働き方改革はいつから始まる?制度の内容と施行時期について

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
働き方改革はいつから始まる?制度の内容と施行時期について

みなさんは働き方改革についてどのくらい知っていますでしょうか?テレビを見ているだけでは把握しきれないですよね。この記事では、働き方改革の柱になっている制度のおおまかな内容と、適用が予定されている時期について説明していきます。

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度

働き方改革の柱の1つに『高度プロフェッショナル制度』があります。これはどのような制度なのでしょうか。

高度プロフェッショナル制度の内容

『高度な専門的知識が必要で、かつ、労働時間と得られる成果の関連性が低い』仕事をしている人を対象に、働いた時間ではなく、働いて得られた成果に対して給料を支払う制度です。

対象者は、以下の3つの条件を満たす人とされています。

条件①

以下のような高度な専門的知識を必要とする仕事をしている人

・金融商品の開発,ディーリング
・企業,市場などのアナリスト
・開発研究

条件②

年収が1,075万円程度以上の人

(国民平均の3倍以上の収入を得ている人が対象)

条件③

その他の条件を満たした人

・仕事の内容が明確に決まっている
・本人の同意
・行政官庁への届け出
・従業員の総労働時間をきちんと把握できるようにしていること
・労使委員会の5分の4以上の多数決議

年収や職務内容のハードルが高いので該当者が少ない制度なのですが、適用後、対象者の働き方や賃金などにどのような変化が起こるのかを簡単に説明します。

  • 労働時間に関係なく、一定の賃金が支払われるようになる
  • 会社の定時がなくなるので好きな時間に出勤・退勤ができる
  • 仕事の成果が上がれば短時間勤務が可能、逆に成果が上がらないと長時間勤務になる

このように、時間にとらわれずに柔軟に働くことができる制度です。『裁量労働制』に似ているといわれていますが、裁量労働制より対象者の条件が厳しくなっています

制度の詳しい内容は下記リンクを確認してください。

参考リンク:高度プロフェッショナル制度とは|内容をわかりやすく解説

高度プロフェッショナル制度の運用時期

高度プロフェッショナル制度は2019年4月から施行される予定です。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金

働き方改革の二つ目の柱は『同一労働同一賃金』です。こちらは多くの労働者にとってメリットのある制度になります。どのような制度なのでしょうか。

同一労働同一賃金の内容

一言で説明するなら雇用形態を理由にした不当な待遇格差をなくすための制度です。まったくをもって同じ仕事をしていて、同じような責任を負っている正規雇用者のAさんと非正規雇用者のBさんがいたとします。条件は同じなのに、

  • 正規雇用者であるAさんにはボーナスが支払われ、福利厚生として家賃手当や交通費なども支払われる
  • 非正規雇用者であるBさんにはボーナスもないし、福利厚生もなし、基本給もAさんより低い

このような状態が『雇用形態を理由にした不当な待遇格差』です。

同一労働同一賃金が運用されるとBさんにはAさんと同額の基本給・賞与・手当・福利厚生などが与えられることになります。非正規雇用者の賃金などを底上げするのがこの制度の目的です。

不当な待遇格差に該当するのかどうかには細かい規定があるので、気になる方は厚生労働省のホームページにある『同一労働同一賃金ガイドライン』を確認してみましょう。

参考リンク:

同一労働同一賃金ガイドライン案の内容をわかりやすく解説

同一労働同一賃金ガイドライン – 厚生労働省

同一労働同一賃金の運用開始時期

同一労働同一賃金は大企業が2020年4月から、中小企業は2021年4月からの施行を予定しています。

残業時間の上限規制

残業時間の上限規制

今までは条件を満たしたうえできちんと届け出をすれば、労働者に無限に残業をさせることが可能でした。ですが働き方改革を通じて残業時間には上限が設けられる可能性があります。

残業時間の上限規制の内容

まずは働き方改革適用前の残業制度について表でご覧ください。 

労働基準法

・1日の労働は8時間まで

・1週間の労働は40時間まで

 

この範囲内でしか働くことができない(法定労働時間内)

 

残業(法定時間外労働)はできない

36協定

 

(会社の代表と労働者の代表が協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで残業が可能になる)

 

・1ヶ月で45時間まで

・1年で360時間まで

 

上記の範囲内であれば残業をさせることができる

 

特別条項付き36協定

 

(繁忙期など、どうしても残業時間の上限を守れそうにないときはあらかじめ、特別条項付き36協定を結び、労働基準監督署に届け出をしておく)

 

企業側と労働者側で協定を結ぶ必要はあるものの、実質残業時間の上限はなくなる(無制限に残業させることができる)

 

上記にもあるように、これまでは今までは特別条項付き36協定によって、労働者に無限に残業をさせることができたのです。ですが、働き方改革によってそこにも上限規制が入る予定です。

働き方改革後の特別条項付き36協定の内容

特別条項付き36協定(働き方改革後)

・単月では100時間まで
・複数月の場合は平均80時間まで(2~6か月まで)
・1年間で720時間まで

違反した場合には罰則あり

というように変化します。上限がある上に違反した場合に罰則を設けることで、残業時間を短くする、というのがこの規制の目的です。

残業時間の上限規制の運用開始時期

大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から運用開始の予定です。

まとめ

働き方改革の目玉となっている3つの変化のおおまかな内容と、それらの適用時期について説明しました。こうして確認してみると、適用はそこまで遠い未来ではないような気がします。

この記事では制度の内容については詳しく触れていません。もっと詳しく知りたい人は厚生労働省のホームページにある各ガイドラインなどを読んでみることをおすすめします。

出典元

同一労働同一賃金ガイドライン案 – 厚生労働省

時間外労働の限度に関する基準 – 厚生労働省

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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