賃貸借契約で必要になる初期費用と安く抑えるための4つの知識

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
賃貸借契約で必要になる初期費用と安く抑えるための4つの知識

賃貸借契約では、契約時に家賃だけでなく敷金や礼金、前家賃など様々な費用がかかり、賃初期費用は家賃6ヶ月分以上と言われています。賃貸借契約の流れは以下の通りです。今回は、賃貸借契約の初期費用と安く抑えるためのコツをご紹介します。

賃貸借契約で必要になる初期費用|相場は家賃の6ヶ月分

賃貸借契約を結ぶ時に必要となる初期費用の相場は以下の表の通りとなっています。初期費用を用意する際の目安としては、関東では月額家賃の6〜7ヶ月分、関西では月額家賃の7〜13ヶ月分となります。

項目 目安となる金額
敷金(関東) 家賃1〜2ヶ月分 保証金(関西) 家賃4〜7ヶ月分
礼金(関東) 家賃1〜2ヶ月分 敷引(関西) 家賃2〜4ヶ月分
仲介手数料 家賃1ヶ月分程度 + 消費税
前家賃・日割り家賃 家賃➗(30 or 31)×(入居日から当月末までの日数)
翌月家賃 家賃1ヶ月分
住宅保険料 1,000円〜2,000円/月※一括支払いの場合、2年間契約で2
鍵の交換費用 15,000円〜25,000円程度
保障会社の保障料 家賃の20%〜30%程度

この項目では、各費用について詳しくご紹介します。

敷金・礼金(関東の場合)

敷金|家賃1〜2ヶ月分

敷金は、家賃の支払いが滞った際や物件を汚損させた際の修繕費の担保として、貸主に預けるお金です。家賃を滞納して、請求しても入居者と連絡が取れなくなったなどの場合は敷金で滞納分をまかないます。また、退去の際、居住していた期間に発生した汚れやキズなどを原状回復させるためにも使用します。

敷金はあくまでも預けるお金なので、滞納した家賃や原状回復費用などを差し引いた分は退去時には返還されます

関連記事:原状回復とは|賃貸住宅の退去時トラブルと解決のための全手順

礼金|家賃1〜2ヶ月分

礼金は、物件を借りることのお礼として貸主に支払うお金です。一般的には家賃の1〜2ヶ月分ですが、礼金が必要ない物件も多々あります。礼金は、あくまでもお礼で支払う費用ですので返還されないお金と考えてください。

保証金・敷引き(関西の場合)

保証金|家賃4〜7ヶ月分

保証金は、家賃を滞納した場合や物件の退去時に原状回復費用などが発生した場合の担保として預けるお金です。保証金は、契約を解除したあと原状回復費用などを差し引き、返還されます

関連記事:原状回復とは|賃貸住宅の退去時トラブルと解決のための全手順

敷引き|家賃2〜4ヶ月分

敷引きとは、「敷引き特約」のことで、保証金から原状回復費用としてお金を差し引くことです。そのため「敷引き○ヶ月」と表記されることがあります。この場合、保証金から指定された金額が差し引かれます。

仲介手数料|家賃1ヶ月分 + 消費税

不動産仲介会社を通して賃貸借契約を結んだ場合は仲介手数料がかかります。

仲介手数料は最大で家賃の1ヶ月分に消費税を加算した金額を支払うことになります。

前家賃・日割り家賃|日数分の家賃

月の半ばに契約を開始した場合、前家賃や日割り家賃を支払うことになります。前家賃・月額家賃は日割り計算なので、自分で計算することができます。前家賃・日割り家賃の計算方法は以下の通りです。

家賃 ➗ 30 ×(入居日から当月末までの日数)= 前家賃・日割り家賃

月額家賃が11万円の物件を契約する際の計算例を以下にまとめてみました。

<計算事例>

月額家賃11万円の物件7月15日より契約開始(家賃発生日)

上記の条件から1日あたりの家賃を計算すると

110,000➗31=3,548.3871

15日分の家賃を計算すると

3,548×15=53,220

この場合、前家賃・日割り家賃は53,220円を支払うことになります。

翌月家賃|家賃1ヶ月分

物件によっては、賃貸借契約を結ぶ際に翌月分の家賃を合わせて支払う場合があります。

その場合は、契約時に支払うため翌月は家賃支払いがなくなります

住宅保険料

住宅保険は、賃貸物件などで火災や水漏れなどを起こした際に、借主が負う賠償責任を補償するための保険です。多くの不動産会社では、賃貸借契約と同時に住宅保険への加入を勧めてきます。住宅保険への加入が契約締結の条件となっている場合もあり、この場合は保険加入しなければ物件を借りることはできません。

これに対し、契約書において保険加入義務が定められている場合に、保障内容が過剰である場合は当該条項が無効となる可能性もあります。

関連記事:賃貸借契約で加入する保険の知識|過剰な保障を防ぐための4つのこと

鍵の交換費用|15,000円〜25,000円程度

新築物件の場合は別ですが、以前に居住者がいた物件の場合は鍵の交換を行います。

鍵の交換の費用負担について特に決まりはありませんので、貸主負担となるか借主負担となるかはケース・バイ・ケースでしょう。不動産会社によっては鍵の交換費用を支払ったのにも関わらず、交換してなかったというケースもあるため、鍵を渡された際に「鍵の交換はしましたか?」と確認を取るようにしましょう。

賃貸借契約の費用を安く抑えるためのコツ

賃貸借契約の費用を安く抑えるためのコツ

賃貸借契約の初期費用は数十万円以上のまとまった資金が必要になるため、金銭的負担から引越しを諦めてしまう人も多いと思います。しかし、費用を抑えるためのコツはいくつかあります。この項目でご紹介するコツは以下の通りです。

  • 敷金や礼金がない物件を選ぶ
  • フリーレントなどの物件を探す
  • 前家賃や日割り家賃を減らす
  • 仲介手数料無料の不動産会社を探す
  • 初期費用を分割支払いできるか確認する

敷金や礼金がない物件を選ぶ

大手不動産会社などでは礼金がなかったり、契約時に敷金を支払わなくてもいいとう物件もあります。ただし、契約時に敷金を支払わないからといって退去時の原状回復費用がかからないとは限りません

敷金や礼金のない物件を契約した際は、退去時や他の管理費用などの契約内容をより注意深く確認してください。

関連記事:原状回復とは|賃貸住宅の退去時トラブルと解決のための全手順

フリーレントなどの物件を探す

最近では、空室になる期間を減らすために貸主が「フリーレント2ヶ月」などの特典をつけることがあります。フリーレントとは、貸主が指定した期間は月額家賃を支払わないで居住することができるものです。つまり、「フリーレント2ヶ月」の場合は、2ヶ月分家賃が無料になります。

前家賃や日割り家賃を減らす

家賃発生日をなるべく後ろ倒しにしたり、月初・月末にずらしたりすることで前家賃や日割り家賃を減らすことができます。また、物件の貸主と直接交渉ができる場合は、減額の交渉をするのもひとつです。

ただし、あまりしつこく値切るようなことをすると契約を断られてしまう場合もあるため注意が必要です。

仲介手数料無料の不動産会社を探す

仲介手数料無料という不動産会社も見かけるようになりました。

また、直接物件のオーナーになっている不動産会社や個人オーナーと賃貸借契約を交わした場合は、仲介手数料はかかりません

初期費用を分割支払いできるか確認する

不動産会社によっては、賃貸借契約の初期費用や月額家賃をクレジットカード決済などで分割支払いができる場合があります。

分割支払いにすることによって、まとまったお金がない場合も賃貸を契約することができます。また、クレジット決済が可能な場合はクレジットカードのポイント等がつくこともあるため、結果的に費用を抑えることができます。

賃貸借契約を更新する際に知っておくべきこと

賃貸借契約を更新する際に知っておくべきこと

賃貸物件の多くは2年契約とされており、2年を経過すると貸主に賃貸借契約の更新・解除を通知しなければなりません。この項目では、更新手続きを行う場合の流れと費用などについてご紹介します。

賃貸借契約の更新手続き流れ

賃貸借契約の期間満了が近づいてきたら、契約の更新・解除の旨を貸主に伝えなければなりません。もし、伝えなかった場合は契約が自動更新されてしまうこともあるため、注意しましょう。

必要書類と更新手数料|家賃1ヶ月分

賃貸借契約の更新は従前の契約がそのまま適用される場合もあれば、新規契約を結び直す場合もあります。また、更新手数料として家賃1ヶ月分の金額と事務手数料を支払うことがあります。

賃貸借契約を結ぶ際に気をつけること

賃貸借契約を結ぶ際に気をつけること

賃貸借契約でトラブルになりやすいのは敷金返還などの原状回復トラブルです。敷金は原則として賃貸借契約の解除後、借主に返還されるものです。しかし、原状回復のための修繕費用やハウスクリーニング費用として差し引かれてしまい返還されなかったというトラブルも発生しています。

賃貸借契約と結ぶ際は、必ず契約内容や特約などに全て目を通して不明点があれば貸主に確認しておきましょう。

まとめ

賃貸借契約では様々な費用が必要になります。何も知らないまま不動産会社から提示された金額を支払うと、必要以上の費用を支払うことになってしまったり自分の予算に合わない金額になってしまうこともあります。

この記事で、賃貸借契約の費用に関する疑問が解消されれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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