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KL2020・OD・037
起訴猶予(きそゆうよ)とは、犯罪を行ったであろう証拠も十分にあり、起訴することも可能ですが、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、示談成立などの情状などを考慮して、検察の裁量により起訴しない不起訴処分の一種です。(刑事訴訟法 第248条・法務省 事件事務規程 第75条2項20号)
法務省が公開している2017(平成29年版)年の犯罪白書によると、起訴猶予率は64.3%。起訴率の33.4%に比べると意外に多いことがわかります。
また不起訴処分の中でも、犯罪の証拠が不十分であるとした“嫌疑不十分”に比べ、遥かに多いことが下記の表からお分かりいただけるでしょう。
平成28年 不起訴処分を受けた者の理由別人員
総数 |
160,226 |
起訴猶予 |
112,809(70.4%) |
嫌疑不十分 |
31,668(19.8%) |
告訴の取り消し等 |
7,478(4.7%) |
心神喪失 |
507(0.3%) |
その他 |
7,764(4.8%) |
この記事では、以下の3点について解説します。
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起訴猶予とは、前述した通り不起訴処分の一種です。
犯罪を行ったであろう証拠も十分にあり、起訴することも可能ですが、検察の裁量により、諸事情(被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、示談成立などの情状など)を考慮して起訴しないことです。
起訴できる事件に対し、様々な事情を考慮して、起訴に猶予を設けると考えれば、わかりやすいでしょう。
起訴猶予処分が下されれば、刑事裁判が行われることはありませんし、前科がつくこともありません。
また、起訴猶予によって刑事手続は終了しますので勾留(身柄拘束)が行われている場合は身柄を解放されます。
裁判で正式に無罪を勝ち取ったわけではないので無罪とは違います。
また、起訴猶予処分の場合も前歴は残りますので、再度刑事手続に服することになった際に不利な事情として取り扱われる可能性があります。
ここでは起訴猶予と似ている語句について解説します。
執行猶予とは、刑事裁判で有罪を受けた場合に、情状を考慮して刑の執行までに猶予期間を設け、その猶予期間が過ぎれば刑の執行を行わないとする制度です。
同じ“猶予”がつく言葉なので混同されるかもしれませんが、執行猶予は刑事裁判で裁判官から下される判決です。
起訴猶予は“刑事裁判を行うための手続きである起訴” をしないとする検察の処分を指します。
犯罪を行ったであろうと考えられる疑わしい人物が、有罪か、無罪か、刑罰をどうするのかを決するために、刑事裁判を求めることを起訴と言います。
その反対で、刑事裁判を求めない処分が不起訴です。
不起訴になる理由には、真犯人が発覚した場合などに下される『嫌疑なし』、疑わしいが証拠が十分でない場合は、『嫌疑不十分』、そして起訴することができるものの、諸事情を考慮して起訴しない『起訴猶予』などがあります。
いずれも、起訴する権利を有する検察が、起訴・不起訴の判断を下します。
処分保留とは、勾留期間満期までに十分な証拠が揃わなかった場合などに、起訴・不起訴の判断を保留として、身柄を解放することです。
被疑者の身柄を留置所に拘束する“勾留”は、人権に配慮し身体拘束期間が10日間から20日間と定められています。
検察はそれまでに起訴・不起訴の判断を下さなければなりません。
処分保留は、勾留満期までに起訴・不起訴の判断ができない場合に一旦判断を保留し、身柄を解放する手続です。
そのため、その後の捜査の状況によっては起訴される可能性が残されています。
起訴猶予と似ていますが、起訴猶予は不起訴処分の一種です。不起訴処分の場合はその後処分が撤回されて起訴されるということはほぼありません。
いずれも前科はつきませんが、逮捕され捜査対象になった前歴はつきます。
起訴猶予は、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、示談成立などの情状を考慮し、下される処分です。
事件の軽重はもちろん、検察の裁量によるものなので、確実に起訴猶予処分が下されるとは限りません。
しかし、罪を認め、しっかりと反省を行う、弁護士に弁護を行ってもらう、示談を行う、再犯防止を講じるなどで、起訴猶予処分が下される可能性が高まるかもしれません。
しっかりと反省を行うことは前提ですが、弁護士に相談をし、被害者と示談を行う、また家族に監視してもらうなど再発防止方法を伝えることも重要です。
起訴猶予がどういった処分なのかお分かりいただけたでしょうか。早期に身柄だけ解放されたいのであれば、前科がつきますが、略式起訴を受けるという方法もあります。
ただ、刑事事件は限られた時間の中で進行していくため、早期に弁護士へ相談することが重要です。
弁護士へ相談することで、示談を行ってくれる、不起訴処分が下される、長期勾留されない、家族と接見ができるようになる、適切な量刑が下されるなどが期待できるでしょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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