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KL2020・OD・037
著作権は無形であるため、果たしてそれが相続できるのか、気になる方もいらっしゃるかと思いますが、結論から言うと著作権は相続財産として遺産分割の対象になります。
では、どのように手続きをしていけば良いのか、それは誰にどのような形で行うことができるのかということは、なかなか知る機会がないかもしれません。
そこで今回は、著作権を相続する際に頭に入れておくべき大切なこと、または相続の際にトラブルにならないよう気をつける点などについて、解説していきたいと思います。
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目次
著作権を相続することは可能です。著作権は被相続人の財産であるため、これを他人に譲渡、または相続することができます。
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
引用元:民法第896条
この際、次に挙げる「著作者人格権」と「著作権」によって違いがありますので、それぞれについてここで解説していきます。
著作権には、「著作者人格権」と「著作権」の2種類があります。それぞれはどのように違い、相続の可否はどうなっているのでしょうか?
著作者人格権とはその名の通り、著作者の人格を保護する権利のことをいいます。この著作者人格権は一身専属性(他人に譲渡や移転されないこと)を有しているため、相続をすることができません。
その理由としては、著作者が創設した作品には思いや感情が込められており、他人がこれを侵害することはできないと考えられるからです。著作者が亡くなった時点で、一定の範囲を除いてこの権利(著作者人格権)は消滅します。
公表権 |
自分の著作権を、いつ、どのように公表するか、そもそも公表するかどうかを決定する権利 |
氏名表示権 |
自分の著作物を公表する際に、名前を公表するか、公表するとしたら実名なのか仮名なのかを選択する権利 |
同一性保持権 |
自分の著作物のタイトルやその内容を、意図しないところで無断変更させない権利 |
著作権は、著作権法に基づき認められた財産的価値のある知的財産権であり、相続の対象となります。
複製権 |
著作物を印刷や複写、録画や録音などの方法で再製する権利 |
上演権・演奏権 |
著作物の上演や演奏をする権利 |
上映権 |
著作物を上映する権利 |
公衆送信権・公の伝達権 |
著作物の公衆からのアクセス、放送や有線放送を可能にする権利 |
口述権 |
言語の著作物を口頭で公に伝える権利 |
展示権 |
著作物をの現作品を公に展示する権利 |
頒布(はんぷ)権 |
映画の著作物の複製物を、販売・貸与する権利 |
譲渡権 |
映画以外の著作物の現作品や複製品を譲渡する権利 |
貸与権 |
映画以外の著作物の複製品を貸与する権利 |
翻訳権・翻案権 |
著作物の翻訳や編曲、変形など、新たな著作物を創出する権利 |
二次的著作物の利用権 |
自分の著作物を原作とする二次的著作物の利用に対して、その著作権者と同様の権利 |
それではここで、著作権を相続する際の手続きについて解説していきます。
そもそもですが、著作権は発生にあたって登録や届出は不要です。小説や音楽、又は映画や写真などの著作物には、制作された時点で著作権は当然に発生します。そのため、相続する際も手続きをとる必要はなく、当事者同士の話し合いだけで権利承継が可能です。
当事者同士の話し合いのみで完結するとはいえ、相続人が複数いた場合には誰が著作権を承継するのか決めなければなりません。そのためには遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
相続の処理内容は書面化することが必須ですので、遺産分割協議書は必ず作成しましょう。遺産分割協議書の作成方法につきましてはこちらの記事もご参考ください。
著作権を相続する際には、以下のことも頭に入れておくと良いでしょう。著作権相続における基礎知識について、ここで解説していきます。
著作権の相続は基本的に、法定相続人にのみに可能となりますが、遺贈することで法定相続人以外にも相続することができます。
遺贈とは、遺言によって権利を譲渡することをいいます。相続を受けられるのは法定相続人のみですが、遺贈は第三者(法人を含みます。)に対しても行うことが可能です。
遺贈についての詳しい内容につきましては、こちらの記事もご参考ください。
著作権の存続期間に関しては、法律によってこのように定められています。
著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第1項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
引用元:WIKI BOOKS
このように、著作者の死後50年を経過すると、その著作権は消滅することになります。著作者が仮名や無名、又は団体名義の場合には、公表後50年間が存続期間となります。
ただし、映画の著作物に関してのみ、その公表後70年間が存続期間と定められています。
著作権を相続できるということは、相続税の対象として、また、遺産分割協議のためにも、その評価額を計算する必要があります。
著作権は無形ですので、その評価額を計算するのは難しいと思われがちですが、国税庁によってその計算方法が以下のように決められています。
【年間平均印税収入額×0.5×評価倍率】
年間平均印税収入額は、課税前3年の平均額のことです。評価倍率とは、課税時期後の各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものと定め、出版社などの著作物に関して精通している人の意見をもとに、印税の収入期間を見積もります。
この印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率を算定し、この複利年金現価率が評価倍率となります。
今回は、著作権の相続に関しての記事を書いてきました。ご自身が何らかの著作権を所有している場合、相続人がその権利を相続することができます。
その際には手続きが必要というわけではなく、当事者同士の話し合いで決めることもできますが、相続トラブルは何としても避けたいところです。
そのためにもぜひこの記事の内容を頭に入れていただいて、いざ相続となった際にお役立て頂きたいなと思います。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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