架空請求には無視してはいけない場合がある…対処法は?

弁護士法人ネクスパート法律事務所
監修記事
架空請求には無視してはいけない場合がある…対処法は?

架空請求(かくうせいきゅう)とは、実際には契約していない架空の商品やサービスを契約したと思い込ませ、被害者に金銭を請求する行為。

基本的な対処法は無視することですが、例外としてワンクリックウェアに感染したとき裁判所から請求書が来た際無視してはいけません

架空請求に遭って不安を感じているのは、あなただけではありません。警視庁によると架空請求の認知件数は平成23年以降増加傾向にあり、なかでもスマホユーザーを狙った詐欺が横行しているようです。警視庁によると、平成28年の認知件数は3,759件で、被害額は158.2億円にのぼるそうです。

警視庁|振り込め詐欺の認知件数

引用元:警視庁|振り込め詐欺の認知件数

警視庁:平成28年中の発生状況

引用元:警視庁:平成28年中の発生状況

高額な請求が来たが誰にも相談できず、1人で頭を抱えてはいないでしょうか?不安を感じているのは、これから何が起こるのかわからないからでしょう。

この記事では架空請求の実態や対処法などをお伝えします。本文を読み進めることで、今抱えている漠然とした不安を解消していただければ幸いです。

◆架空請求でお金を振り込んでしまった方へ

架空請求で騙し取られたお金を取り戻すことは難しい場合が多いです。
しかし、相手の所在や連絡先が分かっている場合は、お金を取り返せる可能性があります。
初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、お近くの弁護士を探して相談してみましょう。

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架空請求には無視してはいけない場合がある…対処法は?

架空請求の対処法

架空請求の対処法架空請求に初めて遭った場合は、焦ってしまいどうしていいのかわからなくなると思いますが、基本的には無視をしてOK。まずは冷静になって、それから対応しましょう。

怪しいと思ったらまず調べる

スマホやパソコンをいじっていたら、急に登録完了の文字が表示されて高額の利用料を請求された。これは典型的な架空請求です。

そのまま無視してもかまわないのですが、インターネットで架空請求の業者を調べることもできます。ここで見つからなくても、例えばGoogleなどの検索窓に『架空請求 業者』と打って検索すれば情報が出てきます。

無視するだけでは不安で落ち着かないという人は、まずは調べてみましょう。

【関連記事】

▶『架空請求業者を調べる方法と架空請求された際の対処法

架空請求の特徴を把握しておく

料金名の特徴

架空請求の料金名には、例えば次のようなものがあります。

  • コンテンツ料金未納分
  • 有料コンテンツ利用料
  • 出会い系サイト登録料

共通する特徴は、請求の内容に具体性がないということです。ターゲットが、『もしかしてあのサイトのことか…』などと想像して不安になるように、どうとでも受け取れる料金名がつけられています。

メール・ハガキの特徴

宛名が書かれていない場合はまず架空請求と思ってよいでしょう。どこからか流失したアドレス・住所に対して、ランダムにメッセージやハガキが送られてきているだけです。

 

大阪府|架空請求の一例

引用元:大阪府|架空請求の一例

これは大阪府による架空請求メール・ハガキの見本です。

難しい法律用語のような言い回しが使われていたり、実在する公的機関を思わせる名称を使用したりしていますが、実際のところ内容がめちゃくちゃだったり、機関名が架空だったりします(参考:公共機関の職員に成りすますかたり商法の手口と被害に遭った際の対処法)。

ターゲットを焦らせた上で電話をさせて、個人情報を引き抜くのが目的ですので、電話をして誤解を解こうなどと考えてはいけません

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▶『架空請求メールの特徴とメールが届いたときの正しい対処法

架空請求の特徴まとめ

次の特徴に当てはまるようであれば架空請求の可能性を疑い、この記事でお伝えする対処法を試してみましょう。

  • 公的機関のような名称を使ってくる
  • 相手の社名や住所が記入されていない
  • 料金名等、請求の内容が曖昧
  • 宛名がない場合もある
  • 恐怖心を煽るような難しい言い回しを使ってくる
  • 最後にはお金の話になる(それも高額な)

無視する

架空請求のページには、

  • 法的手段に訴えます
  • 暴力団関係者が取り立てに伺います
  • あなたの個人情報はこちらです

など、漠然と不安を煽る言葉が並んでいますが、実際に取り立てには来ないのでご安心ください。個人情報として画面にIPアドレスが表示されることもありますが、これはやり方さえわかれば誰でも取得できますし、IPアドレスから電話番号や住所が割れることはありません

逆に、架空請求業者に電話してしまうのはNG

『登録した覚えのない方はお手数ですが、こちらまでお電話ください』などと書いてありますが、素直に電話をしてしまうと電話番号を知られてしまい、迷惑電話がたくさんかかってくるようになります。慌てず、冷静に行動しましょう。

無視していい理由

そもそも契約が成立していないからです。契約は申込みと承諾の2つがあって初めて成立します。

申込みとは、「こういう内容の契約をしますがよろしいですか?」と消費者に確認すること。「このアダルトサイトを利用するにあたって90,000円の利用料が発生しますがよろしいですか?」と確認され、それを承諾したわけでなければ契約は成立しません。

着信拒否する

電話番号やメールアドレス、LINE IDなどがバレた場合はしつこく連絡が来るでしょう。

そんなときは着信拒否や受信拒否、ブロックなどをしましょう。ただ、別の連絡先から連絡してくることもありますので、電話番号やアドレス、IDを変更せざるを得なくなる場合も。

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▶『架空請求業者の電話番号を調べる方法と電話がかかってきたときの対処法

架空請求を無視してはいけないのはこんなとき

架空請求を無視してはいけないのはこんなとき

架空請求をされた場合、基本的には無視で問題ありませんが、次の2パターンに該当する場合は無視してはいけません。

ワンクリックウェアに感染したとき

パソコンなどがワンクリックウェア(ウイルス)に感染すると、架空請求のページが何度も表示されるようになります。

放置すると、パソコンやスマホの動作が遅くなったり、個人情報を外部に送信されたりする恐れがあります。対処法はシンプルで、セキュリティソフトを導入すること。

パソコンやスマホは個人情報の塊ですから、ワンクリックウェアに感染していなかったとしても、いつウイルスに感染するかわかりません。

個人情報漏洩のリスクを減らすためにも、導入しておいて損はありません。それでも解決しなければ、購入したセキュリティソフト販売元のコールセンターに電話をかけて対応してもらいましょう。

【関連記事】

▶『ワンクリック詐欺の手口と対処方法【スマホユーザー編】

裁判所から書類が来たとき

また、裁判所から書類が来たときも無視してはいけません。住所や氏名など個人情報が漏洩していた場合、まれに民事訴訟を起こされる可能性があります。覚えがなかったとしても無視してしまうと、民事訴訟に敗訴してしまいますから、覚えておきましょう。

第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。

3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

引用元:民事訴訟法第百五十九条

民事訴訟法には上記のような決まりがあります。簡単に言うと、『裁判所に出頭しない人は、請求の前提となる契約締結の事実などを自白したものとみなしますよ』という意味です。

一方で、架空請求業者が裁判所を偽って書類を送ってくるケースもあります。裁判所を介して見知らぬ業者からの書類が届いた場合は、裁判所に事実確認をするのもいいでしょう。以下の裁判所のサイトから実在する裁判所の情報を得ることができます。

参考:全国の裁判所一覧

裁判所から書類が届いたときの詳しい対処法は『架空請求業者が裁判所を通して書類を送ってきた場合の対処法』をご覧ください。

架空請求をされたときの考え方

架空請求をされたときの考え方

架空請求されたのが初めての経験であれば、ここまでお伝えした事実を理解したとしても不安が拭い去れないかもしれません。ここでは、上記の内容を踏まえた上で今後のことについてどう考えていけばいいのか、ということをお伝えします。

焦っていないか自問自答してみる

架空請求の目的を整理すると次の2つになります。

  • 個人情報を得る
  • お金を払わせる

『法的手段を検討する』『〇〇万円の違約金請求』『取り立てに参ります』など、恐怖心を煽り焦らせた上で、「電話をすれば(お金を払えば)助かるかも…。」と思わせるのが目的です。

あなたが今焦っているとしたら、それは相手の術中にハマっているということ。架空請求について正しく理解して冷静になることをおすすめします。

個人情報はこちらから漏らさない限り知られることはないと知っておく

「個人情報を調べられるのではないか。」と心配になることもありますが、基本的にこちらから情報を漏らさない限り、今以上にこちらのことを知られることはありません

IPアドレスや個体識別番号などが架空請求の画面に表示されることもありますが、IPアドレスなどはやり方が分かれば誰でも取得できますし、IPアドレスから個人を特定することはできません。

誰かに相談してみる

後ろめたさがあるとなかなかできない選択肢ですが、誰かに相談をしてみることで気が楽になる場合もあります。話しても問題ないような相手を選びましょう。相談相手がいない場合は、国民生活センターに相談する選択肢もあります。

架空請求の事例

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それでは、実際に国民生活センターに寄せられた架空請求の事例を見ていきましょう。

事例1

スマートフォンに有料動画の未納料金があるというメッセージが届き、問合せ先に電話をしたら「利用料12万5,000円を払えば、弁護士費用11万5,000円を後から返金する」と言われ、仕方なく指示に従ってコンビニで購入したプリペイド型電子マネーの番号を伝えた。すると、さらに180万円の請求をされ、詐欺だと気付いた。

引用元:国民生活センター|架空請求

架空請求の典型的なパターンです。『有料動画の未納料金』という、いかにも利用してそうな料金名で請求をしてきますが、どのサービスのどの動画にいくらかかったのかという具体的な話が一切ないのがポイントです。

事例2

「訴訟履歴がマイナンバーに登録されます」という内容の不審なメールが届いた。サイトに関することのようだが、身に覚えがない。どうしたらよいか。

引用元:国民生活センター|架空請求

架空請求に限らず、最近の詐欺に多い手口です。マイナンバーは新しい仕組みなので、制度の全容を把握している一般人は多くありません。公的機関や企業に成りすまして請求をしてくることもありますが、相手の言うことを鵜呑みにせず、事実はどうなっているのか冷静に確認できるよう心がけておきましょう。

【関連記事】

▶『マイナンバー詐欺の手口と対策|警察や市の職員を装う詐欺師に注意!

事例3

小学生の息子のスマートフォンに、サイト料金が未納とのSMSが届いた。妻が約30万円払ったところ、300万円払えと2回目の請求があったと言う。払いたくない。

引用元:国民生活センター|架空請求

スマホユーザーの被害が増えているため、子供が被害を受ける可能性も十二分にあります。フィルタリング機能を使い、危険性の高いサイトにアクセスできなくしておくなど対策をしておきたいところです。

子供には好奇心がありますから、ウィルスソフトも入れておいた方が安全性は高まります。

架空請求に遭った際の相談先

架空請求に遭った際の相談先

架空請求は基本的に無視でOKだとわかったとしても、初めて経験する方は漠然と不安を抱えながら数日を過ごすことになる場合もあるでしょう。ここでは、そんなときの相談先をご紹介します。

警察

警察では、架空請求に関して注意喚起をしています。もし、個人情報を抜き取られたり、金銭を支払ってしまったりした場合は都道府県警察サイバー犯罪相談窓口や最寄りの警察署に連絡し、情報を提供した上で、今後どうすべきか指示を仰ぎましょう。

国民生活センター

警察に通報するほどでもないけど、不安で誰かに相談したいという人は、国民生活センターに相談するとよいでしょう。

国民生活センターに電話すると、消費者被害にあった人に無料で相談に乗ってくれます。架空請求の相談もよく来ているはずですから、具体的にどうすべきか聞けば今よりも安心して過ごせるかと思います。

弁護士

架空請求ではなかった場合や、騙し取られた金額が高額な場合などは弁護士に相談することになります。ただ、相手の身元がわからない場合など、弁護士でも請求のしようがない場合もあることだけは覚えておきましょう。

ただ、相手の身元がわかっている場合や架空請求でない場合は相談する余地があるかもしれないので、無料相談を活用し今後のことについてアドバイスを貰うのもよいでしょう。

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【関連記事】

▶『詐欺にあったらすぐやらなければいけないことと詐欺と戦うための必須知識

▶『詐欺被害の相談先4つと騙されてから相談するまでの注意点4つ

まとめ

いかがでしたか?

架空請求は基本的に無視でOKですが、ワンクリックウェアに感染した場合と裁判所から書類が届いた場合だけは無視しないで、今回ご説明した方法を取るようにしましょう。

届いた際に、焦る気持ちもわかりますが、焦ってしまうことで相手の思うツボ、なんてことになりかねません。

とにかく落ち着いて対応するのが得策です。

この記事を監修した法律事務所
弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。
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