医療訴訟の費用一覧|弁護士がいないと勝訴は難しい理由

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
医療訴訟の費用一覧|弁護士がいないと勝訴は難しい理由

医療訴訟とは、医療事故や医療過誤によってあなた自身もしくは、あなたの家族が後遺症を患う、または死亡したときに病院側の非を認めさせ慰謝料等を支払ってもらうために行うものです。

統計によれば、日本国内で発生した医療事故件数は、2005年から2014年までの間で2.6にも増えていることが分かります。医療事故の被害に遭われ苦しんでいる方はたくさんいるのです。
医療訴訟の費用一覧|弁護士がいないと勝訴は難しい理由医療訴訟の費用一覧|弁護士がいないと勝訴は難しい理由
参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構

もし、医療事故や医療過誤の被害に遭って訴訟を起こした場合、一体どのくらいの費用がかかるのでしょう。また、医療訴訟で勝つために必要な知識があれば心得ておきたいところです。

そこで今回は、医療訴訟を起こした場合にかかる費用の一覧と、確実に勝訴したい人が押さえておくべき知識についてまとめました。

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医療訴訟には必ず弁護士をつけるべき理由

弁護士がいなくても訴訟を起こすことは可能です。しかし、あなたに優位な判決を望むなら弁護士をつけるべきだと言えます。その理由を以下にまとめました。

訴訟件数と勝訴率

医療訴訟件数と勝訴率についてグラフにまとめました。訴訟件数は、2007年を境に減少傾向にありますが、2000年頃に比べて倍近く増えていることが分かります。

訴訟件数と勝訴率参照元:医療事故の法律相談|学陽書房

医療訴訟における勝訴率は、年を追うごとに下がっています。昔に比べて医療訴訟で勝訴することが難しくなってしまったのでしょうか。実は最近、勝訴ではなく和解による解決が増えていることが勝訴率減少の要因に挙げられます。

訴訟件数と勝訴率参照元:医療事故の法律相談|学陽書房

グラフで見ると、微増ではありますが和解による解決率が上がっています。2006年以降は50%を超えており、医療訴訟の約半数は和解で訴訟を終わらせていることになります。数値からみて医療訴訟の勝訴は容易ではないと、お分かりいただけるのではないでしょうか。

もし、勝訴を目指して訴訟を起こすのであれば、相当の準備と戦略的なプラン作りに加え医療の知識が求められるでしょう。そういう意味で、無理に一人で対応しようとはせず弁護士に依頼するのが得策だと言えます。

訴訟件数と勝訴率参照元:医療事故の法律相談|学陽書房
  

審理期間の目安

ちなみに、医療訴訟を起こした場合どのくらいの期間がかかるのでしょうか。平均的な期間として2と言われています。昔と比べて審理期間は短くなっていますが、それでも2年という期間は決して短いとは言えません。

【医療訴訟の審理期間目安】

1998年 35.1ヶ月
1999年 34.5ヶ月
2000年 35.6ヶ月
2001年 32.6ヶ月
2002年 30.9ヶ月
2003年 27.7ヶ月
2004年 27.3ヶ月
2005年 26.9ヶ月
2006年 25.1ヶ月
2007年 23.6ヶ月
2008年 24.0ヶ月

参照元:医療事故の法律相談|学陽書房

弁護士がいないと医療訴訟での勝訴は難しい

医療訴訟で勝訴を目指す際、弁護士をつけないと現実的に難しい理由を以下にまとめました。基本的に、医療事故に関する証拠は病院側が保持しており、被害者側に医学的知識がないため弁護士なしでの勝訴は難しいでしょう。

  1. 病院側のミスだと医学的に証明するのが難しい
  2. 素人が医療のプロ相手に医療ミスを立証するのは難しい
  3. カルテなどの治療記録は病院側が保持しているため改ざんの恐れがある
  4. 素人で協力医を確保するのは簡単じゃない

医療訴訟の流れとかかる費用

次に、医療訴訟の流れとかかる費用について確認していきましょう。慰謝料請求する目的を想定して、民事訴訟の流れと費用について以下にまとめています。

民事訴訟の流れ

民事訴訟の大まかな流れを図にまとめました。まず始めに訴状を作成し、管轄の裁判所に訴状を提出して訴えの提起をします。裁判所で訴状が受理されると口頭弁論を経て審理が行われ、判決が下されます。
民事訴訟の流れ

弁護士への相談と依頼

弁護士への相談料は、初回30分は無料であることが多いようです。しかし、依頼するか検討するため、数回相談することを考えると2~4万円ほどかかるのが一般的でしょう。依頼時の手数料は内容によって異なるため、それぞれ項目ごとにまとめました。

弁護士に依頼するベストなタイミングは?

改ざんなどの恐れがある場合、できるだけ早くに相談することが望ましいでしょう。

具体的には下記をご確認ください。

  • 病院や医師の説明に不信感を感じたとき
  • 医療訴訟を起こすと決めたとき
  • または証拠保全手続きをする前

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証拠保全手続き

証拠保全手続きとは、病院側でカルテやレントゲン写真などの治療記録の改ざんや、重要な記録だけ開示しないといったことがないよう病院側に求める手続きです。

個人でも、病院側にカルテなどの治療記録の開示を求めることができますが、改ざんなどを防ぐためにも証拠保全手続きを行うのが望ましいでしょう。

《証拠保全の依頼でかかる弁護士費用目安》
手数料 30万円~40万円程度
諸経費 3万円程度
実費 証拠保全申立費用(収入印紙代):2,000円程度
カメラマン費用(出張費・交通費・写真現像代などを含む)
交通費(裁判官面談をする場合)
弁護士への日当 1万円~5万円

過失調査

過失調査とは、病院側の医療行為に過失があったかどうか調査することを言います。つまり、医療ミスや医療過誤があったかどうかを調べるためのものです。医学知識が必要となるものですので、協力医など専門知識を有した人から見解をもらうことが大切です。

《過失調査の依頼でかかる弁護士費用目安》
手数料 15万円~20万円程度
諸経費 2万円程度
実費 意見書・鑑定意見書の作成費用
※分量が多い場合は増額
交通費(医師面談をする場合)
医師謝礼金:3万円~5万円程度
弁護士への日当 1万円~5万円

協力医への依頼

カルテやレントゲン写真などの治療記録を確認してもらい、矛盾しているところがないかなどの確認や、医療事故や医療過誤の疑いがあるかなどの見解をくれるのが協力医です。依頼した場合の費用は、1回の面談につき3~5万円の謝礼を支払うのが一般的でしょう。

示談交渉

病院側との示談交渉を、弁護士に依頼した場合の費用目安を以下にまとめました。弁護士に依頼せず、個人で交渉を行うことも可能ですが、門前払いとなる可能性も否定できません。費用がかかっても弁護士に依頼するのが得策です。

《示談交渉の依頼でかかる弁護士費用目安》
着手金 10万円~100万円程度
報酬金 示談金の15~30%(最低額25万円)

訴訟

医療訴訟を弁護士に依頼した場合の費用目安を以下にまとめました。弁護士費用は、病院側に求める慰謝料額によって着手金の額が変動します。慰謝料の請求額は、過去の裁判事例などを元に決めるのが一般的です。

《医療訴訟の依頼でかかる弁護士費用目安》
訴額 1,000万円以下 1,000万円超
着手金 約50万円~110万円程度 経済的利益の3%~5%
    +30万円~50万円程度
報酬金 経済的利益の10%~30% 経済的利益の10%~30%
    (最低額30万円~40万円)

訴訟手続きで費用が発生するもの

収入印紙 裁判所に提出する訴状に、被告に請求する慰謝料額に応じた金額分の印紙を貼るため
予納郵券 訴状等の裁判書類を相手方に送達する際に使用する切手のこと
証人・鑑定費用 証人尋問などで、証人や鑑定人を呼び出した場合は、日当などの費用を原告側が負担する必要がある

刑事責任を病院側に求める場合

刑事責任を病院側に求める場合
上図は、刑事事件として被害届を出した場合の流れをまとめたものです。刑事告訴の場合、あなたが被害届を出しても、起訴するかは検事の判断で決まるため必ず裁きにかけられるとは限りません。

裁判事例から見る医療訴訟の慰謝料相場

裁判事例や統計を元に、医療訴訟における慰謝料相場をまとめました。認められる慰謝料は、被害に遭われた状況や後遺症の度合いなどによって大きく変動するため、一概には言えない部分があります。あくまでも目安として捉えていただければ幸いです。

慰謝料相場

下図は、慰謝料額の割合をグラフにしたものです。最も多い慰謝料額は300~400万円で、その割合は26%となっています。医療訴訟を起こした場合の慰謝料相場は、300~400万円と認識しておくと良いでしょう。

慰謝料相場【参考書籍】「慰謝料算定の実務第2

裁判事例1:麻酔薬の過剰投与により患者が死亡し慰謝料300万円

82歳の男性が、大腿骨頸部骨折のため手術を行っていましたが、レントゲン室への移動途中に急性循環不全で死亡した判例です。

裁判の結果、手術の際に投与した麻酔薬の量が過剰だったこと、術後は患者を安静にさせる必要があったにもかかわらずレントゲン室へ搬送したことが病院側の過失として認められます。さらに慰謝料300万円の支払いが命じられました。

【福岡高判:平成19年5月29日 判夕1265・284】

裁判事例2:上顎癌の可能性を疑い転医を進めなかったため慰謝料500万円

60歳の女性が、鼻づまりや喉の痛みを訴え5年間もの間、同じ病院に通院していました。しかし、症状が回復しないことから患者自ら医学書を読んだところ、上顎癌の可能性に気づきます。

夫の勧めもあり転医すると、上顎癌と診断され手術を受けましたが死亡してしまったのです。裁判では、上顎癌の疑いがあると伝えなかったことや、精密検査ができる医療機関への転医を勧めなかったことが病院側の過失として認められ、慰謝料500万円の支払いを命じました。

【仙台地判:平成17年2月15日 判夕1237・294】

医療訴訟に強い弁護士を見つけるコツ

勝訴を目指すためには、医療訴訟に強い弁護士へ依頼することが必須です。そこで、医療訴訟に強い弁護士を見つけるコツをまとめました。

医療訴訟の解決実績が豊富なこと

弁護士の経験年数が長くても、医療訴訟の経験が豊富とは限りません。また、対応件数が多くても被害者側に有利な解決実績がなければ勝訴は難しいと言えます。医療訴訟の解決実績が豊富かどうかで判断しましょう。

協力医が確保されているかどうか

協力医とは、過失調査や訴訟の際にカルテなどの治療記録に矛盾点がないか、相手側の言い分に矛盾点がないかなど、医学の専門家視点で意見を述べてくれる医者のことを言います。

弁護士は法律のプロではありますが、医療の専門家ではありません。医療の専門知識を持った協力委などが確保されているかどうかも確認した上で依頼しましょう。

複数の弁護士に相談し比較する

良い弁護士に依頼するためには、複数の弁護士と比較することが非常に大切です。話をしっかり聞いてくれるか、状況を踏まえて見解や解決プランが提示できるかどうかを比較した上で最も良い弁護士を選択しましょう。

まとめ

医療訴訟の費用は決して安いものではありません。また、医療のプロを相手に訴えを起こすため、準備をしっかりした上で臨む必要があります。だからこそ、戦略的かつ親身に対応してくれる弁護士を見つけることが、勝訴を目指す上で重要なポイントとなるでしょう。

大きな出費が無駄にならないよう、あなたのサポートを全力でしてくれる弁護士に依頼することをおすすめします。そして、あなたに良い結果が訪れることを心より応援しております。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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編集部

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