少額訴訟の上限金額|少額訴訟の手続き方法と通常訴訟との違いまとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
少額訴訟の上限金額|少額訴訟の手続き方法と通常訴訟との違いまとめ

少額訴訟は通常訴訟と違い、必ずしも弁護士に依頼しなくても行うことができる、とても手軽な訴訟です。

しかし、いくら手軽とはいえ、どのくらいの金額がかかってくるのかが気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、少額訴訟では一体どんなことに、そしてどれくらいの金額が必要なのかについて、解説していきたいと思います。

少額訴訟を起こす際の金額(訴額)の上限は60万円

少額訴訟を起こす際の金額(訴額)の上限は60万円

少額訴訟はその名の通り、“少額”の回収を求める裁判です。そのため、請求できる金額(訴額)は60万円とされています。

60万円を超える金額の請求をする場合は通常訴訟に移行してしまうので、注意が必要です。

しかし、この上限金額を超えた場合でも、少額訴訟を起こせるケースがあります。

たとえば賃金の回収などで、利息や違約金を含めて60万円以上となった場合、本来の金額が60万円に満たない場合は、少額訴訟を起こすことができます。

つまり利息や違約金は、この上限の金額には含まれないということです。

上限金額以外の条件

少額訴訟を起こすためには、上限金額以外にも条件があります。ここではその3つについて、解説していきます。

同じ裁判所での訴訟回数は10回までであること

少額訴訟では、同じ裁判所で行える訴訟の回数が10回までとされています。

簡易裁判所においての裁判内容のほとんどが、サラ金業者やクレジットカードなどの事例であり、これらの事例に裁判を独占されてしまうと、手軽に利用できるはずの少額訴訟が一般の方にはできなくなってしまいます。

そういった事態を防ぐために、同じ裁判所で少額訴訟を行うことができるのは年に10回までという制限が設けられています。

相手の居住地がはっきりしていること

少額訴訟では公示送達を利用することができないため、相手の住所地が不明であるときは少額訴訟を起こすことはできません。

相手の同意を得られていること

こちら側が少額訴訟を起こしたいと申し出ても、相手側がそれに同意しない場合、訴訟を起こすことができません。

原告だけではなく、被告側にも少額訴訟か通常訴訟かを選択する権利がありますので、少額訴訟での裁判を被告から同意される必要があります。

少額訴訟の裁判を起こすために必要な金額

少額訴訟の裁判を起こしていくために、どんなものにどれくらいの金額がかかってくるのでしょうか?

ここでは自分で手続きを行っていく際にかかる金額について、解説していきます。

申し立て手数料

相手に請求する金額に応じた手数料を、収入印紙で納付する際にかかる費用です。

こちらの表をご参考ください。

訴額

手数料

~99,999円

1,000円

100,000円~199,999円

2,000円

200,000円~299,999円

3,000円

300,000円~399,999円

4,000円

400,000円~499,999円

5,000円

500,000円~600,000円

6,000円

こちらには、遅延損害金・利息は含まれません。

予納郵券代

郵券とは切手のことで、訴状の発達や呼出状、判決の送付などの際に使用されます。

少額訴訟を起こす際にはあらかじめ郵券を用意し、裁判所へ提出する必要があります。

裁判所によって郵券代にはばらつきがありますが、3,000円から5000円前後というところが相場となっています。

その都度裁判所に確認してください。

また、東京簡易裁判所では次のように予納郵券代が決められていますので、ぜひご参考ください。

人数

郵券代

被告・原告がそれぞれ1人の場合

3,910円

被告・原告が追加された場合

1人につき2,100円

変動することも考えられますので、必ず一度ご確認ください。

郵券代3,910円の場合、購入する郵券の内訳は以下のとおりです。

500円郵券

5枚

200円郵券

2枚

100円郵券

4枚

80円郵券

5枚

20円郵券

8枚

10円郵券

5枚

この内訳のとおり郵券を購入し、裁判所へ提出しましょう(東京簡易裁判所の場合)。

少額訴訟の流れ

少額訴訟の流れは以下のとおりです。

少額訴訟の流れ

裁判所へ訴状を提出

まずは裁判を行う裁判所へ訴状を提出します。

訴状はサンプルや記載例に沿って書き進めれば一人でも充分可能ですので、ぜひ作成してみましょう。

審理・判決の連絡

訴状が裁判所で受理されると、審理・判決の期日が原告と被告双方に伝えられます。

この際、裁判所に送付した訴状が被告のもとにも届けられ、訴えを起こされた事実を知ることになります。

追加書類の提出・証人の用意

その後は裁判所から要求された追加書類の提出と、審理期日に一緒に出廷する証人の用意をします。

少額訴訟は1日で審理を終えるため、後日あらためて証人を呼ぶことはできないので注意が必要です。

相手側からの答弁書の受け取り

受け取った訴状をもとに、被告にはそれに対する反論を述べる権利があります。

原告は、それらを記載した被告の答弁書をここで受け取ることになります。

法廷での審理

そしてここで、法廷での審理が行われます。

少額訴訟は1日で審理を終えるため、この日に結果が出ることになっています。

少額訴訟はとても穏やかな雰囲気の中で行われ、その時間も30分~2時間ほどと短めです。

ここで和解が成立することもあります。

判決

行われた審理をもとに、判決が下されます。

ただし、勝訴となったとしても、それによってすぐに全金額の回収ができることにはつながりません。

分割払いや支払猶予などを求められる場合もありますので、注意が必要です。

少額訴訟のメリット・デメリット

少額訴訟のメリット・デメリット

少額訴訟は通常訴訟との違いがありますが、そこにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

メリット

手続きが簡単

まずメリットとして挙げられるのは、やはりその手軽さです。

訴状を書くことからその後の手続きに至るまで、弁護士に依頼せずとも行うことができるのは大きなメリットですね。

弁護士に依頼しなければその分費用もかかりませんし、あまりお金をかけたくないけどお金を取り戻したいという人は、ぜひ検討すべき訴訟といえるでしょう。

1日で審理が終わる

少額訴訟は1日で審理を終えることが決められているため、早いうちに決着をつけることができることも大きなメリットです。

デメリット

控訴ができない

少額訴訟のデメリットとしてまず考えられるのは、異議申立て後の判決について控訴ができないということです。

通常裁判の場合、第一審の判決に不服がある場合は控訴して二審へ、それでも不服がある場合には上告して三審へと進んでいきますが、少額訴訟の場合は異議申立てをして通常訴訟で再審理を求めることはできても、再審理後の判決について控訴はできません。

上限金額が60万円までと決まっている

これは、手軽に裁判を起こせるという意味ではメリットとしても考えられますが、見方を変えればデメリットにもなるでしょう。

上限金額を超えてしまうと通常訴訟へと移行してしまうので、注意が必要です。

少額訴訟を弁護士に依頼した時の金額

少額訴訟は自分ひとりでも手続きを行っていくことは可能ですが、確実に勝訴を得たい場合や、自分ひとりでは手続きが不安な場合、弁護士に依頼することも大いに有効です。

その際は、次の費用がかかってきます。

相談料

弁護士への相談料として、30分から1時間の相場として5,000円ほどとなっています。

最近では無料相談を行っている弁護士もいらっしゃいますので、その都度確認していきましょう。

着手金

着手金とは、裁判の結果に関わらずとも、その案件に着手した段階で発生する金額のことです。

こちらも相場となりますが、請求金額(訴額)の5~10%程度としている弁護士が多いです。

ですがこちらも相談料と同様に、無料で行っている方もいらっしゃいます。

報酬金

裁判で訴額が回収できると、その報酬金を弁護士に支払わければなりません。

この報酬金に関しては、回収額の10~20%といったところが相場となっています。

まとめ

まとめ

今回は少額訴訟の金額について、解説してきました。

少額訴訟はその訴額の上限が60万円となっており、その手続きがとても手軽なことが特徴です。

そのため、弁護士に依頼せず自分だけで訴訟を起こすことができます。

「あまりお金はかけたくないけどしっかりとお金を取り戻したい」とお考えの方はぜひ、こちらの少額訴訟を検討してみましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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