奨学金を減額したい人が必ず知るべき奨学金減額制度の利用条件

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
奨学金を減額したい人が必ず知るべき奨学金減額制度の利用条件

奨学金の返済が苦しい人に対して、日本学生支援機構は奨学金減額制度を設けています。この減額制度を使うことで延滞を防ぐことができますし、延滞によるブラックリスト掲載にも対策ができると思います。

ただ、奨学金の減額制度を利用するには条件もありますし、誰でも利用できるわけではありません。そこで今回は、奨学金減額制度の概要と、利用のための必要書類や手続きの方法などをお伝えしていきますので、よろしければ参考にしてください。

参考記事:奨学金の滞納はブラックリスト入り|延滞のリスクと対策手順

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奨学金が返せない場合の奨学金減額制度とは?

奨学金が返せない場合の奨学金減額制度とは?

結論からいうと、奨学金減額制度を利用することで、毎月の返済額を2分の1にしてくれます。毎月の返済額を2分の1にすることで、無理のない返済ができるでしょう。

手続きに関する項目にはついては次項で説明していきます。

奨学金の減額返済制度を利用する場合の条件と手順

手続きの方法自体はシンプルで、以下の手順で進んでいきます。

  1. 必要書類を集める
  2. 必要書類に記入して提出
  3. 『奨学金減額返還承認通知』が届く

奨学金減額返還承認通知が届くことで減額制度が希望の月から利用することができます。書類に必要事項を記入して送付するだけでOKです。もし、記入ミスなどで書類不備になる場合は書類一式返送されます。

ちなみに、現在返還中の方・奨学金返還開始前の方で手続きが異なるので、詳しくは以下の図をご覧ください。
奨学金の減額返済制度を利用する場合の条件と手順

減額できる方の条件

経済的な理由で奨学金の返還が難しい人は以下に当てはまる人です。

  • 所得証明書などの年収が335万円以下
  • 副業での収入が225万円以下
  • 本人の被扶養者について1人につき38万円を収入・取得金額から控除

(参考: 適用条件・注意事項|日本学生支援機構)

ただ、年収が335万円以上の方でも減額制度を受けることができます。

例えば、本人収入が400万円あり配偶者・子供がいる場合は38万円×2人なので、76万円の控除です。つまり、年収が「400万円-76万円=324万円」となり減額制度を受けることができます。

(参考:被扶養者とは?|全国健康保険協会)

既に延滞している人が利用するには延滞を解消する必要がある

年収が335万円以下でも、奨学金を既に延滞している人は減額制度を受けることはできません。受けることができるようになるには、延滞している金額を全額支払う必要があります。振替額については、『振替不能通知(※)』で確認してください。

(※)振替不能通知…奨学金の返済日に、預金残高が足りず口座振替ができなかった場合にお送りする通知書。送付時期は振替ができなかった翌月の10日前後

(参考:奨学金の返還に関する各種通知について|日本学生支援機構)

必要な書類

減額制度を受けるためには以下の3つの書類が必要です。

  1. 奨学金減額返還届&
  2. 所得証明書
  3. 個人信用情報の取扱いに関する同意書

①・③を日本学生支援機構のホームページから書類をダウンロードします。書き方が分からない方は記入例もありますので参考にしてください。

奨学金減額返還願&チェックシート|日本学生支援機構
【記入例】奨学金減額返還願_記入例|日本学生支援機構

個人信用情報の取扱いに関する同意書|日本学生支援機構

②対象者によって必要な書類が違ってきます。以下の画像に該当しない方はこちらを参考にして下さい。
(参考:減額返還証明書一覧|日本学生支援機構)

対象者 必要な書類(下記のいずれか) 発行者
基本 ①住民税非課税証明書(原本) 市区町村長
②所得証明書(原本)
③市・県民税(所得・課税)証明書(原本)
失業中(適用開始希望月より6か月以内の離職に限る) ①雇用保険受給資格者証(求職活動記録面含む)のコピー 職業安定所長
②雇用保険被保険者離職票のコピー
③失業者退職手当受給資格証のコピー
④雇用保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー
①~④の取得が困難なときに限る
⑤雇用関係が終了したことが確認できるもののコピー(退職証明書等) 退職した勤務先
⑥健康保険厚生年金保険資格取得(喪失)証明書のコピー(退職の記載があるもの)
新卒(退学)及び在学猶予切れの場合の無職・未就職・低収入・入学準備中 ①健康保険証の被扶養者欄のコピー ②勤務先 ④出身学校教 諭・教授等 ⑤在籍学校長等
②連続した直近の給与明細3か月分のコピー  又は給与証明書(原本)
③奨学生本人の収入が分かる帳簿、直近連続3か月分コピー等
④出身学校教諭・教授等の求職活動中又は無職であること  の証明書(原本)
⑤予備校の在籍証明書(原本)

 

次回減額返還希望適用期日が4に書類を提出する人に関しては、下記の書類も追加で必要になります。提出の時期は「書類提出の時期」で説明します。

必要な書類

(参考:次回減額返還希望適用日が4月以降の方へ|日本学生支援機構)

給与明細書を提出する時の2つの注意点

  • 勤務先が複数ある場合
  • 就職後間もない

この2点をそれぞれ説明していきます。

勤務先が複数ある場合は全て同一月の給与明細書を提出

仮にA社が6・7・8月分、B社が7・8・9月分を提出している場合は、全て同一ではないので書類不備です。A社が追加で9月分、もしくはB社が6月分を提出することで書類不備が解消することができます。

就職後間もない場合は直近3ヶ月分の給与明細が提出できない

この場合は、雇用開始日と給与月額が記されている雇用契約書を提出します。給与が1ヶ月・2ヶ月分でている方は、給与明細書・雇用契約書を一緒に提出しましょう。

書類提出の時期

減額制度を希望する月の1ヶ月前には日本学生支援機構に書類を提出してください。そうしないと希望月から減額制度を受けることができません。気をつけないといけないのは、希望月より4ヵ月以上前に書類を提出しても返送されてしまうことです。

例えば、4月に書類を提出しても希望月が8月だと返送されてしまいます。書類が受理されるのは3ヶ月前までと定められています。

減額制度にまつわる疑問や注意点4つ

減額制度にまつわる疑問や注意点4つ

減額制度を使うにあたっての疑問・注意点をまとめてみました。

減額制度を利用しても利息は増えない

返還期間は延長されますが第2奨学金の支払い利息は増えません。減額制度は元々あなたの負担を少しでも軽くするためにつくられた救済制度ですので、返済額を減らしたからといって利息が増えることはないのでご安心ください。

減額制度を使っても延滞してしまった場合

減額制度を受けているのにも関わらず2回続けて延滞してしまった場合は、延滞発生時にさかのぼって減額制度が取り消しになります。さらに、減額制度を受ける前の当初割賦金を延滞額として合計した延滞金を返還しないといけません。

月払いではない支払方法の場合

減額制度を受けることになった場合は月払い以外の方(年、半年、月・半年割賦金併用)も自動的に月払いに変更になります。これは減額制度が終了しても継続です。

また、奨学生番号の冒頭が『7』の奨学金を受けている方で月払い以外の方は、減額制度を受けることが決まっていても希望月から減額制度を受けることができない場合があります。

それは、月払いに変更できない時期があるためです。詳しくは奨学金返還相談センターでご確認ください。

減額制度の適用期間

減額制度については2つのことに注意してください。

  • 減額制度は1年毎に願い出が必要
  • 減額制度の期間は15年が限度

減額制度を申し込む時はこのことに注意しましょう。

奨学金減額制度を利用しても返済が難しい場合は返還期間猶予を利用する

減額制度を使っても支払いが難しい方も中にはいます。そんな方のために返還期間猶予もあります。

奨学金が返せない場合の返還期間猶予とは?

返還を1度ストップできる制度です。経済困難・失業・傷病などの返還困難な事情が起きた場合に申し込むことができます。

減額制度と違い、奨学金返済延滞者であっても返還が困難な場合は奨学金をストップすることも可能です。ただし、元金や利息は免除されませんし、審査に通らない場合もあります。

奨学金の返還期限猶予を利用する場合の手順

  1. 必要書類を集める
  2. 必要書類に記入して提出
  3. 『奨学金返還期限猶予承認通知書』が届く

上の項目の手順で進んでいきますので、必要書類に必要事項を記入して送付するだけでOKです。奨学金減額返還承認通知が届くことで減額制度が希望の月から利用することができます。

もし、記入ミスなどで書類不備になる場合は書類一式返送されます。

猶予できる方の条件

猶予できる方は以下の条件に当てはまる人です。

  • 年収が税込みで300万円以下
  • 副業200万円以下

経済困難・失業中・新卒などは上記の条件に当てはまりますが、傷病の人は条件が異なってきますので、気にある方は一般猶予|日本学生支援機構を参考にしてください。

必要書類

猶予を受けるためには以下の2点の必要な書類です。

  1. 猶予願&チェックシート
  2. 所得証明書

①は日本学生支援機構のホームページから書類をダウンロードします。書き方が分からない方は記入例もありますので参考にしてください。

猶予願&チェックシート

猶予願&チェックシート|日本学生支援機構
【記入例】奨学金返還期限猶予願の記入|日本学生支援機構

(参考:返還期限猶予|日本学生支援機構)

対象者によって必要な書類が違う

以下の画像に該当しない方はこちらを参考にして下さい。

対象者 必要な書類(下記のいずれか) 発行者
経済困難 ①平成28年度(平成27年分)所得証明書 市区町村長
②平成28年度市県民税(所得・課税)証明書(収入金額または所得金額が明記されているもの。課税額のみは不可)
③平成28年度住民税非課税証明書
失業中(適用開始希望月より6か月以内の離職に限る) ①雇用保険受給資格者証(求職活動記録面含む)のコピー 職業安定所長
②雇用保険被保険者離職票のコピー
③失業者退職手当受給資格証のコピー
④雇用保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー
①~④の 取得が困 難なときに 限る
⑤雇用関係が終了したことが確認できるもののコピー(退職証明書等) 退職した勤務先
⑥健康保険厚生年金保険資格取得(喪失)証明書のコピー(退職の記載があるもの)
新卒(退学)及び在学猶予切れの場合の無職・未就職・低収入・入学準備中 ①健康保険証の被扶養者欄のコピー ②勤務先 ④出身学校教 諭・教授等 ⑤ハローワーク⑥ハローワーク、求職先等⑦民生委員
②連続した直近の給与明細3か月分のコピー  又は給与証明書(原本)
③奨学生本人の収入が分かる帳簿、直近連続3か月分コピー等
④出身学校教諭・教授等の求職活動中又は無職であること  の証明書(原本)
①~④の 取得が困 難なときに 限る
⑤求職受付票のコピー(ハローワークカード等)(最近4か月以内発行)
⑥求職活動中であることがわかる書類のコピー(最近4か月以内発行)
⑦ 民生委員の求職活動中または無職であることの証明書(最近2か月以内発行)

(参考:一般猶予|日本学生支援機構)

平成29年1月~6月に願い出る新卒の場合は下記のいずかの書類も必要になってきます。

必要書類

猶予の適用期間

猶予については2つのことに注意してください。

  1. 返還期限猶予は1年毎に願い出が必要
  2. 返還期限猶予の期間は10年が限度

猶予を申し込む時はこのことに注意しましょう。

数年延滞している人も猶予を受けることができる

延滞が始まった年月から1年毎に以下の書類などを提出することで審査を受けることができます。

  1. 奨学金返還期限猶予願
  2. 所得証明書
  3. 事由にあった証明書

延滞開始年月からの証明書がない場合は、その期間の奨学金を入金することで猶予申請ができるようになります。申請方法を知りたい方は「数年延滞している場合の猶予申請|日本学生支援機構」を参考にしてください。

減額返済制度が利用できない場合は債務整理を検討しよう

減額返済制度が利用できない場合は債務整理を検討しよう

減額制度を利用しても奨学金の返済が難しい場合は債務整理をすることになるかもしれません。債務整理には以下3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれの特徴と利用する上での注意点を解説していきます。

任意整理

任意整理は自分の借金を債権者と話し合い、今後の返済額・返済方法など借金の整理していく方法です。しかし、奨学金だと任意整理で返済額の減額が認めてもらえません。そのため、奨学金で任意整理をするのはおすすめできません。

任意整理してしまうと保証人に奨学金の返済が全て移ってしまうのです。つまり、保証人に何百万円という借金を肩代わりしてもらうことになってしまいます。奨学金の返済の保証人というのは、親・親戚がなるケースが多いので任意整理はしないのがおすすめです。

もし、任意整理するとしたら奨学金以外の借金がある場合はしてもいいかもしれません。そうすることで奨学金以外の借金は減額。奨学金の返済は自分で行うにしても、減額したお金を奨学金の返済に回すことで借金の返済が少し楽になります。

個人再生

個人再生なら奨学金の返済を5分の1まで減額することができ、それを3~5年で減額した金額を支払います。裁判所を通じて借金を減額するので手続きが大変です。以下が個人再生した時の最低返済額です。

借金の額 最低返済額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1,500万円以下 債務額の5分の1
1,500万円超3,000万円以下 300万円
3,000万円超5,000万円以下 債務額の10分の1

 

500万円の奨学金がある場合は100万円になります。この100万円を5年間で返済する場合は毎月の支払金額は約17,000円です。返済は大分楽になるでしょう。

しかし、自分の支払う借金が減額されましたが、減額された400万円の借金は保証人が全て支払わなければいけません。個人再生をする場合は、保証人とよく相談して行うようにしましょう。

自己破産

自己破産を行うと自分は借金が0になるため返済を行わなくてもよくなります。しかし、保証人・連帯保証人が借金の肩代わりになります。さらに、『期限の利益損失(※)』により保証人・連帯保証人が日本学生支援機構から一括返済を求められるでしょう。自己破産をする場合は、身内に相談した上で行うようにしてください。

(※)期限の利益損失…返済日までにお金を返済しないことで、一括返済を請求されること

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奨学金返済が延滞した場合、信用情報・事故情報が記載される

奨学金を延滞・債務整理することで、自分の信用情報に事故情報が登録されてしまいます。

信用情報とは何か

現金を使わないで行う『信用にもとづく取引』のことを信用取引と言いますが、信用取引を行うにあたっての情報を信用情報と言います。クレジットカード・ローンが身近な取引であり、契約した内容・支払状況などの記録が残ります。延滞したらその情報を登録。

さらに、延滞が続くと信用が落ちてしまい信用情報に事故情報として登録。信用情報に事故情報が記録されてしまうと今後数年間はクレジットカードを使うことができなくなってしまいます。

信用情報機関とは

あなたの信用情報を管理・提供をすることで、あなたと会員会社の健全な信用取引を支える機関です。日本には、3つの信用情報機関があります。

  • シー・アイ・シー(CIC)
  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行協会(KSC)

任意整理・自己破産をしたら機関毎にどのくらいで解除されるか

信用情報機関 任意整理 自己破産
シー・アイ・シー(CIC) 5年 7年
日本信用情報機構(JICC) 5年 5年
全国銀行協会(KSC) 5年 10年

あなたの信用情報を調べる方法

今回はクレジットカード・ローンに関係するCICに絞ってご紹介します。

  インターネット 郵送 窓口
準備するもの 1.パソコン・スマホ2.契約にご利用された発信番号を通知できる電話 1.開示申込書2.本人確認書類などの必要書類 1.本人確認書類などの必要書類
サービス日時 毎日8:00∼21:45 申し込みより10前後 平日のみ10:00∼12:00
13:00∼16:00
手数料 1,000円(クレジットカード一括払い) 1,000円(ゆうちょ銀行で発行の定額小為替証書) 500円(現金)

他の情報機関・詳しく知りたい方は以下のリンク先を参考にしてください。

情報開示とは(自分の信用情報確認)|シー・アイ・シー(CIC)

情報開示手続きの等のご案内|日本信用情報機構(JICC)

本人開示の手続き|全国銀行協会(KSC)

まとめ

経済的に苦しい人は奨学金の減額制度か返還期間猶予を使うといいでしょう。債務整理を行ってしまうと、自分の借金は減額されますが減額された分の借金が保証人・連帯保証人に移ってしまうので迷惑をかけてしまいます。

減額か返還猶予を使うことで、時間はかかってしまいますが身内に迷惑をかけることはありません。地道に返済を行いながら減額制度か返還猶予を使うことをお勧めします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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