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KL2020・OD・037
ストーカー規制法とは、つきまといや嫌がらせ行為を受けている方を守るための法律です。被害者を守るための法律があるにも関わらず、残念ながらこれまでもストーカーによって傷つけられた方や命を奪われた方がいるのが現状です。
少しでも被害を減らそうと、これまで何度もストーカー規制法が改正されてきましたが、最近ではインターネット上での嫌がらせ行為に対してもストーカー規制法が適用されるようになりました。
この記事では、ストーカー規制法の概要を詳しく解説しながら、法改正の内容や、困ったときの相談先などを紹介します。
ストーカー規制法は以下の8つの事項により構成されています。つきまといやストーカー行為を行った場合は、ストーカー規制法の対象になります。では具体的にどういった内容であればストーカー規制法により罰せられるのかを詳しくみていきたいと思います。
ストーカー規制法 第2条第1項第1号
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校、その他通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
ストーカー規制法 第2条第1項第2号
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。ストーカー規制法 第2条第1項第3号
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。ストーカー規制法 第2条第1項第4号
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。ストーカー規制法 第2条第1項第5号
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。ストーカー規制法第2条第1項第6号
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。ストーカー規制法 第2条第1項第7号
その他の名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。ストーカー規制法 第2条第1項第8号
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置くこと。引用元:ストーカー規制法|警視庁
つきまとい行為として認められるのは以下のような場合です。
つきまとい行為が確認できた時点ですぐに家族や友人、警察に相談しましょう。つきまとわれている間は1人で行動することを避けてください。また、自宅に入る瞬間まで気を抜かずに周囲の様子を気にかけるようにしましょう。
あなたのことを見ていますと伝える行為のことをいいます。例えば『今日は白いワンピースを着ていたね』という内容をメールなどで送ったり、ネット上のコメント欄に投稿したりすること。監視をしていなければ知り得ない情報をあなたに伝えてくるのは、ストーカー規制法違反となる可能性があります。
自宅での様子を監視されている場合は、防犯カメラをつけたりこれまで以上に戸締まりを強化してください。ひとり暮らしの場合は、一時的に実家や友人宅に避難することをおすすめします。
直接会うことや交際を要求したり、プレゼントを受け取るように強要することをいいます。以前起きた事件、『小金井ストーカー殺人未遂事件』でも犯人はプレゼントを受け取るように執拗に迫ったとのことでした。
曖昧な対応はせずにはっきりと断りましょう。また、はっきりと断った場合、以下のように乱暴な態度を取られる場合もあるので、断る前や、断った直後に、警察などに相談しましょう。
『殺してやる』『死ね』などの内容が書かれたメールの送信や、あなたの前に現れて大声で叫ぶなどもストーカー規制法の対象になります。
ストーカーに交際を断った場合やはっきりとその気がないと伝えた瞬間、態度が乱暴なものに豹変することもあります。この場合はすぐに警察に相談して一時的にどこかに避難するようにしましょう。
無言電話や大量のメール、大量のコメント投稿を行うことをいいます。
余計なことは言わずに、相手に「やめてください。」とだけ言いましょう。送られてきたメールや電話がかかってきた着信履歴は保存しておいてください。また、SNS上でストーカーをされている場合は証拠をすべて保存した上で一時的に利用をやめるかアカウントの削除をしましょう。
あなたが不快な思いをするであろう汚物や、動物の死骸などを自宅や職場に送ってくることをいいます。
すぐに警察に連絡しましょう。また、届いた時間と内容の記録を忘れずに行ってください。
あなたの名誉を傷つけるような内容のメールを送ったり、SNS上に投稿してくることをいいます。
中傷内容がわかる画面の保存やメールのプリントアウトをして警察に届けてください。
卑わいな写真や手紙を自宅に送りつけたり、インターネットに投稿したりする行為をいいます。
手紙や写真は強力な証拠となりますので、きちんと保管しておきましょう。またネット上で該当する投稿を発見したときは、削除される前にスクリーンショットを撮っておくなどしましょう。
平成29年にストーカー規制法に改正がありました。改正内容について説明します。
法改正前、『つきまとい等』に該当する行為には以下のようなものがありました。
法改正後は上記の行為に加え、被害者の自宅などの付近を『みだりにうろつく』行為も追加されました。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第二条
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
引用元: ストーカー行為等の規制等に関する法律
『無言電話や、しつこく電話、FAX、メールをする』に加えて、FacebookやTwitterなどの『メッセージ機能』を利用した嫌がらせも規制の対象になりました。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第二条
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
『電子メールの送信等』となっているのがポイントです。
改正前は、被害者が告訴しなければ検察は裁判を起こすことができませんでしたが、改正後は被害者の告訴なしで犯人を裁くことができるようになりました。
ストーカーをするおそれがある者であることを知りながら、その者に対し、被害者の氏名や住所などの個人情報を教える行為が禁止になりました。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第六条 何人も、ストーカー行為又は第三条の規定に違反する行為(以下「ストーカー行為等」という。)をするおそれがある者であることを知りながら、その者に対し、当該ストーカー行為等の相手方の氏名、住所その他の当該ストーカー行為等の相手方に係る情報でストーカー行為等をするために必要となるものを提供してはならない。
ストーカー犯にはどんな罰が与えられるのでしょうか?
ストーカー行為を行った場合の法定刑は『1年以上の懲役、または100万円以下の罰金』です。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
引用元: ストーカー行為等の規制等に関する法律
警察は加害者をすぐ逮捕せず、『警告』や『禁止命令』を出すことがあります。いずれもストーカー行為を制止する警察の通知処分ですが、警告よりも禁止命令の方が重大な処分です。
通常は、警告に従わなかった場合に禁止命令、禁止命令に従わなかった場合に逮捕といったステップを踏みますが、必ずしも段階的に行われるものではありません(重大性が高ければ警告なく逮捕されることもあります)。
なお、禁止命令に反してストーカー行為を行った場合、法定刑が加重され『2年以下の懲役、または200万円以下の罰金』になります。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第十九条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。
引用元: ストーカー行為等の規制等に関する法律
禁止命令はストーカー行為をやめさせるためのものですが、それに加えて、『ストーカーに関係する投稿をネット上からすべて削除しなさい』などの命令が下される可能性もあります。
ストーカー行為自体はやめたものの、その他の禁止命令に従わなかった場合、『6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金』になります。
ストーカー行為等の規制等に関する法律
第二十条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。
引用元: ストーカー行為等の規制等に関する法律
では、実際に自分の身を守るためには、どのような相談先が適しているのでしょう。状況によって相談先が異なりますので、まずは一通り相談先を把握しておくことが大切です。
ストーカーに関する悩みを相談できる上に今後の解決策を見出してくれるサポート団体です。
警察が取り合ってくれない場合でも、状況に応じた対応をしてくれます。無料相談も受け付けています。
こちらでは、ストーカーをはじめ、悩みを抱える女性を守ってくれる支援センターです。一時避難が必要な場合の相談にも応じてくれます。
ネットストーカーをはじめ、つきまとい行為を繰り返すようなストーカーの相談を行うことができます。刑事手続の流れや支援制度の紹介をしてくれます。状況に合わせて弁護士の紹介も無料で行っています。
警察庁が設置したサイバー犯罪専門の相談ができる窓口になっています。必ずしも事件化できるわけではありませんが、身の安全のためにも相談してみましょう。
ストーカー相手を罰したいときや、法的処置をお考えであれば弁護士に相談することをおすすめします。これまでストーカーの対応を経験したことのある弁護士も多く存在しますので、適した解決策を見出してくれることでしょう。
ストーカー規制法がどのようなものなのかわかっていただけたでしょうか。また、これまで多くの方がストーカーによる犠牲者になっています。ストーカー被害は決して他人事ではありません。
ネット上のストーカーが規制法の対象になるからといって、油断は禁物です。ネットストーカーを近寄らせないためにも、日頃のネット利用方法を見直す必要があるのかもしれません。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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