ネットストーカー(サイバーストーカー)の手口と被害に遭った時の対処

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
ネットストーカー(サイバーストーカー)の手口と被害に遭った時の対処

ネットストーカーとは俗語ですが、一般的には恋愛感情や憎悪感情をきっかけとしたインターネット上で監視・つきまとい・なりすまし・個人情報の拡散などを行うことで、対象の相手を不安や恐怖に陥れる行為全般を意味します。サイバーストーカーとも呼ばれます。

新しい概念が生まれ浸透するとともに新しい犯罪も登場するものですが、インターネットもその例外ではありません。スマホを多くの人が持つようになったこともあり、気軽に自身の近況を広く伝播できるようになった一方で犯罪被害に遭う可能性もあるのです。

今回の記事ではネットストーカーが具体的にどのような行為なのか、ネットストーカー被害に遭わないためにできることとは何かをご紹介いたします。

ネットストーカーの手口について

ネットストーカーはインターネット上のサービスを利用して行われるストーカー行為で、以下のようなことが当てはまります。

  1. SNSやブログを監視
  2. 嫌がっているのにも係わらず連続してメッセージ等を送る
  3. 集めた個人情報を他のサイトへ流す
  4. アカウントの不正アクセス(乗っ取りや個人情報の窃盗)

SNSやブログを監視する

相手のSNSやブログを監視する行為です。この行為自体は本人の意思でネットに公開している情報をみているだけですので、ストーカー規制法などの法律で罪に問えるものではありませんが、段階的に悪い方向へと進んでしまう可能性はあります。

拒絶しているにも関わらずSNSやブログでのメッセージ等の連続送信する

各SNS・ブログにはたいがいメッセージやダイレクトメール、コメント機能が備えられています。他者とコミュニケーションをとるための基本的な機能ではありますが、相手が嫌がっているのにもかかわらず執拗にメッセージ等を送信する行為はネットストーカー行為と言えるでしょう。

なおこのような行為はこれまではストーカー規制法の対象に含まれていなかったのですが、ストーカー規制法が2回目に改正された際、SNSやブログでのメッセージ等の連続送信がこの法律の対象となっています。

2017年現在のストーカー規制法におけるストーカー行為に当てはまるのは以下のモノです。

  • つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき
  • 監視していると告げる行為
  • 面会や交際の要求
  • 乱暴な言動
  • 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS
  • 汚物などの送付
  • 名誉を傷つける
  • 性的しゅう恥心の侵害

ストーカー規制法が改正されたきっかけとしては2016年5月21日に発生した小金井ストーカー殺人未遂事件ですが、この事件では被害者の女性が事前に警察に相談していたにもかかわらず殺人未遂事件まで発展した大変痛ましい事件でした。

集めた個人情報を他のサイトへ投稿する

知り得た相手の情報(氏名・住所・所属する学校や会社名など)を掲示板やSNSに投稿する行為です。プライバシーの侵害や名誉棄損で罪に問える可能性があります。

アカウントの不正アクセス(乗っ取りや個人情報の窃盗)

相手のSNSアカウントに不正にアクセスし、乗っ取りをした上でなりすましの投稿を行なったり、個人情報を盗み取る行為です。不正アクセス禁止法によって罪に問える可能性もあります。

ネットストーカーの被害に遭わないための対処方法

ネットストーカーの被害に遭わないための対処方法

できれば目をつけられないようにしたいものですが、どうすればネットストーカーの被害を予防できるのでしょうか。

SNSやブログの公開に制限をかける

なにげなく書いた日常、アップロードした画像は不特定多数の人が見ている可能性があります。

自分のことなんて知らない誰かが見ているわけがないだなんて思ってはいけません。

SNSやブログの使用目的にもよりますが、もしもプライベート性が強く、できるだけ多くの人に見てもらいと思っていないのであれば公開制限をかけるべきでしょう。

住所や個人が特定される情報は出さない

住んでいる場所、どんな学校に通っているかなどあなたが明確な情報を出しているつもりがなくともときに特定されることもあります。些細な情報でもあなたが利用している(利用していた)他のSNS等と共通項があれば危険です。

また、もしも利用していないSNSアカウントがあるのならば、公開制限をかけたり、消したほうがいいです。例えばもう使っていないmixiのアカウントを誰にでもみれる状況にしておくと、過去の交友関係なども知られてしまうかもしれません。

パスワードが特定できないものにする&友達の申請承認を慎重に

パスワードがなんらかのきっかけでバレてしまうとアカウントを乗っ取られる可能性があります。パスワードに関しての注意はよく言われるものですが、

  1. 使い回しをしてはいけない
  2. 誕生日や氏名を由来したものなど推測しやすいワードは使わない
  3. アルファベット、数字、記号などを組み合わせ10文字以上程度にする

ということが挙げられます。

またFacebookでは仕様を悪用し乗っ取る方法が存在し、これに関してはFacebookも注意喚起を行なっています。詳しくは以下のリンク先で確認していただくとして、あなたの友人になりすましたアカウントからの友達申請が来ることがあります。

本当にそのアカウントが本人なのか、ということを判断しなくてはなりませんから、承認する前に本人に(直接会って聞いたり、連絡してみるなど)確認することをオススメします。

ネットストーカーの被害にあった場合に出来ること

ネットストーカーの被害に遭っているときにはなにができるのでしょうか。

被害の証拠を集める

前述したように、連続したメッセージ等の送信はストーカー規制法の対象です。したがって警察への相談をおすすめしますが、その前に「ストーカー行為」があったことを証明するため、投稿されデータを保全しましょう。

具体的に保全でできることは、キャプチャーを撮ったり印刷をしておくことです。データを保全する際はURLと記録時間がわかるようにしておくことが大切です。

また動画であなたの個人情報を言ったり誹謗中傷をしている場合は、ダウンロードをしてデータそのものを保存するようにしましょう。

警察に相談する

ストーカー被害の解決には警察が最も有効といえます。したがって、もしも被害について不安や悩みを抱えている場合は、最寄りの警察署のサイバー犯罪対策課や生活安全課またはストーカー対策室へ相談に行きましょう。

ストーカー行為をしている人物を特定できているのであれば、警察は警告を出すことができます。ネットストーカーの場合はストーカー規制法に当てはまるのは、SNSやブログへの執拗なメッセージの送信ですので、相談の際は前述のとおり画面キャプチャーや印刷をしておいたものを持参しましょう。

従来であれば、警告をした後に公安委員会が禁止命令を出すという流れでしたが、ストーカー規制法の改正によって、緊急性が高い場合は事前の警告が出されていなくとも公安委員会が禁止命令を出せるようになったので、よりストーカー被害に対するスムーズな対応ができるようになったとも言えます。

弁護士に相談する

ネットストーカーに対しては弁護士に依頼することで解決を図れることもあります。費用はかかってしまいますが、状況が深刻な場合には検討してみるといいでしょう。

内容証明を作成してもらい相手へ警告をする

内容証明とはいつどんな内容の書類を誰が誰に送ったかを郵便局が証明してくれるというものです。意味合いとしては、郵便局が第三者に手紙を送ったという事実を証明してくれるだけですが、相手への心理的効果やこちらが相手の行為に対して拒絶を示したという証拠になる、という副次的な効果があります。

内容証明は個人で作成することも出来ますが、弁護士が作成したという事実を相手に伝えることができればより心理的圧力をかけることができ、ストーカー行為の停止に繋がる可能性があります。

また他にも被害を証明できるような証拠集めの手助けや刑事告訴の手続きをしてもらうなど、個人ではなかなか難しいことをしてくれます。

弁護士費用はどのくらいか

ネットストーカー、ストーカーでかかる弁護士費用ですが、具体的にどのような解決方法を採るか、また法律事務所によっても変わってきます。

以下ではおおよその価格をご紹介しますが、実際の費用については利用される法律事務所にお問い合わせください。

相談料:5,000円/時〜10,000円/時ほど

内容証明の作成:3万~5万円ほど

民事:請求額によって異なります。

刑事:着手金は30万~40万円ほど 報酬金も30万~40万円ほど

ネットストーカーの被害者に対して周囲の人がしてあげられること

なんらかのきっかけで周囲の人がストーカー被害に遭っていると気づいたら、まずは話を聞いてあげることも大切です。ストーカー規制法が改正されストーカーは非親告罪になったので、もしも深刻な状況が予想される様であれば被害者の方と話し合った上で、あなたが被害者に代わりに警察へ相談することもアリです。

まとめ

SNSやブログで情報発信するということは不特定多数の人が見ている可能性ということを改めて考えなければいけません。

安全に使用するためにもアカウントの設定で情報の公開制限をかけたり、投稿前に本当に投稿をして良い情報かどうか一呼吸おいてから発信をするよう心がけましょう。

最後にネットストーカーに関連する記事をご紹介させていただきますが、よろしければお読みくださいませ。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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