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KL2020・OD・037
振り込め詐欺救済法とは、振り込め詐欺に使われた口座を凍結し、口座に入っているお金を被害者に分配するための法律のことをいいます。
平成20年の6月からこの法律が施行されたことで、犯人の口座にお金が残っている場合、被害金の一部もしくは全部を取り戻せるようになりました。
しかし、口座からお金を引き落とされてしまえばもうどうにもならないので、振り込め詐欺の被害にあったらすぐに警察に通報して振込先の金融機関に連絡を入れることが大切です。
今回は振り込め詐欺救済法の概要と、被害回復分配金を受け取るまでの流れ、振り込め詐欺救済法が適用されないときのケースとその際の相談先、対処法についてご説明します。
目次
振り込め詐欺救済法とは、振り込め詐欺被害者に被害回復分配金を支払う手続きについて定めた法律です。被害回復分配金とは、犯人の口座に残っていたお金を被害者に分配した際に受け取れるお金のことをいます。あくまで犯罪に使われた口座のお金を分配する制度であって、国が詐欺被害者に補償をしてくれるわけではありません。
振り込め詐欺救済法によってお金を取り戻せるのは、振り込め詐欺やその他詐欺行為に遭い、口座に振込を行った人です。振り込みを利用している場合、闇金被害者も対象になります。
ただし、次に該当する人は救済の対象にはなりません。
残念ですが、被害回復分配金の受取は諦めるしかないでしょう。しかし、それでは納得行かないという方は『振り込め詐欺救済法の対象にならなかったときの対処法』をご覧ください。
被害者と認められた人の被害金額を合計し、被害総額に占める各人ごとの割合を按分(あんぶん)して分配されていきます。具体例を見ていきましょう。
【被害回復分配金の分配例】
実際に自分に支払われる金額がいくらなのかを知るには、支払手続きの際に個別連絡が行われるか、決定表というものにも記載がされるため、その決定表を確認することで知ることができます。その決定表を見るには、閲覧請求書を金融機関に提出すれば閲覧が可能です。
図:閲覧請求書サンプル
引用元:振り込め詐欺救済法Q&A
ここでは、詐欺被害に遭ってから被害回復分配金を受け取るまでの流れを見ていきましょう。
大まかな流れは上図の通りですが、詳細な流れについて解説していきます。
まずは警察に通報しましょう。誰から電話がかかってきて、どんなことを言われたのかを時系列ごとに整理しておくと、犯人の手口をわかりやすく伝えられます。
振込先の金融機関に詐欺被害に遭った旨を連絡し、口座の取引停止をしてもらうようお願いしましょう。
次に、預金保険機構の公告に振り込んだ口座があるかを確認します。探し方は次の2つです。
(引用元:預金保険機構)
預金保険機構のHPへ行くとこのようなページが表示されます。口座番号が分かる方は真ん中の口座番号を入力し、【検索する】をクリックしましょう。口座番号が分からない方は、その下の【詳細検索へ】をクリックすると、検索条件のページが出てきますから、「名義人の氏名または名称」記入し検索しましょう。
画面下の【公告一覧へ】をクリックすると、公告の年度と回数順に一覧が表示されます。見たい年度をクリックすると、金融機関の名前が表示されたページが出てきますが、1つ1つ見ていかねばならないので、先にご説明した検索機能を使って探した方が早く見つかると思います。
支払期間を過ぎると被害回復分配金を受け取る権利を失いますので、期限中に必要書類を揃え、必ず振込先の金融機関に申請しましょう。必要書類は次の3点です。
申請書は最寄りの金融機関からもらってくるか、ホームページからダウンロードしましょう。
大まかに以上の流れを経て被害回復分配金を受け取ることができます。
お金を取り戻せる可能性を少しでも高めるためにも、最低限この2点だけは守りましょう。
被害回復分配金の手続きに関して細かい疑問点が出てきた場合は、基本的には振込先の金融機関に相談することになります。
半年前後かかります。詐欺に使われた口座の権利を消滅させるなど、法律手続きに時間がかるためです。
詐欺からお金を取り戻す手段として、振り込め詐欺救済法ができましたが、法律に詳しい犯人がいつまでも口座にお金を残しておくとは考えにくく、詐欺被害に遭ったが被害回復分配金の受取りを受けられなかった人も多いはずです。そこで登場するのが、「被害回復給付金支給制度」と呼ばれるものです。
被害回復給付金支給制度では、「財産犯等の犯罪行為によりその被害を受けた方から得た財産又はその財産の保有や処分に基づき得た財産」を「犯罪被害財産」として金銭化し、「給付資金」として被害を受けた方に支給する制度です。
振り込め詐欺救済法は、あくまで犯罪者グループの使っていた口座にお金が残っていることで、初めて意味のある法律でしたが、被害回復給付金支給制度は、検察が犯人から没収してきた下記の要件にあたる金銭を、給付金として還元してくれる点です。ただ、すべての人が対象になるわけではないため、次項で詳しく解説していきます。
(犯罪収益等の没収等)
第十三条 次に掲げる財産は、不動産若しくは動産又は金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)であるときは、これを没収することができる。
一 犯罪収益(第六号に掲げる財産に該当するものを除く。)
二 犯罪収益に由来する財産(第六号に掲げる財産に該当する犯罪収益の保有又は処分に基づき得たものを除く。)
三 第九条第一項の罪に係る株主等の地位に係る株式又は持分であって、不法収益等(薬物犯罪収益、その保有若しくは処分に基づき得た財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産であるもの(第四項において「薬物不法収益等」という。)を除く。以下この項において同じ。)を用いることにより取得されたもの
四 第九条第二項又は第三項の罪に係る債権であって、不法収益等を用いることにより取得されたもの(当該債権がその取得に用いられた不法収益等である財産の返還を目的とするものであるときは、当該不法収益等)
五 第十条又は第十一条の罪に係る犯罪収益等
六 不法収益等を用いた第九条第一項から第三項までの犯罪行為又は第十条若しくは第十一条の犯罪行為により生じ、若しくはこれらの犯罪行為により得た財産又はこれらの犯罪行為の報酬として得た財産
七 第三号から前号までの財産の果実として得た財産、これらの各号の財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他これらの各号の財産の保有又は処分に基づき得た財産
引用元:組織的犯罪処罰法13条
刑事裁判で認定された財産犯の被害者と、そのような犯罪と一連の犯行で行われた犯罪の被害者が給付金の対象です。さらに、被害者の相続人も受け取りの対象になります。
支給額の上限は被害を受けた額と同じです。給付資金から被害回復事務員の人件費や、手続きにかかる費用を差し引いて残る金額が被害総額より少ない場合、被害者各人の被害金額に応じて分配されていき、これをあん分と言います。
【給付資金のあん分例】
被害者Aさんの場合
とすると
給付資金1,000万円×(被害額400万円/被害総額2,000万円)=支給額200万円
で支給額は200万円になります。
刑事裁判で犯罪被害財産が犯人から剥奪されると、検察官が支給の対象になる犯罪行為の範囲を決定します。その後、犯罪被害財産が現金化されて「給付資金」となった時点で支給手続きが始まります。支給手続きの開始したのを知るには官報を確認しましょう。また、検察官が被害者の連絡先を知っていれば通知をしてくれます。
支給手続きが始まったら、申請書(別記様式第一)に必要事項を記入して検察官に提出しましょう。あわせて次の書類を添付してください。
申請書の内容を元に、被害回復給付金の受給資格があるのか検察官が判断します。
裁定の結果(給付金を受け取る資格があるか否か)が記載された裁定書の謄本がご家庭に届きます。
費用が確定して手続きがすべて終わると、被害回復給付金が支給されます。
検察庁では、支払手続きを開始している事件の一覧を公開しています。すでに手続きが終了しているものもありますが、過去、どういった支払いがされているのかを確認できますので、参考にしてみてください。
腹の虫が収まらず、なんとかしたいと情報収集をしても、「詐欺被害は立証が難しく検挙率も低いため諦めろ」といった内容ばかりが目につくこともあるでしょう。ここでは、詐欺を絶対に許せない人ができることについてお話しますが、大前提としてお金は返ってこないものと思ってください。
あなたがどれだけ法的に正しくても、いくら詐欺を立証しても、犯人に支払えるお金が無ければ被害金額は戻ってきません。
詐欺師は法律のことに詳しいため、奪い取ったお金を第3者に譲渡したり、使い切ってしまったりと、返さないための対策をしているものです。それでも犯人の罪を立証したいという人だけここから先を読んでください。
詐欺を立証するには、詐欺罪が適用される要件を満たさねばなりません。その要件は以下の4点です。
これらの要件を立証するために、以下のような証拠を集める必要があります。
そもそも誰に騙されたのかがわからなければ、捕まえようがありません。振り込め詐欺の電話がかかってきた際にはもちろん偽名や偽の住所が使われているでしょうし、電話も被害を受けた後は繋がらなくなっていることでしょう。まずは犯人の本名と、居場所を掴みましょう。
詐欺師を捕まえるには、警察や弁護士に動いてもらう必要がありますが、立証が難しいため警察が捜査をしてくれないこともあります。そんなときは、インターネットなどで同様の被害に遭った被害者を集めましょう。多くの人が同じ手口で被害に遭っていると分かれば、警察も動かないわけにはいかなくなります。
主観的・感情的に伝えても誰も聞いてはくれません。いつ、どこで、だれに、どのように、いくら騙し取られたのかを5W1Hに沿って、客観的に伝えられるようにしておきましょう。
詐欺師は法律の隙間をくぐり抜けるプロなので、法律の知識を持っており、逮捕されないために綿密な計画を立てています。それに対して法律や詐欺に関する知識がない一般人が自分だけで立ち向かうのは現実的ではありませんから、詐欺を立証するには専門家のサポートが必須です。
まずは、「警察相談専用電話#9110」に相談して同じような手口が発生しているか確認しましょう。
罪や事故の発生には至ってないけれど、ストーカーやDV・悪質商法・近隣や職場でのトラブルなど、普段の生活の安全や平穏に関わる様々な悩みごとや困りごとを抱えていませんか。そのようなときには、警察相談専用電話#9110にご相談ください。全国どこからでも、その地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。そして、警察では問題解決に向けて、相談者の要望などを尊重しながら様々な対応を行います。
110番はひったくりに遭ったときなど、すぐ警察に来て欲しいときに使いますが、緊急でない場合は「警察相談専用電話#9110」にかけることで相談に乗ってもらえます。
犯人の居場所や氏名がわからない場合は、まずは探偵に依頼して個人情報を集めるところから始めましょう。
弁護団とは被害が大規模になった際に任意で結成される、弁護士の集団の事を言います。あなたが騙されたのと同じ手口の振り込め詐欺に対する弁護団が結成されているかどうかをまず調べましょう。通常の弁護士に依頼するよりも安く済む可能性があります。
詐欺の意志があったことを証明したり、返金交渉をしたりするのには、詐欺被害のプロである弁護士を頼るのが現実的です。詐欺に関する法律の知識や、相手に返金させるだけの交渉力を一般人がつけようとすると何年もかかります。その間に犯人は逃げてしまうでしょう。
【弁護士を装った詐欺に注意】詐欺は立証が難しく、お金が返ってこないことも多いため、弁護士が依頼を受けてくれなかったり、警察が動いてくれなかったりすることもあります。しかし、怒りが収まらず、なんとしても詐欺を捕まえようと思っている被害者のもとに弁護士を名乗る人物が現れ、「私なら詐欺の被害金を取り戻せます」と伝え、藁にもすがる思いで被害者が出した弁護士費用を騙し取る詐欺師も存在します。 一度騙された人は騙しやすいため、再びターゲットにされることもあります。くれぐれも感情的になり、冷静な判断力を失わないよう注意しましょう。 |
振り込め詐欺の被害に遭った方は振り込め詐欺救済法の対象になるので、できるだけ早く警察と金融機関に連絡をしましょう。期間中に必要書類を提出するのを忘れないでください。
また、救済の対象とならない方が犯人を捕まえようとすれば、探偵、警察、弁護士のサポートを活用し、犯人を探してもらい、詐欺罪の要件を満たしていると実証していく事になります。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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