決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
- 保険料は1日あたり約96円
- 通算支払限度額1,000万円
- 追加保険料0円で家族も補償
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
高度プロフェッショナル制度(こうどぷろふぇっしょなるせいど、以下高プロ制度)は、『特定の対象者に対し、労働時間ではなく労働の成果に対して給料を支払う』、新しい労働スタイルです。実際に適用されると、自由な時間に出勤し仕事が終わったらいつでも帰れるようになるので、労働者にとっては魅力的な制度です。
ですが、それは正しく運用された場合の話で、企業に悪用されてしまった場合、今までより仕事の量が増えたあげく残業代がでない…といった最悪の事態になりかねません。
対象者や職種については細かい決まりがありますが、制度自体が変われば他人事ではなくなる可能性もありますので、高プロ制度についてこの記事で確認しておきましょう。
目次
まずは、高プロ制度という言葉を聞いたことがない人にもわかるよう、制度の概要についてわかりやすく説明していきます。
特定の条件を満たした労働者に対し、『労働時間ではなく、労働の成果に対して賃金を払う』制度です。
わかりやすい例を出すと、まったく同じ仕事をしているAさんとBさんがいたとします。
AさんとBさんは労働時間に4時間の差があります。ですが、労働の成果は同じなので、受け取れる賃金が同額になるのが高プロ制度です。
現行の日本では『労働時間』に対し給料が支払われています。どれだけの成果をあげたかは基本的には給料には含まれていません(歩合制などをのぞく)。仕事の成果が評価されないのであれば、残業代をもらうためにゆっくり仕事をした方が得をすることになります(所謂ダラダラ残業)。
上記のAさんBさんの例でいうと、同じ内容の仕事を6時間でできるAさんの方が優秀なのに、だらだらと残業をしていたBさんの方が多く給料をもらうことになります。
成果が評価されるのであれば従業員個々が努力をするようになります。結果、企業や日本国全体の労働生産性をあげることができます。
高プロ制度の適用時期は2019年4月から施行される予定です。
こちらでは高プロ制度の対象者について説明していきます。前提として、『労働時間と成果が結び付きにくい仕事』に適用されますが、細かくルールが決まっているので確認していきましょう。
『高度の専門的知識が必要で、かつ、労働時間と得られる成果の関連性が低い』仕事が対象になります。
今のところ、厚生労働省は以上のような仕事に適用することを決定しています。
年収が国民の平均額の3倍以上の人が対象となっていますので、1,075万円程度を上回っている場合に適用されます。
適用に必要なその他の条件として、
などが決められているようです。
高プロ制度は、『仕事の成果に対して賃金を払う』という点で『裁量労働制』と似ています。両者の異なる部分について、下記の表で確認しましょう。
高プロ制度 |
裁量労働制 |
|
対象となる仕事 |
高度な専門的知識を必要とする、労働時間と成果の関連が薄い仕事 |
労働時間と成果の関連が薄い仕事(高プロ制度より適用範囲が広い) |
対象者の年収 |
平均年収の3倍以上(1,075万円程度) |
条件なし |
残業代・休日出勤の賃金の有無 |
無(労働基準法が適用されないため) |
有(給料に見なし残業代が含まれており、超過した分は追加で支給される) |
労働基準法の適用 |
適用されない |
適用される |
高プロ制度は、適用された労働者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。あくまで現時点で予想し得る範囲での推測であるため参考程度としてください。
定時や残業という概念すらないため、自由な時間に出社し、退社できるようになるかもしれません。子育て中・介護中の人にもとてもありがたい制度です。
今までは最低でも定時までは仕事をしなければなりませんでしたが、この制度が適用された場合には、成果をあげるなり、仕事を終わらせるなりすればいつでも帰れるようになる可能性も。
今までは、残業代をもらう目的でダラダラと仕事をする人がいましたが、適用された場合には残業代がでません。残業代が出ない上に仕事が終わった人から早く帰れるというのであれば、個々が労働に対して全力になるのではないでしょうか。
逆に、適用されることで生まれる危険性やデメリットを紹介します。こちらもあくまで推測・参考です。
今までは、仕事の良し悪しに関係なく、仕事が終わり家に帰ることができました。高プロ制度が適用された場合、仕事がうまくいっているときはよいですが、そうでないときは長時間労働や休日出勤を強いられる可能性があります。
まず、仕事に対する成果とはなんでしょうか?そこを明確にしないと結局、労働者にとって不利な制度になります。労働時間は正確に評価することができます。が、仕事の成果に対して給料を払うというのはなんだか不透明ですよね。
『自分の仕事が終われば帰っていい』というルールがあったとしても、もともと仕事量が多く残業時間が長かった人は『ただただ残業代がカットされるだけ』になる可能性があります。企業にとっては合法的に残業代をカットできる都合の良い制度かもしれません。
高プロ制度について説明しました。高プロ制度は『高い専門的知識を必要とし、労働時間と成果の関連が薄い』仕事に対して適用されるものです。『賃金を労働時間ではなく、労働の成果に対して支払うもの』で、きちんと運用された場合には、優秀な人ほど労働時間を短縮し、自分の好きな時間に出社・退社することができます。そして、残業代が出ない分、個々が仕事を頑張るようになり、企業の労働生産性をあげることができます。
一方、この制度が悪用されてしまうと『定額働かせ放題』のような状態になり、結果として適用前より労働環境が悪化してしまう可能性もあります。
導入はまだ現実味を帯びていませんが、対象者の年収条件が次第に下がっていった場合は、一般的な収入を得ている労働者にとってもいつか他人事ではなくなるかもしれませんね。
決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。
※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。