少額訴訟を個人で行う際の費用・手続きと弁護士に相談する時の費用とは

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
少額訴訟を個人で行う際の費用・手続きと弁護士に相談する時の費用とは

少額訴訟は、費用を抑えた上で売掛金の回収が行える便利な制度です。裁判手続きも簡単で、比較的手軽に行うことができる訴訟方法となっており、費用の低さも大きなメリットといえます。

ただ、簡略化された手続きとはいえ1人で行うには面倒なこともあったり、解決に時間がかかってしまうこともあるため、弁護士に相談することも選択肢の一つです。

そこで今回は、少額訴訟を行う上でかかる実費と弁護士に依頼した場合の費用について解説していきます。

◆少額訴訟を考えている方へ

少額訴訟は自分で行うこともできますが、ひとりで行うには面倒なことも多いです。
迅速に問題を解決したい場合は弁護士に依頼するのも選択肢のひとつです。
初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、お近くの弁護士を探して相談してみましょう。

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少額訴訟を自分で行う際にかかる実費

少額訴訟を自分で行う際にかかる実費

少額訴訟は自分で手続きを進めていくことも可能ですが、弁護士や司法書士に依頼するときと比べてどのくらいの差があるのでしょうか。ここでは少額訴訟を行う上で最低限必要な費用をお伝えします。

裁判申立てにかかる費用

申立て手数料

少額訴訟の申立て費用(手数料)は、請求する金額(訴額)に応じて以下の手数料を収入印紙で納付する必要があります。

訴額

手数料

~99,999円

1,000円

100,000円~199,999円

2,000円

200,000円~299,999円

3,000円

300,000円~399,999円

4,000円

400,000円~499,999円

5,000円

500,000円~600,000円

6,000円

参考:裁判所|手数料額早見表

手数料の額が100万円を超える場合は,収入印紙に代えて現金で納付することもできます(納付先は,日本銀行の本店,支店,代理店または歳入代理店に限られます。)詳しくは,申立先の裁判所にお問い合せください。

引用元:裁判所|手数料

裁判申立ての申請書の書き方につきましては、裁判所のホームページに記載がありますので、ぜひこちらをご参考としてください。

参考:裁判所|民事訴訟・少額訴訟で使う書式

表をご覧頂ければわかるように、少額訴訟の訴額の上限は60万円です。この中には、遅延損害金や利息は含まれません。

予納郵券代

予納郵券代(郵券)とは切手代のことで、訴状の発送、呼出状、判決の送付などの際に使用されます。この郵券はあらかじめ必要な分購入し、裁判所に提出します。郵券代は各管轄所で金額にばらつきがあり、決まった額はありません。

相場は3,000円から5,000円ほどとされており、東京簡易裁判所では下記のようにその費用が決められていますので、ご参考としてください。

人数

郵券代

被告・原告がそれぞれ1人の場合

3,910円

被告・原告が追加された場合

1人につき2,100円

*変動することもありますので、利用する際は直接裁判所へお問い合せください。

参考:少額訴訟の全体像を解説|通常訴訟との違いやメリット・デメリットとは

この郵券の内訳は、

500円郵券

5枚

200円郵券

2枚

100円郵券

4枚

80円郵券

5枚

20円郵券

8枚

10円郵券

5枚

参考:裁判所|郵便切手一覧表

となっています。この郵券のうち、使用されずに余った郵券については申立人に返却されます。

自分で行う際にかかる全体の費用

弁護士などを雇わずに少額訴訟を1人で行う場合、かかってくる費用は上の表で記したとおり、申立手数料と予納郵券代です。たとえば訴額が50万円の場合、申立手数料が6,000円、被告と原告がそれぞれ1人なら郵券代がおよそ4,000円程度となり、合計で1万円となります。

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少額訴訟を専門家(弁護士・司法書士)に依頼した場合

少額訴訟を専門家に依頼した場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?ここでは弁護士・司法書士でのケースについて、解説していきます。

弁護士に依頼する際にかかる費用

まずは、弁護士に少額訴訟の手続きを依頼する場合の費用について解説していきます。

相談料

30分~1時間での相場は5,000円前後です。弁護士によって相談料の水準は異なっており、また、初回相談料を無料に設定している弁護士も多くいらっしゃる為、依頼する際に予めご確認ください。

着手金

着手金とは、裁判の結果に関わらず、手続きに着手した時点で発生する費用のことです。相場は訴額の510%程度となります。しかし、訴訟手続の場合は最低着手金を20万円程度に設定しているケースが多いと思われます。

報酬金

報酬金とは、裁判で勝訴し、費用を回収できた場合に弁護士に支払う報酬額のことをいいます。この報酬金の水準としては、回収額の1020%に設定している弁護士がほとんどです。

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司法書士に依頼する際にかかる費用

司法書士は弁護士と比べて、事務所によって費用の建付けや水準にバラつきが見られます。以下にて相場をご紹介しますが、実際に依頼する場合は予めご相談先の司法書士に確認して頂ければと思います。

相談料

弁護士同様、30分~1時間で5,000円程度を目安としている司法書士が多いです。中には相談料無料でやっている司法書士事務所もありますので、相談する際に事前に確認しましょう。

訴状作成料

訴状作成料とは、手続きは自分で行い、訴状の作成のみを依頼したケースの費用です。この場合、3万円程度の基本報酬に加えて、債権の回収に成功した場合はその回収金額の8~10%の額が訴状作成料となります。

訴訟代理費

訴訟代理費とは、少額訴訟の手続きを代理で行ってもらう際にかかる費用です。この場合も、3万円程度の基本報酬に加えて、相場として30,000円ほどの費用がかかり債権の回収に成功した場合はその回収金額の15%前後が訴訟代理費となります。

少額訴訟を弁護士などに依頼する必要はないのか?

少額訴訟を弁護士などに依頼する必要はないのか?

弁護士や司法書士に依頼した際の費用についても記載しましたが、少額訴訟の手続き自体はとても簡単であり、1人で行うことも可能です。

まずは訴訟の申し立てを行うために、訴状を提出する必要がありますが、これに関してもそれほど難しいものではありませんので、自力で行うことも充分可能です。

少額訴訟は、「お金を取り戻したいけどそこまでお金はかけたくない」という人のための救済措置制度ですから、実は弁護士に依頼する人はそう多くないのが事実です。ただ、裁判を確実に有利に進めたい、手続きを少しでも楽に行いたいという方は、弁護士に依頼するようにしましょう。

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少額訴訟を起こすまでの簡単な流れ

ここで、少額訴訟を起こすまでの流れについて、その順序を簡単にお伝えしていきます。

表:少額訴訟手続きの流れ

原告
(訴える人)

簡易裁判所

被告
(訴えられる人)

1:訴状提出

2:訴状の受理

   

4:期日の連絡を受ける
手続き説明書面を受領

3:第1回期日の指定

4:訴状副本、期日呼び出し状、
手続き説明書面を受領

 

7:答弁書受領

6:答弁書受理

5:答弁書提出

8:証拠書類や証人の準備

 

8:証人

 

8:証拠書類や証人の準備

9:審理は1回で終了

10:話し合いによる解決(和解)

手続自体はとても簡単なので、一人でも充分可能です。

少額訴訟のメリットとデメリット

費用も少額で、手続きも簡単であることから、少額訴訟にはメリットが大きいように感じます。そんな少額訴訟にもデメリットはあるのでしょうか?

ここではメリット・デメリットについて、挙げてみたいと思います。

メリット

手続きが簡単

少額訴訟は、弁護士に依頼せず1人で行うことも可能です。訴訟の申し立てをする際の訴状を自力で書くのは大変だと思われるかもしれませんが、定型のものに記入すれば問題ありません。こちらの記事をご参考にしてください。

審理が1日で終了する

少額訴訟では、審理から判決までを1日で終えることができます。“少額”という名前の通り、その手続きは大幅に簡略されており、早く決着をつけたいという場合、とても適した方法であるといえるでしょう。

デメリット

訴訟額の上限が60万円

少額訴訟を利用する場合、60万円を超える金額の請求はすることができません。

控訴できない

本来の裁判であれば、第1審の内容に不服があれば第2審へ控訴を、第2審でも不服が合った場合には第3審へ上告をすることができます。しかし、少額訴訟は1日で審理から判決までを終えるため、判決内容に不服があったとしても、控訴することができません。

これは、原告・被告ともに同じです。

ただし、少額訴訟では控訴ができない代わりに、簡易裁判所への異議申し立てをすることが認められています。適切な異議申し立てがなされた場合、通常訴訟に移行することになります

少額訴訟を行う上での注意点

ここで、少額訴訟を行う上での注意点について解説していきます。とても手軽に手続きができるがゆえに、こうしたこともしっかりと理解しておきましょう。

通常訴訟に移行してしまう場合がある

少額訴訟は、その訴訟額が60万円と少額です。とても手軽ではありますが、その分少額訴訟を行うためのルールも存在します。以下の場合、通常訴訟に移行してしまい、時間がかかる場合がありますので注意が必要です。

相手の住所がわからない場合

少額訴訟は被告の住む場所を管轄する簡易裁判所で行うことを原則としているため、相手の住所がわからずに公示送達しかできない場合、少額訴訟を行うことができません。

被告の合意を得られていない場合

こちら側が少額訴訟を起こしたいと考えていても、被告がそれに同意しなければ、少額訴訟ではなく通常訴訟になってしまう可能性もあります。

被告又は原告が異議申し立てを行う場合

被告又は原告が少額訴訟の判決を不服として異議申し立てが行われた場合、適切な申し立て内容であれば判決の効力は無効となり、少額訴訟での主張・立証を引き継いだ形で通常訴訟に移行することとなります。

通常訴訟に移行させないために

少額訴訟は手軽で審議も1日で終わりますから、できれば通常訴訟には移行させたくないと考える人も多いでしょう。そんな時はどのように注意をするべきなのでしょうか?

弁護士に相談する

できれば通常訴訟には移行せず、少額訴訟だけで完結させたいという思いがあるのなら、弁護士に相談してみるのもとても有効です。弁護士という専門家に相談することで、思ってもみなかった良案が出てくるかもしれませんので、早めの相談をおすすめします。

また、弁護士に相談することで自分の発言に自信や力強さが増すため、裁判を有利に進めていくこともできるでしょう。

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勝てる証拠を十分に集める

少額訴訟は1日で審理・判決が出ます。判決がもし満足のいくものではなかった場合、異議申し立てをし、結局、通常訴訟へと移行せざるを得ないことにもなりかねません。1日の審理で納得のいく結果が得られるように、勝てる証拠をたくさん集めましょう。

少額訴訟で使える証拠の例

契約時に交わした契約書の原本、コピーなど

実際にやりとりした請求書(原本、コピー)

見積書または領収書の原本・コピー

相手とやりとりを行なったメールのコピー

電話の通話、録音記録 など

まとめ

まとめ

ご覧頂いた通り、少額訴訟は通常訴訟と違い、その手続きが非常に簡略化されており、判決までのスピードが早いことが特徴です。

ただし、少額訴訟を利用することができるのが60万円までの請求額に限られており、相手方の同意が得られない場合や、判決後に適切な異議申し立てがなされた場合などは結局通常訴訟に移行する可能性もある為、本記事を参考として、メリットとデメリットを事前によくご認識された上で検討を頂ければ幸いです。

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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