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KL2020・OD・037
相続放棄で借金は減らせるけどリスクや懸念点などはあるのでしょうか。相続放棄をすれば、「被相続人の借金を支払う必要がない」というメリットばかり目がいきますが、いくつかの懸念点に注意した上での手続きが望ましいと言えます。
そこで今回、相続放棄手続きを賢く行い、リスクを避けるために必要な知識として、相続放棄が必要なケース、手続きの具体的な流れ、相続放棄をするデメリットについてご紹介します。
目次
相続放棄を選ぶのは、具体的にどのようなケースでしょうか。基本的には、亡くなった方被相続人の財産より借金が多いときに相続放棄を選びます。相続放棄することで、借金を背負う必要がなくなりますが、同時に遺産を相続する権利も失います。
相続放棄を検討すべき人は、親に借金がある人だけではありません。目に見える借金がなくても、後から発覚の恐れがあるケースは調査すべきですし、調査の結果次第では相続放棄すべきかもしれません。その他のケースで相続放棄すべき人の特徴を以下にまとめました。
メリットは借金の返済義務がなくなることでしょう。たとえ亡くなった親の借金が数百万、数千万円だったとしても、相続放棄をすれば支払う必要はありません。ただし、あなたが親の借金の保証人だった場合、相続放棄をしても支払い義務が生じるため注意が必要です。
相続の優先順位と割合で遺産分割が行われます。
まず夫が死亡した場合の相続人は妻です。そして、妻の取り分を除いた残りの遺産を亡くなった夫の子供が相続することになります。しかし、子供が相続放棄をすると、相続権は夫の両親、夫の兄弟へと順番に回ってきてしまいます。
そのため相続放棄をする際は、被相続人となりうる人全員が手続きをしなければ、亡くなった夫の借金を背負うことになるため注意が必要です。
相続の優先順位は、まず被相続人の配偶者が最優先となります。続いて被相続人の子供、被相続人の両親、被相続人の兄弟という順番で相続の権利が生まれます。
まず、配偶者と被相続人の子供で遺産分割したときの割合をグラフにしました。下記グラフのように相続人が、被相続人の妻と子2人の場合、被相続人の配偶者が1/2を相続して、残りの財産を子供が分け合うことになります。
次に、被相続人の配偶者と両親で遺産分割した時の割合を確認していきましょう。もし被相続人と配偶者に子供がいない場合、被相続人の親が遺産相続人となり、分割割合は以下ようになります。
もし被相続人に子供や両親が他界していない場合、相続人は配偶者と被相続人の兄弟となります。この場合、遺産分割の割合は配偶者が3/4で被相続人の兄弟が1/4となります。
相続放棄の具体的な手続きと流れを以下にまとめました。手続きは、まず相続放棄に必要な書類を家庭裁判所に提出します。その後、家庭裁判所から届いた「照会書」に必要事項を記載して返送し、「相続放棄申述受理通知書」を受け取れば完了です。
【関連記事】相続放棄の手続きの流れと必要書類 | 相続放棄を選択すべき基準とは?
相続放棄の手続きに必要な書類は以下5点です。ちなみに、申述書は、被相続人が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所でもらうことができます。
相続放棄には期間の制限が設けられていることをご存知でしょうか。実は、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内と決められているのです。そのため、相続放棄の意思が固まったら、早急に手続きを進めることが大切です。
相続放棄の手続きを進める前に、まず被相続人の借金がどのくらいあるのか確認しましょう。調べ方は、カード会社や消費者金融の督促状の確認、被相続人の通帳記録の確認、信用情報の確認などで調べられます。
被相続人の財産や借金を調べてから相続放棄の意思を固め、相続放棄に必要な書類を集めたら、被相続人が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所に必要書類を提出します。ちなみに相続放棄申述書は、家庭裁判所で取得することができます。
相続人が相続放棄の申請をした後に、家庭裁判所から相続放棄の意思を確認する「照会書」が届きます。この書類に必要事項を記載し、家庭裁判所へ返送手続きを行います。この時点ではまだ、相続放棄の手続きが未完了な状態ですので注意してください。
照会書の返送後、相続放棄の手続きが完了したという「相続放棄申述受理通知書」が手元に届きます。この書類を受け取り、相続放棄の手続きは完了です。この書面を保管しておくことで、被相続人が負った借金の支払い義務から解放されます。
【関連記事】
・相続放棄申述書を自力で作る全手順|書き方・手続方法・注意点を徹底解説
・相続放棄申述受理証明書が必要なのはいつ?登記や名義変更での使い方
相続放棄を行う前に心得ておくべき知識についてまとめました。あなたの大切な家族が亡くなり、相続放棄を検討する際、以下のことに該当している可能性があります。手続きを進める前に一度確認しておくことをおすすめします。
借金があることを知らず、相続放棄しないまま手続き期限の3ヶ月が過ぎたらどうなるのでしょう。この場合、事情を説明した上で相続放棄の手続きをすれば受理される可能性があります。必ずとは言えませんが、一度、家庭裁判所に相談すると良いでしょう。
被相続人が負った借金の保証人が相続人だった場合、いくら相続放棄をしてもその借金の返済義務がなくなることはありません。相続放棄はあくまでも、被相続人名義の遺産に関するもののみ有効であると心得ましょう。
【関連記事】相続放棄で借金をゼロに | 相続放棄手続の手順と主な相談先まとめ
相続放棄の手続き中に、借金の請求や取り立てがきた場合、絶対に返済してはいけません。「相続放棄の手続き中」であることを伝えましょう。このとき、被相続人の財産から借金を返済すると、「単純承認」として相続したとみなされるおそれもあるため注意が必要です。
家庭裁判所で正式な「相続放棄」の手続きをしていない場合、相続放棄は認められません。いくら口頭で「相続放棄をした」と主張していても、法的な効力がないため、注意が必要です。
相続放棄は、被相続人が負った借金の支払い義務がなくなる反面、デメリットも持ち合わせています。相続放棄をする際は、下記の項目に当てはまるものがないか確認してから行いましょう。
相続放棄は、借金だけでなく預金や不動産、車などの資産も放棄することになります。もし、財産と借金の総額を比べて財産の方が多い場合、相続放棄ではなく相続をするのが賢明です。
相続放棄は一度手続きをしてしまうと、後で莫大な遺産が発覚しても取下げができません。被相続人の資産や借金の状況をしっかり調査した上で、相続放棄の手続きを行うようにしましょう。
例えば夫が亡くなった場合、その妻と子供が被相続人となります。しかし妻と子供が相続放棄をすると、夫の両親や兄弟が新たな相続人となり、「相続するか」「相続放棄するか」の判断が必要となります。相続放棄の手続き時には注意しましょう。
被相続人に借金があった場合、相続人全員で相続放棄手続をする必要があります。なぜなら、相続放棄をしない相続人が1人でもいると、その相続人に借金の請求や取り立てがいくためです。借金を背負わないためにも、相続放棄は相続人全員が行うことが大切です。
相続放棄と似た手続きに、「限定承認」があります。限定承認は相続放棄と違い、被相続人の財産の範囲内で借金の返済をすれば、それ以上の借金返済義務がなくなるというものです。
さらに、返済後に財産の余剰があれば相続人が獲得できるのも魅力です。
相続人が相続放棄した後の財産は、まず国庫に帰属し、「相続財産法人」として管理されます。
その後、利害関係人や検察官などの申立てにより家庭裁判所で選定された「相続財産管理人」が、その財産から被相続人の借金を平等に返済し、残った場合は国の財産となります。
【関連するQ&A】 相続放棄後の車の処分について
相続放棄は、被相続人が残した借金の支払い義務から解放されるメリットがあります。
一方で、被相続人の財産も相続できなくなるため、慎重に手続きを進めなければなりません。もし、あなたの家族が亡くなり相続が発生した際は、財産と借金がどのくらいあるか確認し、相続人全員で話し合った上で手続きを進めることをおすすめします。
【関連するQ&A】相続を放棄した場合の遺留分
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