家賃滞納を理由に強制退去させたい場合の条件と流れや手順の注意点

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
家賃滞納を理由に強制退去させたい場合の条件と流れや手順の注意点

今回は、家賃滞納と強制退去の関係性について書いていきたいと思います。

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会の調査によると、月末までに支払う予定の家賃を支払わずに月をまたいでしまう人の割合は、全国でなんと7%にものぼるそうです。これはかなり高い割合ではないでしょうか。

参考:第14回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』

家賃滞納の問題は数多く報告されており、悩みを抱える家主の方も多いと思いますが、かといってすぐに強制退去をさせることはできません。

ぜひこの記事をご参考に、そこに至るまでの順序をしっかりと踏んで、適切な対応をしていきましょう。

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家賃滞納と強制退去の基礎知識

家賃滞納と強制退去の基礎知識

家賃を滞納されている場合、貸主としては、とにかく早くお金を回収したいという思いが強いはずです。もし、あまりにも家賃の支払いが滞っている場合には、最終手段として強制退去という選択肢も出てくるでしょう。

しかし、いきなり強制退去という手段を取るのはトラブルのもとですので、まず、家賃を滞納されている場合はどのように対処したら良いのか、また、強制退去に至るにはどのような手順を踏んでいけば良いのかなどについて、解説していきたいと思います。

法律から見る強制退去の正当性

家賃の滞納を理由に強制退去を執行することは、法律から見ると正当性はあるのでしょうか?

これについてですが、賃貸借契約が終了している場合は、貸主が借り主に対して強制退去を求めることは違法ではありません。

ただし、実力行使を用いての強制退去させることは、借主の生活の平穏を不当に害する行為であり、違法です。たとえば借り主の同意がないままカギを取り替えたり、扉を開かないようにしたり、家財道具を廃棄したりという行為は違法です。

いくら家賃の支払いを滞納されたとはいえ感情的にはならず、冷静に手続きを進めていくことが大切です。

強制退去を求める条件

借主に強制退去を求めるための条件としては、どのようなものがあるのでしょうか?

大前提として、借主との間の賃貸借契約を解除する必要がありますが、家賃滞納の場合には、

・家賃の滞納が3ヶ月を超えるなど長期に及ぶこと

・貸主の催告によっても支払いがなされないこと

・その他貸主と借主の信頼関係が著しく破壊されていること

というような状況が必要となろうかと思われます。

ここで勘違いしやすいのは、家賃の滞納があるからといって簡単に強制退去させられるのではないかと考えてしまうことです。最終的には貸主・借主の信頼関係が破壊されているかどうかがポイントとなりますので家賃滞納=契約解消という図式は必ずしも成り立たないことに留意してください。

実際に強制退去させるまでの時間

借主を最終的に強制退去させるには、建物の明渡しを求める訴訟手続、建物明渡しの強制執行という段階的なステップを履践する必要があり、1年以上の期間がかかる場合もあります。

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強制退去をさせるための手順

それではここで、実際に強制退去をさせるために行う手順について、解説していきたいと思います。

支払い通知を送る

まずは通知を送り、家賃を滞納している旨を伝えましょう。その際、実際に訪問して話がしたいといったことや、あくまでも円満に解決したいという気持ちを添えるといいです。

強制退去はお互いの精神衛生上良くないことですので、話し合いによる解決を目指し、通知を送りましょう。

また、通知には「支払わなければ保証人に請求を行います」という言葉を添えることで、その後の行動がスムーズに行なえます。

話し合いを試みる

とにかく、一番最適な方法は話し合いによる解決ですので、できることなら借主の部屋に直接訪問したり、話し合いの時間を設けるなどして、円満な解決を目指していきましょう。

勝手に部屋に入ったり支払いを強要するようなことは、絶対に避けてください。

連帯保証人への連絡

通知を送り、そして話し合いにも全く応じてくれないようであれば、借主の連帯保証人に連絡を入れましょう。

支払い通知の中に「支払わなければ保証人に請求を行います」と書いていれば、スムーズに保証人に対して連絡を入れることができますね。なお、連帯保証人による支払がなされれば、家賃滞納を理由として契約解除を求めるハードルは上がります。

契約解除

借主が支払催告を無視し、また連帯保証人がいないとか連帯保証人による支払もないという場合は、借り主に対して書面での最終警告を送りましょう。同警告によっても事態が改善しないのであれば、契約解除の通知を送ることになります。

明け渡し請求訴訟

契約を解除しても借主が退去しない場合、裁判所に対して土地・建物位明渡し請求の訴訟を行います。

なお、訴訟の中では随時話し合いが行われ、これで話がついた場合には裁判所によって和解調書が作成されます。この段階で借主が任意に退去する場合がほとんどですが、仮に借主が約束を守らないのであれば、和解調書に基づいて強制執行を行うことができます。

強制執行

裁判で和解も成立しない場合は判決による解決となります。借主の退去・明渡しを命じる判決を得た場合は、これに基づいて強制執行を取ることができます。具体的には、裁判所の執行官をして借主を強制的に建物から排除する手続を履践することになります。

強制退去をスムーズに進行させるには弁護士に相談

強制退去をスムーズに進行させるには弁護士に相談

強制執行の手続自体は自分ひとりでもできます。ただ、多くの専門的な知識が必要になってきますので、スムーズに、そしてストレスなく進行させていくためにも、弁護士に相談して進めていくことをおすすめします。

1人で行っていくには難易度が高すぎるといえます。

弁護士に相談することのメリット

弁護士に相談することによるメリットとしてまず考えられるのが、精神的なストレスが大幅に軽減されるということです。

1人では議論に対応できない場合も多いですし、専門的な知識や専門用語が必要になってきますので、弁護士がそれを肩代わりしてくれることは、あなたにとって大きな力になるでしょう。

また、無駄な時間をかけることなく、自分だけでは思いつかない適切な選択をしてくれますので、やはり弁護士に一任することが最適であるといえます。

弁護士に依頼した場合の費用

弁護士に相談するのが一番最適な手段ですが、弁護士費用はケース・バイ・ケースです。建物の占有状況や使用状況により費用は異なるのが通常です。

だいたいの相場を挙げてみると、

・相談料の相場:30分~1時間で5000円程(現在は相談料無料で行ってくれる弁護士もいます)

・着手金の相場:請求利益の5~10%

・報酬金の相場:獲得利益の10~20%

このようになっています。着手金や報酬金は弁護士によって大きな幅がありますので、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

【関連記事】
強制退去を弁護士に依頼する3つのメリットと費用を抑えるポイント
強制執行の費用と手続きの流れ|弁護士へ依頼するメリットと弁護士費用

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強制退去が認められないケース

最後に、強制退去が認められないケースをご紹介していきます。

こういった場合には強制退去をさせることができない可能性があるということを、頭の片隅にぜひ入れておいてください。

借家人による家賃滞納が一時的なものである場合

家賃を滞納している借家人が、たまたま失業中とか健康を害している等の理由で家賃支払いが一時的に困難であるような場合は、信頼関係の破壊が認められずに契約解除が認められない可能性があります。

大家側の対応が不適切な場合

大家が建物の修繕義務を履行しないとか、建物がそもそも使用収益できる状況でないという場合には、家賃滞納による信頼関係の破壊が認められず、契約解除が認められない可能性があります。

まとめ

今回は、家賃滞納と強制退去について解説してきました。

家賃を滞納する借主に対し、どのように対応していけば良いのかとお悩みの方も多いかと思います。あまりにも滞納期間が長かったり、話し合いにも応じなかったりした場合には、最終的に強制退去という手段がありますので、しっかりと手順を踏んで考えていきましょう。

ただ、そこまでいってしまうと時間も費用も、そして大きなストレスもかかってしまう恐れがありますので、あくまで強制退去は最終手段として考え、話し合いによる円満解決を目指しましょう。

借主と普段からコミュニケーションをとるなど、その信頼関係を損なわないように心がけていきたいですね。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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