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KL2020・OD・037
家賃滞納者に対して支払いを命じているにも関わらず、一向に払ってくれないというお悩みをお持ちの家主の方は多いかと思います。そんな状況であれば、少しでも早く強制退去してほしいと考えることも大いにありますよね。
実際に、強制執行を行うにはどのような手続きを踏んでいく必要があるのか、また、どんなことに注意して行っていけば良いのでしょうか。
今回の記事では、家賃滞納者に対しての強制執行の方法について、詳しく解説していきたいと思います。
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目次
家賃を滞納された場合、その滞納者に対して強制執行で明け渡しをさせることはできるのでしょうか? これに関しては、しっかりとした手続きを順次に沿って進めていくことにより、可能になります。
今回の記事では、家賃を滞納されている際の最終手段としての強制執行について、手続き方法やその手順を解説していきます。
それではまず、家賃滞納が発覚し、そこから強制執行を行っていくまでの手続きについて解説していきます。家賃を滞納しているからといって、すぐに強制執行を実行することはできません。一つずつ、手続きを踏んでいく必要があります。
まずは家賃滞納者へ、家賃の回収や契約の解除を訴えるための催告書を作成します。この際、なぜ訴えることに至ったのか、実際にどれくらいの期間家賃の滞納があったのか、その理由や経緯をしっかりと記載する必要があります。
また、催告書を家賃滞納者に送る際には条件があり、これを満たした段階で、作成するようにしましょう。その2つの条件は以下に記していきます。
催告書の詳しい書き方については、こちらの記事で触れていますのでご参考ください。
これは、必ずしも3ヶ月でなければいけないということではありません。強制執行をしようとした場合、まず賃貸借契約を解除する必要がありますが、裁判は解除の可否判断を行ううえで、貸主と借主の信頼関係を重視しており、それが著しく失われたかどうかを判断基準とします。
つまり、家賃を相当期間滞納されていたという事実が、貸主による解除を正当化する事情として必要になるため、最低でも3ヶ月以上の家賃滞納を経てからがよいということです。
催告は、口頭でも良いですが、証拠化するため書面で行ってください。できれば、内容証明郵便を利用するのがベターです。内容証明郵便は、催告書を通知したという事実を証明することができる郵便であり、裁判所に信用力のある証拠書類として提出することができます。
また、内容証明郵便を使うことのメリットとして、借主に対してより大きなプレッシャーを与えることができるということが挙げられます。さらに弁護士に作成を依頼することにより、差出人を弁護士名にすることができるので、借主は事の深刻さに気づくきっかけとなるでしょう。
催告書を通知し、それをきっかけに借主と連絡が取れるようになったら、実際に交渉をしていきます。交渉をする上では、借主に対してしっかりとプレッシャーをかけること、強制執行の可能性も辞さないということを記載しましょう。
具体的な内容としましては、
などを持ちかけると良いでしょう。
しかし、借主は何らかの理由があって家賃を払えない状況にあると思われるので、プレッシャーをかけすぎるのは逆効果にもなりかねません。なので、支払額の分割払いや、日程を調整するなど、少しは歩み寄って交渉を進めていくのもポイントです。
できることならば強制執行に至ることなく、この時点での解決が望ましいですね。
催告書の通知、交渉で期日を定めたにも関わらず、借主の支払いが滞っている場合には、裁判を起こす手続きをしていきましょう。民事訴訟、少額訴訟、支払督促の3つの方法について、解説していきます。
少額訴訟の特徴としては、他の訴訟と比べて手続きに要する期間が1.5ヶ月程と短いこと、申込費用が低額なこと、回収できる賃料が60万円以下ということが挙げられます。
しかし少額訴訟の場合、裁判所に訴えが認められた場合でも、立ち退きに関しての訴えをすることができません。
また少額訴訟では、分割払いを認めるように迫られたり、滞納満額の減額を迫られたりといったように、双方の妥協案を提示されることがあり、納得した判決が下されないといったこともあります。
立ち退きや滞納賃金の回収を望むのであれば、民事訴訟を起こすことがおすすめです。判決までは少額訴訟よりも長い時間がかかりますが、民事訴訟を行えば滞納賃料と建物明渡しの両方について抜本的な解決が望めます。
支払督促も少額訴訟と同様に、支払いを命じることはできても、立ち退きまでは命じることができません。手続きに要する期間も1.5ヶ月ほどと短いですが、立ち退きまでを願う方にとっては、支払督促は適しているとはいえません。
その際はやはり、民事訴訟を利用しましょう。
ではここからは、実際に強制執行を行っていく際の手順について解説していきます。
まずは、債務名義(債権者の権利を公的に証明する文書)に強制執行の効力を持たせるために、執行分を付与する必要があります。
また、この執行分付与の手続きには、手数料として1,700円がかかります。
次に、債務名義の送達証明書を取得していきます。強制執行の申立てをする前提として、裁判の判決内容が記された文書が家賃滞納者へ送達されている必要があるのですが、それを送達したことを証明するために、この「送達証明書」を取得します。
債務名義は判決が下ってから1~2週間ほどで送達されますので、これ以降(2週間を目安)に、送達証明書の申請を行いましょう。
裁判所での判決の送達後2週間、家賃滞納者からの控訴がなかった場合、この判決は確定となりますので、この時点で強制執行の申立てをしていきましょう。
必要書類は上記の通りです。
申立費用としましては、予納金として65,000円を納付する必要があります。また、一物件追加ごとに25,000円の追加料金が発生してきます。
この後はいよいよ、明け渡しの催告をしていきます。明け渡しの催告とは、強制的に物件の空き状況を確認する手続きであり、また、滞納者へ強制的に明け渡しをする旨を伝えるための手続きです。
この確認が完了した後、引き渡し期限を記した公示書を室内に設置します。
当日は執行官の立ち会いのもと、部屋にある家賃滞納者の所有物の運び出しなどを行っていきます。いわゆる、強制的の断行です。
この際にかかる費用に関しては下記にも記していきますが、基本的に貸主の自己負担となります。この費用は申立時に納めた予納金の中から支払われ、それを差し引いた額を貸主が負担することになります。
判決が下り、実際に強制執行に至るまでの時間はどれくらいなのでしょうか?これに関しては、送達証明書の取得に1~2週間、強制執行の申立てに至るまでに2週間、明け渡しの催告までに1~2週間、そこから1ヶ月で強制執行に至るケースが一般的です。
つまり、判決が下ってから強制執行までは、2~3ヶ月ほどの時間を要すると考えられます。
それではここから、強制執行をする際の大体の相場額について解説していきます。
強制執行費用とは、立ち退きの際の人件費や解錠技術者費用、または荷物を保管したり、配送したりする際の費用のことです。このときにかかる費用については、あくまでも自己負担となるので注意が必要です。
また、部屋に残った荷物については基本的には親族が引き取るべきなのですが、引き取ってもらえない場合、その廃棄や処分の費用も自己負担となります。
解錠技術者費用 |
約2万円から |
荷物の運送費用 |
1R の相場は10万円から 一般家庭の場合の相場は30万円から50万円 |
廃棄・処分費用 |
約2万円から4万円 |
内容証明郵便を作成する際にかかる費用は以下の通りです。
内容証明料 |
420円 |
書留料 |
420円 |
配達証明料 |
300円 |
郵便料金 |
80円(2枚目以降は1枚につき+250円) |
明け渡し請求の費用に関しては、以下の通りです。
予納金 |
基本額:65,000円 |
予納郵便切手 |
約6,000円 |
収入印紙代 |
訴額に応じた金額 |
強制執行をした際、その借主の荷物が大量に残っているというケースも考えられます。その場合は最長で1ヶ月、貸主の責任で保管しなければなりません。
強制退去を行った部屋に保管しておくという方法もありますが、そうなってしまうとその部屋は賃貸に出すことができず、新たな入居者を募集することができません。
保管場所をあらかじめ決めておくこと、その決めた保管場所を裁判所に知らせておく必要があります。
部屋の中に残った家具類などは、外に運び出す必要があります。また、強制執行が終わった後には鍵の交換をしなければなりません。事前にこれらの仕事を一任する執行業者を手配しておくことで、手続きをスムーズに行うことができます。
また、強制執行で立ち退きを命じた部屋に入室する際は、原則として合鍵を使うことはできません。なので、こちらはあらかじめ解錠業者に依頼しておき、入室できるようにしておきましょう。
強制執行を行い、立ち退きが決まっていたとしても、借主の荷物を勝手に廃棄することは許されません。なので、基本的には借主が引き取るか、所有権放棄を受けて処分又は廃棄するという方法が一般的な流れです。
強制執行を検討している人はもちろん、弁護士に依頼して手続きを行っていくことをおすすめします。そうすることで無駄な労力や時間をかけずに、スムーズな手続きが可能になります。
弁護士に相談することによって、強制執行の前に案件が解決する可能性もあります。早い段階で弁護士に案件の依頼をしておくことにより、家賃滞納者により大きなプレッシャーを与えることができ、より本気度が伝わります。
催告書を送った時点であったり、交渉のみで明け渡しを完了することができれば、その分費用もかかりませんし、ストレスも大幅に軽減されるでしょう。
強制執行をすると決めたのであれば、早めの段階で弁護士に相談することをおすすめします。
先ほども書きました通り、弁護士に相談することにより、自己での負担を大きく軽減することができます。1人で全てをやるとなると、費用以上に時間的コストもかかってしまいますし、余計なストレスで心労を患ってしまうことにもなりかねません。
それでは、強制執行を弁護士に相談した場合、どれくらいの費用がかかってくるのでしょうか?ここでは着手金と報酬金の2つについて、解説していきたいと思います。
弁護士への相談を依頼し、実際に案件に着手すると、着手金が発生します。
弁護士によってその費用にはばらつきがありますが、相場としましては、1ヶ月の家賃が20万円以下の場合、10万円~40万円ほどです。
各弁護士の違いを確かめて、検討していきましょう。
こちらも弁護士によって違いがありますが、相場として、回収に成功した金額の約10%を報酬金として設定している弁護士が多いです。弁護士への相談を検討している場合は、その都度確認していきましょう。
今回は、家賃滞納者への強制執行について、解説記事を書いてきました。
家賃滞納が長く続いてしまうと、貸主と借主の間の信頼関係が大きく崩れてしまいます。
そうなれば、貸主としては何らかの措置を講じる必要がありますし、最終的にはこうして強制執行という手段をとることになるでしょう。
交渉のみで解決するのが一番ですが、それが不可能だった場合、ぜひこの記事を参考に、強制執行への手続きを進めていってください。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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