DV夫と離婚したい|離婚を認めさせ平穏な暮らしを取り戻す手順

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
DV夫と離婚したい|離婚を認めさせ平穏な暮らしを取り戻す手順

DV夫と離婚したいけれど子供のことを考えると踏み切れない、私はこの生活を一生続けなければいけないのだろうか。付き合い始めはやさしい彼だったのに、些細な理由でDVをするようになり、いつのまにか夫の顔色をうかがうようになっていたという女性は少なくありません。

警視庁の統計でも分かるとおり、夫からDVを受け警察に相談している女性は年々増加しています。
DV夫と離婚したい|離婚を認めさせ平穏な暮らしを取り戻す手順
引用元:警視庁

現に、この記事を読まれているあなたも、夫のDVに悩む一人ではないでしょうか。

もし今の生活から解放されたいと思うのなら、夫と離婚することをおすすめします。とはいえ、一人でDV夫との離婚を成立させるのは難しいことです。

なぜなら

  1. 夫に離婚を提案してみたが合意しない
  2. 夫は外面が良いため、DVを受けているといっても周りが信じてくれない
  3. 子供や自分の両親に危害を加えるリスクがあり、なかなか行動に移せない
  4. さらにひどい暴力を振るう可能性がある
  5. 子供から父親を引き離すことに懸念がある
  6. あなた自身、心のどこかで自分が我慢すれば丸く収まると思っている など

があるためです。

DV夫と離婚を成立させるには、法に基づいて慎重に準備を進めることが大切です。

そこで今回は、DV夫に離婚を認めさせ、その後も安心して生活できるための手順についてご紹介します。

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DV夫との離婚にむけて準備すべきことと離婚事由になるDVの具体例

まずは、DV夫との離婚にむけて準備すべきことと、法的な観点から離婚事由としてみとめられるDVの種類について確認していきましょう。

調停や裁判へと発展したときのことも考え、離婚にむけた準備や請求事由は、民法770条に定められている「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」を元に進めていくことが大切です。

(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 配偶者に不貞な行為があったとき。
 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:民法/p>

離婚事由として認められるDVの具体例

裁判などで離婚請求事由として認められるDVの具体例についてまとめました。暴力を振るう以外にも、物に当たる、人格否定するなどの行為もDVとして認められるようです。

  1. 物に当たる
  2. 殴る蹴る
  3. あなたの人格を否定するような発言を繰り返している
  4. 理不尽な理由で怒鳴る、あなたに当たる
  5. あなたの行動や言動などを制限(束縛)し、周りの人たちから隔離させる
  6. あなたの家族や友人を誹謗中傷したりする
  7. 自分の子供にも暴言を浴びせたり暴力を振るったりする など

準備1:DVを立証する証拠を集める

DV夫との離婚にむけた準備ですべきこと、ひとつ目は証拠集めです。いくらあなたが夫のDVを訴えても必ず認められるとは限りません。

悲しいことではありますが、夫のDVを立証する証拠を集め、第三者に立証できるようにしましょう。

証拠になるもの

  1. 壊れた物やそのときの状況をおさめた写真
  2. DVに及んでいることを示す動画・写真・音声
  3. 医師の診断書
  4. DVを受けていることを記載した日記
  5. 専門機関へ相談した記録 など

準備2:あなたを守ってくれる弁護士や専門機関に相談・依頼する

相手はあなたに暴力を振るう人です。一人で離婚の話し合いを持ちかけるのは大変危険です。DV問題に詳しい専門家に相談または依頼するなどして適切に離婚成立を目指しましょう。

例えば、夫のDVから自分を守るために警察や市役所などで行っている無料相談を利用したり、離婚を認めさせるために弁護士の無料相談を受けてみたりするのがおすすめです。

準備3:必要経費や離婚後の生活に必要なお金を確保する

離婚する際に必要な経費(書類の切手代や弁護士費用など)や、離婚後の生活費を賄うためのお金や収入源の確保をしましょう。

準備4:夫のDVがひどい方は民間シェルターなどの逃げ場を確保する

もし、夫のDVがひどく、今すぐにでも逃げ出したい方は、民間シェルターなどの保護施設を利用すると良いでしょう。いざ夫のDVから逃げたくなってしまったときのために、問い合わせておくのもおすすめです。

  • 特定非営利活動法人ハートスペースM:『リ・ボーン』
  • 特定非営利活動法人:全国女性シェルターネット

保護命令の申立てを行う

実は、裁判所に保護命令の申立てを行い裁判官に認められると、6ヶ月間はあなたへの面会要求やつきまといなどが禁止される「保護命令」という制度があることをご存知でしょうか。

接近禁止 あなたへの面会要求や監視をにおわせる発言などはできない
退去 一緒に住んでいる場合は、2ヶ月間、家から退去しなければならない
連絡禁止 やむを得ない理由を除き、あなたへの電話・メール連絡はできない

上記の行為を違反した場合、夫は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることになります。今すぐにでも逃げ出したいと思われているなら、こちらを利用してあなたの身を安全なところに置いてください。

【保護命令の根拠】

第十条 命令の効力が生じた日から起算して二月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないこと。

 命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、被害者に対して次の各号に掲げるいずれの行為もしてはならないことを命ずるものとする。

 面会を要求すること。
 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。
 緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、
引用元:民法

DVで離婚する手順|離婚にむけた準備が完了した後

DVを理由に離婚する際の手順について確認していきましょう。基本的には、3つの方法で離婚することができます。

協議離婚

協議離婚(きょうぎりこん)とは、夫と話し合いをして離婚に合意させる方法です。日本では約9割の夫婦が話し合いによって離婚を成立させています。

話し合いは必ず第三者を挟んで行うこと

DV夫と話し合いをする際は、必ず第三者を介入させましょう。友達や親族ではなく、弁護士などの専門家を介入させることがポイントです。

夫婦二人で話し合いを行っても相手が離婚を認めない・暴力を振るうなどの可能性があります。自分の安全を第一に考えて行動に移しましょう。

調停離婚

調停離婚(ちょうていりこん)とは、家庭裁判所に申立てを行い、調停委員に離婚が妥当かの判断をしてもらう方法です。大まかな流れを下記にまとめました。
調停離婚

裁判離婚

裁判離婚(さいばんりこん)とは、裁判所に申立てを行い、裁判官が離婚可否の判決を下す離婚方法です。大まかな流れを下図にまとめました。
裁判離婚

DVで獲得できる慰謝料の相場と弁護士に依頼した場合の費用相場

DVで獲得できる慰謝料の相場と、弁護士に依頼した場合の費用相場について確認していきましょう。

慰謝料の相場

DVを理由に獲得できる慰謝料の相場について確認していきましょう。認められる慰謝料額は、DVの内容などによって異なりますが、婚姻期間の長さも影響していることが分かります。

例えば、婚姻期間5年未満の場合、慰謝料額は114万円ですが、30年以上の場合は300万円と大きく異なります。


慰謝料の相場参照元:慰謝料算定の実務第2版|ぎょうせい

弁護士費用の相場

DV問題を弁護士に依頼した場合の費用相場を以下にまとめました。相談料に関しては、初回無料で行っている弁護士事務所もあります。

慎重に弁護士を選びたい方は、複数の弁護士に相談してみると良いでしょう。

相談料 30分 5,000円程度
着手金 20~60万円程度
成功報酬 離婚成立に対する報酬:20万円程度養育費や慰謝料など獲得した報酬額の10%前後
実費 1万円~5万円程度

離婚成立・離婚後に平穏な暮らしを手に入れるためのポイント

ここで、離婚成立や離婚後に平穏な暮らしを手に入れるためのポイントについて確認していきましょう。

親権の確保について

夫婦に子供がいた場合、親権を確保したいと思うものです。親権が認められる条件とはどんなことでしょうか。具体例をまとめました。

  1. 子供に対する愛情
  2. 子供と過ごす時間
  3. 子供の年齢
  4. 子供の意思
  5. 夫と妻それぞれの経済力
  6. 養育者が心身ともに健康であるかどうか など

慰謝料以外のお金についても専門家に相談しながら請求する

DVを理由に離婚する場合、獲得できるお金は慰謝料だけではありません。財産分与や養育費の獲得、年金分割についてもあなたに与えられた権利です。

絶対に必要な持ち物をまとめておく

状況によっては、すぐに夫が住む家から離れ避難する可能性もあるでしょう。そんなときに役立つ、最低限の持ち物についてまとめました。いつでも家を出られるように、まとめておいておくと良いかもしれません。

  1. 現金・クレジットカード・銀行のカード・通帳
  2. 保険証・年金手帳・母子手帳
  3. 身分証(免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
  4. スマートフォン
  5. 子供の洋服・ランドセル・教科書
  6. 夫のDVを示す証拠や慰謝料などの請求に必要な資料

現状のDVがあまりにもひどい場合は加害者更正プログラムへの相談を検討する

DVに関する相談機関には、加害者側の更正に特化したものもあります。統計によると、プログラムを受けた後のDV停止率は、50~60%ほどになるのだそうです。

プログラム前後で身体的暴力の発生頻度の低下が多く報告されている。完遂後の停止率 : 54%(エーデルソンら1985)61%(シュッペら1987)、 67%(エーデルソンとグルンズ,1989
引用元:内閣府男女共同参画局

離婚の意思が固いようであれば不要かもしれませんが、夫のDVがあまりにもひどく、今の状況を少しでも改善したい場合は検討の余地があるでしょう。

ちなみに、自治体の相談窓口に問い合わせると詳しい話が聞けます。

DV夫に惑わされないためのポイント|3つのことを心得る

最後にDV夫に惑わされないためのポイントについて確認しておきましょう。

急に優しくなってもDVは繰り返される

DVをする夫は、暴力を振るった後に、「ごめんね。もうしないから」「今度、家族で出かけよう」などの優しさを見せてくるケースがあります。しかし、優しさを見せても安易に信じてはいけません。

夫の機嫌が悪くなれば、あなたに暴力を振るう可能性があります。DVは繰り返されるものだと認識しましょう。

あなたを罵倒しても離婚は簡単に応じない

あなたが離婚の話を持ちかけても、DV夫は基本離婚に応じることはありません。仮に、離婚したいと伝えてもあなたを罵倒して「離婚はしない」と言い張るだけです。離婚の話を持ちかけるときは、弁護士などの専門家を介入させて適切に対処しましょう。

外面は良いため友人や親族を介入させて離婚の話し合いをしても認められにくい

DV夫は面外が良いため、離婚の話し合いを行う際に友人や親族を介入させても信じてもらえず、離婚が認められない可能性があります。

第三者を介入させることは良いことですが、可能な限りDV問題を適切に対処できる専門家を従えて話し合いましょう。

まとめ

DVを理由に夫と離婚する場合は、まず証拠集めを行い、専門機関に相談しながら話を進めていくことが大切です。状況によっては民間シェルターなどの保護施設へ連絡し、夫から距離を取る必要があるかもしれません。

あなた自身が冷静に考えられるようになるためにも、ぜひ一度弁護士へ相談してみてください。初回無料で相談を受けている弁護士もいるため、金銭面に不安がある方も安心して連絡できるでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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