医療過誤の示談成立までの流れとは?請求できる賠償金の相場

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
医療過誤の示談成立までの流れとは?請求できる賠償金の相場

誤診・手術ミス・投薬ミスなどによって怪我や後遺症などの損害が生じた場合は、病院に対して損害賠償請求を行うことで損失の補填を受けられる可能性があります。例として、以下のようなケースにより健康被害を受けたということがあれば、病院に対する損害賠償請求を検討する余地があるかもしれません。

・くも膜下出血を発症しているにもかかわらず片頭痛と診断された

・体内にガーゼを置き忘れたまま縫合された

・患部とは違う箇所を切除された

・深刻な副作用のある薬を処方された

医療ミスについて病院に対して損害賠償を求めていくに当たり、民事訴訟によりこれを求める方法と訴訟外での交渉によりこれを求めていく方法の2通りがあります。いずれの方法により対応するべきかはケース・バイ・ケースであり一概にはいえません。そのため、どのように対応するべきかは事実関係を踏まえた、慎重な判断が必要です。

この記事では、医療過誤について病院側に損害賠償を求めるに当たり留意するべきポイントやこのような処理を弁護士に依頼するメリットなどについて解説していきます。

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医療過誤の示談交渉成立までの流れ

実際に医療過誤の被害を受けたという場合、どのような流れで病院に対して賠償を求めていけばよいのでしょうか。実際にはケース・バイ・ケースの部分が多いと思われますが、一般的な流れを以下紹介します。

弁護士と相談したのち依頼先を決定

医療過誤事件は事件の中でも極めて処理が難しいものと考えられています。病院側に的確に賠償を求めるためには、法律的な知識・経験は固より、医学的な知識・経験が必要となります。

そのため、素人がやみくもに進めても決してうまくいくことはないでしょう。医療過誤について病院側に賠償を求めたいと考えているのであれば、まずは医療過誤の問題解決を得意とする法律事務所から探す必要があります。探し方としてはインターネットを通じて探す方法が一般的でしょうが、信頼できる先からの紹介を受けるのがベストです。

このような法律事務所が運良く見つかった場合には、まず弁護士に具体的な事実経緯を伝えて、そもそも病院側の責任を問える事案であるかどうかについて見通しを確認しましょう。もし病院側の責任を問う余地がないのであれば、無理に請求することを諦めることも検討するべきです。

他方、責任を問う余地がある場合、どのような責任をどの程度問う余地があり、その場合に補償される金額はどの程度となるのか、弁護士費用はどの程度かかるのか、実際に請求が認められる可能性は高いのか低いのかなどの細部をよくよく相談するべきでしょう。

証拠になりそうな資料の収集

医療過誤について病院側に対して賠償金を請求するには、請求内容を裏付ける証拠が必要となります。このような証拠収集についても、依頼先の弁護士のアドバイスに従って進めるべきですし、場合によっては証拠収集自体を弁護士に委ねることも必要でしょう。

一例として、病院側が保管している医療記録(カルテ)を証拠として押さえる場合には、病院に対して個人情報保護法に基づいて診療記録の開示請求を行うことが一般的です。

しかし、病院側がカルテの破棄や改ざんをする恐れがあるような場合には、裁判所に証拠保全の申立を行い、同手続を通じて証拠を押さえるという方法も検討することになります。いずれの方法が妥当かはケース・バイ・ケースであるため、弁護士に相談しながら進めるべきでしょう。

証拠に基づく検討

患者側でできる限り関係資料を集めることができれば、弁護士において当該関係資料を踏まえて病院側の責任の有無・程度について詳細な検討を行うのが一般的です。この場合、弁護士だけでは医学的分野について知見が不足するため、協力医の支援を受けるのが通常でしょう。

医療事件を得意とする法律事務所であれば、協力医は弁護士側で見つけてくれるのが通常でしょう。他方、そのような事務所でなければ協力医は弁護士ルートで見つけるのは困難であり、依頼者側で見つけるしかないと思われます(無論、これが困難であることは言わずもがなです)。

病院側との協議

患者側が病院側と協議の場を設ける場は主に2つ考えられます。1つは、医療過誤について病院側の見解・説明を受けるための協議の場を設けることです。もう一つは患者側の見通しに基づく請求について協議の場を設けることです。

前者協議では、医療行為についての病院側の見解について説明を受け、患者側は不明点を指摘して追加説明を求め、病院側がこれに対応するというやり取りが一般的でしょう。患者側としては当該協議を通じて、上記検討について更に確度を高めていくことが期待できます。

後者協議では、病院側に患者側の請求内容をぶつけ、病院側として補償に応じることができるか、応じることができるとしてその範囲はどこまでかということが検討されます。

仮に病院側が一定の補償に応じ、患者側もそれに納得できる場合には、協議が妥結して解決・終了となるでしょう。他方、そのような妥結に至らない場合には、協議での解決は困難であるとして、訴訟手続に進むことを検討せざるを得ないと思われます。

訴訟の提起

訴訟を提起する場合には、原告(患者側)が請求の原因となる事実経過を記載しつつ、法律的な請求根拠となることを整理して主張する訴状その他主張書面を作成し、裁判所に提出する必要があります。

また、訴訟手続で請求を認めてもらうためには主張内容を裏付ける証拠も裁判所に提出する必要があります。更に、被告側の反論を踏まえて争点を整理し、争点について原告側の主張・証拠を整理して提出するということを繰り返すことになります。

このような訴訟対応は簡単な事件であっても素人では対応は難しく、医療事件であれば事実上不可能であると思われます。

したがって、このような訴訟対応は医療事件を専門とする弁護士に全面的に委ねる必要があろうかと思われます。なお医療訴訟については訴訟提起から判決が下されるまで平均2年と通常事件よりも長期化するとの統計データもあり、依頼者本人には時間的、精神的、経済的に大きな負担がかかることが予想されます。

和解

裁判手続の中で、双方の主張・立証がある程度出揃ったタイミングで、裁判所が和解による解決を提案することはよくあることです。そのため、医療訴訟を提起しても必ず判決まで進むとは限らず、双方が納得して和解により終了することもあり得ます。

なお裁判所が公開している「医事関係訴訟事件の終局区分別既済件数及びその割合」によると、2018年に行われた医療訴訟のうち約52%が和解にて解決しているようです。

医療過誤の被害者が請求する賠償金の内訳

医療過誤により被害を被った患者側の損害は積極損害・消極損害・精神損害(慰謝料)に区分することができます。ここでは各損害の内訳について具体例を挙げつつ簡単に説明します。

積極損害

医療過誤が起きなければ、被害者が支出しなかったであろう費用のことを積極損害と呼びます。例として、以下のような費用が該当します。

項目

内容

治療費

医療過誤を原因とする怪我等の治療に要した費用

付添看護費

入通院にあたって付添人が必要な際に認められる費用

1日あたり6,500円(入院)又は3,300円(通院)で計算

入院雑費

衣類代・新聞代・通信費などに要した費用

通院交通費

病院に通う際の電車代・バス代・タクシー代など

装具・器具等購入費

車イス・義手・義足などの購入に要した費用

葬儀関係費用

被害者の葬儀などの執行に要した費用

消極損害

医療過誤が起きなければ本来受け取れるはずだった利益について生じた損害のことを消極損害と呼びます。このような消極損害としては、休業損害、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益などが挙げられます。

休業損害

医療過誤による傷病によって就労困難となった場合に本来受け取れるはずだった収入が得られなくなったことに伴う損害のことを休業損害と呼びます。休業損害については以下の式で計算されます。

休業損害=1日あたりの基礎収入(※)×休業日数

1日あたりの基礎収入の計算方法例

  • 会社員:直近3ヶ月の収入÷90(稼働日数で割る場合もあり)
  • 自営業:前年度の所得及び固定費÷365
  • 専業主婦:その年の女性の平均年収(賃金センサス参照)÷365
  • アルバイト(勤務形態固定):時給×労働時間
  • アルバイト(不定期):直近3ヶ月の平均日給÷直近3ヶ月の平均勤務日数

後遺障害逸失利益

医療過誤により傷病を負ってしまい、治療の甲斐なく一定の後遺症が残ったことにより、労働能力の全部又は一部が喪失されたことに伴う損害のことを後遺障害逸失利益と呼びます。後遺障害逸失利益については以下の式で計算されます。

後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間×ライプニッツ係数

※基礎収入:事故前の被害者の年収

労働能力喪失率

後遺障害等級

労働能力喪失率

後遺障害等級

労働能力喪失率

第1級

100%

第8級

45%

第2級

100%

第9級

35%

第3級

100%

第10級

27%

第4級

92%

第11級

20%

第5級

79%

第12級

14%

第6級

67%

第13級

9%

第7級

56%

第14級

5%

ライプニッツ係数

喪失期間(年)

ライプニッツ係数

喪失期間(年)

ライプニッツ係数

1

0.9524

18

11.6896

2

1.8594

19

12.0853

3

2.7232

20

12.4622

4

3.546

21

12.8212

5

4.3295

22

13.163

6

5.0757

23

13.4886

7

5.7864

24

13.7986

8

6.4632

25

14.0939

9

7.1078

26

14.3752

10

7.7217

27

14.643

11

8.3064

28

14.8981

12

8.8633

29

15.1411

13

9.3936

30

15.3725

14

9.8986

31

15.5928

15

10.3797

32

15.8027

16

10.8378

33

16.0025

17

11.2741

34

16.1929

喪失期間(年)

ライプニッツ係数

喪失期間(年)

ライプニッツ係数

35

16.3742

52

18.4181

36

16.5469

53

18.4934

37

16.7113

54

18.5651

38

16.8679

55

18.6335

39

17.017

56

18.6985

40

17.1591

57

18.7605

41

17.2944

58

18.8195

42

17.4232

59

18.8758

43

17.5459

60

18.9293

44

17.6628

61

18.9803

45

17.7741

62

19.0288

46

17.8801

63

19.0751

47

17.981

64

19.1191

48

18.0772

65

19.1611

49

18.1687

66

19.201

50

18.2559

67

19.2391

51

18.339

 

 

死亡逸失利益

医療過誤によって被害者が死亡してしまったことで、生存していれば将来得られるはずであった収入を得られなくなったことに伴う損害のことを死亡逸失利益と呼びます。死亡逸失利益については以下の式で計算されます。

死亡逸失利益=基礎収入×労働能力喪失期間×ライプニッツ係数×(1-生活費控除率)

※生活費控除率:生存していた場合に生活のために支出したものと考えられる一定割合(実際のところは調整的な意味合いが強い)

生活費控除率

被害者の立場

生活費控除率

男性(未成年も含む)

50

女性(主婦や未成年も含む)

30

一家の支柱(被扶養者が1人の場合)

40

一家の支柱(被扶養者が2人以上の場合)

30

精神損害(慰謝料)

慰謝料は、加害者側の違法な行為により被害を受けた被害者の精神的苦痛を慰謝する金銭です。例えば、医療過誤事案において被害者が一定の傷病を負ってしまい、治療を余儀なくされたとか、後遺症を負ったとか、死亡したという場合には、それぞれ入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料などが請求できます。

ここでは、一般財団法人厚生労働統計協会が公開している「医療経営からみた医療事故および必要となる費用に関する研究」をもとに、それぞれの相場額もあわせて紹介します。

入通院慰謝料

医療過誤によって入通院を余儀なくされた際に請求できるのが入通院慰謝料です。入通院慰謝料については、入院期間・通院期間を基準に金額を算定するのが通常です。

期間

入院期間

通院期間

1ヶ月

30万円

20万円

3ヶ月

90万円

50万円

6ヶ月

150万円

90万円

12ヶ月

210万円

120万円

15ヶ月

230万円

120万円

後遺障害慰謝料

医療過誤にて負った傷害が完治せずに後遺症として残り、後遺障害として等級認定を受けた際に請求できるのが後遺障害慰謝料です。後遺障害慰謝料については認定される等級の程度によって金額を算定するのが通常です。

後遺障害等級

金額

第1級

2,800万円

第2級

2,400万円

第3級

2,000万円

第4級

1,650万円

第5級

1,400万円

第6級

1,200万円

第7級

1,000万円

第8級

820万円

第9級

650万円

第10級

530万円

第11級

400万円

第12級

280万円

第13級

180万円

第14級

110万円

死亡慰謝料

医療過誤が原因となって、被害者が亡くなった際に請求できるのが死亡慰謝料です。死亡慰謝料については、被害者が家庭内でどのような立場にあったのかによって金額を算定するのが通常です。

被害者の状況・家庭内の立場

金額

一家の支柱(夫や妻など)

2,800万円

配偶者や母親

2,400万円

独身者や子供など

2,200万円

医療過誤の裁判例

ここでは、医療過誤について裁判で争われた事例を3つ紹介します。

鼓膜穿孔の手術を受けたが改善せず味覚障害を発症した事例

A病院にて、中耳炎を原因とする鼓膜穿孔について鼓膜形成術が実施されたものの症状が改善せず、さらに味覚障害を発症したことから、被害者がA病院を開設する医療法人に対して、損害賠償を求める訴訟を起こした事例です。

裁判所は「A病院には手術にあたって『味覚障害を発症する危険性があること』や『聴力の改善は期待できないこと』などの説明義務があったにもかかわらず怠っており、これらを説明していれば、被害者が手術を受けることはなかった」として、被害者が被った損害について賠償する義務があることを認めました。

その結果、医療法人に対して約760万円(後遺障害逸失利益:約389万円、後遺障害慰謝料:180万円、傷害慰謝料:120万円、弁護士費用:70万円、治療費:約7万円)の支払いが命じられました。

「東京地裁平成16年11月11日(Westlaw Japan 文献番号 2004WLJPCA11110001)」

食道がんの手術時に頸動脈を損傷して失血死した事例

A病院にて、食道がんの手術時に気管切開術を実施した際、頸動脈を切断して失血死したことから、被害者の遺族がA病院を開設する学校法人に対して損害賠償を求める訴訟を起こした事例です。

裁判所は「A病院には気管切開術の際に『頸動脈を損傷しないよう慎重にメス操作を行うべき』という注意義務があったにもかかわらず、これを怠っていた」として、被害者が被った損害について賠償する義務があることを認めました。

その結果、学校法人に対して約2,500万円(慰謝料:2,000万円、弁護士費用:220万円、葬儀費用:150万円、逸失利益:約100万円)の支払いが命じられました。

「東京地裁平成18年2月23日(Westlaw Japan 文献番号:2006WLJPCA02230005)」

適切な問診や検査が行われず、くも膜下出血により死亡した事例

激しい頭痛と嘔気を訴えてA病院で診察を受けたものの「くも膜下出血ではない」と誤診されてしまい、診察を受けた4日後にくも膜下出血により死亡したことから、被害者の遺族が担当医に対して損害賠償を求める訴訟を起こした事例です。

裁判所は「A病院には『くも膜下出血であるかどうか確認すべき』という注意義務があったにもかかわらず、十分に問診を行わずCT撮影を不要と判断するなどして義務を怠っていた」として、被害者が被った損害について賠償する義務があることを認めました。

その結果、担当医に対して約7,000万円(死亡逸失利益:約3,600万円、死亡慰謝料:2,600万円、弁護士費用:約600万円、葬儀費用:100万円)の支払いが命じられました。

「大阪地裁平成15年10月29日(Westlaw Japan 文献番号: 2003WLJPCA10290025)」

医療過誤の示談に向けて知っておくべきポイント

医療過誤の被害者は、以下で解説するポイントについて抑えておきましょう。

医療事件はそもそも難しい

医療事件は、法的な専門知識・経験だけでなく、医学的な専門知識・経験も必要となるため、一般的な事件に比して事件の難易度は格段に高いと言われています。

また、医療事件について、病院側の責任を基礎づける可能性のある資料は、概ね病院側が保管・管理しており、患者側がこれを入手することがそもそも困難であるという問題もあります。

したがって、医療事件については、素人が独力で対応する余地は事実上皆無であり、弁護士や医師の協力を得ながら進めざるを得ないといえるでしょう。

医療過誤の場合にお損害額の考え方

病院側に対して請求できる賠償金はケースによって大きく異なります。例えば、被害者の傷病や死亡についての損害賠償を請求する場合、被害者の年齢、職業、家族構成といった被害者側の属性により損害額は大きく変動します。

加えて、医療過誤の場合は病院側の責任、被害者側の素因、因果関係の範囲など賠償額を左右する考慮要素が多々あります。したがって医療事故の場合に被害者側が補償されるべき損害がどの程度となるかを的確に算定することは非常に困難です。

当該観点からも、医療事故について損害賠償請求をするのであれば、弁護士のサポートは必須と言えます。

賠償金を請求できる期間には時効がある

病院側に対する損害賠償請求権には、権利が消滅する期間(消滅時効)があります。消滅時効が成立してしまうと請求権が消滅してしまい、病院側に賠償を求めることは法律上不可能となりますので注意しましょう。

時効期間は請求する権利を債務不履行と構成するか、不法行為と構成するかで異なります。まとめると以下の通りです。

なお、2020年4月1日以降に発生した医療事故については、改正法が適用されますので注意しましょう。

 

不法行為による損害賠償請求権

債務不履行による損害賠償請求権

現行民法

(2020年3月31日まで適用)

・加害者を知ったときから3年

・不法行為のときから20年

(民法第724条)

・債権者が権利を行使することができるときから10年

(民法第167条)

改正民法

(2020年4月1日より施行)

・損害の発生および加害者を知ったときから5年

・不法行為のときから20年

(民法第724条の2)

・債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年

・債権者が権利を行使することができるときから20年

(民法第167条)

医療過誤事件が得意な弁護士に依頼する3つのメリット

医療事故を得意とする弁護士に対応を依頼場合、以下のようなメリットが望めます。

医療事故への対応には弁護士への依頼が事実上必須といえますが、得意ではない弁護士に依頼してもこのようなメリットを享受できることは少ないので、依頼の際は十分に注意しましょう。

必要な資料について的確なアドバイスが期待できる

医療過誤の解決が得意な弁護士であれば、医療の現場でどのような資料が作成されているかについて一定の知見があります。そのため、当該知見に基づいて準備・用意するべき資料について的確なアドバイスをしてくれることが期待できます。

また、実際に資料収集を行う段階でも、このように医療過誤に注力している弁護士であれば手続に慣れていますので、スムーズな証拠獲得が期待できますし、病院側におかしな動きがあればタイムリーに証拠保全を申し立ててくれることも期待できます。

協力医とのスムーズな連携対応が望める

医療過誤トラブルの解決にあたって、協力医の存在が必要不可欠といえます。

医療事故を得意とする弁護士であれば、普段から協力関係にある協力医が複数いることが予想されるため、協力医のサポートを得るのもスムーズでしょう。

交渉や裁判を一任できる

医療事故の場合に、訴訟手続前に病院側と一定の折衝が予想されることは上記のとおりです。素人がこのような折衝に参加しても、何が何やらわからずほとんど意味がなかったということは往々にしてあり得ます。

医療事故を得意とする弁護士であれば、このような折衝について的確に対応することができ、実益のある協議の場となることが期待できます。

また、病院側と折衝しても協議が調わなかった場合には病院側に対して訴訟提起により責任を追及していくことになりますが、この場合も医療事故を得意とする弁護士であれば、スムーズな訴訟移行が期待できます。医療事故訴訟はそれ自体長期化する傾向にありますので、訴訟前の段階で手間取ることは依頼者にとって大きなストレスとなってしまうこともあるでしょう。

医療事故を得意とする弁護士であればこのようなストレスをあまり感じることなく、事件処理を任せられるかもしれません。

医療過誤の示談にかかる弁護士費用の相場

医療過誤について、弁護士に解決を依頼した際の費用相場を確認してみましょう。弁護士費用の主な内訳としては、相談料・着手金・成功報酬などが挙げられます。

ただし医療事故については事件の難易度がケースによって大きく異なりますし、一般的には難事件の部類に入るものとして通常よりも弁護士費用は高めに設定される場合が多いと思われます。以下はあくまで目安額ですが、ほとんど根拠はありませんし、おそらくまったく当てになる数字ではありません。あくまであり得る数字の一つくらいのイメージで見て下さい。

したがって、実際に医療事故訴訟を依頼する場合には、依頼先の弁護士に発生する費用について十分に確認する必要があるでしょう。

法律相談

賠償金を獲得できる望みはあるか」「依頼時はいくら費用がかかるのか」など、弁護士と相談する際は相談料がかかります。1万円/1時間というのが相場ですが、なかには初回相談を0円に設定している事務所などもあります。

示談交渉

診療記録の収集や示談交渉の対応など、実際に解決に向けて動いてもらう際は以下の費用がかかります。

なお着手金については依頼時点で支払う費用であり、たとえ失敗に終わったとしても返金されることはありません。また成功報酬については案件終了時点で支払う費用であり、もし失敗に終わった場合は発生しません。

業務内容

費用

証拠保全

着手金:35万円~45万円

諸経費:3万円+実費

過失調査

着手金:20万円~40万円

諸経費:3万円+実費

示談交渉

着手金:10万円~100万円

成功報酬:示談金の15~30%(最低額25万円)

諸経費:2万円+実費

合計

着手金:65~185万円

成功報酬:示談金の15~30%(最低額25万円)

諸経費:8万円+実費

訴訟

訴訟時の裁判対応を依頼する際は、病院側に対して請求する金額に応じて以下の費用がかかります。

訴額

着手金

成功報酬

1,000万円以下

約50~100万円

経済的利益の3%~5%

+30万円~50万円程度

1,000万円以上

経済的利益の10%~30%

経済的利益の10%~30%

(最低額30万円~40万円)

まとめ

医療過誤をめぐって示談をまとめるためには、弁護士のサポートを得た上で手続きを進めることが必須であり、特に医療事故に注力している弁護士へ依頼することが望ましいと言えます。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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