不服申し立てとは?事例まとめと申請の期限・手続きを紹介!

( 4件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
不服申し立てとは?事例まとめと申請の期限・手続きを紹介!

不服申し立て(ふふくもうしたて)とは、店舗営業の許可申請や生活保護申請などに対し、国と地方公共団体が国民に許可不許可を言い渡すことを『処分』と言いますが、その処分に対して納得いかない場合に再審査を申請できる制度のことを言います。

処分は法令にしたがって厳正に判断されますが、時にはその判断が誤っていたり、法令通りであっても不当な内容である場合もあるため、そういった処分に対しての国民への救済措置としてこの制度が設立されました。

  • 「自分の所有外の資産まで納税申告されてしまった」
  • 「明らかに生活困難な健康状態で生活保護を拒否された」 など

もしこういった処分が不当な内容であるのならば、不服申し立てを利用することにより裁判よりも手間なく短い期間で処分内容の見直しをできる可能性があります。

当記事ではそんな不服申し立ての事例や手続きなどについてご紹介していくので、不服申し立てを考えている場合はぜひ参考にしてみて下さい。

不服申し立てができる資格とは

不服申し立ては以下①~③のいずれかと④に当てはまる人に利用できる資格があります。

  1. 処分をされた人
  2. 申請に対する処分が行われない不作為の場合は申請を行った人
  3. 第三者に対する処分によって、権利利益の侵害を受ける(おそれのある)人
  4. 異議・不服を申し立てることが可能な期間内にある人

不作為の場合とは

②の『不作為』というのは申請を出したにも関わらず、その許可不許可の処理自体がされなかった場合のことです。処分がいつまで経っても下されない場合は、その処分を申請した人に不服申し立て(処分の義務付け)をする資格が生じます。

第三者の処分によって権利利益の侵害を受けるとは

③は「近所に保育園が立つことになったが騒音により日常生活に支障がでる恐れがある」など他者の処分により自分に不利益が生じる可能性がある場合で、例え自分で申請した処分でなくともこのよう事例ならば不服申し立てをする資格が生じます。

不服申し立ての事例

不服申し立ての事例

不服申し立てを受け取った審査庁は審査員の意見をまとめ第三者機関にその妥当性を求め、その後に以下3つのいずれかの判決を下します。

  • 容認事例:処分に違法または不当な点がある
  • 棄却事例:処分に違法または不当な点がない
  • 却下事例:審査要求の条件を満たさず適法ではない

『棄却』と『却下』どちらも訴えが認められないという点では同じですが、却下は訴えが検討するに値せず門前払い、棄却は訴えを検討したが認められる内容ではなかったという意味で使い分けられます。

以下でそれぞれに判決の事例をいくつか紹介するのでご参考くださいませ。

容認事例

事例1:障碍者の息子が特別児童扶養手当対象の20歳を超えてしまい扶養手当の失効処分をされるが、父親が学校に通う息子の日常生活の困難さを訴え不服申し立てをした事例。処分は法令通りで違法性はないが不当な内容であると判断され主張が認められました。

事例2:私道部分の固定資産税を要求されたが、市の道路管理台上には道路部分として長年記載され扱われていたのに資産税の要求は不当ではないかと不服申し立てをした事例。この申し立ての理由には正当性があると判断され主張が認められました。

棄却事例

事例1:父親にネグレクトを受けていた子供が児童保護施設に引き取られるが、父親が命にかかわることは何もしていないと不服申し立てをした事例。外部からの証言を覆す具体的な根拠と証拠が見られず不当性はないと判断され申し立ては棄却されました。

事例2:職員の確保が困難なため募集の定員を0と告知した保育園へ、そちらの業務怠慢で保育園を利用する権利を失うのはおかしいと不服申し立てがあった事例。あらかじめ告知をしていたことから違法性は認められず申し立ては棄却されました。

却下事例

事例1:特別児童扶養手当審査で健康診断書の提出を求められるが、指定された年月より古いものを提出し却下されてしまい、それに異議を申し立てる不服申し立てがあった事例。現状の健康状態を証明できる証拠を用意できないため申し立ては却下されました。

事例2:自動車に関わる税金が昨年より増加し生活への負担が大きいため支払う税金を減額してもらいたいと不服申し立てがあった事例。審査は正当か不当かを判断する場であり減税を交渉する場ではないので申し立ては不当だと却下されました。

不服申し立ての手続き

手続きに必要なもの

不服申し立てをする際に用意するのは書類のみです。審査後に裁判を行うといった場合でなければ費用は一切かかりません。

必要書類の準備とその書き方の確認は以下をご利用くださいませ。

審査請求書(記入用)
審査請求書(書き方見本)

提出先は県によって異なりますので以下のページをご参考ください。
審査請求書等の請求先一覧

不服申し立ての期限と流れ

不服申し立ての期限と流れ

まず処分を受けたら3ヵ月以内に審査請求に不服申し立ての審査請求、もしくは一度審査をお願いした場所への再調査の要求どちらかの選択をします

再審査を選択した場合でもその結果に納得いかないならば、結果の告知後1月以内なら審査請求を行うことが可能で、先に審査請求を選んだ場合とその後の手続きには変化は特にありません。

その後、不服申し立てに対する判決が告知され不服申し立ての手続きは終了となります。ただここでの処分に納得できない場合は6カ月以内であれば裁判で訴訟できる権利が認められています。

もし判決に納得できず裁判を考えている場合は弁護士に相談し、申し立てが認められる可能性があるのかを十分に確認してから行動に移していきましょう。

まとめ

不服申し立ては国民が処分を一方的に受け止めるだけでなく、主張を伝える権利を守るために存在します。

正当な主張であれば処分の結果を変えられる救済制度のようなものなので、もし処分に不服があるのなら遠慮せず積極的に活用していきましょう。

数十万~数百万の弁護士費用、用意できますか?

決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

Cta_merci

離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。

【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】

  • 保険料は1日あたり約96円
  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

この記事を見た人におすすめの記事

new税務訴訟の新着コラム

もっと見る

税務訴訟の人気コラム

もっと見る

税務訴訟の関連コラム

編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。