B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由と具体的な非課税対象

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由と具体的な非課税対象

B型肝炎訴訟の給付金は最大で3,600万円にもなります。もし税金がかかるのであれば、一体いくら取られるのか不安になる人もいるかもしれません。幸い、B型肝炎訴訟の給付金は非課税ですのでご安心ください。

今回は、B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由と、訴訟にかかる費用、弁護士に相談してから和解までの流れをご説明します。

B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由と具体的な非課税対象

 

B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由

 

ここでは、B型肝炎感染者本人とその相続人が給付金を受け取る際に非課税になる理由をそれぞれ確認していきましょう。

一次感染者と二次感染者が非課税になる理由

国税庁『集団予防接種等に起因するB型肝炎訴訟における「基本合意」により和解対象者が支払を受ける和解金等の課税関係について(照会)』にはB型肝炎訴訟の給付金が非課税になる理由が書かれています。

かいつまんで説明すると、B型肝炎訴訟の給付金は損害賠償や見舞金としての性質を帯びているため『所得税法9条1項17号』『同法施行令30条』にある非課税所得扱いになるということです。

相続人の方が非課税になる理由

B型肝炎に感染した本人がなくなった場合、相続人が訴訟をする権利を得ます。「相続税がかかるのでは」と心配する人もいるかもしれません。しかし、和解金は損害賠償・見舞金に当たるものとして相続人に直接支払われるので、亡くなられた方の財産となって相続されるわけではありません

非課税対象になる具体的な給付金

ここまでで給付金が非課税になる理由を確認してきました。ここでは非課税になる給付金の内訳をお伝えします。

和解金

金額が高くなるので、非課税になる恩恵が一番大きい給付金です。症状別の和解金額は次の通りです。

病態 金額
無症候性キャリア 600万円
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア 50万円
慢性B型肝炎 1,250万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎  
1. 現在、慢性B型肝炎にかかっている方 300万円
2.それ以外の方 150万円
肝硬変(軽度) 2,500万円
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度)  
1.現在、肝硬変(軽度)にかかっている方 600万円
2.それ以外の方 300万円
死亡・肝がん・肝硬変(重度) 3,600万円
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度) 900万円

すでにお伝えしたように、損害賠償や見舞金扱いのため所得税も相続税もかかりません。

無症候性キャリアの検査費用

肝炎ウイルスが体内にあるが症状の出ない無症候性キャリアは、定期的に検査を受けなければならない場合があります。家族感染を防止するためのワクチン代や、交通費も請求できますから覚えておきましょう。

母子感染・父子感染・ジェノタイプの検査費用

B型肝炎訴訟で和解するには、集団予防接種以外の感染経路がないことを証明せねばならず、そのためには上記の検査をする必要があります。そのためにかかった費用分の給付金は、被害者が立て替えているものと考えられ税金は発生しません。

弁護士費用相当額

和解した場合は給付金額の4%を弁護士費用として国が負担してくれます。これは必要経費を補てんするためのものなので、所得税の課税対象にはならないと考えられています。

B型肝炎にかかる費用

B型肝炎にかかる費用

ここでは、B型肝炎訴訟にかかる費用を確認していきましょう。

弁護士費用の相場

弁護士の報酬は自由に決定できるので事務所によって異なりますが、給付金額の8~20%程度です。

費用を抑えたければ、できるだけ報酬のパーセンテージが少ない事務所を探したほうが良いでしょう。ただ、あくまで和解ができないと給付金は貰えませんから、B型肝炎訴訟で和解に至った実績が十分な事務所を選びましょう。

国が費用を一部負担してくれる

ただ、和解した場合は給付金額の4%相当の金額を(弁護士費用として)国が負担してくれるので、実際の負担はもっと少なく済みます。

着手金が不要な事務所も

他の訴訟では、着手金といって成功したか否かにかかわらず弁護士に支払わねばならない費用がありますが、B型肝炎訴訟の場合は着手金がいらない事務所も多くあります。そういった事務所を選べば、和解できなかった際の無駄な出費を減らせます。

弁護士費用以外にかかる費用

収入印紙代

病態別に収入印紙代の額が異なりますので注意しましょう。また、弁護士費用に応じて最終的な金額が変わりますから、次の表は大体の目安とお考えください。

病態 収入印紙代
死亡・肝がん・肝硬変(重度) 13万円程度
肝硬変(軽度) 10万円程度
慢性B型肝炎 6万円程度
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎で現在治療を受けている方 2万円程度
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎で上以外の方 1万5千円程度
無症候性キャリア 3万5千円程度
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア 5千円程度

郵便切手代

裁判所によって金額が変わりますが、6,000円程度かかります。お近くの郵便局で購入しましょう。

弁護士に相談してから和解までの流れ

最後に、弁護士に依頼してから給付金が振り込まれるまでの流れを確認しましょう。

弁護士に相談する

まずは弁護士を選びます。弁護士に依頼しなくても構いませんが、必要書類を集めて裁判所に提出をする過程で証拠が不十分だと和解できずお金を貰えませんから、弁護士費用に関しては支払うものと割り切ったほうが良いでしょう。

必要書類を集める

  • B型肝炎に持続感染していることがわかる書類
  • 集団予防接種で集団感染したことがわかる書類
  • 診断書

など集めるべき書類を集め、給付金を受け取る権利があることを証明する準備を始めます。この過程に一番時間がかかります。

訴訟

裁判所で主張、立証をします。弁護士に依頼していれば、この行程は代行してもらえます。

和解

集団予防接種が原因でB型肝炎に感染したと判断されれば晴れて和解です。書類を集める難易度やペースが異なるため一概には言えませんが、和解成立までに半年~1年程度かかります。

給付金が振り込まれる

指定の口座に給付金が振り込まれます。金額が間違っていないか確認しましょう。

まとめ

B型肝炎訴訟の給付金は、損害賠償や見舞金扱いのため、税金はかかりません。全額をこれまでにかかった治療費に当てたり、将来的にかかる治療費のために貯蓄したりできます。

B型肝炎訴訟の給付金に税金がかからない理由と具体的な非課税対象

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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