家賃滞納の時効を中断させる4つの方法と家賃を払ってもらう交渉手順

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
家賃滞納の時効を中断させる4つの方法と家賃を払ってもらう交渉手順

家賃滞納は不動産を抱えるオーナーにとって、避けては通れない問題です。家賃滞納は5年以上放置してしまうと時効消滅によって未払いの家賃を請求できなくなることがあります。また、家賃滞納の時効は保証人に連絡しただけでは中断することができません。今回は家賃滞納の時効の中断方法と家賃滞納の解決手順についてご紹介します。

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家賃滞納の時効は5年

家賃滞納を長期間放置してしまうと、時効によって未払いの家賃を回収することができなくなってしまう可能性があります。家賃滞納は、法律上では「債権」にあたるので、時効消滅があるのです。民法では、通常の債権の時効種滅は10年、短期間の債権の時効は5年と定められています。なお、ここでいう「5年」とは、最後に家賃を「支払った」もしくは「請求された」日から数えます。

第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
 2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
 引用元:
民法

第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
 引用元:
民法

家賃滞納の時効は5年までですが、あくまでも過去5年分の債権が消滅するだけであって、全ての債権が消滅するわけではありません。例えば、7年分の家賃を滞納している場合、長期間放置してしまって2年分が時効消滅してしまっても残り5年分の未払い家賃は請求することができるのです。また、家賃滞納の時効は中断させることができます。時効の中断方法は「家賃滞納の時効を中断させる方法」で詳しくご紹介します。

家賃を3ヶ月未納にすると賃貸借契約解除の正当事由になる場合も

家賃滞納で賃貸借契約の解除がされる判断基準は3ヶ月といわれています。家賃が3ヶ月続けて振り込まれない場合は、早急に家賃支払い請求を行うようにしましょう。また、3ヶ月以上の家賃滞納は、オーナー側から賃貸借契約を解除することのできる「正当事由」になる場合があります(あくまでも「場合がある」ということで、訴訟では6ヶ月以上の滞納でないと認められないケースが多いようです)

「家賃滞納」は信頼関係の破壊

不動産の賃貸借契約は、オーナー(貸主)と入居者(借主)の契約者間に信頼関係があることが前提とされています。3ヶ月以上の家賃滞納は信頼関係の破壊にあたり、貸主から契約を解除する正当な理由として認められるのです。

不動産のオーナーとしては家賃滞納を繰り返す入居者よりも、きちんと家賃を支払ってくれる入居者とより多く契約を交わしたいですよね。場合によっては、家賃滞納をする悪質な入居者との契約を解除して、次の入居者を募集するということを考えることも必要です。

家賃滞納の時効を中断させる方法

家賃滞納の時効の中断をさせるには、以下の条件があります。

  • 家賃滞納を訴える
  • 入居者(債務者)が債務の承認を行う

この中で、最も現実的なものは「家賃滞納者を訴える」ことです。家賃滞納トラブルでは入居者(債務者)が債務の承認を行うことは考えにくいので、今回は家賃滞納を訴えることで、時効を中断させる方法をとりあげます。

なお、家賃滞納の時効の中断は、入居者に家賃支払いの督促を再三行なったにも関わらず支払わなかった場合に行なってください。時効を中断させる前に行う、家賃の請求方法は「家賃支払いの交渉をする」に詳しく記載しています。今回は、入居者が督促に応じなかった場合、時効消滅になる恐れのある債権(未払い家賃)の中断方法についてご紹介します。

支払いの催促を簡易裁判所に申し立てる

入居者から支払いがされえない場合は簡易裁判所で支払督促を申し立てます。支払督促で使用する用紙は、賃貸などの建物の最寄りの裁判所に備え付けてあります。

支払い督促を行い、入居者が督促に異議を申し立てたり督促に応じなかったりする場合は民事訴訟に移ります。
関連記事:裁判所|支払督促を申し立てる方へ

家賃支払いの催告書を内容証明郵便で送る

入居者に「電話・書面・直接交渉」で家賃の支払い請求を行ったにも関わらず、支払いに応じなかった場合は家賃支払いの催告書を内容証明郵便で送ります。催告書を送る場合は、家賃の支払いと支払わなかった場合に賃貸借契約を解除するという旨を内容証明郵便で送ります。内容証明郵便とは、送った文書の内容を郵便局が証明してくれるサービスです。催告書の内容証明郵便を送った時点で時効は一時的に中断されますが、時効の中断を成立させるためには裁判所への申し立てが必要です

家賃回収のために民意訴訟を起こす

入居者が支払督促に異議を申し立てたり応じなかったりした場合は、家賃回収のための民事訴訟に移ります。民事訴訟では、家賃回収と立ち退き(強制退去)も視野に入れて訴えを起こします。家賃回収の民事訴訟の大まかな流れは以下の通りです。

家賃回収のために民意訴訟を起こす

関連記事:マンションの騒音トラブル5つの解決方法|騒音トラブル裁判事例

保証人が承認した場合も時効の中断は必要

家賃滞納を保証人に連絡して承認してもらった場合は、入居者(債務者)本人から債務の承認をしたわけではないので時効は中断していません。また、時効が中断されていないまま時効消滅となった場合は、未払いの家賃を保証人に請求することもできなくなってしまうので注意が必要です。

家賃滞納の解決手順

家賃滞納を時効消滅させない、根本的な解決方法は家賃を支払ってもらうことですよね。家賃滞納の解決手順は以下の通りです。家賃滞納トラブルは、入居者が交渉に応じなければ、結果的には法的手段をとることになります。今回は、法的手段をとることも踏まえた解決手順をご紹介します。

家賃支払いの交渉をする

家賃滞納の交渉の基本は「電話・文書・直接交渉」です。顔が分かっている相手にお金の交渉を直接的に行うことは気が進まないことですよね。交渉を行う際は、感情的にならないよう冷静に毅然とした態度を心がけましょう。交渉を行う際に気をつけるべきポイントは「家賃滞納で立ち退きをさせる際にやってはいけない行動」でご紹介していますので、あわせてご覧ください。また、交渉を行う場合は、後々に法的手段になることも考え、交渉記録をノートに残しておくと有効です。

  • 電話
    入居者に家賃の支払いが遅れていることを電話で伝えます。入居者が電話に出た際は、いつまでに支払うのか、支払い期日を明確に伝えましょう。また、電話に出なかった場合も留守番電話で支払い期日を伝えるようにしましょう。電話口では、感情的になって怒鳴り口調や脅しのような言い方にならないように注意しましょう。
  • 文書
    電話での支払い催促に応じなかった場合は、家賃支払いの督促状を文書で伝えます。文書で伝える場合は、支払い期日と支払わなかった場合に契約を解除する旨も記載しましょう。
  • 直接交渉
    文書での支払い催促に応じない場合は、直接交渉になります。直接交渉をするも、冷静に毅然とした態度を心がけてください。交渉に応じないからといって、無断で部屋に立ち入ったり居座ったりすると不法行為になることもあるので注意しましょう。

連帯保証人に連絡する

家賃が滞納された場合は、保証人や保証会社に連絡することになります。保証会社であれば一定の期間、家賃の支払いを保証してくれることもあります。また、保証人に連絡する場合に注意が必要なのは、保証人が債務(家賃滞納)を承認したからといって時効の中断にはならないということです。保証人が債務の承認を行なった場合は、入居者(債務者)本人にも連絡をしましょう。

催告書を内容証明郵便で送る

連帯保証人に連絡しても支払いがない、連絡が繋がらないという場合は法的手段も視野に入れることになります。家賃の支払いの再通知と支払いに応じない場合明け渡しを行うという旨を記載して内容証明郵便で送ります。催告書に応じない場合は、そのまま賃貸借契約の解除を行います。また、未払いの家賃は、民事調停や民事裁判で請求することになります。

家賃滞納の民事調停をする

民事調停とは、簡易裁判所で話し合いによってトラブル解決を促すことです。家賃滞納で民事調停を行う場合は、賃料等調停の書式を記入し、簡易裁判所に申し立てを行います。調停での判決に異議がある場合は訴訟に移行します。

家賃滞納の裁判を起こす

家賃滞納の裁判は、請求額が60万円以下であれば少額訴訟、高額な場合は通常の裁判になります。いずれにせよ、判決に応じない場合は強制執行といって法的手段で強制的に相手の財産や資産を差し押さえることができます。

裁判を起こす場合は弁護士の力が必要になりますので、入居者が家賃の支払いに応じない場合は早い段階で相談しておくと良いでしょう。

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家賃滞納トラブルは早めに弁護士に相談

家賃滞納トラブルは早めに弁護士に相談

家賃滞納トラブルは、入居者が家賃支払いの交渉に応じない時点で弁護士に相談することも考えて良いでしょう。家賃滞納トラブルは債権回収トラブルでもあり、裁判に発展する場合もあります。裁判などの法的手段を取る場合は弁護士の力が必要不可欠になるので、なるべく早い段階から相談することをおすすめします。

まとめ

家賃滞納トラブルは不動産のオーナーであれば避けて通れない問題です。家賃滞納が悪質である入居者は、時効を使用して「逃げ続ける」、「踏み倒す」ことを考える場合もあります。家賃滞納の時効を早い段階で中断し、未払いの家賃を支払ってもらう対処法があります。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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