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KL2020・OD・037
債権回収において話し合いでの解決ができなかった場合は、民事訴訟などに移行し、最終的には強制執行を行い回収することになります。
強制執行は債権回収の手段として最後の手段であり最強の手続きとなりますが、その強制執行をするか検討している方には強制執行に伴う費用についてはとても気になるところです。
強制執行を行う際は、何に対して強制執行するかによって申立方法や費用が変わってきます。今回はそんな強制執行の項目ごとの申立方法や費用について書いていきたいと思います。
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目次
冒頭でも書きました通り、何に対して強制執行を行うのかによって費用は変わってきます。ですが、どの強制執行にも共通して発生する費用の項目は以下の3つになります。
予納金とは、強制執行を裁判所が行うために必要な費用になり債権者が立て替えて支払うものになります。内訳では、執行官手数料、立会費用、交通費、郵便代等になります。
強制執行を申し立てる際の申立書には収入印紙を貼らないといけません。収入印紙とは行政における手続きの手数料にあたります。
強制執行の申立が受理された事実や、これから強制執行が行われる旨を債務者に通知するために必要な郵便代も発生します。
債権執行とは、債務者が保持している債権に対して差し押さえをすることを言います。例えば、貯金や給料、債務者が自営業者であれば売掛金等の事を指します。
これら債権に対する強制執行の費用相場は、債務名義が1通の場合、収入印紙代が4,000円、郵便代が3,000~5,000円になっているようです。
実際に債権執行を行う場合は、銀行や雇い主等へ直接請求するのが一般的であるため予納金(執行業者費用)はかかりません。ですから他の強制執行に比べて費用は少なく済みます。
不動産執行とは、土地や建物などを差し押さえることを言います。また地上権等も対象にすることができます。一般的には債務者が所有している自宅や自社ビル等を対象とし、これらを競売にかけ金銭に変えることによって、債権の回収を図ることを目的としています。
不動産執行にかかる費用は、収入印紙代が4,000円、予納金が50万円以上(請求債権額2,000万円以下の場合で、裁判所ごとの基準による)、登録免許税として確定請求債権額の1,000分の4の額が発生しとても高額な費用になります。郵便代もかかる場合がありますが、裁判所ごとに費用は異なります。
※地上権(民法第265条):他人の土地において、工作物又は竹木を所有するためにその土地を使用する権利
動産執行とは、債務者の私物である現金(現金のうち66万円を超える部分)、貴金属、骨董品、小切手等の換金価値のある財産を差し押さえること言います。その中でも債務者やその家族が当面生活していく上で必要な衣類や寝具、仕事上で必要な道具などは差し押さえできないことになっています。
動産執行の費用相場は、予納金が約3~5万円になっています。動産執行を行う場合は、実際に債務者の自宅へ執行業者が差し押さえに行くため、費用が割高になっています。
各項目の執行内容と費用相場についてお分かりいただけたところで、それぞれの申立方法と手順について書いていきたいと思います。
それぞれの項目について強制執行を申し立てる際に共通して必要なことがあります。それは以下の2点になります。
そもそも強制執行を行う際には債務名義の取得は必要ですが、その効力を発生させるためには取得した債務名義に執行文を付与させないといけません。
仮執行宣言付支払督促や少額訴訟判決等の債務名義には執行文の付与は必要ありません。公正証書の場合は、一般的に、
等を持参し,公正証書を作成した公証人へ執行文付与の作成をしてもらうことになります。この際に手数料として1,700円がかかります。
判決や調停調書の場合は、申立書と債務名義の正本が必要になり、債務名義を作成した裁判所の書記官へ執行文付与の作成をしてもらうことになります。この際収入印紙代として300円がかかります。
執行文の付与の他、債務名義の正本か謄本を債務者へ郵送することが必要になり、その送達したことを証明する証明書が必要になってきます。そのためには債務名義を作成した裁判所の書記官へ送達の申請から証明書の発行まで行うことになりますが、この際に収入印紙代として150円がかかります。
公正証書が債務名義の場合は、謄本を取得するために公証人へ依頼することになります。
この際にも1,600円程度の手数料が発生します。
債権執行を申請する際には裁判所に以下の書類を納めないといけません。
申請が正式に受理された後は執行裁判所から第三債務者(債務者に対する債務者、銀行や雇い主のこと)と債務者へ債権差押命令が発送されますが、この段階において第三債務者は債務者へ弁済することができなくなります。
発送完了後に申請者(債権者)は第三債務者へ直接取り立て(郵送や直接話し合いをする)を行うことができます。この際に第三債務者からの弁済額の合計が債権額に満たない場合は、残高分を債務者へ直接請求することになります。
不動産執行を申請する場合は以下の書類を、差押えの対象である不動産の所在地を管轄する裁判所へ申請することになります(裁判所により運用が異なりますので詳しくは管轄裁判所にご確認ください)。
申請が正式に受理されれば裁判所から不動産の調査が行われ、不動産の最低競売価格を算定するのが一般的な流れで、期間は約半年から1年かかります。
不動産の売却基準価額が決まり次第、競売の日程が指定され、落札者が決まった後に売却された金額が債権者へ配当されるのが一般的な流れになります。
動産執行を申請する方法は、債務名義の正本と執行文を持参し、地方裁判所に所属している執行官へ執行の申請をすることになります。申立書は執行官の部屋で用意されているので、指定された箇所に記入し印鑑を押すだけで申請できます。
差押えは執行官が債務者の自宅にて行います。その際に現金があった場合はその場で直接受け取ることができ、現金以外の動産については競売にかけて売却された金額が配当されます。
強制執行の手続きは自身でもすることはできますが、手続きは複雑なことが多いため弁護士に依頼することをおすすめします。債権回収に関して弁護士に依頼するメリットと費用相場は以下の通りになります。
弁護士に依頼するメリットは以下のものがあるといえます。
自身で手続きをしようとした場合、どういう手続があって、どの手続きが自分にとって最適であるかを判断することは難しいです。弁護士へ依頼した場合、ケースに応じてどの手続きであればしっかり債権を回収できるのか判断してくれるため、非常に大きいメリットがあります。
自身で必要書類を作成し申請までしようとするとかなり大きな負担になります。また、書類に不備があれば受理してもらえませんし、法的に妥当性を主張しなければなりません。
これらを弁護士が全て代行してやってくれるのは大きなメリットになります。
弁護士に債務者の財産の調査を依頼することもできます。債務者がどのような財産を持っているのか把握することはとても大事なことですが、同時に自身で把握しようとするのはとても難しいことでもあります。ですから、債務者の財産を把握するにために弁護士へ依頼することは効果的です。
当事者同士の話し合いなどで回収しようとすると、中身のある話し合いができないことも多く無駄に時間だけが過ぎて言ってしまいます。
そこに弁護士を介入させることで、裁判所を利用した手続きを行い迅速に回収することができます。
弁護士に依頼することはメリットのほうが多いのですが、少なからず以下のデメリットも存在します。
強制執行には高額な費用(特に不動産執行)がかかることがありますが、それに加え弁護士費用がかかるとより高額な費用になってしまいます。下記に弁護士費用の相場を書き出していますが、弁護士費用も回収金額に応じて高額になってしまいます。
弁護士をつけることで然るべき手続きを経て強制執行を行うことができますが、逆にそのことで債務者を追い詰めることになってしまい、債務者に破産される可能性があります。特に債務者の財産状況が危うい場合は破産する可能性が高くなります。
債権回収について弁護士に依頼しようとしている人は、弁護士費用についてとても気になるところだと思います。
料金形態は弁護士事務所によって違いますが、主な費用相場は以下の通りになります。
着手金 | 報酬金 | |
300万円以下 | 4%~8% | 4%~16% |
300万円超、3000万円以下 | 2.5%~5% | 2.5%~10% |
3000万円超、3億円以下 | 1.5%~3% | 1.5%~6% |
3億円超 | 1%~2% | 1%~4% |
おおよその弁護士事務所は、回収金額に応じた料金体系になっています。
現在あなたが債権者になっていて、早く回収したいと考えているならすぐに弁護士に相談することをおすすめします。
あなた自身で全てをやろうとすると精神的にも時間的にもリスクが高すぎます。ですから、是非弁護士へ依頼することを検討してみてください。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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