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KL2020・OD・037
B型肝炎に母子感染した人は、国から給付金を受け取れる可能性があり、病態によって50万円~3,600万円が支給されます。ただ、提訴者の内51,1%は和解できていない(平成26年5月時点)と厚生労働省のデータに出ています。
和解に至り給付金を受け取れる可能性を高めるためにも、このページで紹介する訴訟の必要書類や、弁護士に依頼してから給付金を受け取るまでの流れをご確認ください。
目次
集団予防接種でB型肝炎に集団感染した方からの母子感染の場合、給付金受取の対象になります。ここでは、各種証拠書類と病態別給付金額などをお伝えします。
あくまで母親が集団予防接種でB型肝炎に感染していなければいけません。ちなみに今では生まれたばかりの赤ちゃんにワクチンを投与することで母子感染はほとんどなくなりましたが、母子感染予防対策が敷かれる前は母親から子どもにうつることも珍しくありませんでした。
持続感染とはどんな状態かご存知でしょうか。思春期以降にB型肝炎に水平感染(性行為など)した場合は、一時的に症状が出る一過性感染をします。
これに対し、赤ちゃんは免疫力が不十分なため、肝炎ウイルスが肝臓に居座ったまま症状が出ません。(この症状は無症候性キャリアと呼ばれています。)
しかし、思春期以降に免疫力がつくと、抗体がウイルスごと肝細胞に攻撃を始め、炎症が出るようになります。この一連の流れが継続感染です。
B型肝炎は性交渉などでも移りますから、母親以外に感染経路がある可能性を絶たないことには、集団予防接種に原因があったと断言できなくなります。
一次感染者として認められるためには、次の要件を満たしてなければいけません。
二次感染者本人の母親が集団感染した方であれば給付金をもらえる可能性が高いので、これ以降の内容もぜひご確認ください。
B型肝炎に持続感染していると証明するためには、次の検査結果のうちいずれかが必要です。
① 6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果
・HBs抗原陽性
・HBV-DNA陽性
・HBe抗原陽性
② HBc抗体陽性(高力価)
これは一次感染者が救済条件を満たすための条件ですが、継続感染していることを証明するための資料は二次感染者も変わりません。
母子感染を証明するには、次の書類のうちのいずれかが必要です。
病態ごとに給付金額が変わりますから、病態を判断できる診断書が必要です。
B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書を印刷して記入しましょう。
B型肝炎は進行する可能性がある病で、肝がんや肝硬変のように病態が重くなるとそれだけ治療費が高額になりますから、病態が悪いほど給付金額も上がっていきます。詳しくは次のとおりです。
病態 | 金額 |
無症候性キャリア | 600万円 |
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア | 50万円 |
慢性B型肝炎 | 1,250万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎 | |
1. 現在、慢性B型肝炎にかかっている方 | 300万円 |
2.それ以外の方 | 150万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 |
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度) | |
1.現在、肝硬変(軽度)にかかっている方 | 600万円 |
2.それ以外の方 | 300万円 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万円 |
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 900万円 |
訴訟の期限は平成34年1月12日までです。まだ時間はありますが、訴訟から和解までには半年~1年程度かかりますので、早めに対応しましょう。
B型肝炎訴訟の場合、着手金がかからず給付金の額に応じて成果報酬のみを支払えばよく、さらに国が弁護士費用の一部を負担してくれます。
法律・医療知識のない一般人が必要書類を揃えて陳述するための手間と時間を考えると弁護士への依頼をおすすめしますが、自力ですべての手続きができる人には必要ないでしょう。
和解に至るには十分な必要書類を集めねばなりませんし、裁判所へ自力で陳述をせねばなりません。裁判所は原告が弁護士を介さず自力で訴訟していたとしても、手加減をしてくれるわけではありません。
B型肝炎訴訟の場合、和解すると国が給付金額の4%程度を弁護士費用として給付してくれます。
弁護士費用は給付金額の8~16%です。国からの給付を差し引くと、自己負担額は給付金額の4~12%程度となります。
最も額が低い「20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア」の場合で20,000~60,000円で、最も額が高い「死亡・肝がん・肝硬変(重度)」の場合で144万円~432万円かかる計算になります。
依頼しないでも構いませんが、本来受け取れる和解金を手続きの不備で受け取れなくなるのはもったいないことです。手続きの不備だけが原因ではありませんが、厚生労働省のデータを見ると、提訴者の内51.1%しか和解に至っていないことがわかります。
B型肝炎の治療に費用がかかることや、民間の保険に入れないこともあり、B型肝炎患者は出費を自力で負担せざるを得ませんので、弁護士に依頼し和解できる確率を高めることをおすすめします。
弁護士に依頼してから給付金を受け取るまでの大まかなフローは次の通りです。それぞれ確認していきましょう。
まずは弁護士を探しましょう。
上記のような事務所を選ぶのがおすすめです。土日対応でないと平日仕事をする人にとっては不便ですし、B型肝炎訴訟の経験がない弁護士も避けたほうが良いでしょう。
母子感染した方はここでご紹介した必要書類を集めます。弁護士に依頼していると必要書類を指示してもらえますから、上記の書類が足りず代わりのものを探さないといけない場合なども間違えずに済みます。
裁判所で陳述しますが、弁護士に依頼している場合は代行してくれます。
提訴者の内51.1%が和解に至っていますが、弁護士に依頼することで和解率も高くなるでしょう。
和解に至ったら、口座に和解金が振り込まれますから、金額に間違いがないか確認しましょう。
B型肝炎訴訟をする際は、必要書類を過不足なく揃えましょう。母子感染で訴訟をする際は、母親が一次感染したと分かる資料も提出する必要があります。
決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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