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KL2020・OD・037
賃貸物件の立ち退きは、オーナーも入居者も頭を悩ませる問題のひとつですよね。賃貸物件の立ち退きには、入居者が家賃などを滞納しているような入居者に債務不履行がある場合とオーナー都合の場合が考えられます。
家賃滞納の場合は交渉により賃借人が立ち退かない場合、裁判を通しての強制退去や強制執行などが行われ、オーナー都合の場合は入居者との交渉や補償内容を考える必要があります。今回は、賃貸物件からの立ち退きを行う条件や立ち退きのおおまかな流れなどをご紹介します。
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目次
賃貸アパートなどで入居者に立ち退きをしてもらう場合は、大まかに以下の流れで行います。入居者に立ち退きをしてもらう場合は、正当事由が必要になります。また、立ち退きに関する通知は立ち退きをしてもらう日、あるいは、賃貸の契約更新の1年〜6ヶ月前に行わなければなりません。
入居者に立ち退きをさせるには、正当事由がなければなりません。正当事由とは、以下のような理由があることです。賃貸借契約は、入居者に家賃滞納などの債務不履行がなければ、原則として貸主・入居者の双方の合意がなければ解約ができないため、立退きを強制することはできません。
ただ、立退きを求める正当事由が認められれば、裁判により立ち退きをさせることができます。立退きの交渉の際にも、正当事由があるかの判断が重要になってきます。
オーナー都合などで賃貸の立ち退きをする場合、立ち退きの交渉は原則として契約期間満了の6ヶ月〜1年前に行わなければなりません。借地借家法26条では、賃貸借の更新を行わない場合は契約の期間満了の1年前〜6ヶ月までに伝えなければならないとしています。
立ち退きの交渉も、賃貸借契約の更新を行わないことになるので、契約期間満了の6ヶ月〜1年前までに入居者に伝えなければなりません。
第二十六条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
引用元:借地借家法
ここでは、入居者に落ち度がない場合の立ち退きで発生する補償をご紹介します。オーナー都合による立ち退きの場合、補償を必ず払わなければならないという訳ではありませんが、立ち退きの正当事由を補完する(補う)ために立退料などを支払うことがあります。
具体的な金額や内容は入居者との交渉次第で変動しますが、賃貸の立ち退きの補償内容として挙げられるものは以下の通りです。
賃貸借契約では、入居者が家賃を滞納し続けたために仕方なく立ち退かせる場合もあります。なお、家賃滞納による立ち退きはあくまでも最終手段です。入居者の家賃滞納による立ち退きには以下のような条件がある場合に行うことができます。
上記のような場合は、貸主と入居者の信頼関係が崩壊していると考えられるので契約を解除して立ち退かせることができる可能性があります。
家賃の滞納が数ヶ月以上続いており、家賃の支払い督促や未払家賃の催告書を送ったのにも関わらず入居者が応じない場合は、契約を解除して立ち退きを求めます。家賃滞納に立ち退きの大まかな手順を以下にまとめました。
なお、上記の図にもあるように、家賃滞納での立ち退きをさせる場合は、未納家賃(債権)の回収や強制的に退去させるために裁判を起こすことになります。裁判を起こす際は弁護士の力が必要になります。
又貸しや賃借権の無断譲渡などの契約違反も貸主と入居者の信頼関係を崩壊させることになるため、立ち退きの対象になります。
賃貸借契約の場合は、借りる際に賃貸借契約書などで契約内容を定めることで貸出を行なっているわけですから契約違反をすることは基本的に契約者間の信頼関係を壊すことにつながるのです。
建物の老朽化などによって入居者の安全確保が難しい場合は、立ち退きを余儀なくされることになると思います。オーナー側の都合による立ち退きは、入居者側に落ち度はないので立ち退きを強制することができません。あくまでの立ち退きをお願いする形になるため、交渉が必要になります。
オーナー都合による賃貸の立ち退きの場合、借地借家法5条と6条では、貸主が入居者に対して賃貸借契約の更新について以下のように定めています。
第五条 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
引用元:借地借家法第六条 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない
引用元:借地借家法
賃貸借契約では、貸主が入居者に対して不利な契約をしてはいけないため、契約の解除なども一方的に行うことができません。賃貸借契約の解約は、貸主と入居者の双方が合意していなければならないため強制的に行うことはできないのです。
オーナー都合によって入居者に立ち退きをしてもらう場合は、正当な理由がなければなりません。立ち退きのための正当な理由とは、法律上では具体的に定められていませんが、賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、賃貸借の従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、立退料の額などを考慮するものとされています。
立ち退き理由は、「建物の老朽化による建て替え」など入居者の安全確保のためにやむを得ないものもあれば、貸主の住居拡張のためなどの理由もあります。立ち退き理由自体が「正当事由」にあたらない場合でも、立ち退き料を高額に設定することで入居者の合意が得られれば問題ありません。
借地借家法では、賃貸借契約の解約は貸主と入居者の双方が合意しない限り行うことができません。なので、オーナー都合で賃貸の立ち退きは「お願い」という形で行うことになります。
立ち退きを強制的に行おうとして違法行為をした場合は、オーナー側が罪に問われる場合もあるので交渉は「丁寧に、感情的にならない」ということを心がけてください。
家賃滞納などの場合を除く、賃貸での立ち退きは今まで生活している場所からオーナー都合で離れなければならなくなるため、入居者にとっては負担の大きいものですよね。
オーナー都合の場合は、立ち退きの際に補償金が出ることがほとんどです。また、オーナー都合の立ち退きの理由は建物の老朽化など、仕方のない理由の場合もあるので補償内容などが納得できれば譲り合って円満に立ち退き問題を解決したいですよね。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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