架空請求業者が裁判所を通して書類を送ってきた場合の対処法

( 4件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
架空請求業者が裁判所を通して書類を送ってきた場合の対処法

架空請求の対処法は基本的には無視でOKですが、本物の裁判所から書類が届いた場合に無視をしていると裁判で負けて、実際は契約していないのに料金を支払わねばならなくなることもあります。普通に生活していれば裁判所から書類が届くなんてことは稀なので、どうすればいいかわからなくなる人もいるでしょう。

今回は、裁判所から架空請求に関する書類が来る理由と、書類が本物か確かめる効果的な方法、裁判所から届いた書類を無視してはいけない理由と対処法、いざというときの相談先についてご説明します。

架空請求の書類でも裁判所経由で送られる

「架空請求はどうせ無視していれば良いだろうと思っていたら、裁判所から書類が届いた。」最近ではこんなケースも増えているようです。「また成りすましかな」と感じる人もいるかと思いますので、まずはなぜ裁判所から架空請求に関する書類が送られて来るのかについてお話します。

正当な請求書類でなくても裁判所が受け付ける理由

裁判所がなぜ架空請求業者の請求書類を受け付けるのか疑問に感じる人もいるでしょう。民事訴訟の制度上、書類を見ただけでは架空請求かどうかの判断ができない仕組みになっています。請求内容が書かれていて、印紙が貼られていれば架空請求だったとしても裁判所は請求書類を受け付けてしまいます。

架空請求業者が裁判所を通して書類を送る理由

架空請求の手口は巧妙になっており、無視される前提でどうお金を巻き上げるか考えている人もいます。裁判所の書類を無視してしまうと、消費者は裁判に負けてお金を払わなければならなくなりますから、架空請求業者としては合法にお金を奪い取れるようになるわけです。

本当に裁判所から送られてきたのか確認する方法

とはいえ、実在する公的機関や企業に成りすます方法は詐欺ではよくあります。裁判所から届いた書類であっても、本物かどうかわからないことには無視したくなるものです。ここでは、裁判所から届いた書類が本物かどうか確認する方法をご紹介します。

特別送達で送られてきたか

特別送達とは、民事訴訟法で規定された方法で裁判所から送達されてくる書類のことをいいます。特別送達で届いていたら裁判所からだと覚えておけばいいでしょう。

  • 裁判所が差出人
  • 書留で送られてくる

裁判所の書類には他にもこのような特徴がありますから、覚えておきましょう。

このように、本物は特別送達と記載されていて、差出人が簡易裁判所になっているので確認してみて下さい。

電話番号が本物か確認する

差出人になっている簡易裁判所の電話番号と、届いた郵便物に書いてある電話番号が一致しているか確かめましょう。一致していれば本物の可能性は高いです。

実在する裁判所に問い合わせる

差出人の裁判所の正しい電話番号を調べ、電話をかけて自分の訴訟はどうなっているのかを問い合わせます。本当に訴訟されていれば、今どんな状況なのか教えてもらえます。

架空請求でも裁判所からの書類を無視してはいけない理由

架空請求でも裁判所からの書類を無視してはいけない理由

架空請求なのにお金を払わなければならないのは納得いかないかもしれませんが、裁判所の書類を無視すると払わなければならなくなります。ここでは、その理由を法的根拠とともに見ていきましょう。

裁判に負けるから

民事訴訟法には、裁判所からの通知が届いたのにも関わらず、期日までに出頭しなければ、相手の主張を認めたとみなす決まりがあります。

(自白の擬制)

第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。

3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

引用元:民事訴訟法第百五十九条

このような定めは、本来、履行すべき債務がある者が誠実な対応をしない場合などに対応するためにあるものです。しかし、裁判所にとっては、一切反論がされなければ、訴えられた側が債務を負っているか否かが分からないため、たとえ架空請求であっても期日までに対応しなければ、上記の通り、料金の未払いを認めたことにされてしまいます。

料金を支払わなければならなくなるから

裁判に勝った架空請求業者は、強制的にあなたの財産を差し押さえる権利を得ます。最悪の場合、給料を差し押さえされたり、不動産を競売されたりすることもあるので、裁判所からの連絡は無視しないようにしましょう。

架空請求で裁判所から書類が届いた際の対処法

架空請求での請求額は、高くても大体10万円前後かと思います。その場合、請求金額が140万円以下なので、簡易裁判所の管轄になります。簡易裁判所でできる手続きにはいくつかありますが、架空請求を受けている人は支払督促と少額訴訟を知っておけばいいでしょう。

支払督促が来た場合の対処法

支払督促とは

支払督促とは、債権者が裁判所書記官に必要書類を提出し、お金を払うよう命令をしてもらう制度です。支払督促に対し異議申し立てをすれば訴訟に移行するようになっていますが、異議を出さなければ、裁判をせずに強制執行ができるようになってしまいます。。架空請求の被害者は、「架空請求=無視すればいい」と思っている人も多く、上手く盲点をついた手口と言えます。

2週間以内に異議申し立てをする

支払督促が来た場合は、必ず2週間以内に異議申し立てをしましょう。やり方は簡単で、同封されている督促異議申立書に必要事項を記入し簡易裁判所に提出しましょう。もし書類がなければ、裁判所の窓口に行けば手にはいります。

少額訴訟が来た場合の対処法

少額訴訟とは

少額訴訟とは、金銭の請求額が60万円以下の際に利用できる訴訟のことです。一回の期日で判決が出て、異議申し立てをすることはできても控訴はできません。

無視さえしなければ大丈夫

ただ、少額訴訟を架空請求業者からされるのは稀なことです。民事訴訟法159条にあるように、口頭弁論の場に期日までに出頭しなければ財産が差し押さえられるというだけで、もともとも架空請求の被害者がなにか悪いことをしたわけではありません。

万が一架空請求業者に少額訴訟を起こされた場合は、期日までに答弁書や証拠書類を揃えるようにしておきましょう。

架空請求で裁判所から書類が届いた際の相談先

ここでは、架空請求に遭った際に、無料で相談できる相談先をご紹介します。

法テラス

国が設立した機関で、法律関係のトラブルに巻き込まれた際に無料で法律相談ができます。法律に関してどうすればいいかわからなくなったら、まずは法テラスに相談しましょう。

国民生活センター

消費者被害に遭った際に思い出したいのが国民生活センターです。架空請求に関する相談もよく受けていますので、裁判所から書類が届いたけどどうすれば良いのか疑問がある人はここに電話して指示を仰ぐといいでしょう。

まとめ

架空請求への対応は無視でも良いのですが、無視をされる前提で簡易裁判所の制度を利用して、合法的に財産を差し押さえる手口もあるようです。裁判所から特別速達を受けた場合は2週間以内に異議申し立てをするということだけ覚えておきましょう。

数十万~数百万の弁護士費用、用意できますか?

決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

Cta_merci

離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。

【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】

  • 保険料は1日あたり約96円
  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

この記事を見た人におすすめの記事

この記事を見た人におすすめの法律相談

  • 架空請求詐欺
    旦那が架空請求のメールに動揺してしまい、相談窓口に電話をかけてしまいました...
  • SMS架空請求
    架空請求からSMSで本日中に連絡を取らないと少額訴訟の手続きをしているそれ...
  • 架空請求メール
    心当たりがない請求メールが届きました。 電話番号だけでなく氏名、住所など...
  • 架空請求
    「架空請求から18万を支払ってください」とウェブに来てるのですがどうすれば...

new架空請求の新着コラム

もっと見る

架空請求の人気コラム

もっと見る

架空請求の関連コラム

編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。