家賃滞納で裁判を行う際に絶対に把握するべき流れ|裁判以外の解決方法

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
家賃滞納で裁判を行う際に絶対に把握するべき流れ|裁判以外の解決方法

長い間家賃を滞納されている場合は裁判をするべきなのか?この記事を見ている人はそんな考えがあるかと思います。ですが、裁判という行為は日常から程遠いもののように感じたり、それなりの費用がかかるため躊躇するかもしれません。

ここでは、裁判を起こす前に行うべきことや、裁判以外の解決方法、また裁判の判例や流れ、弁護士に依頼するメリットをまとめました。

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家賃滞納で裁判までにやるべきことと注意点

家賃滞納で裁判までにやるべきことと注意点

いきなり裁判を起こすことはしませんよね?それに裁判を起こす前に解決したほうが費用的にも楽になります。ここでは、裁判を起こす前になにをしたらいいのか、またどのようなことに注意するのかを見ていきましょう。

電話や督促状で滞納分の家賃支払いを求める

本人に伝える

まず電話や督促状で滞納分の家賃を支払って欲しいということを何度も伝えます。督促状とは、改めて送る請求書のようなもので、家賃回収などを行う際の第一手段です。これを送ることによりプレッシャーを与えることができます。

ご自身で書き方を調べてみて、それでも書き方が分からない場合は弁護士や司法書士に相談しましょう。

連帯保証人に伝える

連帯保証人が明確な場合は、連帯保証人に賃借人が家賃を滞納していること、それらを支払ってほしいという旨を伝えましょう。

連帯保証人がいないからといって、滞納者の会社など、債務を負っていない人に連絡してしまうとこちらが訴えられる可能性もあるので注意しましょう。

催告書を送る

何度伝えても何のリアクションも得られない場合は、催告書を送ります。催告書は督促状と違い、「これで何もリアクションがなかったら裁判を行います。」というような内容を告げる最終通告になります。

そのため催告書は「いつ、だれが、誰に、どのような内容を伝える書類」なのかを公的に証明してくれる内容証明郵便で出して下さい。これは裁判での重要な証拠になる他、受け取った方は見ていない、受け取っていないなどの知らなかったフリはできません。

催告書を送っても何のリアクションもなかった場合は裁判を行います。

家賃滞納の裁判までに気を付けること

家賃滞納の時効を把握する

家賃滞納に時効が存在することを知っていますか?業として物件を賃貸している場合には、家賃を請求できるときから5年、個人で物件を賃貸している場合には、家賃を請求できるときから10年 で時効が完成します。

ただし、その間に、賃借人が家賃の一部を支払っていたり債務があることを認めた場合や、こちらが裁判上の請求をした場合には、その時点から新たに時効期間を数えることになります。

時効完成間近などに、催告により時効の中断もできますが、様々な手続きが必要になりますので、早めの対応を心掛けましょう。

一歩間違えると犯罪になる行為

家賃滞納している人に対し、実力行使に出たくなる気持ちはよくわかりますが、一歩間違ってしまうとこちらが訴えられてしまう場合があります。例えば下記のような場合です。

  • 大声をあげる、暴力をふるう、脅す:脅迫罪・強要罪・侮辱罪・暴行罪
  • 勝手に部屋に入る:住居侵入罪
  • 「家賃払うまで出て行かない」等と賃借人から退出を要求されているのにも関わらず部屋に留まる:不退去罪
  • 家財などの私物を持ち出したり、壊したりする:器物損壊罪

以上の行為のほか、よく聞くカギを勝手に変えてしまうという行為も不法行為となり損害賠償請求をされるおそれがあります。このように犯罪行為や不法行為になることもあるので、催促する場合には感情的にならないように注意が必要です。

家賃滞納の裁判における民事訴訟の流れ

家賃が滞納されたたとき、どのような裁判の流れになるのでしょうか。具体的な流れとして初めに図でまとめました。

家賃滞納の裁判における民事訴訟の流れ

(参照元:民事訴訟|裁判所)

訴状の提出と送付

裁判を始めるためまずしなければならないのが訴状の提出です。訴状には下記の3点を記載します。

  • 原告(訴える側)と被告(訴えられる側)の氏名・住所
  • 請求の趣旨(裁判で請求できるのは基本的に金銭のみのため謝罪などは請求できない)
  • 紛争の要点(請求の原因)

また事実を証明できるような証拠があれば添付します。以上の書類を裁判所に提出すると、裁判所から相手に訴状が送られます。

答弁書提出と受理

答弁書とは被告が送ってくるもので、請求の趣旨や請求の原因に対して、認めるか認めないかが記載されています。

答弁書が届いたら、証拠書類や証人尋問等の準備をします。原告とやり取りしたものすべてが証拠になりえます。特に賃貸の契約書やそれに付随するものなどは重要です。

審理と判決

審理は判決を決めるために裁判官が行う取調べのことです。そのあと原告、被告を混ぜた話し合いが始まりその後判決が下されます。

和解

話し合いの途中で、裁判官から和解できそうかどうかの確認があります。和解のメリットとして以下の点が挙げられます。

  • 上訴がないので解決が早い
  • お互いに納得の上成立させるため、退去手続きが決めやすかったり、退去しない場合にも関係の悪化の緩和が望める

しかし、和解の場合,和解条項に「今後滞納しない」など、今後についての条件を忘れてしまうと、もしかしたらまた裁判をする可能性があるので気を付けましょう。

判決

双方が和解できないという場合には、判決が下されます。もし、判決に不服があった場合、判決送達日の翌日から数えて2週間以内に上級裁判所に対して上訴を行うことができます。どうしても判決に納得しない場合は、弁護士と相談して行いましょう。

家賃滞納が原因の裁判事例

家賃滞納が原因の裁判事例

家賃滞納が原因で行われた裁判を紹介します。

建物明渡等請求事件 平成24年5月31日|名古屋地方裁判所     

【概要】

本件は,Aに対して建物を賃貸した原告が,Aに対する賃貸借契約上の債務 を連帯保証した被告に対して,連帯保証契約に基づき,未払の賃料等及び契約 解除後の賃料等相当損害金に関する連帯保証債務の履行を請求している事案である。

【判決】

  • 435,019円の支払い
  • 裁判費用の6/10の支払い

建物明渡等請求事件 平成20年2月21日|広島地方裁判所

【概要】

賃貸借契約は賃料不払いを理由に解除されたとして,本件建物及び駐車場の賃借人の連帯保証人 である被告に対し,平成9年1月分以降(約10年分)の未払賃料及び賃料相当損害金として約300万円の支払いを求めた事案である。

【判決】

  • 2,931,248円の支払い
  • 裁判費用は被告が全て負担する
  • 仮執行宣言

家賃滞納で裁判を起こすときに弁護士へ依頼すべき理由

家賃滞納で裁判を起こすときに弁護士へ依頼すべき理由

家賃滞納案件を弁護士に依頼した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットを紹介します。

裁判前に和解する可能性が高いためコストと時間を少なく解決できる

弁護士が直接交渉してくれるため、裁判前に和解し裁判を行わなくて済むケースがあり、裁判費用を削減することができます。

また弁護士を通じて直接交渉することによりプレッシャーを与え、次回からの滞納の抑制が期待できます。

裁判所の手続きの負担が軽くなる

弁護士に依頼しない場合、督促状や催告書、その他書類を自分で書かなければいません。また裁判を行うにあたって様々な手続きがありますが、そういう手続きも自分で行う必要があります。

処理や書類に不備があるとやり直しになり、時間や精神的な負担も大きくなります。弁護士に依頼すると手続きの負担がなくなり、スムーズに行えるのです。また、書類だけ書いてほしいという方は司法書士に相談しましょう。

依頼主に合った解決方法を提案

弁護士に相談することにより、最適な解決方法をアドバイスしてもらうことが可能です。非公開のものがいいとかなるべく費用が掛からないものがいいなど、一緒に解決方法を探していけます。

また、弁護士費用の支払いも事務所や弁護士によっては分割にすることができるため、まず無料相談を積極的に利用しましょう。

裁判以外の解決策

裁判以外の解決策

裁判以外にも様々な解決方法があります。それぞれの特徴をよく理解し、自分に合う解決策を探しましょう。

民事調停

民事調停は、裁判のように勝ち負けではなく、裁判官や第三者を混ぜた話し合いにより円満な解決を目的としたものです。民事調停の流れは以下の通りです。

どうしても折り合いが合わない場合又は相手が出頭しない場合に、調停不成立又は調停に代わる決定が下されます。調停に代わる決定とは裁判所が当事者の意見を考慮し、事件解決のために必要な決定をします。

2週間以内に異議の申し立てがない場合、調停成立と同じ効果が生じるものです。普通の裁判より安い費用で行うことができ、非公開なので、周囲に知られることがありません。

紛争解決センター(ADR)

紛争解決センターは裁判所ではなく日本弁護士連合会などが行っている、法を基に話し合いで円満な解決を目的としたものになります。

こちらも裁判より費用が安く、非公開のため、利用しやすいものになっています。また、裁判所に手続きをしていれば仮執行を許可できます。

少額訴訟

原則1回の審理で判決が言い渡されるため、早期解決をしたい人で下記の条件を満たす場合は少額訴訟をお勧めします。

  • 請求金額が60万円以下
  • すぐに裁判資料が準備できる
  • 内容が複雑でない

裁判より判決が早いため、精神的に負担が少なく、また費用も少ないので、請求金額の総額が60万円以下の場合はとても利用しやすい制度になっています。

支払督促

支払督促を裁判所から送付する手続きになります。この発行により強制手続きの申立を行うことが可能です。この制度はお金の受取を目的としたもので、手数料が訴訟の半分で、書類審査のみなので、裁判所に赴く必要がありません。

まとめ

裁判を行う際、弁護士費用や裁判費用を請求することが可能ですので、もし弁護士費用や裁判費用が気がかりな場合はまずご自身で請求してみましょう。裁判以外で問題を解決する場合、特に話し合いの場合は今後滞納された場合のことをしっかり約束させると、今後のトラブル回避につながります。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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