医療事故の事例|医療過誤の疑いがある場合は一度専門家の見解を

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
医療事故の事例|医療過誤の疑いがある場合は一度専門家の見解を

医療事故は、どのような状況や原因で発生してしまうのでしょうか。様々なケガや病気を持った患者さんを看る医療現場では、ひとつのミスが患者の命にかかわる事故となり得るケースも少なくありません。

そこで今回は、過去の事例を元にどんな医療事故が発生しているか、事故件数や慰謝料の相場、考えられる原因などについてご紹介します。

※医療機関の人為的な過失によって発生した医療事故を「医療過誤」といいますが、本記事では「医療事故」で統一します。

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医療事故の発生件数と原因|事例から見る慰謝料の相場

医療事故とは、予期せずに患者にケガや病気などの損害を与えることを言います。万が一、あなた自身もしくは親族や友人が医療事故に遭い訴訟を起こす場合、以下の項目を元に病院や医師と争うことになります。

  • 注意義務を怠っていたか?(過失や違法性がないか)
  • 医療行為と起きたケガや病気との因果関係
  • 患者がどんな損害を受けたか

医療事故の発生件数

医療事故の発生件数医療事故の発生件数

実際にどのくらいの医療事故が発生しているのでしょうか。上記の図を確認すると、年々医療事故の件数が増加していることが分かります。2005年は1,265件だった報告数は、2014年には3,194件となっており、10年の間に3倍近くに増加しています。医療事故は人ごとではなく、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないと言えるのではないでしょうか。

参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構

医療事故による慰謝料相場

医療事故による慰謝料相場医療事故による慰謝料相場

医療事故によって認められる慰謝料の相場は、平均すると400万円ほどと言われています。しかし、起きた医療事故の内容などによって、大きく額が異なってきます。特に、過失の内容が悪質患者の年齢が若い死亡したなどの場合は、高額な慰謝料が認められやすいようです。

【参考書籍】「慰謝料算定の実務第2版

医療事故によりケガや病気を起こした事例

医療事故によりケガや病気を起こした事例

医療事故により、患者にケガや病気が生じた、もしくは後遺症を患うことになった事例をご紹介します。どの事例も、確認不足や不注意によって発生し、患者に大きな損害を与える結果となっています。

クリッピング手術で確認を怠り重度の後遺障害を発症

クリッピングという開頭手術で、使用するクリップが他の血管を挟んでいないかなどの確認を怠り、患者が脳梗塞による重篤な後遺障害を患うことになりました。裁判で、手術中の注意義務違反が原因だと認められ、病院側が損害賠償責任を負う判決となっています。

【京都地判 平成12年9月8日 判夕1106号196頁】

疾患の特定がないまま抗生剤が投与され後遺症を発症

血液培養や心エコー検査で、疾患の特定をしないまま抗生剤が継続的に投与された結果、後遺症が残ったケースです。抗生剤を投与され続けた患者は、背部痛や腰痛を訴えるようになり、数ヶ月後に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症しました。転院し、脳動脈瘤の手術を受けましたが、重度の障害が残ったため訴訟に至った事例です。

【東京地判 平成14年11月21日 判夕1160号185頁】

体に侵襲の危険性があると説明せずに手術し右足趾全部切断

人工透析中の糖尿病患者が、閉塞性動脈硬化症の診断を受け、確認のために心臓カテーテル検査を行うことになりました。その際、右膝窩動脈に血栓症を発症し、右足趾全部切断となってしまったのです。裁判では、検査に適応できるかの確認とリスク説明を行っていなかったと判断され、医療事故として認められた事例です。

【大阪地判 平成14年11月29日 判時1821号41頁】

内視鏡検査により発症率が極めて低い大腸穿孔が生じた

定期検診で、大腸ファイバースコープによる大腸検査を受けた患者に、0.051%の発症率と言われる「大腸穿孔」が生じたという事例です。特に、大腸検査で発症する確率は極めて低いとされていることから、医師の手技に過失があったと認めざるを得ないと判断されました。

【神戸地判 平成16年10月14日 判時1888号122頁】

消化管の縫合不全により患者の栄養状態に異常が発生

食道アカラシア手術が原因で、消化管の縫合不全という別の病気を発症させた事例です。消化管の縫合不全があると、患者の栄養状態に異常が生ずると言われています。本件では、手術前の検査で、栄養状態に異常が見られなかったため、執刀した医師の技術的な不備が認められることになりました。

【広島地判 平成12年1月19日 判夕1077号260頁】

【参考書籍】「医療事故の法律相談(全訂版)

医療事故により死亡した事例

医療事故により死亡した事例

続いて医療事故によって、患者が死亡した事例を確認してみましょう。以下に挙げた医療事故の死亡例は、いずれも確認不足や不注意が原因となっているようです。

胃がん手術時に腹膜炎を見逃し死亡

胃がんの手術を受けた患者が、退院直後から腹痛を訴えたため再入院となり、その22日後に腹腔内膿瘍による敗血症で死亡した事例です。

裁判によって、消化管穿孔による細菌性腹膜炎を発症していたことを医師が見逃し、これに対応するための手術をしなかったことが原因と認められました。その際、慰謝料2,500万円の支払いが命じられています。

【東京地裁 平成15年3月12日 判夕1185号260頁】

血糖と血圧のコントロールをしておらず人工透析患者が死亡

人工透析を受けていた患者が、慢性腎不全で死亡し、その原因が医療事故であることが認められた事例です。裁判では、患者が糖尿病性腎症を発症していることを疑いつつも、必要な検査をせず、血糖と血圧のコントロールをしなかったことが過失と認められました。さらに、1,600万円の慰謝料支払いを命じられています。

【東京地判 平成15年5月28日 判例秘書05832198】

仮死状態の乳児の経過観察を怠り死亡

仮死状態で生まれた1歳の乳児が、自発的な呼吸ができない状態が続いたことが原因で死亡した事例です。裁判では、分娩監視装置を装着して乳児の経過観察をすることを怠ったことが認められ、死亡した乳児に1,800万円、乳児の父母にそれぞれ200万円の慰謝料が認められました。

【神戸地判 平成15年9月30日 判夕1211号233頁】

子宮頸がん検査が適切に行われておらず死亡

患者が子宮頸がん検査を受けていたにもかかわらず、子宮頸がんで死亡した事例です。裁判では、病院側が適切な方法で検体の採取をしなかったことで子宮頸がんの発見が遅れ、死亡に至ったと認められました。

【東京地判 平成16年6月24日 判例秘書05932633】

尿管結石で入院した患者の重症度を把握しておらず死亡

尿管結石・腎結石で入院中の患者が、病院側で重病だと認識していなかったため、入院からわずか3日後に急性心不全で死亡した事例です。血液検査の結果を見て再検査の判断をせず、患者の腎機能の状態を把握しようとしなかったことが過失として裁判で認められました。

【水戸地判 平成17年3月29日 判夕1251号291頁】

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事例から見えた医療事故の原因4つ

事例から見えた医療事故の原因4つ

事例から見えた医療事故の原因を確認してみましょう。医療事故を招く主な原因は4つあります。

適切な検査ができていなかった

ガンなどの検査を受けたにもかかわらず、適切な検査ができていなかったために発見が遅れ、症状の悪化や死亡に至るケースです。また、再検査の促しをしなかったことで、症状の悪化や死亡に至るケースも同様です。

経過観察を怠る

入院や検査後、患者の経過観察を怠ったために、症状が悪化してしまうケースです。また、経過観察が必要な数値の推移を把握していなかったことで、症状の悪化や死亡に至るケースも挙げられます。

医師の技量不足

医師の技量不足によって、医療事故が起きるケースです。例えば手術中、他の箇所に腫瘍があったことに気づかず、そのままにしてしまうケースが挙げられます。

ヒヤリ・ハットの分析を怠っていた

ヒヤリ・ハットとは、医療事故になる前に気づいた間違いやミスのことです。ヒヤリ・ハットを定期的に収集し、分析、再発防止の手立てを考えて共有することで医療事故の防止策になります。

しかし、このヒヤリ・ハットの分析を怠っていたために、同様のミスが発生して医療事故となるケースがあるようです。

医療事故で提訴する際の手続き

医療事故を理由に、提訴する際の手続きを確認していきましょう。具体的には、提訴後に被害者と加害者の主張を裁判所が取りまとめ、食い違っている点を洗い出し、証拠や調査の結果を元に審理を行い、判決を下すという流れとなります。

医療事故で提訴する際の手続き

提訴

医療事故の被害者またはその親族が、裁判所に提訴の手続きを行います。訴状には、「なぜ訴訟を起こしたのか」「被告に求める慰謝料額や対応についての要望」などを記載して提出します。

主張や争点の整理

原告側の主張内容と、被告の主張内容が記載された答弁書や準備書面を元に、裁判所で食い違いが起きている箇所を洗い出し「争点の整理」を行います。このとき、診察記録や医学文献などの資料などがあれば合わせて提出してもらいます。

尋問による証拠調べ

争点をまとめ、書類の証拠調べをした後、原告や被告、関係者に尋問を行います。医療事故の内容などによっては、協力医に尋問をして、それぞれの主張に対する見解などの確認を行うケースもあります。

鑑定と審理

医療事故の内容によっては、裁判所が選任した医学的知識のある専門家に鑑定を依頼します。その後、原告と被告の主張や専門家からの鑑定結果、調査によって得られた証拠を元に、裁判所側でどのような判決を下すか審理を行います。

判決

裁判官が原告と被告に判決を下します。判決が言い渡されるまで、原告と被告の弁論が終了してから2~3ヶ月ほど期間が空きます。裁判官が下す判決によって、原告と被告の人生や環境などを大きく変えることになるため、慎重な判断が求められているのです。

状況によっては和解で解決も

裁判を勝ち取るための証拠が不十分な場合や、裁判が長期化することを避けたい場合は「和解」を解決として進めるケースがあります。和解で解決できると、被告側からの謝罪を受けられる可能性があるため、あえて和解に持ち込む人もいるようです。

まとめ

過去事例から医療事故の多くは、確認不足や管理業務を怠るなどの不注意から起きるケースが多いことが分かりました。必ずしも、「自分は大丈夫」と言えず、あなたや大切な家族などが医療事故に遭う可能性も否定できません。

事故を起こさないためには、医療に従事する者たちが確認や管理業務の重要性を理解し、徹底することが重要だと言えます。患者となる側は、信頼のおける医療機関で治療を受けることを心がければ、医療事故の回避に繋がるでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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