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KL2020・OD・037
インプラントとは、人口の歯を使用した比較的新しい治療法です。歯を失った場合でも、以前と同じように食事を楽しめ見た目も不自然ではないことから治療する人が増えています。
しかし、治療は100%成功するとは限らず、なかには失敗してしまうケースもあります。
2011年度には、49件の相談が国民生活センターに寄せられました。
引用元:「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか」独立行政法人国民生活センター
この記事では、インプラント治療が失敗した際の相談先をご紹介します。
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目次
インプラント治療が失敗してしまったときの相談先はいくつかあります。状況や希望に合った相談先に連絡を入れることで、早期解決を図りましょう。
まず挙げられるのは『治療もしくは手術を受けた医院』です。
場合によっては治療費の返金など金銭面での対応をする医療機関もあるかと思いますが、それはインプラントの不調が医院側にあると判断された場合の対応。メンテナンスを怠っていたなど、患者側に落ち度があると判断されれば、自己負担での再治療が必要になります。
セカンドオピニオンが欲しい場合や、再治療を希望する場合などは、治療を受けた医院と別の医院に相談をするのもよいでしょう。
一度失敗したインプラントの再治療は、技術的な難易度が高いので、確かな技術を持った医院を探す必要があります。
国民生活センターは、トラブルに巻き込まれた消費者からの相談を受け付けている独立行政法人です。
治療を受けた医院に相談しても問題の解決を図れなさそうな場合などに相談をするとよいでしょう。
国民生活センターは、相談先として『消費者センター』という名称で全国各地域に設置されています。相談の際はお近くの消費者センターへ相談することをおすすめします。
地域や場所により相談の受付時間が変わるため事前にホームページ等で確認しましょう。
お近くの消費者センターをお探しの場合は全国の消費者センター 都道府県別一覧よりお問い合わせ番号や受付可能な時間などご確認頂ければと思います。
日本の歯科医師数は10万4533人(「歯科医師・歯科医療期間の数」日本歯科医師会より引用)、そのうち約6万5,000人弱が加入しているのが日本歯科医師会(「公益社団法人日本歯科医師会会員数」日本歯科医師会より引用)です。
治療を行った医院がこちらに加入しているのであれば、日本歯科医師会を通し苦情などの意見を伝えることもできます。
インプラントの不調を感じてセカンドオピニオンで診察してもらうと、以前通っていた医院での治療ミスが発覚したり、返金などの対応を求めたが医院から十分な対応が得られなかったり…。
治療にかかった費用は高額ですし、長期間口内に不調を抱えるストレスや怒りは、言葉では言い表せないことでしょう。
訴訟を考える場合、医療過誤が認められれば慰謝料などを請求できますので、弁護士へ相談することも検討しましょう。
ここではインプラント治療が失敗してしまう理由や、トラブルが起きている背景についてお伝えします。
インプラント治療に失敗する理由をすべて上げるのは難しいので、ここでご紹介するものはあくまで一例とお考えください。
インプラント後に麻痺やしびれが残った場合、なんらかの理由で神経を傷つけてしまった可能性があります。
神経が傷ついた原因はいくつかありますが、例えば次のようなものがあります。
冒頭でお伝えしたように、例え優れた歯科医であっても、インプラント治療が100%うまくいくとは限りません。
インプラントは高い技術が必要とされる治療法です。もし技術が足りない歯科医が治療を行ったとすれば、神経を傷つけてしまったり、インプラントと骨が癒着しなかったりといった問題が発生しやすくなるでしょう。
もちろん、失敗の原因がすべて歯科医の力量不足というわけではありません。
しかし、なかには技術不足を自覚しながらもインプラント治療を行う医師もいることは覚えておいた方が良いでしょう。
被害が相次いでいる背景には歯科医師の技量不足があります。
インプラント治療に失敗した経験を持つ40代の歯科医師です。
通っていた大学にはインプラントを学べる授業はありませんでした。
これまでに学んだのはメーカーが主催する講習の4日間だけでした。
「自分の力量にあわせて患者さんを選んで治療するということが本来は必要だったんですけれども 自分の力量ではなかなか難しい患者さんに対しても
インプラントを入れようとした そのあたりの少しむちゃな部分もあった」
引用元:クローズアップ現代|歯科インプラント トラブル急増の理由
糖尿病患者の場合、次の理由からインプラント治療に失敗するリスクがあります。
喫煙者のなかでも、ヘビースモーカーは特にインプラント治療に適さないとされています。
インプラントと骨が癒着するには十分な量の血液が必要です。タバコを吸うと血流が悪くなるため、インプラントと骨が上手く癒着しないというリスクが高まります。
インプラントのトラブル件数において、『2006年から2011年の間で相談件数が2,000件を超えた』と国民生活センターが発表しました。その中で身体的な問題や体調不良を訴えた件数は343件と報告されています。
その背景には、主に2つの理由があると考えられています。
1つ目は、インプラントは医院によって自由に治療費を設定できるという点です。実際インプラント治療は金額の設定が1本数万から数十万円の場合が多く、高額と言えます。また、現在開院している歯医者の数が患者の数に対して以前より増えていると言われており、患者を確保することが難しいなかで、自由に金額を設定できるインプラント治療を行えることは大きな利益に繋がるため、行う医院が多くなってきています。なかには、不必要なのに治療として行うといった行為も報告されはじめ、トラブルの原因となることもあるようです。
2つ目は、医師の技術不足という点です。これまで国が定めてきたカリキュラムの中で、インプラント治療に関するものは優先順位が低かったため、スキルも知識も不足したまま治療をする歯科医師が増えてしまったようです。
しかし、最近では歯科大学でもインプラントの授業が行われるようになっているようです。
インプラント治療後に失敗が見つかるよくある不具合について解説していきます。
もし、下記のような症状が見受けられる場合はインプラント治療が失敗している可能性があります。
インプラントと骨の接着が上手くいかず、食べ物をかみづらくなることがあります。
その原因の一つとしてインプラントの埋入箇所が適切ではなく、骨とうまく結合出来ないことが考えられます。
また、他原因としては、あごの骨へのドリリングを失敗し、インプラントの埋入がうまくいかなくて骨との結合に失敗することもあるようです。
インプラント歯周炎とはインプラントに細菌感染を起こしてしまうことです。
引用元:「インプラント周囲炎の進行度別の症状」ファミリー歯科医院
インプラント部分は炎症を起こしやすく、細菌感染の進行が速いことが多いと言われています。
このような場合、インプラントを除去して再構築する必要となることもあります。
以下のような症状がある場合は、すぐに歯科医を受診しましょう。
インプラント箇所について腫れや痛み・麻痺などが慢性的に続く場合は、
インプラントの埋入箇所が適切でなかったり、インプラント周囲炎を発症している可能性があります。
インプラントの人口歯が他の歯の圧力や摩擦で破損してしまうことがあります。
この場合、他の歯や歯肉を傷つけたり、かみ合わせが悪くなる可能性がありますので、歯科医を受診しましょう。
歯科医師である被告人が、インプラント手術の際、業務上の注意義務に違反して、ドリルで被害者の口腔底内の血管を損傷し、出血により口腔底等に発生した血腫により気道閉塞を生じさせて女性患者を窒息させ、窒息に起因する低酸素脳症と多臓器不全により被害者を死亡させた業務上過失致死の事案において、被害者の死因及びその死亡と被告人によるインプラント手術との間の因果関係の有無が争点となったが、被害者の死因が窒息に起因する低酸素脳症と多臓器不全であるとした上、被告人のインプラント手術における業務上の過失を認定し、女性患者の死亡との因果関係を認めた原判決の判断は、論理則、経験則等に照らして不合理なところはなく、首肯することができるとして、控訴を棄却した事例
引用元:「平成26年12月26日東京高裁平25(う)688号」ウェストロージャパン
インプラント手術による死亡事故についての裁判例です。
原審裁判所は被害者の死亡とインプラント手術との因果関係を認め、原告の損害賠償請求を認め、控訴審もこれを維持しました。
ここからはインプラント治療で失敗した際に歯科医院に返金請求を行う方法について確認していきましょう。
まずはインプラント手術後の治療不備による症状を歯科に伝えて、返金を求めてみましょう。
症状を伝える際の注意点は、手術の工程における不備とその後にでた症状に客観的に因果関係があると認められる伝え方をする必要があることです。
例えば、インプラントの歯と自分の歯の間に大きな隙間が出来ている場合は客観的にも手術中のミスにより生じた症状だと判断できます。
一方で、インプラント手術の2カ月後に歯茎から多量の出血がみられたという場合はインプラント手術以外の要因も考えられますよね。
このような場合は、歯科も客観的に自分の手術により生じた症状だと断定できないため、返金を拒否する可能性もあります。
インプラント手術にかかった費用が返金される可能性を高めるためには、歯科医が行った手術と治療を受けた患者が訴える症状に客観的な因果関係があることを意識した伝え方を行う必要があります。
仮に歯科医が治療の不備を認めず、返金を行わない姿勢を見せた場合は弁護士に相談することで返金の可能性を高めることが出来ます。
弁護士にインプラント手術ミスの案件を依頼した場合、まずは弁護士が歯科医院にカルテ開示請求を行います。
その後、カルテに記載された内容と実際の手術後の症状を照らし合わせて、歯科医院側の過失を洗い出します。
歯科医院側の過失に基づいて、治療費用の返金以外にも休業損害や慰謝料等も金額を確定し、請求内容をまとめた書類を歯科医院に送付することで金額請求を行います。
もしそれでも歯科医院側が請求金額の支払いを拒否する場合は裁判となり、弁護士に訴訟対応を依頼することになります。
インプラント手術にかかった治療費は当然請求対象に入ります。
ただし、全額返金になるかどうかは、治療により施術前に予定した通りに治療された歯の本数や手術中の工程とその後の症状に客観的な因果関係が認められるかにより異なります。
実際に弁護士に相談した上で、返金請求額として妥当な金額を教えてもらうことをお勧めします。
弁護士費用への相談の際にかかる費用や訴訟、弁護士への交渉依頼費用等も一部請求可能な場合があります。
慰謝料とは一般的に精神的苦痛に対しての損害賠償のことを指します。
インプラントの施術ミスの場合、手術ミスのために発生した症状による精神的な苦痛を認められることもあるため、請求対象になる可能性があります。
手術ミスによる後遺症により、本業とする業務を休む必要がある場合は休業期間中に得る予定だった利益の補填金額を請求することが出来るケースがあります。
インプラント手術で女性死亡、都内の歯科医を書類送検(2011/8/1付)
あごの骨を削る際に動脈を傷つけて死亡されたことに対して、1億9000万円の損害賠償を執刀医に求めた事例です。
インプラント手術後、患者に知覚障害が生じ、注意義務違反を認めた地裁判決
インプラント手術後にしびれなどの知覚症状が生じたことに対して、地方裁判所が400万円以上の損害賠償請求を認めた事例です。
国民生活センターに寄せれた相談の内容を引用します。
ホームページを見て出向いた歯科クリニックでインプラントを契約。抜歯をし土台を入れ5カ月が経過したが、炎症が治まらず、精神的に参ってしまった。治療の見通しがつかず、担当医師との信頼関係も持てなくなった。
半年前に折込広告やホームページを見て電話し、説明するのですぐ来てと言われ行った歯科医院で、リーフレット1枚を渡され、いきなり治療を開始された。1カ月で一応治療は終了したが、ゆるんで痛く、かめずに困っている。
上左側の歯 1 本をインプラント治療している。元歯の抜歯など手術を 2 回した後数日後に大 量に出血した。担当医から、2 回の手術が原因で歯茎が欠落していると説明されたが、修復可 能と言うので、信じて通院を続けていた。しかし、一向に治療は終わらず 3 年たった今でも仮 歯のままである。担当医に大学病院に転院したいと申し出たが、それは困ると言い認めてくれ ないので、自分で予約を取った。支払い済み金と治療の資料を出してほしい。
インターネットや新聞広告でインプラント 1 本 13 万円と安い歯科医院を知り、左上 3 本と 右上 2 本をインプラントにした。右上の痛みが取れないため再度治療に行くと痛くない下の歯 を削られ治療に不安を持った。4 カ月後他の総合病院で診察を受けると、インプラントした右 上 2 本とその前の歯を抜いてインプラントし直すことになった。高額な費用をかけて治療した のに納得できない。
治療がうまく行かず再治療を繰り返すものの、一向に症状が改善せず、肉体的・精神的な苦痛を感じている様子が伺えます。
上記のようなケースでは、治療を受けた医院のみに相談をしても、問題解決は難しいでしょう。
現在も不調を抱えている方は他の医院へ、医療ミスの可能性があり、訴訟を考えている方は、弁護士への相談を検討しましょう。
当サイトでは、医療問題を積極的に扱っている弁護士を検索することも可能です。医療ミスの可能性がある方は、お住まいの地域をタップし、まずは一度弁護士に相談をしてみるのをおすすめします。
治療が失敗するというのは、想像するだけでも痛く辛いものですよね。
当記事で紹介したような他の相談先への相談も検討し、一刻も早く苦痛から逃れられることを祈っています。
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