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KL2020・OD・037
原状回復義務とは、賃貸物件などから退去する際に、通常使用・経年劣化による汚れや破損を除いたものを修繕してオーナーに返却することです。賃貸物件の原状回復義務は、「元の状態に戻す」というイメージが強いため、解釈の違いからトラブルが起きやすい問題です。
今回は、原状回復義務のルールやトラブル事例、対処方法などをご紹介します。
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目次
賃貸物件などの契約をする際に「原状回復義務」を説明されることが多いと思います。多くの方は原状回復義務を「元に戻す」ことと認識していますが、実際は入居に伴う通常使用・経年劣化による汚れや破損を考慮して考えなければなりません。
入居者とオーナーの間でこうした原状回復の解釈が異なると敷金返還トラブルなどに繋がるのです。
原状回復義務は、入居前の状態に戻すということではありません。人が居住していれば、家具の設置による軽度のキズや設備使用による汚れが発生します。これらは、入居者がどんなに気をつけていても発生してしまうものなので、原則として原状回復義務の対象にはなりません。
原状回復義務に従って、退去時に修繕などの費用を入居者に負担させる際には以下2つのポイントがあります。
原状回復費用を入居者に負担させる際は、契約時に具体的な負担額などの説明をしなければなりません。また、入居者への負担が客観的・合理的な理由なく一方的な負担になるような場合は、契約自体が無効となる可能性もあります。
第十条 民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
引用元:消費者契約法
原状回復費用を特約などで入居者負担にする場合は、敷金から家賃2~3ヶ月分までの金額を差し引くのが妥当とされています。入居者が故意・過失により建物に大きな損害を与えたなどの場合を除いて、敷金を全額差引くのは違法性が高いとされています。
国土交通省住宅局の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復の定義を以下のように定めています。
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」国土交通省住宅局
要するに、貸借人が故意に、あるいは必要な注意を怠って建物を毀損した場合には、貸借人の費用でこれを元に戻さなければならないというのが基本です。
一方で、不可抗力による建物の毀損や通常利用に伴う経年による消耗・劣化については賃貸人が負担することが基本であるとされています。
このように、建物の損傷等について賃貸人と賃借人のいずれが負担するべきかは判断基準がそれほど明確ではなく、トラブルになりやすいと考えられています。
原状回復での負担の境界線を理解したら、次は具体的な原状回復義務のルールについて確認しておきましょう。
賃貸物件の原状回復義務は、民法545条に基づいた義務なのですが、原状回復費用を入居者に負担させる際はいくつかの制限があります。
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
引用元:民法
この項目では、原状回復義務のルールについてご紹介します。
国土交通省が定義したガイドラインによると、原状回復義務は以下のように定義されています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」
引用元:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
例えば、掃除しきれないお風呂場のカビ、家具の設置による壁や床のキズなどは、居住した以上防ぎきれないものなので原状回復の対象にはなりません。
物件によっては賃貸契約の内容に、原状回復特約などが含まれている場合もあります。原状回復特約とは、通常使用・経年劣化による汚れや破損に関して入居者負担とするという契約です。
特約をつける場合は、契約時に具体的な負担内容などを入居者に説明する必要があります。
上記ガイドラインでは、このようなトラブルを予防する方法として、以下のような方法を挙げていますので、参考としてご紹介します。
原状回復の対象は、あくまで当該賃借人の居住により生じた損傷等です。そのため、入居前から存在していた損傷等について、賃借人が原状回復義務を負うことはありません。しかし、入居時点でよく確認して置かなければ、当該損傷等が入居時点で存在したかどうかについてトラブルとなる可能性があります。
そのため、以下のような方法で、入居時点で確認できた損傷等は予め明確にしておくことがトラブル予防に資するとされています。
賃貸借契約の締結時に、賃貸人・賃借人の修繕負担、賃借人の負担範囲、原状回復工事施工目安単価などを明記している原状回復条件を契約書に添付し、賃貸人と賃借人の双方が原状回復条件についてあらかじめ合意した場合には、原状回復の費用負担や方法はこの合意に従って処理されます。
そのため、契約締結時点でこのような合意書面を締結することで、トラブル予防に資するものとされています。
賃貸借契約締結時に建物の管理方法や利用方法のルールを明確にしておけば、これに違反して生じた損傷は、賃借人の負担であるということがいいやすくなります。
他方、ルールに則って生じた損傷等については、賃借人は負担しないということもいいやすくなります。したがって、入居前に、物件・設備についての使用上の注意・留意事項を周知することが、原状回復にかかるトラブルの未然防止にも役立つものと考えらています。
原状回復義務は、敷金返還トラブルにつながる可能性があります。原状回復義務による修繕やハウスクリーニングのための代金を請求され、敷金が返還されなかったり追加で高額な費用を請求されたりするトラブルが発生するのです。
この項目では、原状回復義務による敷金返還トラブルの中で裁判に発展した事例をご紹介します。
<事件概要> 賃貸物件に3年弱入居した夫婦は、退去時に原状回復費用としてオーナーから約12万円の請求をされた。夫婦は賃貸物件の契約時に敷金14万円を支払っており、退去時は原状回復費用を差し引いた1万9,688円が返金された。夫婦は、これらの請求は不服としてオーナーに敷金の返還を求めた。 |
<判決> 夫婦が入居したことによる汚れや破損は通常使用・経年劣化を考慮すると相応のものであった。このことから、オーナー側の請求は過剰であるとして敷金の全額返還が認められた。 夫婦は、両者とも非喫煙者であり、共働きであったが、本物件の汚れ・破損は相応のものであった。また、契約書には通常使用・経年劣化による汚れや破損はオーナー負担である旨が書かれていた。このため、クリーニング代金の請求は無効とされ敷金返還が認められた。 |
近年DIYなどの日曜大工が流行し、住居のリノベーションなどを入居者自ら行うという方もいると思います。このようなニーズや空き家対策から、「原状回復義務なし」という賃貸物件も増えてきています。
この項目では、原状回復義務のない物件の特徴と注意点をまとめました。
原状回復義務のない物件では以下のような特徴が挙げられます。なお契約によっては、原状回復義務の免除や賃料の割引がない場合もあるため、契約内容の確認は必ず行ってください。
原状回復義務なしの物件では、オーナー側も現状態のまま物件を貸し出すことができるという利点があります。「建物が古くなってしまったが、リフォームする余裕はない」という場合などは、原状回復義務をなくして、入居者に事前説明をすることで貸し出しやすくなります。
原状回復義務なしの物件では入居者がDIYなどで修繕した箇所は、そのままにして退去することができます。
契約内容がない物件では、DIYなどで修繕を行ったあとその分の家賃などを安くすることで、入居者の費用負担を軽くするという場合があります。これはあくまでも契約内容によるものなので、入居前に必ずオーナーに確認しましょう。
◆原状回復義務のない物件の注意点
原状確認義務がないからといって、勝手にDIYなどで修繕を行って良いわけではありません。DIY可能な賃貸物件では、以下のようなことを確認した上で修繕を実施していきます。
<入居前>
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<DIY実施前>
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原状回復義務がない物件であっても、物件の所有者はオーナーなので、修繕前と修繕後の確認と報告は必ず行ってください。古くなったり壊れたりした物件を自分で修繕することによって、愛着を持って住みたいですよね。
原状回復は、具体的な内容が法律で規定されていないため、入居者とオーナー間に解釈の齟齬(そご)が生まれやすい問題です。原状回復トラブルを防ぐには、事前の契約内容の確認、退去時の現状確認の立会いなどが重要になってきます。
しかし、トラブルに巻き込まれてしまった際は、この項目でご紹介する対処方法を試してみてください。
敷金が返還されない、高額なハウスクリーニング代金を請求されたという場合は、オーナーに修繕費用の明細や見積りの説明を求めましょう。原状回復で入居者が負担するのは、入居者自身が汚したり破損したりした箇所のみの修繕です。不要な修繕まで請求されていないかなどは、明細や見積もりをもらって確認しましょう。
例えば、飲み物をこぼしてしまったことにより壁紙にシミができてしまった場合は、シミができた箇所の壁紙張替えが入居者負担となります。なお、張り替えた箇所に合わせるために他の箇所の壁紙も張り替えることになった場合は、毀損部分と補修箇所のバランスや補修にかかる費用などを考慮して負担部分を決めるべきと思われます。
原状回復トラブルでは、原状回復に関して契約内容にどのように明記されているかの確認が必要になります。「契約時の説明なんて覚えていない」という方が大半だと思いますが、捺印がされている以上は契約内容に合意したとみなされます。
ただし、契約内容に原状回復義務や特約の有無、入居者負担の具体的内容が分かるように明記されていない場合は、契約内容が無効になる場合があるので確認は必ずしてください。
上記を踏まえた上で、オーナーから請求された原状回復費用の内容に不当・不要なものがあった場合は、直接交渉をして敷金返還や請求の無効を主張しましょう。なお、書面や電話などでオーナーと交渉をした際は、必ず交渉日時や内容を記録に残すようにしましょう。
入居者とオーナーというのは立場上、交渉をしにくい関係ですよね。原状回復は決して安くないお金が関わっている問題ですので、お互い引くことができず、交渉によってトラブルが複雑化する可能性もあります。
交渉に自身がない、トラブルを法的手段で解決させたいという場合は、原状回復トラブルを弁護士に相談するというのもひとつです。弁護士はあなたに代わってオーナーとの代理交渉を行ったり、法律の専門知識から解決を図ることができます。
原状回復義務や敷金に関するトラブルは、法的手段で解決する方法もあります。60万円以下の請求の場合は少額訴訟という、比較的簡単な手続きで行う裁判のことです。
少額訴訟は簡易裁判所で手続きをすることで起こすことができ、1回の審判で判決が下されます。
関連リンク:裁判所|少額訴訟
原状回復義務は、多くの賃貸物件の契約書に書かれている内容です。しかし、原状回復の解釈の違いや特約によってトラブルが発生しやすい問題でもあります。引越しや退去の際に、原状回復義務によるトラブルに巻き込まれた際は、慌てずにオーナーと連絡をとるなど解決のための行動を起こしましょう。
この記事で、原状回復トラブルに悩まれている方の手助けができれば幸いです。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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