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KL2020・OD・037
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や内縁の妻(夫)に振るう暴力のことを言います。最近では、元夫婦や恋人など婚姻関係がなくても相手に暴力を振るった場合、DVと認められるケースもあるようです。
元々、配偶者のDVは法律で規制されていなかったため、暴力を振るわれた側が警察などに助けを求めても「民事不介入」のため保護などの救済措置は受けられないケースも多々あったようです。
しかし、2001年10月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称:DV防止法)が施行されたことにより、警察や行政が配偶者からのDVに悩む方を救済できる幅が広がったと言われています。
具体的には、以下のような救済措置(保護命令)が受けられるようになりました。
禁止期間 | 具体的な禁止行為 |
6ヶ月間 |
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2ヶ月間 |
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※禁止期間は保護命令が認められた日が起算日となります。
そしてDVに関する法律が施行されたことにより、警察庁の統計で配偶者からのDVに悩む方からの相談件数は年々増加していると分かります。
引用元:警察庁
またニュースなどでもDVに関する内容が取り上げられているため、世間の関心も高まっていることが伺えます。
DV相談件数1499件
文教厚生委で県は、県内の配偶者暴力相談支援センターへの被害者本人からのドメスティックバイオレンス(DV)相談件数が2016年度に計1499件あり、前年度より60件増えたことを明らかにした。
引用元:長崎新聞
「包丁捨てろ」拳銃構えた警官、男は自殺 妻がDV被害
大阪府東大阪市川田2丁目の市道で、近くに住む女性(53)が包丁を持った夫(54)に追いかけられているのを、110番通報で駆けつけた警察官が見つけた。女性は夫から家庭内暴力(DV)を受け、2月から実家に戻っていた。
引用元:朝日新聞
捜査員
「あなた自身や子ども、親族、同僚等に対する殺人、傷害等、重大事案に発展するおそれがあります。
(被害届を出す)決意、協力をお願いしたい。」
引用元:クローズアップ現代
そこで今回は、DVに関する知識として、具体的な行為の例やDVに陥りやすい人の特徴、被害に遭われた場合の対処法についてご紹介します。
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目次
まず始めに、DVとは具体的にどのような行為か確認しましょう。DVと言っても内容は様々で、一般的には「身体的虐待」「精神的虐待」「性的虐待」「経済的暴力」「社会的隔離」「交際相手暴力(デートDV)」という6つのカテゴリに分けられています。
身体的虐待(しんたいてきぎゃくたい)とは、殴る蹴るなど体に傷が残るような暴力行為のことを言います。
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精神的虐待(せいしんてきぎゃくたい)とは、暴力ではなく言葉や態度で相手を傷つける行為のことを言います。例えば、相手の人格を否定する発言などが挙げられます。
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性的虐待(せいてきぎゃくたい)とは、相手が望んでいないにもかかわらずセックスを強要するなどの行為を言います。
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経済的暴力(けいざいてきぼうりょく)とは、生活費を渡さない、相手の遊興費を与えないなどの金銭的制限をかける行為のことを言います。
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社会的隔離(しゃかいてきかくり)とは、自分以外の人間、つまり相手の友人や親族などとのかかわりを制限することを言います。
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交際相手暴力(デートDV)とは、婚姻関係にないカップル間で起こるDVのことを言います。具体的には、自分本位に相手を傷つける行為が該当します。
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次に、DVに陥りやすい人の特徴を確認しておきましょう。具体的には3つの特徴があると言われています。
相手に対して嫌だと思う一面も優しく受け止める器量がある人です。配偶者から暴力を受けても、自分にも非があったのではないかと考えてしまう傾向にあるため、DVに陥りやすいのです。
いろんな場面で我慢するくせがある人です。例えば、人と欲しいものが被ってしまった場合、相手に譲ってしまうなどの特徴があり、配偶者からDVを受けても普段と同じように我慢してしまいます。
自分の意見をあまり主張できないことも、DVに陥りやすい人の特徴に挙げられます。配偶者に対して意見を言えないことはもちろんですが、助けを求める行為もなかなかできないため、継続的にDV被害を受ける可能性が高いと言えます。
DVの加害者にはどんな特徴があるのでしょうか。基本的な性質として自分本位であることが伺えます。具体的な項目を以下にまとめました。さらに、加害者がDVに及ぶ理由についてもまとめています。
まずは加害者が持つ5つの特徴について確認していきましょう。
DVをする人に多い特徴、それは外面が良いことです。普段は穏やかで愛想も良いため、周りはDVをしていると想像することは中々できません。DV加害者の中には、外で貯めたストレスを配偶者にぶつけることで発散しているケースもあるようです。
「今すぐにでも結婚したい」とせがむ人は、DV加害者になる傾向があるようです。理由は、異常に嫉妬深く、独占欲が強い性格であるため結婚を急いでしまうのだと考えられています。
「俺は悪くない」「あいつが変なことを言うから」などと、自分の非を認めず相手に責任を押し付けることもDV加害者に当てはまる特徴です。むしろ自分は被害者だと主張する傾向にあります。
相手が怪我をしても罪の意識がないこともDV加害者に当てはまる特徴です。仮に、自分の暴力を第三者にとがめられても「不可抗力だった」「暴力ではない」と言い張るでしょう。
相手の交友関係を制限することもDV加害者に多い特徴です。中には結婚を機に仕事を退職させられる、連絡先を削除されるケースもあるようです。
なぜ配偶者に暴力を振るうのでしょうか。その理由には、相手を失いたくないという気持ちがあるためだと言われています。つまり、相手を自分のそばに置いておきたいために、暴力で繋ぎ止めようとしているのです。
DVをする人には、相手の行動を制限するという特徴があります。この行為も、相手を自分のそばから離れないようにするためだと考えられています。
内閣府男女共同参画局の統計によると、配偶者からDVを受けて別れた方の割合は52.7%で、意外にも別れを選択する方は少ないのです。
引用元:内閣府男女共同参画局
配偶者と別れなかった理由には、「相手が変わってくれるかもしれないと思ったから」を挙げる方が50%もいました。
引用元:内閣府男女共同参画局
このように、統計で見てみるとDVに関する実情を垣間見ることができます。そこで以下に、DVに関する様々な統計をまとめました。どのような傾向があるのかぜひ参考にしてみてください。
下図をご覧いただくと分かるとおり、DV相談に訪れる方の割合は圧倒的に女性が多いことが分かります。女性よりも男性の方が力強いこともあり、女性が被害に遭うケースが多いのだと考えられます。
引用元:警察庁
実は、男性が女性からDVを受けているケースも少なくありません。平成28年には、1,000人近くもの男性が相談に来ています。DV被害者は必ずしも女性だとは限らない世の中になりつつあるようです。
DVの加害者は、20~40代が多いことが分かります。20~40代と言えば、年齢が比較的に小さい子供を持つ世代です。実は、夫婦の子供の年齢が大きい家庭よりも小さい家庭の方が、DV被害に遭いやすいのです。
引用元:警察庁
統計によると、約5人に1人は配偶者からDVを受けたことがあると回答しています。もしかすると、あなたの身近なところでDV被害に遭われている方がいるかもしれません。
引用元:内閣府男女共同参画局
配偶者と距離を置いたからと言って、不安や問題は必ずしも解決するとは限りません。内閣府の統計によれば、配偶者と距離を置いても生活に必要なお金がない、相手に住所を知られないようにするため住民票を移せないと悩む方が約50%もいることが分かります。
配偶者と離れた後に抱える不安や問題 | 割合 | |
住居 | 公的施設に入所できない | 10.40% |
民間賃貸住宅に入居できない | 18.70% | |
公的賃貸住宅に入居できない | 27.10% | |
民間賃貸住宅に入居するための保証人がいない | 27.50% | |
就労 | 適用な就職先が見つからない | 36.70% |
就職に必要な技能がない | 26.60% | |
どのように就職活動をすれば良いかわからない | 9.80% | |
就職に必要な保証人がいない | 11.40% | |
経済面 | 当面の生活をするために必要なお金がない | 54.90% |
生活保護が受けられない | 15.80% | |
児童扶養手当がもらえない | 24.20% | |
手続き | 住所を知られないようにするため住民票を移せない | 52.60% |
健康 | 自分の体調や気持ちが回復していない | 52.90% |
配偶者 | 相手からの追跡や嫌がらせがある | 33.70% |
相手が子供との面会要求をしてくる | 22.30% | |
相手が怖くて家に荷物を取りに行けない | 48.10% |
配偶者のDVから逃れる方法について確認しましょう。DVから解放されるための方法や流れについて下図にまとめています。
引用元:内閣府男女共同参画局
DV被害に遭われたら、一人で悩まず専門家に相談することが大切です。DVに関する専門家といっても様々ありますが、一般的には弁護士・警察・婦人相談所(行政)が挙げられます。具体的な用途も含め以下にまとめました。
配偶者と離婚したい、慰謝料を請求したいなどの場合は弁護士に相談・依頼するのが得策です。手元にお金がない方も初回無料相談を活用すれば、気軽に専門家からのアドバイスが受けられます。
電話番号 | 東京都内:#9110 その他地域:03-3501-0110 |
受付日時 | 8:30~17:15(祝日・休日を除く月~金曜日) |
対面相談の有無 | ○ |
電話番号 | 都道府県別の電話番号は厚生労働省:連絡先一覧をご覧ください。 |
受付日時 | 9:00~17:00(祝日・休日を除く月~金曜日) |
対面相談の有無 | ○ |
今すぐにでも配偶者から逃げなければならない場合、実家を頼ることができれば問題ありませんが、もし身寄りがない方は民間シェルターの利用がおすすめです。
2週間ほどではありますが、配偶者の元から離れ安全な場所で過ごすことが可能です。中には、身柄の保護だけでなく自立支援に向けたサポートを行っているところもあります。
DVに関する専門家は被害者に特化したものだけでなく、加害者の更正を目的としたものもあります。代表的なものが加害者更正プログラムです。プログラムを受けると50~60%ほどの確率でDVを止めるのだそうです。
プログラム前後で身体的暴力の発生頻度の低下が多く報告されている。完遂後の停止率 : 54%(エーデルソンら1985)61%(シュッペら1987)、 67%(エーデルソンとグルンズ,1989)
引用元:内閣府男女共同参画局
もし、加害者更正プログラムに興味がある方は、自治体の相談窓口に問い合わせてみてください。
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参照元:内閣府男女共同参画局
配偶者と離婚することも、DVから逃れる方法のひとつになり得ます。ただし、離婚手続きは弁護士やDV専門の相談機関にアドバイスをもらってから進めていくことをおすすめします。
なぜなら、法律に基づいて適切に対処しなければ、離婚後もつきまとうなどの被害に遭う可能性があるためです。詳しい手順については「DV夫と離婚したい|離婚を認めさせ平穏な暮らしを取り戻す手順」をご覧ください。
DVを理由に慰謝料請求し、実際に獲得できる金額の相場をまとめました。高額な慰謝料を獲得するためには、DVの程度がどれだけひどいものだったか、どのくらいの期間受けていたかが重要だと言われています。
他には、婚姻期間の長さも影響します。実際、婚姻期間が5年未満のときと30年以上のときでは、獲得できる慰謝料額に200万円ほどの差が出ています。
なお、当然ですがDVによって怪我をしたり、DVが原因となって精神疾患を発症したという場合は、これら怪我や精神疾患に関する治療費、休業補償、慰謝料も離婚に伴う慰謝料請求とは別に請求することができます。
このような請求のためにもDVにより通院治療を受けたという場合は、診断書を作成しておいて損はないといえます(なお、このような診断書は後々の離婚協議で離婚事由の立証としても活用できます。)。
相談料 | 30分 5,000円程度 |
着手金 | 20~60万円程度 |
成功報酬 | 離婚成立に対する報酬:20万円程度養育費や慰謝料など獲得した報酬額の10%前後 |
実費 | 1万円~5万円程度 |
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もし、配偶者のDVを理由に離婚手続きを進めていく場合、いくつかの点に注意しなければなりません。以下に2つの注意点をまとめました。
配偶者のDVを理由に離婚する場合、請求できるお金は慰謝料だけではありません。財産分与や年金分割などもあなたに与えられた権利なのです。また、お金ではありませんが親権の獲得も目指したいものです。
もし子供と一緒に逃げる場合、子供が安心して学校に通える準備も同時に進めなければなりません。子供が通っている学校に連絡し「地域外からの通学が可能か」「配偶者が校門の前などに待ち伏せする可能性がある」などの相談をしておきましょう。
そして今後の対策を学校と一緒に練っておくことが大切です。
最後に、DVに関する知識について確認しておきましょう。DV被害に遭われている方はもちろん、身近な人がDV被害に遭われている場合にも役立つ内容をまとめています。
被害者の多くは、配偶者からのDVから抜け出せず今も我慢し続けています。その理由は一体なぜでしょう。主に2つの理由が考えられます。
DVは、継続して受け続けることで被害者側も暴力に慣れてしまいます。そのため、暴力を振るう行為自体を配偶者の愛情表現と感じるようになるためだと言われています。
また、暴力を振るった後に配偶者が優しくなることも、被害者がDVから抜け出せなくなる原因なのかもしれません。
もうひとつの理由に、今の生活を変えるのが怖いことが挙げられます。例えば、他に頼る人がいない、子供に被害が及ぶ危険性があるために配偶者からのDVを我慢してしまうようです。
あなたがもしDVに遭われた場合、子供にも影響を及ぼすことになります。Japanese Social Servicesによると、DVを目撃した子供は精神疾患を患う率が、DVのない家庭に生まれた子供と比べて約2倍も高くなるのだそうです。
また、大人になり自身が子供を授かったとき、子育て方法に悩む傾向があるとも言われています。子供の年齢ごとに考えられる影響をまとめました。
- 食事と睡眠の乱れ
- 大きな音を怖がる
- 発達の遅れ
- 激しく泣く
- 発育不良などの身体的徴候
- 落ち着きがない
- おびえる、怖がる
- 分離不安
- 頻繁な体調不安や病気
- 叩く、蹴る
- まとわりつく
- 怒り攻撃性
- 動物への虐待
- 後退的言動
- 破壊行為
- 自尊心の低下
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 自傷行為
- いじめ行為
- 鬱状態
- 完璧症
- 学校での問題行動
- 不適切な性行動
- アルコール薬物依存
- 暴力を奮う又は奮われる
- 自殺企画
- 女性蔑視
- いじめ行為
- 友人関係を築きにくい築けない
- 家出
- 責任感を過度に持つ
- 不自然な媚び諂い
- 不安症と緊張
配偶者からのDV被害に悩まされている方は、いざというとき逃げられるように以下の持ち物をまとめておくことをおすすめします。
もし、あなたやあなたの子供の身に危険が及ぶと感じたらすぐに逃げてください。あなたとあなたの子供の安全が何よりも大切です。
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DV防止法が施行されたことにより、DV(ドメスティック・バイオレンス)は昔と比べ世間に認知され、被害者が相談しやすい環境が整ってきていると言えます。しかし、被害が減っている訳ではありません。
今も多くの方が配偶者からDVを受け、誰にも言えず我慢し続けているのです。もし身近な人がDVに遭われているかもしれないと感じたら、警察や婦人相談所などの専門機関に相談し、助けを差し伸べてあげてください。
それから、DVの被害に遭われている方は、今すぐにでも専門家に相談しましょう。まずは弁護士や警察へ相談し、いざというときの助け舟を作っておくことをおすすめします。
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