代物弁済と税金の知識|代物弁済の税金の詳細と非課税になる方法

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
代物弁済と税金の知識|代物弁済の税金の詳細と非課税になる方法

代物弁済(物を差し出すことによって債務の一部を消してもらうこと)をすることになった場合、複数の税金が関わってきてとてもわかりにくく、面倒です。

その上、お金があまりないからこそ代物弁済を行っているのにも関わらず、代物弁済にはものすごい額の税金が掛かります。

そこで今回は、その税金の説明と税金が非課税になる方法を解説します。

債務者が負担する税金

金銭がないから代物弁済をしているにも関わらず、債務者に大きな負担となる税金が掛かってきます。

ではその税金としてどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

消費税

築10年の不動産(時価総額1,000万円)の代物弁済が行われたと想定しましょう。

債権者は債務者から1,000万円(税込)で資産を受け取ったと考えることができ、そうなった場合、債務者は1,000万円を売り上げたことになるので、消費税が掛かってきます。

「1,000万円×8/108」で消費税が出てくるので「74万741円」がこの代物弁済における消費税です。

譲渡所得税

不動産の場合

譲渡所得=不動産の時価評価額(もしくは譲渡価格)-所得費(購入代金・修理費用+譲渡費用)-特別控除

という計算式があります。

所得費の計算方法についてですが、「概算法」と「実学法」がありますが、今回は「概算法(取得費=購入価格の5%)」で計算をしたいと思います。

現在1,000万円の資産ですが、購入時には800万円だったとすると、【譲渡所得=1000万円-800万円×0.05=960万円】

また、譲渡所得税は以下のように計算されます。

譲渡所得税=譲渡所得×(所得税+住民税)

そして、所得税と住民税の関係は以下の用になっており、長期か短期かの基準は「築5年以上経っているか」です。

 

所得税

住民税

長期譲渡所得

5%

15%

短期譲渡所得

9%

30%

今回は築10年なので、

「譲渡所得税」=960×(5+15)/100=192万円になります

不動産以外の場合

代物弁済で扱う資産が不動産以外の場合は、譲渡所得税は総合課税として計上するので、法人税率を元に計上する必要があります。

その計算方法は、

譲渡所得税=譲渡所得×法人税率

法人税率は以下のようになっています。

中小法人 年800万円以下

19%

年800万円超

23.4%

大法人

23.4%

また、譲渡所得についても、短期か長期(5年以上資産を所有しているかどうか)によって異なってきますが、その取り決めは以下の通りです。

短期譲渡所得=譲渡価格-所得費-控除額50万円

長期譲渡所得=(譲渡価格-所得費-控除額50万円)÷2

具体例として、

・500万円の債務を持っている

・4年間所有していた資産(譲渡価格400万円)を代物弁済する

・譲渡人が中小法人で所得総額は800万円以上である

・債権者が大企業である

という想定をします。

資産を所有していた機関が4年なので短期譲渡所得になりますので、以下のような計算になります。

【譲渡所得=400万円-200万円-50万円=150万円】

【譲渡所得税=150万円×23.4%=35.1万円】

債務免除益における法人税

債務者が代物弁済を行う場合、「債務額>資産評価額」という場合がほとんどです。

もし、このように資産の評価額よりも債務額が高額な場合は、債務者はこの差額の弁済を免除されたことになります。

しかし、免除された金額は利益として計上されますので、債務者はその利益に課せられる税金(法人税)を納めなくてはいけません。

先程と同じ想定をすると、【債務額-資産額=100万円】ですが、これは免除されることになります。

しかし、この免除額に掛かる税金として、【100万円×23.4%=23.4万円】は必要です。

ちなみに、相手が大企業という仮定だったので、法人税率は23.4%となります。

債権者が負担する税金

債権者が負担する税金も一部ありますので、そちらを見ていきましょう。

贈与税

先程は「債務額>資産評価額」の話でしたが、今回は「債務額<資産評価額」の場合で、債権者がその差額に課せられる税金を納めなくはいけません。

この場合の贈与税の計算式は

贈与税=(資産の評価額-債権額-基礎控除額110万円)×贈与税率-控除額

という計算式に則って計上します。

贈与税率と控除額の値なのですが、以下の表の通りになっています。

評価額-債権額-基礎控除額

贈与税率

控除額

200万円以下

10%

0万円

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1000万円以下

40%

125万円

1500万円以下

45%

175万円

3000万円以下

50%

250万円

3000万円超

55%

400万円

具体例を見てみましょう。

条件は以下の通りになります。

・債務額は800万円

・資産評価額1200万円の不動産で代物弁済を行う

この場合は、【贈与税=(1200万円-800万円-110万円)×15%-10万円=33.5万円】となります。

不動産取得税

代物弁済では、債権の弁済の対象として不動産が譲渡される場合が非常に多いので、債権者は不動産を受け取ったことによって発生する「不動産取得税」を納めなくてはいけません。

不動産取得税=固定資産税評価額×税率

という計算式のもと「不動産取得税」を決定します。

建物と土地は別々に不動産取得税を求める必要がありますが、税率は4%が基本です。

しかし、土地に関しては、平成30年3月31日までに取得した場合は3%になります。

具体例を見てみましょう。

債務者から代物弁済として、資産評価額1200万円の土地、資産評価額600万円の建物を譲受しました。

この場合、【不動産取得税=1200万円×3%+600万円×4%=60万円】ですので、債権者は不動産取得税として60万円を納める必要性があります。

代物弁済において税金を非課税にできるための要件

お金がないから代物弁済をしているのにも関わらず、代物弁済には大きな金額の税金がかかってきます。

しかし、実はこの税金が非課税になる場合があるのですが、それはどういう場合なのでしょうか。

強制換価手続きにより譲渡される場合

前提条件として、譲渡所得が非課税になるためには、債務者の資産状況が無資力であることが必須です。

また、破産手続きなど、債務者の意思とは別に強制的に資産の譲渡が行われる場合にも、譲渡所得税は非課税になります。

任意の譲渡における非課税の要件

上の場合とは違い、債務者の任意で譲渡が行われたとしても譲渡所得税が非課税になる場合もありますが、そのためには以下の3つの要件を満たすことが必要です。

譲渡の前に債務超過であること

債務額が資産額を上回る場合は、債務の弁済ができない状態ですので、この場合は「債務者自身が債務超過である」と認知され、弁済ができない状態を指します。

譲渡所得の全てが債務の弁済に充てられた場合

債務者が資産を譲渡したときに、資産額が債務額を上回れば、余剰金を受け取ることが可能です。しかし、その余剰金が全て他の債務の弁済に当てられる場合、譲渡所得税が非課税になります。

また、

・余剰金を受け取らない

・債務額が資産額を上回る

という場合も同様に、譲渡所得税が非課税になります。

強制換価を避けることができない場合

・すでに債権者から競売の申立を受けている。

・支払督促を受けている。

というように、「今後に強制換価が避けられない場合」も、譲渡所得税を非課税にすることができます。

まとめ

代物弁済をするということは、どうしても金銭で払うということができないということですよね。しかし、資産の譲渡というのは非常に多くの法律と関わり、税金も掛かってきます。

ただ、たくさんの法律に触れるということは沢山の選択肢があり、税金で損をしない方法もあるでしょう。

しかし、それは普段から法律に触れていない人には見えないものが非常に多いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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