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KL2020・OD・037
「モラハラって、何だろう?」
「もしかして、自分はモラハラを受けているのでは…?」
モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略で、言動や立ち居振る舞いなどによって相手を精神的に追い詰める行為を指します。たとえば、夫婦間で配偶者からいやがらせのような言葉をかけられるなど、精神的に追いつめる行動全般をいいます。
モラハラは、DVなどのように暴力を伴って相手を傷つける行為ではないため、被害者がなかなか自身の置かれている状況を「モラハラだ」と自覚しにくく、問題が悪化してしまいやすい現象です。
そのため「もしかしたらモラハラかも?」と考えるのであれば我慢せず、適切な対処をおこなうべきです。
この記事では、モラハラの代表的な例を中心に、対処法や法的にできることなどについて詳しく解説していきます。
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目次
冒頭でも解説したとおり、モラハラとは「モラル・ハラスメント」の略語です。「モラル(倫理)」を盾にするなどして嫌がらせをする行為で、心理的な虐待といってもよいでしょう。
モラハラの大きな問題点は、被害者が精神的に虐待を受けることで自尊心を傷つけられてしまう点です。
心理的に嫌がらせを受けているにもかかわらず、「自分が悪い」「自分が我慢すればよい」と感じやすくなる特徴もあるため、問題が大きくなってしまう可能性があります。
モラハラは、DVなどの身体的暴力に比べて見た目に分かりにくいのが問題ともいえます。
被害者本人が被害を自覚できなかった場合には発覚しづらく、気づいたころにはうつ病や不眠症などを発症しているということもあります。そのため、深刻化する前に早期の対処が重要です。
ここでは、モラハラにあたる具体的な行為の例を、夫側と妻側それぞれに分けて解説します。
夫側からのモラハラの例、夫から妻へのモラハラの例として、以下のようなものが挙げられます。
特徴としては、夫が妻よりも上位にいることを強調することで、妻の自尊心を傷つける傾向があります。
上から目線で「お前はダメだ」「お前は俺がいないと何もできない」「友だちと会うのはやめろ」「誰のお金で飯を食っているんだ」など、妻が反抗しにくい内容で相手を責め立てる行為はモラハラといえるでしょう。
妻から夫へのモラハラの例としては、以下が挙げられます。
妻から夫へモラハラの例でよくあるものとしては、「夫が何をしても常に怒る」などがあります。
妻が常にイライラしていて、家事を手伝ったり愚痴を聞いていても常に八つ当たりをしたりする状況が続くことで、夫がストレスを溜めやすくなってしまいます。
また、夫が何をしても「どこへ行ったのか」「誰と何をしたのか」と監視するといった行為なども、モラハラといえるでしょう。
ここでは、モラハラの加害者に見られやすい代表的な特徴について詳しく解説します。
モラハラの加害者は自己中心的な性格の場合が多いと言えます。常に自分主体で物事を考え、自分の思いどおりにいかないとイライラしたり、怒ったりするタイプの人です。
常に自分の欲求や意見を優先する傾向があり、他人の感情や意見を無視する傾向があります。
思いやりのある家庭環境で育ってこなかったとことで、気持ちに配慮してもらえた経験が乏しく、それゆえ他人の気持ちに配慮できず、それどころか親やきょうだいから搾取されていた家庭環境だったような場合に、自分の思いどおりにすることが正解だと学習してしまい、結婚をしても友人関係でも相手を攻撃したり、コントロールしようとしたりする傾向が出て来るのです。
人を思いやる強さがなく、しかも社会は利己的に生きなければ食い物にされる場所だと信じてしまっている、弱く不幸な性質といえます。
モラハラの加害者には、いつも自分を高く見せたいと感じるプライドが高い人が多い傾向があります。
やたらと褒められてばかりの育てられ方をして虚栄的であることが癖づいていたり、あるいは逆に叱られてばかりで損なわれた自尊心を過剰に埋め合わせることを本人すら無自覚に行っていて虚栄心を肥大化しているため、自分自身を正当化するために攻撃したり、自分を守るために相手をコントロールしようとしたりすることがあります。
たとえば、自分が間違っているようなシーンでも、自尊心・虚栄心を傷つけられないようにするために、責任転嫁をして相手の意見が間違っていると言うなど攻撃的な態度を取ることがあるのです。
モラハラの加害者は、自分の自尊心虚栄心を守るために、他者よりも優位に立とうとする傾向があります。そのためにマウントを取りがちなところが見られます。
ほかにも、相手を支配したいという考えから自分を優位に立たせるために相手を貶めたり、攻撃的な言動を繰り返したりすることがあります。
これにより、マウントを取られた相手は徐々に、「自分はこの人より下だ」「どうせ自分なんか」と卑下しやすくなってしまうのです。
モラハラの加害者は、自分を正当化しようとする動機が強すぎるために平気で嘘をつくことがあります。むしろ、本人すら嘘をついているという自覚が無いことも少なくありません。
それも自分を高く見せたり、自分の自尊心・虚栄心を守るためにおこなわわれることが多いのが特徴です。自分を守るために、無意識的に自分にとって都合の良い嘘の方が「真実」だと信じ込んでしまうのです。
たとえば、自分が失敗したことに対して「自分はやっていない」と嘘をついたり、誤解していたことに対して「間違っていない」と理屈をこねて真実を捻じ曲げようとしたりすることがあります。
モラハラの加害者は、自分を守るために責任を回避しようと、謝ろうとしない傾向があります。
たとえば、自分が間違えてしまったのに謝らず、「指示の仕方が悪い」「そもそもお前が○○なのが悪い」などとかえって相手を攻撃をする傾向があるのです。
また、モラハラ加害者は常に「自分が正しい」という態度を崩しません。どのようなミスをしても謝らず、周りが悪いかのようにふるまって自分を正当化しようとすることがあります。
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ここでは、モラハラ被害者になりやすい人に見られることの多い3つの特徴について解説します。
自分に自信が持てないタイプの人は、モラハラの被害者になりやすいかもしれません。
自己肯定感が低い場合、相手からのマウントや高圧的な態度、嘘などに対して自信を持って立ち向かうことができません。
相手から指摘されたり怒られたりすると、「自分はやっぱりダメなんだ」と自己批判に走ってしまう傾向があります。
特にもともと自己肯定感が低い人の場合、一連のモラハラ行為によってその思考が強化され、被害を拡大しやすくなってしまう可能性が高まります。
ただ、自信が無いことが悪いわけではありません。自信が無いから一生懸命に頑張れるということもあります。
問題は、自信が無い人はモラハラタイプの人と関わりを深めないようにする必要があるのですが、モラハラをするようなタイプの人は簡単に見下せる自信ない人に接近してくることです。
親切そうな仮面をつけて近づいてくることも少なくありません。
NO!と言えない自信ない人にとって、そのように近付いてくる人を拒むことは難しく、もしかしたらあなたも、そうした押しの強さでご結婚をなさった面があるかもしれません。
モラハラ被害に遭いやすい人の特徴として、争いごとを嫌うタイプの人も挙げられます。
なぜなら、争いごとが嫌いな場合は自分を守るために立ち向かうよりも、我慢してコミュニケーションを円滑にしようと考えてしまうためです。
攻撃的な相手に対して反論したり、反抗したりするとけんかが起こってしまうことがあります。
そうしたトラブルを起こすよりは自分が我慢して平穏にやり過ごそうと考えてしまううちに、ストレスをため込んでしまいやすくなるのです。
自己主張が苦手な人は、自分の意見や感情をうまく表現できず、言いたいことを相手に上手く伝えることができません。
相手が攻撃的な言動をしてきた場合にも、自分の主張を抑えてしまうことがあります。 モラハラ加害者は基本的に、相手を言葉などで攻撃することで精神的に追い詰めようとします。
言葉で反論することを苦手とする場合には、対等に話ができないため、モラハラ被害に遭いやすくなってしまうのです。
もし、ご自身がモラハラを受けていることに気がついたら、我慢せずに対処することが重要です
。モラハラは放っておくストレスを拡大し、うつ病や不安障害など深刻な状況に発展してしまう可能性があります。
ここでは、モラハラを受けている場合に対処すべき理由について詳しく解説します。
モラハラは離婚事由になり得るため、相手が納得していなくても裁判をすることで離婚を請求できます。
モラハラが原因で離婚したいと考えて相手に持ち掛けても、「離婚したくない」と拒否される場合があります。
しかし、そういった場合でも調停離婚や裁判離婚によって裁判所に認めてもらえれば、離婚が成立するのです。
ただし、民法では「モラハラを受けたとき」に離婚できると記載はありません。
モラハラを理由に離婚する場合には、法定離婚原因のなかでも「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」であると認めさせる必要があります。
モラハラのみをもって婚姻を継続し難い重大な事由があると認定してもらうのは簡単ではありません。
モラハラがうつや適応障害などの精神疾患を引き起こすほど強烈なものである場合か、あるいは長期別居や不倫など他にも相手方に落ち度がある場合に離婚判決を勝ち取り得ます。
なお、配偶者からのモラハラを離婚事由として成立させるためには、モラハラがあったことを示す証拠が必要となります。客観的に離婚に足る十分が理由があると認められる場合に離婚が成立します。
ここで、モラハラが原因で離婚に至る件数について見てみましょう。裁判所が発表している司法統計によると、令和2年度の離婚の申し立て動機では、以下のような結果が出ました。
離婚理由 |
合計 |
夫側の順位(件数) |
妻側の順位(件数) |
精神的虐待 |
14,107 |
第2位(3,159) |
第3位(10,948) |
これを見てわかるとおり、男女ともに精神的虐待(モラハラ)を理由に離婚の申し立てをおこなうケースが上位を占めていることがわかります。
総数を見ると、夫側の順位は2位と女性よりも高くなっていますが、件数は約3倍以上となっていることがわかります。
いずれにしても、離婚において精神的虐待が理由となることは、よくあることだといえるでしょう。
ここでは、モラハラへの対処法について詳しく解説します。
モラハラの被害に遭っていると感じた場合には、一人で抱え込まず、信頼できる第三者に相談するようにしましょう。家族や友人に相談できる人がいれば、その人に相談してみることをおすすめします。
第三者に相談することで、自分の気持ちや状況を整理できたり、相手の言動が本当にモラハラなのかを客観的に判断できたりします。
また、第三者に相談することでアドバイスを受けることができれば、前向きに対処することも可能となるかもしれません。
もしも、周囲に相談相手がいない場合には自治体が運営している「配偶者暴力相談支援センター」を利用してみるとよいでしょう。
また、既に離婚まで考えているのであれば、弁護士への相談もおすすめです。
配偶者とモラハラに関する話し合いの場を設けるのであれば、カフェやレストランなど人目のあるところでおこなうことをおすすめします。
自宅などで話し合いをもってしまうと、相手は自分のペースに話をもっていきやすくなります。また、場合によっては声を荒げたり、逆上される恐れがあるため、おすすめできません。
そういった行動を取りづらくするためにも、話し合いの場をもつ場合には、人目のあるカフェやレストランを選ぶようにしましょう。
もしも不安があるようであれば、カウンセラーを交えて話し合いの場をもつこともおすすめです。夫婦カウンセリングという、夫婦揃ってのカウンセリングを提供しているカウンセラーもいます。
また、離婚を見据えた話し合いを希望するのであれば、弁護士に頼ってもよいでしょう。
話し合いによってモラハラが解決できない場合、離婚や別居も検討することをおすすめします。 モラハラは、加害者に指摘したところですぐに治るというものではありません。
加害者は基本的には自分の非を認めないことが多く、何が問題かを見出すことが難しいためです。 また、モラハラについて自覚できたとしても態度をすぐに改められるとも限りません。
被害者側も加害者と生活をしている以上、精神的苦痛がすぐになくなることは考えにくいでしょう。
解決が難しいと感じた場合は離婚や別居を考え、カウンセラーや弁護士などの専門家に間に入ってもらうことにより解決を目指すことをおすすめします。
モラハラは多くの場合、外部から遮断された自宅などで起こるため、目撃者や証拠が残りにくいという特性があります。
また、目にみえる傷が残るものでもないことから、写真や傷の目撃者などでモラハラを立証をすることはできません。
モラハラを原因として離婚をしたいのであれば、被害の内容を細かく記録することが重要です。モラハラを裁判で認めてもらい離婚するためには、客観的な証拠が必要となるためです。
被害内容を記録する際には、以下のような情報を記録することが望ましいでしょう。
これらはモラハラの証拠となる場合がありますので、時系列に沿って細かく記録・整理しておきましょう。
相手がモラハラであると証明できた場合には、法的には「離婚請求」と「慰謝料請求」が可能となります。 ここでは、モラハラに対して法的にできることについて詳しく解説します。
モラハラ被害に遭っている場合には、法的に離婚請求が認められます。被害者は、配偶者のモラハラにより心身の健康に被害を受けた場合など、夫婦関係が成り立たなくなった場合に家庭裁判所へ「離婚調停」の申し立てをすることができます。
調停は合意を目指す手続きですから、合意に至らないだけで終了しますが、その後に離婚裁判を起こすことができ、もし裁判所がモラハラ等によって婚姻を継続し難い重大な事由があると判断した場合には、離婚が成立します。
モラハラ被害が認められれば、相手に対して慰謝料を請求することも可能です。モラハラの慰謝料の相場は約10万~150万円程度です。
なお、慰謝料の金額は被害者の精神状態やモラハラの度合いによって判断されます。 離婚請求と同じく、慰謝料を請求する場合にもモラハラの証拠が重要となります。
以上、今回の記事では「モラハラとは何か」を中心に、モラハラの被害に遭った場合の対処法などについて詳しく解説してきました。
モラハラは、精神的に相手を追い詰める虐待行為です。放置してしまうと、うつ病や不安障害などに陥る可能性もある深刻な問題です。
改善が難しいようであれば、別居や離婚を検討することをおすすめします。特に、取り急ぎ別居をすることができれば、精神的には落ち着かれる方が多いです。
別居をしても連絡は取らなければなりませんが、別居前から弁護士に依頼しておければ、転居先を知らせず、連絡先もブロック・着信拒否をして、連絡窓口を弁護士に一本化することもできます。
ここまでできれば、精神的にはかなり負担が軽減されるでしょう。 モラハラは、肉体的被害がない場合が多いため、それを実証することが難しいのも特徴の一つです。
そのため、モラハラを原因に離婚を考えているのであればぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士に相談することで、裁判を有利に進めるために必要な手続きや交渉を被害者に代わっておこないます。ぜひ、一度ご相談ください。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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