家賃滞納トラブルの対応マニュアル | 家賃トラブルの防止法から強制執行の方法まで一挙解説!

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
家賃滞納トラブルの対応マニュアル | 家賃トラブルの防止法から強制執行の方法まで一挙解説!

家賃滞納は不動産を抱えるオーナーにとって非常に悩ましいトラブルです。家賃滞納が続いてしまうと、家賃収入が減ってしまい死活問題となってしまいますよね。

家賃滞納は長期間放置してしまうと、債権の消滅時効によって回収ができなくなってしまうので早めに行動することが大切です。3ヶ月以上の家賃滞納に悩んでいる場合は、家賃回収や立ち退きなどの手続きを行いましょう。

この記事では家賃滞納に関する知識についてご紹介します。

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家賃滞納される理由

単なる失念以外お家賃滞納理由として以下が考えられます。 

  • 金銭的余裕がない
  • 行方不明および音信不通

いずれのケースも対応に苦慮することは珍しいことではありません。

家賃滞納を防ぐ方法

上記のような家賃滞納リスクは完全に払拭することはできませんが、ある程度、このリスクを抑制することは可能です。

家賃滞納を防ぐ2つの方法

連帯保証人を確保する

賃貸借契約を締結する際に、信用力のある連帯保証人を付けてもらうことで債権を回収する選択肢が広がります。
 
例えば、賃借人に対して「滞納が続くので連帯保証人から回収せざるを得ない」旨伝えることで、保証人に迷惑を掛けることを嫌がり、賃借人が任意で支払いをするということもあり得ます。

また、実際、賃借人が支払いをしないのであれば、連帯保証人に対して直接請求することで、賃料を回収できる可能性もあります。
 
そのため、賃貸借契約を締結する際は、連帯保証人を立てたり、保証会社と契約してもらうことを積極的に検討しましょう。

入居審査を徹底する

入居希望者の審査をより入念に行うことで、賃料未払いのリスクはある程度抑制できます。
 
入居審査に特段のルールはありませんが、例えば以下のような事情を総合的に考慮して、信用力を慎重に判断することを推奨します。

  • 入居者の住所、電話番号、性別、生年月日
  • 入居者の勤務先名、住所、電話番号、業種、所属部署等
  • 入居者の年収、勤続年数
  • 連帯保証人の氏名、電話番号、住所、性別、生年月日
  • 連帯人の勤務先名、住所、電話番号、業種、所属部署等
  • 連帯保証人の年収、勤続年数、賃借人との関係

また、上記事項については、以下のような裏付けの資料も併せて提出してもらいましょう。

  • 住民票
  • 源泉徴収票等の収入証明書
  • 身分証明書(免許証・保険証等)
  • 印鑑証明書

家賃滞納トラブルは早めに対処すべき

家賃滞納トラブルは、不動産を抱えているオーナーにとって頭を悩ませる問題のひとつです。入居したばかりで銀行口座の引き落とし手続きが進んでいないための滞納は入居者によくあることですが、滞納が3ヶ月続く状態は家賃滞納者とみなされます。家賃滞納は、5年以上放置してしまうと回収できなくなってしまう可能性があるので、早めに対処していきましょう。

家賃滞納の判断基準は3ヶ月

入居者から家賃が振り込まれていないと悩み始めたら、家賃滞納が3ヶ月以上行われているか確認しましょう。家賃滞納トラブルの判断基準は3ヶ月です。3ヶ月続けて家賃が滞納されている場合は、オーナー(貸主)と入居者(借主)との信頼関係が破壊されたと考えられるのです。信頼関係の破壊は、滞納された立ち退きをオーナー側から求める条件として、重要なポイントになります。

家賃滞納の時効は10年

長期間、家賃滞納を大目にみていると滞納された家賃を回収することができなくなってしまいます。家賃滞納は債権にあたるため、民法167条と169条の消滅時効にあてはまるのです。

第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
引用元:民法

第百六十九条  確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。

2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。

引用元:民法

家賃滞納から10年間、回収のために何も講じない場合は時効とみなされてしまい、家賃(債権)回収ができなくなります。3ヶ月以上の家賃滞納トラブルを抱えている場合は、早めに解決のために行動を起こしましょう。

家賃滞納トラブルの具体的な解決手順

家賃滞納トラブルの具体的な解決手順

家賃滞納の交渉順序は「電話・文書・直接交渉」です。家賃を払わずに華美な暮らしをしているのを見てしまったりすると、思わず実力行使に出たくなってしまいますよね。しかし、感情的に回収を行うと罪に問われてしまう場合もあるので、手順を踏んで家賃滞納トラブルを解決しましょう。

家賃支払いの交渉をする|電話・文書・直接交渉

家賃滞納をされたら、まず入居者に家賃を支払ってもらうよう交渉をしましょう。交渉の順序は、「電話・文書・直接交渉」です。また、交渉をする際は必ず記録に残すようにしてください。入居者が支払いに応じず法的措置を取ることになった際、証拠として交渉の記録が必要になります。交渉の記録を残すには、電話をかけた日時や、送った文書のコピーなどをノートにまとめておくと有効です。

電話による催促

入居者に、電話で家賃が滞納されている事実と支払い期日を伝えましょう。入居者が電話に出たら、支払い期日を伝え、入居者がいつまでに振り込むかを具体的に聞き出しましょう。電話に出なかった場合は、必ず留守番電話を残して、入居者に折り返し電話をかけさせましょう。感情的になって怒鳴ったり「家賃を支払わないと、○○をしてやる!」と言ってしまうと脅迫と思われることもあるので注意しましょう。

文書で家賃の支払いと支払い期日を決める

入居者が電話での交渉に応じない場合は、文書で家賃の催促を行います。この時、家賃の支払い催促や支払い期日の他、支払わない場合の対応なども具体的に記載しましょう。入居者に催促を文書で行う際は、送った文書の控えをとっておくと良いでしょう。

直接交渉

入居者と直接交渉を行う際は以下のことに気をつけましょう。

  • 入居者が拒否した場合は部屋に入らない
  • 入居者から「帰ってほしい」と言われた際は日を改める
  • 書類を投げつける、怒鳴るなど暴力や脅しととられるような行為をしない
  • 勝手に部屋の鍵を変えたり、家財を持ち出したりしない

上記の行為は違法行為にあたります。違法行為を行った場合、罪に問われたり、損害賠償請求がされる場合があります。

連帯保証人に家賃の支払い交渉を行う

賃貸借契約を結ぶ際、連帯保証人や保証会社などの確認を行うと思います。入居者本人が家賃の支払いを行わなかった場合は、連帯保証人や保証会社に連絡して家賃を支払ってもらうよう交渉しましょう。

催告書を内容証明郵便で送る

上記の手順を踏んでも家賃滞納が解決されない場合は、「立ち退き(強制執行)」も視野に入れて考えましょう。家賃滞納は契約者間の信頼関係の破壊とみなされるため、賃貸借契約書を解除することが認められます。
ここで、改めて家賃の支払いと、支払わなかった場合は退去してもらうとの旨を催告書として文書にします。催告書は、内容証明郵便で入居者に送るようにしてください。内容証明郵便とは、送った文書の内容を郵便局が証明してくれるサービスです。内容証明郵便で送ることによって、入居者が送られていないと主張した場合も謄本で証明することができるのです。

支払いに応じない場合は裁判等「債務名義」を得るための手続きをとる

催告書を内容証明郵便で郵送しても入居者から反応がない場合は法的に支払いを命じるための裁判等「債務名義」を得るための手続きをとります。債務名義は家賃滞納などの債権の金額や債権者、債務者(誰に支払うか)を公文書として残すことです。これにより、強制執行などを行うことができます。
参照元:裁判所|民事訴訟手続

支払いに応じない場合は裁判等「債務名義」を得るための手続きをとる

悪質な家賃滞納は「立ち退き(強制執行)」も考える

家賃滞納の催促を行なっても応じない、催告書を郵送しても反応がないという場合は法的措置をとることも可能です。ただし、家賃滞納による強制執行を行う場合は訴訟になるので弁護士の力が必要になるでしょう。支払われるべき家賃を取り戻して、入居者に立ち退きをしてもらうことを考えている方は早い段階から弁護士に相談することも考えましょう。

強制的な明渡しの流れ

賃借人が賃料を支払わず、任意で明渡しもしない場合には、強制的に明け渡してもらう手続を履践せざるを得ません。この場合、まずは賃料未払いを理由に賃貸借契約を解除しつつ、賃借人に対して明け渡しを命じる債務名義(裁判所の判決等)を取得しなければなりません。
 
また、債務名義を取得しても、明渡しが自動的に行われるものではなく、賃借人が任意の明渡しをしないのであれば、賃貸人側で強制執行の手続を取らなければなりません。ここでは、強制執行手続について簡単に説明します。
 
強制執行を行う際には、以下の流れで進めます。

強制的な明け渡しの流れ

  1. 強制執行に必要な書類をそろえる
  2. 強制執行を申し立てる
  3. 執行官との打ち合わせをする
  4. 明け渡し処分を実行する。

 強制執行に必要な書類

強制執行をするためには、債務名義が執行可能であることがわかる書類を執行裁判所に提出する必要があります。具体的には以下の3点です。

  • 債務名義の正本
  • 執行文
  • 送達証明書

 債務名義の正本

強制執行を行う際には、債務名義の正本が必要となります。
債務名義の正本とは、裁判所から送達された判決書等です。

執行文

強制執行を行うためには、債務名義について強制執行できる状態にあることを証明する執行文が付与される必要があります。
 執行文の付与は判決等を行った裁判所で手続きを行ってください。

送達証明書

送達証明書は、判決正本が相手に到着している旨を証明する書類です。
こちらの書類も執行文付与と同様に判決等を行った裁判所で手続きを行ってください。

強制執行の申し立て

上記のような必要書類が整ったら、執行裁判所に強制執行の申立を行うことになります。

具体的には、賃貸物件所在地を所管する地方裁判所に対し、所定の申立書・附属書類を提出し、必要な印紙・郵券・予納金を納付して行います。詳細は、申立先の裁判所に直接確認してください。

執行官との打ち合わせ

不動産の明渡しの強制執行は、裁判所の執行官が直接物件に赴いてこれを実行します。そのため、事前に執行官と物件の状態、相手方の状況、執行の日時・方法等について綿密な打合せが必要です。
 
実務的には、執行官による強制執行をサポートする執行補助者(鍵の解錠、家財の撤去・運搬・保管等を行う業者)の選定を行うことになります。このような業者も、執行官側で紹介してもらえます(自身で心当たりのある業者がいれば、これを執行補助者とすることを提案することも可能です。)。

強制執行の実施

執行官との打合せでスケジュールが確定すれば、執行官がこれに従って強制執行の処理を開始します。具体的には明渡し物件に対し、強制執行予定である旨を告知しつつ一定期限までに退去する事を求めます。

そして、一定期限までに退去されなければ、執行官と執行補助者が建物に立ち入って、退去を強制します。そして、建物から賃借人及び賃借人の所持物件が運び出され、建物の鍵を交換して、強制執行が完了します。

なお、運び出した所持物件のうち廃棄物以外は執行補助者により一定期間保管され、賃借人が引き取らなければ処分されます。

家賃滞納の交渉で気をつけるべき4つの違法行為

家賃滞納の交渉で気をつけるべき4つの違法行為

家賃滞納の交渉を行う際、以下のような言動は違法行為や不法行為とみなされます。違法行為や不法行為にあたる言動を行うと、家賃の回収や立ち退きができなくなるだけでなくオーナー側が罪に問われる可能性もあります。

  • 無断で部屋に入る
  • 相手が拒否したにも関わらず部屋に居座る
  • 暴力や脅しにあたる行為をする
  • 無断で鍵を変える
  • 無断で家財を持ち出す

住居侵入罪|部屋に入る・居座る

刑法130条では、許可なく住居に侵入、または、居座った場合は住居侵入罪に問われると定めています。法的手続きをとっていない家賃支払いの催促は、以下の法律上の正当な理由として認められない場合があるので、無断で部屋に入ったり居座ったりすることはやめましょう。

第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
 引用元:刑法

暴行罪・脅迫罪|暴力や脅す

暴力を振るったり脅したりすることは、罪に問われる場合があります。家賃滞納の交渉で気を付けたいことは、書類を投げつけたり怒鳴ったりした場合も、暴力や脅しとして判断されることがあるということです。もしも、交渉の際に感情的になってしまうと思った場合は、弁護士などの代理人に交渉を行ってもらうというのもひとつです。

第二百八条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
 引用元:刑法

第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
 引用元:刑法

 損害賠償請求|鍵を変える・家財を持ち出す

家賃支払いや立ち退きに応じない入居者に対して、無断で鍵を変えたり家財を持ち出したりすると、入居者から損害賠償を求められることがあります。また、このような行為を行なった場合、損害賠償請求の恐れがあります。

第二百六十一条  前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
 引用元:刑法

家賃滞納は早めに弁護士に相談する

家賃滞納は早めに弁護士に相談する

家賃滞納を5年以上放置してしまうと、時効消滅によって支払われなかった家賃の回収ができなくなってしまう可能性があります。家賃滞納が常態化している場合は早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は家賃交渉や立ち退き問題をあなたに変わって交渉・解決することができます。

まとめ

家賃滞納トラブルを防ぐには、日頃から入居者とコミュニケーションをとっておくことが有効です。賃貸の契約は、貸主と借主の信頼関係の上で成り立っています。もしも、家賃滞納をしている入居者がいて、契約者としての信頼関係が破壊されている場合は毅然とした態度で臨みましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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編集部

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