審査請求の費用|税務案件における弁護士費用の基準と相場まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
審査請求の費用|税務案件における弁護士費用の基準と相場まとめ

審査請求の手続きでかかる費用は原則としてありません。書類等の写しや申請書の郵送代など、細かい費用は請求人の負担になりますが、不服申立て制度は利用のしやすさを目的としているため、基本的には費用が発生しないようになっています。

ただし、請求人が考慮すべき費用は別にあり、審査請求や税務訴訟について弁護士に依頼した場合の『弁護士費用』について相場をあらかじめ把握する必要があります。

今回は審査請求などの税務案件で弁護士に依頼した場合の費用相場と併せて、弁護士に依頼するメリットとデメリットをまとめました。審査請求の手続きを弁護士に頼めば処分を必ず取消してもらえるわけではないので、弁護士費用の基準をよく確認しておくべきでしょう。

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審査請求自体に対してかかる費用はほとんどない

そもそも審査請求とは、国や地方公共団体などの行政庁による処分への不服申立てを意味しますが、税務案件だけでなく全般的な行政処分に対する審査請求において、基本的な費用はかかりません。

国税不服申立制度は請求人が使いやすいことを前提としている

審査請求や訴訟などの制度は法律上で定められていますが、税務署長などが行った処分に対する不服申立てである『国税不服申立制度』については、請求人にとって利用しやすくするために法律改正で請求期間の延長などがされました。

行政処分を受けた人へ平等に不服申立てをする権利を与えるという意味でも、審査請求書を提出する際に別途手数料を支払うといった決まりは一切ないとされています。

証明書類の写しなど細かい費用のみ請求人が負担する

例外として事務的な費用になりますが、審査請求書の郵送時にかかる送料なども請求人の負担になります。また、証拠書類などの写し(コピー)を請求する場合は、原則として1枚につき10円の手数料を請求人が支払う必要があります。

審査請求に関して弁護士に依頼した場合は弁護士費用が発生

そのため、処分を受けた納税者だけで審査請求の手続きを進めた場合には、ほとんど費用がかからないと思っていただいて構いません。

しかし、審査請求では法的な問題が絡むため弁護士に相談するケースも少なからずあるでしょう。その場合には弁護士費用が別途かかるため、審査請求における費用については弁護士に依頼する際にかかる出費についても考慮すべきです。

課税処分などの税務案件における弁護士費用の相場例

弁護士費用は法律事務所によって多少異なりますが、ある程度の相場は決まっています。主に『相談料』『着手金』『報酬金』の3種類に分類される弁護士費用について、個別に確認していきましょう。

相談料|初回相談を無料で対応してくれる法律事務所が多い

相談料については相談内容にもよりますが、1回につき(または30分などの時間ごとに)3,000円~5,000円程度の費用がかかります。ただし、初回であれば無料で相談に対応してくれる法律事務所も多いようです。

着手金|取り消された税額・手続き内容を基準に算定

着手金は案件への対応を始める段階で支払われる費用のことですが、法律事務所によって2通りの算出方法に分かれます。

処分取消しの請求額に応じて設定されている場合

課税処分の詳細については納税申告書の記載に間違いがあったとされて税額を多くされる『更正処分』などがありますが、増額された税金について納税者は審査請求で取り消してもらうことになります。

取消を要求する分の税金を一般的に『経済的利益』として扱い、税務案件の度合いを示す一つの目安になりますので、弁護士費用における着手金も経済的利益の額に応じて着手金額が設定されます。

あくまでも参考として以下表の通り算出例を出しましたが、法律事務所によって経済的利益に対する割合や固定額が変わるでしょう。

《着手金算出例》

経済的利益(処分申立てをする税額) 着手金
300万円以下の場合 経済的利益 × 8%
※最低額:10万円
300万円を超え3,000万円以下の場合 経済的利益 × 5% +固定額 9万円
3,000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益 × 3% +固定額 69万円
3億円を超える場合 経済的利益 × 2% +固定額369万円

手続き内容に応じて設定されている場合

また、法律事務所によっては経済的利益による変動制でなく、依頼された手続きの内容に応じて設定される固定制の着手金もあります。これも相場例について以下表で記載しましたが、弁護士の業務負担が大きい依頼内容であるほど着手金が高額になっています。また、税務訴訟の場合は長期になるため、2年目以降で別途費用が発生することも考えられます。

《着手金相場例》

弁護士への依頼内容 着手金の相場
再調査 30万円~50万円程度
審査請求 50万円~100万円程度
税務訴訟 100万円~200万円程度
※2年目以降で追加費用が発生する場合あり

報酬金|着手金の倍の額が目安

報酬金については案件が無事に解決した時、通常、実際に減額した課税金額に応じて支払われる費用になりますが、一般的には上記で説明した着手金の2倍の額が相場になります。

着手金と同様に法律事務所によって微妙に料金体系が異なる場合もありますが、着手金と合わせた弁護士費用の相場例をまとめて確認しましょう。請求する税額(経済的利益)によって弁護士費用額が変動する《着手金算出例》を基に試算しました。少なく見積もっても100万円程度はかかると思われます。

《着手金+報酬金の相場例》

経済的利益 着手金 報酬金 合計額
500万円 35万円 70万円 105万円
1,500万円 90万円 180万円 270万円

審査請求で弁護士に相談するメリットとデメリット

審査請求で弁護士に相談するメリットとデメリット

上記で解説した弁護士費用の相場例も参考にしながら、審査請求で弁護士に相談するメリットとデメリットを確認していきましょう。

弁護士に相談するメリット|早期の解決が期待できる

審査請求で提出する『審査請求書』に、処分取消を求める正当な理由を記載する必要がありますが、弁護士からアドバイスをもらえれば適切に作成できるでしょう。また、処分を下した行政庁(処分庁)の主張に対する反論書の作成なども弁護士のサポートによって迅速に対応できます。

弁護士に相談するデメリット|審査請求で処分が取消しされる可能性は非常に低い

ただし、一つ注意点として審査請求で処分が取消しされる可能性は非常に低いことが挙げられます。下記表を見ていただくと分かるように、審査請求が認容される割合は平成27年度で8%になります。

区分 認容 棄却 却下 取下げ 件数合計 認容割合
平成24年度 451 2,482 381 304 3,618 12.5
平成25年度 236 2,481 197 159 3,073 7.7
平成26年度 239 2,388 165 188 2,980 8.0
平成27年度 184 1,615 289 223 2,311 8.0

また、参考までに審査請求における裁決の詳細についても説明しておきます。却下と取下げは似たような意味ですが、請求を止める側(国税不服審判所、または請求者自身)によって分類されます。

  • 認容|請求人の要求が認められること
  • 棄却|請求人の要求が認められないこと
  • 却下|提出した書類に不備があったり、請求する権利がなかったりすること
  • 取下げ|請求人自身が審査の中断を求めること

このように、審査請求ではおよそ90%の割合で請求人の処分取消要望が通らなくなってしまうため、弁護士費用(着手金)を支払うリスクをしっかりと受け止める必要があるでしょう。

審査請求などの税務案件で弁護士へ依頼する際に知っておくべきこと

弁護士費用の負担を含め、審査請求や税務訴訟などの対応で弁護士に依頼する時に知っておくべきポイントを最後にまとめました。審査請求が棄却された後では訴訟の提起が可能になりますが、長い時間と労力をかけてまで裁判で争うべきかどうかを正しく判断した方が良いでしょう。

弁護士に依頼しても必ず課税処分が取消される訳ではない

これまで説明した通り、審査請求は弁護士に依頼しても確実に処分取消が認められる制度ではありません。弁護士へのサポートで請求人の負担が減り、スムーズに手続きが進むメリットも期待できますが、弁護士費用である着手金を支払うリスクに見合う案件かどうかを見極める必要があるでしょう。

審査請求に加えて税務訴訟になった場合のことも想定する

審査請求が棄却された場合に検討する訴訟の提起についても、裁判で争って勝ち目があるのか弁護士に確認するべきです。税務訴訟によって処分が取り消される見込みがあれば、引き続き弁護士に依頼して法的な手続きを代理してもらうのも一つの手段です。

まとめ

審査請求の費用について弁護士費用を中心に解説しましたが、審査請求が棄却されるリスクを十分に考慮した上で弁護士に依頼するかどうかを判断するのが適切な方法だと思われます。まずは初回の無料相談で、弁護士費用と併せて処分取消が認められる見込みを確認しておくのが良いでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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編集部

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