成年後見人制度の手続き方法|不安なら専門家へ相談しよう

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
成年後見人制度の手続き方法|不安なら専門家へ相談しよう

成年後見人制度は、認知症になってしまった、あるいはなりそうな相続人がいた場合に、法律的な支援や援助するための制度です。

主に「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つ方法があり、いずれも家庭裁判所を通しての手続きになります。

【関連記事】成年後見制度とは?メリットデメリットをわかりやすく解説

成年後見人制度の手続き方法|不安なら専門家へ相談しようおおまかな手続きは上の図のような流れになりますが、詳しい費用や流れについてはこれから解説していきますので、理解を深めていって頂ければと思います。

◆成年後見人の申し立てに関するお悩みなどは弁護士へご相談ください


「加齢で判断力が低下している」「親族が勝手に財産を浪費している」など、このような悩みを抱えている場合は、弁護士であれば問題を解決できるかもしれません。

少しでも不安要素がある方は、一度弁護士に相談してみましょう。

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2つの成年後見人制度の手続きについて

2つの成年後見人制度の手続きについて

成年後見人制度には、2つの制度があります。

一つ目が、「すでに認知症などで充分な判断能力を失っている人」を対象にした“法定後見制度”です。

二つ目が、「現時点ではまだ判断能力はあるけれど、今後失うことを想定して後見人を立てたい人」を対象にした“任意後見制度”です。

成年後見人制度にはこのように、対象となる人によってその2つの制度に分かれます。法定後見制度、任意後見制度には若干の違いがありますので、それぞれの手続き方法をみていきましょう。

法定後見制度の手続き

法定後見制度を利用するにはまず、被後見人の管轄する家庭裁判所に申し立てをする必要があります。

この申し立てができるのは、本人、本人の配偶者、四親等内の親族です。

四親等内の親族とは、

  • 親、祖父母、子、孫、ひ孫
  • 兄弟姉妹、姪、おい
  • おじ、おば、いとこ
  • 配偶者の親、子、兄弟姉妹

などのことをいいます。

この際、本人にこの四親等内の親族がいなかった場合や、音信不通で連絡が取れず、後見人を申し立てることができないといった場合、その状況を防ぐために、市町村長が申し立てを行うことも可能です。

家庭裁判所に申し立てをする際には必要書類を用意し、その後家庭裁判所で審理が行われ、無事に審判が確定すると、成年後見人制度をスタートさせることができます。

法定後見制度には3つの制度がある

法定後見制度には、本人の判断能力の程度などに応じて、さらに次の3つに区分されます。

  1. 判断能力をほぼ失くした人が対象となる「後見」
  2. 不動産などの大きな買い物である「重要な行為」が1人ではできない人が対象の「保佐」
  3. 「重要な行為」はできるが、今後がやや心配な人を対象とした「補助」

これらはそれぞれ、本人やその配偶者、四親等内の親族が申し立てを行い、各制度ごとに

  • 後見開始の審判
  • 保佐開始の審判
  • 補助開始の審判

の手続きが行われ、それが受理された段階で、支援が開始されます。

聴取・鑑定・調査

法定後見制度では申立てが行われた後、聴取・鑑定・調査という手続きが進められていきます。それぞれについてみていきましょう。

聴取

家庭裁判所調査官が、後見制度の申込に至った事情や本人の生活状況、または判断能力や財産状況などを聴取します。

また、後見人の候補者に対しても、それが適格かどうかの調査がされます。

鑑定

3つの制度のうち「後見」と「保佐」の場合は本人の判断能力について、医学的な判定をしていきます。

調査

本人の意思を確認するために、これが可能な状態である場合には、本人への調査が面接といった形で行われます。

「保佐」と「補助」で代理権を付与する場合は本人の同意が必要なため、同時に調査されます。

任意後見制度の手続き

任意後見制度の手続き

任意後見制度では、本人がまだ元気なうちに任意の人物を後見人として選任することができる制度です。この際、被後見人と後見人となる人物で公証役場に出向き、公正証書を作成して契約を行います。

公正証書の作成

任意後見契約は必ず公正証書により行う必要があるとされています。これは本人の意思をしっかりと確認しなければいけないし、また、契約の内容が法律に従ったきちんとしたものになるようにしないといけないので、長年法律的な仕事に従事し、深い知識と経験を持つ公証人が作成すべきと考えられているからです。実際にも、公証人は、任意後見契約の内容等について適切なアドバイスをしてくれます。

家庭裁判所に監督人選任の申し立てを行う

その後、本人が認知症などにより判断能力を失ってきた段階で、家庭裁判所へ監督人選任の申し立てを行い、それが家庭裁判所で審理されて無事に通過すると、任意後見人の支援をスタートさせることができます。

任意後見制度ではこのように、後見人が本人の希望に沿って正しく管理を行っているのかを確かめるために、任意後見監督人を選任する必要があります。

この後見監督人が家庭裁判所によって選任されて初めて、委任後見人の支援が開始されることになります。

後見監督人とは

先ほど出てきた後見監督人とは、後見人として選任された人が適切な事務を行っているかを監督する人物のことです。家庭裁判所が、弁護士などの専門職の人物を選任することもあります。

後見人として選任された人は家庭裁判所に対し、定期的に、本人の財産目録や、その証拠となる領収書や通帳のコピー、本人の現状や問題点等の報告書を提出する義務があります。

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後見人に選ばれるまでの期間

成年後見制度では、申し立てをしてから審理が確定し、実際に支援が開始されるまでにどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

これは個々の案件によって異なりますので、一概にこの期間だというものはありませんが、多くの場合、その期間は4ヶ月以内というケースがほとんどです

参考:法務省

成年後見制度を利用する際に必要な書類

ここでは法定後見制度と任意後見制度のそれぞれでの必要書類について、解説していきます。

法定後見制度で必要な書類

法定後見制度で必要な書類は以下のとおりです。

  • 申立書
  • 後見人等候補者身上書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録

これらを作成し、家庭裁判所に提出する必要があります。

書き方につきましては、こちらのフォーマットを参考に作成してください。

参考:東京家庭裁判所 申立セット一式

任意後見制度で必要な書類

本人に必要な書類

任意後見人に必要な書類

住民票(発行後3ヶ月以内のもの)

住民票(発行後3ヶ月以内のもの)

戸籍謄本(発行後3ヶ月以内のもの)

印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)

印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)

 

参考:法務省|成年後見登記について

任意後見制度で必要な書類は上記のとおりです。本人、任意後見人それぞれで、これらをご用意してください。

法定後見制度での主な費用

法定後見制度では、基本的に次の費用が発生してきます。

収入印紙

1件につき800円

登記手数料

2,600円

切手代

800円~

鑑定費用

5万円~10万円

公正証書作成費用

1契約につき、1万1千円

任意後見制度での主な費用

任意後見制度では、任意後見人との契約は必ず公正証書で作成する必要があり、公正証書にする際には手数料が発生します。その費用は以下のとおりです。

基本手数料

11,000円

登記委託手数料

1,400円

印紙代

2,600円

参考:日本公証人連合会

後見人を専門家に設定した場合

後見人を専門家に設定した場合は、その報酬を支払う必要があります。専門家によってまちまちですが、相場としては月額およそ2万円程度です。

こちらの記事もご参照ください。

参考:任意後見制度を利用する際に知っておくべき全情報

後見人を親族にした場合

後見人を親族にした場合、その報酬は支払わないケースが多いです。信頼のおける家族や親族としっかりと話し合い、ケースに応じて報酬を設定していきましょう。

手続きをする際の基礎知識

それではここで、成年後見制度を使う際に覚えておきたい基礎知識について、お伝えしていきます。

成年後見人の主な仕事内容

任意後見受任者の主な仕事内容は、主に以下の2つです。

介護・福祉サービス

介護・福祉サービスとしては、

  • 入院手続きやその費用の支払い
  • 老人ホームの契約手続き
  • 介護費の支払い
  • 生活費の送金
  • 医療契約の手続き
  • 要介護認定のための手続き

このような仕事です。

財産管理

財産管理として、

  • 年金や税金、公共料金の支払い
  • 預貯金の管理
  • 社会保障の手続き
  • 遺産に関する手続き
  • 不動産の管理

このような仕事を任されます。

成年後見人への報酬額

成年後見人を家族や親族に設定した場合は、報酬を支払わないということも充分に考えられます。一方、専門家が成年後見人となった場合には、その分報酬を支払う必要性が出てきます。

その際は相場として、月額2万円程です。

成年後見人の仕事が終了するタイミング

通常は、本人の判断能力が戻った時、または死亡した段階で、成年後見人の仕事は終了します。途中で後見人を辞退することも可能ですが、その際は正当な事由を家庭裁判所に「成年後見人辞任許可審判申立」を行う必要があります。

正当な事由とは、

  • 後見人が転勤で遠い場所に行くことになった
  • 後見人が病気になり、後見人としての仕事を行うことが難しくなった

などが挙げられます。

成年後見人になれない人の例

任意後見人の資格は特に法律で決まったものはなく、選任された人がそのまま後見人になることができます。一方で法定後見制度では、以下のようなケースでは後見人になれない可能性もあるので、注意が必要です。

  • 未成年である人
  • 破産したことがある人
  • 本人に対して訴訟経験がある人
  • 現在行方不明である人
  • 家庭裁判所から解任された人

以上の5つが考えられます。

これらに該当する人は、法定後見制度を利用した際の後見人にはなれません。

まとめ

まとめ

今回は成年後見人について、そしてその制度の手続きについて解説してきました。誰にでも関係してくる話ですので、ぜひ自分事として早めの準備をしていくことをおすすめいたします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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