の実務|ぎょうせい

慰謝料を多くもらうためにすべきこと

慰謝料を多くもらうためにすべきこと

慰謝料を少しでも多くもらうためにするべき大切なことをお伝えします。

離婚のケース別|高額慰謝料請求ができる証拠

調停や裁判に発展した場合、どれだけ精神的苦痛を与えられたかを第三者に主張しなければなりません。調停委員や裁判官に事実と思わせることが大切なので、証拠を集めることが非常に大切になります。そこで離婚原因別に集めるべき証拠をお伝えします。

不貞行為

  • 性交渉の裏づけとなる内容のメール、写真、ビデオ
  • 夫との会話を録音したボイスレコーダー(携帯電話でも録音できます)
  • 性行為の裏づけとなるクレジットカードの利用明細やレシート
  • 探偵業者に依頼した場合は調査報告書

参考:不貞行為とは

DV・モラハラ

  • 日々の暴力や虐待を記録したもの
  • あざや傷、暴力の証拠となる写真や動画
  • 病院の診断書

セックスレス

  • 相手が性交渉を拒否したことがわかる音声やメール
  • 性交渉を拒まれたときの様子を記録した日記
  • 子どもがいない場合はその旨も伝える

参考:セックスレスを理由に離婚する方法

悪意の遺棄

  • 通帳の入金記録(生活費が振り込まれていない場合)
  • 夫婦関係を破綻させる意思がわかる相手からの手紙・メール
  • 相手の別居が証明できる資料・契約書など

参考:悪意の遺棄を裁判で証明するために必要な3つのこと

離婚を決意するまでの経緯をまとめる

なぜ離婚を決意したのか、離婚に至るまでの経緯を紙にまとめておきましょう。相手に離婚を切り出す際や、離婚弁護士に依頼する場合に事をスムーズに進めるために役立つからです。

離婚慰謝料の金額を確認

実際にいくらの慰謝料を請求するかしっかりと決めておきましょう。先ほどの計算式を使って金額を確認したり、本やインターネットを使って過去の裁判例などを調べるのも良いでしょう。

早い時点で優秀な弁護士に相談する

少しでも多くの慰謝料獲得を目指す場合は、早めに優秀な弁護士に相談することをお勧めします。さきほどお伝えした証拠集め1つにしてもご自身の力だけでは限界がありますが、弁護士に相談することでより優位に立つための秘策を教えてくれるでしょう。

経済的に余裕がある方は、とにかく腕が良くあなたと相性の合う弁護士を探してみましょう。費用に余裕のない方は法テラスの利用を検討してみてください。

参考:離婚弁護士の選び方|賢く離婚するための7つの心構え

協議離婚で解決を目指す

本来であれば夫婦の2人で話し合いを行い、円満解決できることが1番望ましいと思います。第三者が介入しないことで費用や労力の負担を減らすことができるからです。

話し合いという名の協議離婚で解決ができるように、相手にしっかりとご自身の主張をしてください。ただし、あまりに常識外れな金額提示などしてしまうと逆効果になりかねません。はじめは相手の様子を伺いながらうまく金額提示をしてください。

相手が応じないようでしたら、事前に弁護士の無料相談を受けたりして、依頼する弁護士事務所の目処をたてておくのも1つの手でしょう。

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慰謝料が請求できないケースに注意!

上記の離婚原因に当てはまっていても慰謝料の請求ができない場合がありますので以下で説明したいと思います。

離婚原因がどちらにもある場合

離婚原因がどちらにもある場合は慰謝料を請求しても認められない可能性があります。夫の不倫が原因で離婚をする夫婦を例にみてみましょう。

夫が不倫をする前に、妻が家事を怠っていたことや夫に対しての日々の暴言がきっかけになったと認められた場合、夫が不倫をした原因は妻にもあると判断されます。この場合はどちらにも原因があるとみなされ、妻が一方的に慰謝料を請求しても認められない可能性が高いのでご注意ください。

性格の不一致という言葉の落とし穴

離婚原因の多くみられる「性格の不一致」。よく耳にする言葉ですが、単なる性格の不一致だけでは慰謝料を請求できる確率が低いです。ただし、性格の不一致が原因で何か重大な離婚理由に繋がったことが認められた場合は慰謝料の請求が可能になることもあります。

参考:性格の不一致とは|離婚に踏み切る前に確認すべき5つのこと

慰謝料請求には期限がある

離婚慰謝料を請求するには期限が設けられていることをご存知でしょうか。離婚成立日から3年と決まっていますので期限を過ぎてから請求しても認められません。

ただし、離婚後に不貞行為などが発覚した場合は除斥期間が定められているため、不倫をしていたであろう時期から20年間は慰謝料の請求が可能です。除斥期間はあるものの、同様に不貞行為の事実を知った日から3年以内に請求する決まりがありますのでご注意ください。

参考:離婚慰謝料の時効|期間内に慰謝料が請求できないときの対処法

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万が一慰謝料がもらえない場合

もし慰謝料がもらえない場合は、別の方法で金銭を獲得するという方法があります。

財産分与

財産分与は夫婦で築いた財産を分け合って清算することをいいます。預貯金・不動産・家財道具・自動車・株式・美術品など、婚姻機関中に夫婦で築いたものであれば分与することが可能です。

財産分与で得た金銭は税金がかからないとされていますが、不動産など物によっては課税対象になりますので事前に調べておくことをお勧めします。

年金分割

夫婦のどちらか一方が支払った厚生年金や共済年金を、一方の収入が少ないとされる方へ年金を分割することをいいます。

一般的には夫が支払った年金を妻が分けてもらえると考えられます。ただし、年金分割には条件や決まりがありますので詳しくは以下をお読みください。

離婚時の年金分割制度|誰でもわかる年金分割の手順と注意点

ご自身でお金の確保をする

上記で説明したものが何ももらえない方も中にはいるでしょう。経済的に厳しい状況かと思いますが、離婚をしたいのであればご自身で離婚後の生活資金の準備をしましょう。

ただし、離婚を考え貯金を始めても、離婚時に財産分与の対象となり相手に請求される可能性があります。相手に一円も渡したくないとお考えの場合はどうやって生活資金を確保すればご自身が損をせずに済むのか下調べを行ってください。

まとめ

離婚慰謝料について一通り説明しましたがご理解いただけましたでしょうか。まずはご自身でインターネットや本を参考にしながら、離婚慰謝料について調べてみましょう。それでも解決しない場合は、専門家である弁護士などに相談することも検討してください。

慰謝料のことで相手ともめないためにも早めの行動を心がけましょう。

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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